六甲の風が呼ぶ
—坂道の先で、時はふいにほどける—
六甲台の裏手にある、誰も知らない石段。
吹き抜ける風に目を閉じたとき、
そこは昭和初期の神戸だった。
港町を歩く青年と、
名前を名乗らない女学生。
そして、消える時間。
過去と現在が滲み合う坂の上で、
祐真は、ひとつの写真に辿り着く——。
六甲台の裏手にある、誰も知らない石段。
吹き抜ける風に目を閉じたとき、
そこは昭和初期の神戸だった。
港町を歩く青年と、
名前を名乗らない女学生。
そして、消える時間。
過去と現在が滲み合う坂の上で、
祐真は、ひとつの写真に辿り着く——。