俺は勇者だ・・・でも・・・。
これは2年前に遡る。
世界を制圧し、恐怖のどん底へと陥れようとした魔王は勇者の手によって倒された。
とまぁ、ここはよくある話である。
確かに勇者と呼ばれる俺、カノー・オールは魔王と対峙し、それを打ち破り、世界の平和と取り戻した。
ただし、ここからは少し違うのだ。
王様から褒美として豪邸と一生困らない援助をもらえたまではよかった。
普通ならばここでカワイイ王女様との結婚とかあるだろうと思うだろう。
しかし、王と王妃の間には何故か王子が4人しか生まれず、その王子も次期王位継承の座をしっかり掴み取っている。
仲違いする様子もなく関係は良好。絵に描いたような兄弟愛もしくはB・・・おっとこれ以上はいけない。
というわけで王様になることもなく、かといって魔王がいなくなった世界では大きな事件が起きることが少なく、ただただのんびりと過ごしているのだが・・・。
勇者ともてはやされるだけならば問題ない。実際それだけの功績は上げたわけだし。
ただ、どこに行くにも人の目が必ずあるのがとてもやりにくい。
たとえば、町中にエッチは本を買いに行こうとする。
街道沿いに出れば、やれ勇者様だ、やれカノー様だと声を掛けられる。
人気者の辛いところだといえばそれまでだが、俺は勇者である前に18歳の青年であって、人並みに性欲だってあるわけで・・・。
そんなこんなで俺は王様にこういったことがある
「王様、今の私の暮らしには非常に満足をしています。しかし、私一人の為に、あのような屋敷をいただくのは勿体なく存じます。ですのでこの際、辺境の町に小さな家を建て、そこで暮らそうと思うのですが。」
すると、王は
「勇者サーノよ。それ程謙遜することなかろう。あれくらいの小さな屋敷で何を言っておる。お主は世界を救った勇者。これくらいの事をせねば、市民の品位も下がるというもの。」
「しかし、私一人に部屋20。トイレ4つ。風呂場4つ等々・・・明らかに大きすぎるのです。」
「そう言うな。これぐらいしておかないと勇者が市民と同じ建物に住むとなると立場が悪いだろう。」
「ですが・・・」
「お主の功績を踏まえたうえでの事だ。これ位のことはさせてくれ。おぉ、いっその事、妻を娶ればよいではないか?お主と一緒のパーティーにおったであろう。」
「エルピヌとルバルトの二人ですか?」
「そうだ。あの二人ならばよい妻になりそうだ」
俺は、少し顔を下げて
「あの二人は・・・仲間なので・・・。」
と答えた。
「そうか。ならば、仕方ないな。」
俺はあの二人のことをよく知ってる。その事は後で語るとして、俺は誰にも知られていないところで静かに暮らしたいのだが、そんなこんなで結局、デカい屋敷にいるわけだ。
どうしてもここから出してくれないなら、いっその事、悪事を働いてここから追放してもらおう。
そうだ。ここの民に忘れられるくらいの事をやればきっと辺境で静かに過ごせる・・・。
こうして俺のとんでもなくひん曲がった計画が始まるのであった。




