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1.リアルエンド

 新サーバーオープンに合わせ、俺は新アバターを購入することにした。

 潜在的にロリコンである俺は、キャラクター画面で姿形すがたかたちのベースパターンを選び、自分好みに変えていく。

 ツインテールに青銀色。青い瞳を大きくし、鼻と口のパーツの位置を合わせていく。


 胸は小ぶりにしよう。


 俺はパソコンのマウスを操作して、腰回りとお尻の大きさをロリコンらしく美しい形に仕上げていく。

 肌の色もきめ細かく、日焼けの無い透明感を出していく。


 まあ、全体的に凹凸は控え目でいいだろう。尻と胸が大きい女は好みじゃないからな。それに気に入らなければ後で衣装チケットを使えばいい。


 俺は拡大と縮小を繰り返し、左右からのアングルを重点的に見てチェックを済ませていく。

 途中で下から見るのはご愛敬。

 特に股間の位置と腰の重心が魅力的だ。

 そう考えた俺は何度も微調整を繰り返していく。


 うむ。いいだろう。


 少女好きの俺にとって満足な仕上がりになったようだ。

 乳臭い感じではなく、どこかロリババア風の色気がある。

 現実のロリと同じでは、アニメ風にデザインされたエモーションを生かすことができないからな。

 俺は自信を持ってキャラクターの作成を完了し、確認ボタンをクリックしていく。


 次は衣装の選択だな。金はあるから、イメージに合う物をぜひ入手したい。


 俺は1万円を使って有料コスチュームを追加していく。


 紺のスカートに合う柔らかいブラウスの色を選択しよう。


 俺は検索画面を開き、小学生と入力していく。

 迷わず昔に流行った白のデザインを選んでいく。

 他にもアクセサリーを選択し、全身に合う髪留めや下着に靴下を選択していく。


 うむ。こんなものでいいだろう。完璧な仕上がりだ。


 出来上がったキャラクターを下から眺める俺は、マウスを操作し、紺のスカートの中を堪能していく。

 パンツが白とピンク柄の入った清楚な模様に満足した俺は、キャラクター作成完了のボタンを押していく。


 次のステップに移ることにしよう。ここからが本番だ。


 新キャラクターの種族特性が物理特化のため、俺は魔法の才能を強化することにした。

 才能を増やす覚醒ダイスをアイテムモールで購入していく。

 このダイス、持ち合わせていない才能を必ず上げてくれるというものになる。

 上級者推奨のアイテムで、初心者でもない限りほとんどのユーザーが必ず使用することになる。

 俺は当然のように500円もする購入ボタンを押していく。


 一回目はどうだ? うし。風魔法の才能をゲットした。


 俺は握り拳をして、ガッツポーズをとる。

 そして二回目のクリックをする。サイコロを転がすアニメーション。結果が出力されていく。

 三回目も魔法系の才能が当たる。

 限界数の100回を目標に、俺は何度も振っていく。


 おし、おし、おし。こい、こい、こい。


 その度にキャラクターの成長率が調整されていく。

 途中で運よく1000万分の1の確率で当たるボーナス柄が出力される。中級スキル引換券を手に入れることに成功した。

 俺は、以前のキャラクターで得意だった錬金術スキルを迷わず選択することにした。


 まずまずの成果だな。うむ。


 結果はほとんどが魔法の才能になる。バランスも上々。

 俺は次のステップに移ることにした。

 追加でランダムボックスを大人買いしていく。


 ん? 金が足りないだと。


 流石にネットバンクでの購入限界を超えたので、伝家の宝刀クレジットカードを切ることにした。

 このゲーム、振込ができる量に制限がある。

 そのため、ゲームマネーの購入方法を切り替える工夫が必要になって来る。ちょっとした裏技だが、入金方法を変えることで、制限の緩和ができるというものだ。

 さっそくと俺はパソコンの別窓を開き、決算の処理を行っていく。

 限界の8万円をクレジットカードでチャージする。


 俺には趣味が無い。彼女も居なければ友達も居ない。金はゲーム以外で使う道がない。この程度の散財屁でもないからな。


 だから俺はためらいがない。

 すぐに処理を終わらせ、追加でランダムボックスを購入していく。


 これだけあれば十分だろう。さっそくログインをしよう。


 俺はヘッドギアを付け、バーチャルエンターコールの操作からログインプロセスを機動する。作ったキャラクターにアクセスし、ゲームを開始していく。

 始まりのフィールドはランダムで決まる。

 俺の予想と違い、帝国周辺のマップから開始されていく。

 オープニングはない。

 適宜初心者イベントが進み、クエストの受付ログが流れていく。

 俺は自由に操作が可能になると、迷わずランダムボックスを使用する。


 まずは一個目からだな。


 ランダムボックスから出る物は、武器と防具と補助系のアイテムになる。

 回数は400回。

 これだけあればウルトラスーパーレアが当たるはずだ。


 よし、やってやる。


 俺はシステムコールで呼び出したアイテム欄に指を突っ込み、ランダムボックスを連打していく。

 軽快に開く音が聞こえて来る。

 開く度に抽選されていく。運が良ければランダムボックスが再び出るという仕組みになる。

 幾度となくアイテムと箱が出る。

 その度に気分が高揚していく。


 開くこと数分。結果は惨敗に終わる。

 一推しの蒼魔の槍を入手することができなかったからだ。

 代わりに経験値上昇薬とスキル上達薬を大量に入手することができた。

 数年分を確保したので、せっかくだから全てを使うことにした。


 こういうのは高レベルになると残る物だからな。譲渡できないアイテムだし、以前のキャラクターでも大量に余っていたのを店売りした経験がある。始めに使っておかなければ損をすることになるからな。


