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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
99/195

99話 ただいま

 ワイズとサリラはお兄ちゃんと一緒に、一度エルラド族の楽園へと戻って行き、私は病室でネガイの寝顔を見ていた。ミライとノゾミは私に会えた喜びで、安心して空いているベッドで寝ている。


 ヨウミの演技にまんまと引っかかっちゃったな。

 子を身籠った時はショックだったけれど、主治医の先生に聞いたら、こっそり教えてくれた。ヨウミは空の注射器がほしいと言われ、それを渡し何に使うのか聞いたところ、ワイズの遺伝子をリアに当てますと普通に教えてくれたらしい。ただ内密にしないと襲いますと言われていたようで、内密にしてくれていた。そしてワイズの三人目の子が誕生したわけである。

 

「姉貴」

「キア、もう出産まじかでしょ?」

「そうなんだけど、少し不安があってさ。三人目を産んだ姉貴にアドバイスもらいたくて」

「私はちゃんと母親らしいことはできてないよ。だからワイズに聞いた方がいいと思う。名前はもう決めてあるの?」


 キアはお腹に触れながらえへへと笑って、教えてくれる。


「シフォンと話し合って、ファラって名前にする」

「ファラ、いい名前だね。性別はどっちなんだっけ?」

「女の子だよ。姉貴とニディアの子が同い年。いずれ姉貴みたいになるのかなって思っちゃったよ」

「てことはニディアの子は男の子なんだね。同じ日じゃなくても同じ年に生まれた同士、仲良くしてもらおうね、ネガ」


 ミライとノゾミのようにすぐ泣いたりしないのが不思議だった。普段の赤ん坊は泣いているように感じるけれど、もしかして私のように前世の記憶があるかのように、私の子供たちも前世からの生まれ変わりということでいいのかな。

 するとストレッチャーで運ばれている姿を見かけ、ストレッチャーに乗っていたのがニディアだった。


「僕、見てくる」

「うん」


 お腹を支えながらキアは行ってしまい、出産予定日はもうすぐと言っていたけれど、早めに生まれてしまうかもしれないな。式場では今も戦場が続いているんだよねと窓を見る。すると何かが飛んできて、ネガイを抱っこしたまま窓を開ける。すると羽根をつけた箱みたいなのが机の上に到着した。

 ベビーベッドにネガイを寝かせ、私は恐る恐るその箱を開けてみる。そこには大量のファイルがあり、その上には愛娘リアへと書かれた手紙が入っていた。それをとりベッドに座って読んでみる。 


愛娘リア

これを読んでいる頃は、リアはすでに愛する者たちの元へと帰っているころでしょう。

わたわはリアを守らなければならないこともあり、厳しくしていました。

わたわの本当の名はリヒティルであり、パトレアという名は仮の名。

ティルと儀式したことは覚えていますか?

あれは契りの儀式ではなく、全く別のもの。

ティルの体内にひっそりと住む影、ドゥシャーを封印する儀式でもあったのです。

リアの光ならばドゥシャーは、封印されティルのままでいられると様子を伺っていました。

ですがドゥシャーはリアの光を利用するあまり、ティルは異変に気づいていたのでしょう。

ティルと共に脱走計画をした際、これ以上ティルと一緒にさせてはリアが危険だと感知し、リアを天魔ジェルロにさせ、動かせなくさせました。 

愛娘にやるのは少し躊躇致しましたが、ドゥシャーがすでにティルの身体を乗っ取りそうだったのですよ。

わたわの力には限度があり、ティルをティルのままにさせられなかったことが一番の悔い。

リアの大事な人であり、友人であり、そして儀兄となる存在であるティルは今も尚ドゥシャーの影に囚われているのを感じる。

そこでわたわは賭けをすることにしましたよ。

わたわはティルを探す代わりに、リアはドゥシャーという存在を消滅させなさい。それがわたわから解放される条件。

そこに入っているものはドゥシャーに関わる資料、そして各土地の王子にまつわる資料。

それとこれは言いにくいことでありますが、チーシャは三歳児の際にすでに死亡しています。

チーシャの身体にいるのはルヴという少女であり、未練を残していることもあってからなのか、幽霊能力者としてわたわに会いにきました。

ルヴはドゥシャーと関わりがあった少女でもあるので、もし迷いが生じたらルヴに会いなさい。

今は敵地に潜入しているので、しばらく会えないかもしれませんが、きっとリアの力にはなってくれるでしょう。


最後に、これから起きうることに関して、わたわは対処できませんが、リアならきっと乗り越えていけると信じていますよ。

なぜなら心強い七人の王子がいるのですから、わたわはそれを信じティルが囚われている闇の中を歩み続ける。


再会できる日を待っていますよ、リア。ズユは少々機嫌を悪くするかと思いますが、ズユのことも頼みますね。

リア、どんなに離れていてもわたわは愛娘たちのことをこれからも愛しています。 父



 ぽたっと雫が手紙に濡れてしまい、とと様が私のために守っていただなんて信じられなかった。嗚咽していたら、ネガが泣き出してしまって、とと様に抱っこしてもらいたかったねと、ネガを抱っこする。

 資料は後で確認させてもらうことにして、早くワイズたち戻って来ないかなと思ったら看護師さんが慌ててくる。


「ヴィアントさん!妹さんたちが」

「え…?」

「二人とも出産したんです。立ち合いの方がいらっしゃらないので、お姉さんを呼んでくるようにと」


 おっと今手が離せないと思っていたら、お母さんが来てくれて、行ってあげなさいと言われたから、看護師さんと一緒に行ってみると、キアが死にかけているような顔でも、姉貴産まれちゃったと報告。


