ハイエナライオン3
『ハイエナライオン』。
空想のサバンナにハイエナライオンは住んでいる。
名前の通り、ハイエナとライオンの混合種のような生き物だった。
遠くから彼を見るなら、どこにでもいるごく普通のオスライオンである。風貌ある顔に、牙。金色のたてがみは風になびくと日の光を反射させる。
近づくにつれ、彼が普通のオスライオンなんかではないことが明らかになってくる。
黄土色の胴体にはしみのような黒のぶち模様がある。黒い犬鼻に、目にはくま。額には灰色のモヒカンが生えている。
ハイエナであり、ライオンであるもの。それがハイエナライオンだった。
ハイエナライオンに親や兄弟はいなかった。
彼はなんとか一つの群の中に属そうと頼み歩いた。ライオンたちは黒ぶち模様をにらんで彼を敵だとみなした。ハイエナたちは彼のたてがみを始終警戒し、獲物の取り分を分けてはくれなかった。
彼はしかたなく一匹狼のように一人で生きていこうとした。しかし、困難はさらに続いた。
シマウマを見つけたときだった。彼は懸命に走ったが、たてがみが邪魔で、獲物を追い詰めるだけのスピードをついに出せなかった。運よく路傍に死した動物をみつけたとしても、肉の匂いをかいでほかの動物たちが群になって集まってきた。
ハイエナライオンは草葉の陰で、自分の見つけた肉が食べられていくのをただじっと見守るしか出来なかった。