 俺はそう考え、ついでに有料サービスアイテムも追加で購入することにした。

 システムコールでゲーム内モールを呼び出すことにする。

 趣味でやっているビビット仮想通貨に切り替える。

 追加で0.01ビビットを使用して、8万円分のゲームマネーを購入していく。

 その金で2千円分の会員特典セットを4万円分購入した。


 なぜ会員特典セットが必要になるかって? 今買っても変わらないからだよ。逆に後になって買うと価格が調整されるかもしれないからな。


 物価の急変が多い世の中だ。為替の変動も数時間単位で一円ほど増減する。

 ゲームもその波に流されることがある。そう考えると、今の内に5年分の有料サービスアイテムを買っておいても損はない。

 そう自問自答するように納得した俺は、追加で5年分の特典セットを大人買いしていく。

 無意識に指を動かし、封入されたプレミアムチケットを全て使用していく。

 その効果は戦闘経験値とスキル熟練度の取得数を5倍にしてくれるというものだ。

 さっき使った補助アイテムの効果と合わせると、計25倍にもなる。


 後はアイテム枠の管理かな?


 特典セットにはもう一つのお楽しみがある。

 それが、アイテムストレージを200枠だけ増やしてくれる拡張チケットになる。

 本来は800円で買わなければいけない物になるのだが、会員特典セットに初めから封入されている物になる。

 価格的にもお得になっている。

 俺は迷わずそれらを全て使い、保持可能数をMAXまで上げていく。


 お楽しみはまだまだある。


 期限付きのアイテム倉庫チケットと素材アイテム倉庫チケット。それぞれが40枚分付いて来る。

 この二つを使うことで、一定期間だけアイテムの所有数を25000個に増やしてくれる。

 俺は迷わずそれらも全て使用することにした。


 これで準備は整った。後は遊ぶだけだな。


 そう考えた俺は、フィールドを歩き、街へと向かう、と。


 待てよ。この音はなんだ? 救急のサイレンみたいな音がするな。


 急にどうしたというのだろう。

 俺の体に異常がある。そうした警告のログがチャットの機能表示に流れて来る。

 生命維持機能のアラート音。

 焦る気持ちでステータスボードのシステムコールを呼び出した俺は、補助機能を指で選択し、リアルボディの健康状態をチェックする。


 なんだ。びっくりさせるなよ。


 結果は睡眠中。

 特別な状態ではない。

 しかし、これではゲームの続行は不可能になる。


 仕方がない。


 睡眠判定を消すためにはログアウトをする必要がある。

 死につながる危険はない。

 このまま放置してもいいのだが、深く眠りに就くと強制ログアウト扱いになる。

 その場合はキャラクターが死亡判定になり、ペナルティを受けることになる。

 そうすると面白くない。回復には半日ほど掛かるため、結局ログアウトした方が早いことになる。


 うーん、体も重いし、これはダメだな。明日も早いことだし、さっさと寝ることにしよう。


 プレイ続行を諦めた俺は、ログアウトプロセスをコールして、リビングアナザーアースから退場する。

 その瞬間、暗闇が俺の瞳を襲って来る。

 すでに意識は夢の中。

 不思議と走馬灯のように大学時代の記憶が蘇る。

 テストや課題を熟し、やっとの思いで単位を取得した若き時代。

 四年生になってゼミに入り、研究を真面目に行っていく。

 就職活動でも大手電気メーカーを目指し、情報を集めていく。

 何度も面接練習をし、小論文やISP対策の勉強をする。先輩方や教授のお世話になる。


 懐かしい夢だ。


 その間もずっと心の安らぎにオンラインゲームを続けていた。

 無事会社にも入社ができ、今ではリーダー的立場にある。

 働いて13年にもなるが、その年の数だけゲームも続けている。


 ゲームは俺の生きがいだ。


 ゲームがあるからこそ俺は生きていけるのだと感じている。毎日の活力はゲームによって支えられているからだ。

 ゲームがしたい。できれば一日中ゲームをしていたい。

 リアルの生活なんてどうでもいい。

 家族も居ないし、実家とは連絡を取っていない。

 三男だから自由にしてもいい。

 思い残すことなんて何もない。俺の人生は俺の責任にある。

 俺はいつ死んでもいいと思っている。

 毎日が充実しているし、特に不満はない。

 まあでも、一つだけ心残りはある。


 人並みに恋をしてみたかった。オナニーばかりではなく、SEXもしてみたかったな。


 まあいいさ。起きよう。

 早くゲームを再開しよう。

 新しい世界が俺を待っている。

 俺は強引に目を開けることにした。

 重たいまぶたからの光を感じていく。

 乾いた瞳の奥の痛みを認識する。

 新しく物語を作ってみました。

 がんばって書いて行こうと思います。

 よろしくお願いいたします。

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