あらすじ
この日。
とある世界のとある一室で、王位継承者が生まれた。
この瞬間。
世界中の鐘が鳴り、民が歓喜の叫びを上げた。
その日から姫の詳細が公布されるまで、世界中で様々な祭りが行われた。しかし、姫は多大な魔力を持ち、特殊な歳のとり方をした。
故に彼女は一人だった。ずっと、ずっと・・・。
あれから大分時は経った。
七千の年を経て、もう一度彼女の物語は始まる。
彼女は、過去の記憶をなくし、一人の人間として暮らしていた。
けれど、彼女は十三歳のとき運命の『転機』を迎える。そしてそれは、これからの彼女を大きく左右することになる・・・。
十三年の時を平穏に暮らしていた彼女は、あることをきっかけに“天界の姫”として生活することになる。現界から来た“姫”を良しとしない者達による、陰の不満を感じつつ、それでも“姫”であるために“姫”を演じ続ける。
強く、必死に前を向いて進む彼女を揺らしたのは、たった一人の少女との出会いであった。少女は、この世界の本当の姫であり、それを知った彼女は初めて王と衝突する。懸命に弁解する王の声には耳を貸さず、少女と話しをし、彼女は自分なりの結果を出して、“姫”であり続けた。
彼女が天界に来て半年経ち、ようやく期間は満たされた。喜んで現界に戻ったのもつかの間、彼女の親友・ノイールの予言通り、彼女・そして姫・付き人二人は新たな厄介事に巻き込まれる。
それは、彼女の過去・七千年前の彼女にまつわる事だった。
現在の彼女の名は「リーフェル」。
しかし、この物語にはむしろ、七千年前の『彼女』、「リル・フィーティア」が大きく関わってくる。
例え、記憶にない過去だとしても、過去は現在を振り回す。
__その過去こそが、リル・フィーティアの生きる理由、生まれてきた理由だから。
“主”から重くつらい『使命』を負って生まれた少女、「リル」。
彼女に課せられた『使命』は、“魔王”を倒すこと。
『偶然』のように重なった、悪夢のような出来事。
これが、“主”から課せられた彼女の『運命』。
『運命』と言う名で、“主”は人を試すという。
それに振り回されながらも、七千年の時を経て、彼女は二度目の挑戦に挑む。
たった十数年の人々との出会い。
それを支えにし、彼女はもう一度立ち上がった。
今度は負けない。
それだけを思い・・・。
全世界のすべての人の命を背負い・・・。
一つ、あなたに訊こう。
「あなたは大好きだった人を殺せますか・・・?」






