こちら中津興信所ー番外編
「9回も同じ夢を見た、そう言って、紀伊國屋書店前で再会した同級生は言ったんです。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。
宮田孝之・・・元京都大学准教授。感染症学者。奸計に填まり、幽閉されていたが、EITO大阪支部に救出された。今は中津興信所の真下の、地下シェルターで研究を続けている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
深夜0時。中津家の階下(地下)の宮田ラボ。
宮田元准教授は、暇つぶしに作った、という『怪談話』を皆に披露していた。
「9回も同じ夢を見た、そう言って、紀伊國屋書店前で再会した同級生は言ったんです。」
「それって、例のビールスのせいですか?」と、公子が言ったが、「いや、そのヴァクチンの副作用ですよね、先生。」と、高崎が言った。
「どちらかは分かりません。彼は既に肝臓癌でした。医師は、癌にも拘わらず、ヴァクチンを勧めたのは事実です。相互作用で、感覚がおかしくなっても不思議ではありません。今、怪談としてお話しましたが、彼は先日亡くなったようです。」
そう言って、彼は喪中葉書を取り出した。
「再会したのは、EITOの隊員の監視下でしたし、それ以上の話は聞けませんでした。昨日、ひな祭りの時の、中津さん夫妻の冒険を聞いて、思い出したんです。この葉書、どこかおかしいと思いませんか?」と、宮田は中津に尋ねた。
「昨年中に亡くなったから、消印も12月に・・・あれ?」
泊が、喪中葉書を覗き込んだ。
「亡くなった日付・・・未来日付だ。印刷する時、気が付かなかったのかな?あき、今は何年だ?」「「令和7年。1925年よ。今・・・は・・・。」
「印刷ミス、じゃないですかね?ああ、お願いって、宮田先生の同級生の遺族に確認するんですね。印刷ミスですよね、って。」
宮田は、ゆっくりと頷いた。
「じゃ、明日、高崎が言ってくれ。俺達は『本庄弁護士』の案件を当たるから。」と、中津は、言った。
ベッドに引き揚げてきた中津達は、自分達の寝室に、所員達は、自動車が故障したので、予備の部屋に引き揚げた。
翌日。午後4時半。中津興信所。会議室兼所長室。
「はい。こちら、中津興信所。ああ、高崎さん。所長、高崎さんです。」と、根津が言った。
中津は、転送させ、スピーカーをオンにした。
「宮田先生の同級生の愛川聖光ですが、『一昨年』亡くなったらしいです。今年が3回忌だとか。」
全員、フリーズした。
―完―