「おめでとう」

「小走りでニディアを追いかけてたら、破水してやばかった。一番はシフォンが抱っこする予定だったけど、いないからさ。姉貴、ファラを抱っこしてあげて」


 うんとファラを抱っこしそしたら同じ日に産まれ、三人の成長が一緒に見られるってことだよね。


「ニディアにも会わなきゃだから、また後でね」


 うんとファラをキアに返し、看護師さんについてってニディアのところに行くと、ニディアは愛おしそうに子を見ていた。


「ニディア」

「リア義姉ねえ様、ティルはまだ戦場中だと思うから、リア義姉ねえ様に抱っこしてもらいたくて」


 うんとニディアの子を抱っこし、ニディアの子は泣き虫さんかな。私が抱っこすると泣いてしまう。よしよしとあやしながらニディアに返した。


「名前は?」

「ティルといくつか考えて名前はヒカリ。闇夜を照らす光になってもらおうって話してたの。ニディアとティルはそういう経験があるから」

「素敵な名前だね。ギーディス、すぐ泣きそうなイメージがついちゃう」


 ニディアもと笑い合って一度部屋から出て三人一緒かと昔のこと思い出しちゃったな。もう逃走生活はないし、ネガたちを育てながら、そして私はミライとノゾミも育てながら生活する喜びが隠しきれない。

 病室に戻りネガはベッドですやすや寝ており、お母さんが資料を見ていた。


「お母さん」

「ごめんなさい。つい見てしまって。この資料は今までに見たことがなかった資料だわ」

「うん。とと様の力でこの箱が届いたの。お父様は?」

「キアの披露宴から会ってないわ。私は今、ロンゴールと一緒にいるから、会いにくいんじゃないかしら。全てあのお方から話は聞いてる?」


 うんと私も資料を手にしながら、お母さんに告げる。


「お兄ちゃんはロンゴールの息子で、私がとと様の娘、キアはお父様ルワードの娘ってことなんだよね」

「私もルワードに聞かされた時は驚いたわ。ルワードの子がキアのみとわかった時、ショックだったんじゃないかしら」

「お父様はなぜお母さんをとと様に渡したのか、教えてはくれなかったけど、もしかしてお母さんを守るために楽園にいさせたんじゃないのかな。お母さんの能力は誰もが欲しい人だよ」

「あら、リアの能力も必要じゃない?」


 私の治癒能力はサリラより低いから大きな怪我をされてしまうと治せない。


「能力を授かる意味は必ず答えがあるはずだわ。自分の能力を誇りなさい」


 はいっと告げ、私は楽園で過ごした日々を、お母さんに伝えて行った。



 楽園はまだ戦場中で、これ以上リアを奪わせないためにも、パトレアを探さなくちゃならない。それぞれ作戦通りにはなっていないが、王子と言われている人たちは元帥たちを止めてもらいる間に、俺とノアはパトレアを探す。

 エルディ組と女組に邪魔されながらも倒して探し回っていたら、長そうな階段に糸が張り巡らされそこに仲間だった人たちが糸によって殺されていた。

 この光景、似ていると炎魔を出し、糸を燃やして本当は敵側の人たちは救いたくないけれど、炎魔に伝える。


「炎魔、炎の涙出せる?」

「敵なのにいいの?」

「俺はリアを苦しめた奴らは全員いなくなればいいと思うけど、リアだったらこの人たちを全力で癒すだろ。だから頼む」

「じゃあ俺も手伝う」


 ノアも炎魔えんまを出し炎の涙を流してもらいながら、階段を駆け上った。


 糸は全部燃やしてその先へ辿り着くと、玉座に座ったティルと玉座の隣に立っていたのはグックだった。


「ティル!」

「僕はティルじゃない、ドゥシャー。久しぶりだな、ホムヴァル。いやワイズと言ったらいいか」

「これからはドゥシャー王子がこの世界の創造主らよ。跪いてもらおうから」


 糸がくる気配を感じて俺たちの周りには炎を纏わせる。その炎がみるみると天井を燃やしていき、崩れ始めていく。


「パトレアはどこに行った?」

「パトレア?あぁリヒティルなら、ここにはもういない。僕の影に落ちてもらった。以前のようには行かせないよ、ホムヴァル。以前のこともあって、僕の影は強化して届かない場所にティルを封印している。リヒティルも探すようだけど、リヒティルの力でも見つけられない」


 ティルはそんなことでやられる奴じゃないと親父がくれたを剣を使って、絶対に無効化して元に戻させてやる。動いた同時にドゥシャーが闇を纏った剣を出してきて、俺は一撃を喰らう羽目になり壁に衝突する。

 ワイズとノアがこっちに来ようとして、来るんじゃねえと叫んだ時だった。ノアの右目がぽタッと血が流れた。


「これで未来は見れまい。未来は右目、左目は過去を意味している。これでわかったはずだよ。イルルがなぜ左目を失ったのか」


 おいおい、ノア挑発に乗るんじゃねえよと大勢を立て直すも、ノアの怒りを感下を見れば影がノアを飲み込もうとしている。


炎魔えんま、灯火をつけろ!」


 炎魔は羽を使ってノアの周りに灯火をつけさせると影はドゥシャーの元へと戻って行く。影魔えいまはドゥシャーの肩に乗り、ドゥシャーはお見事と拍手された。


「さすがは前世のホムヴァルを持つ、ワイズ。勘がいいよ。その通り。この影魔えいまが僕が愛おしかった姫君を封じ込めていたんだよ。ワイズの妻、リアを今度こそ僕の手にするため準備は整った」


 あの諸説によれば光の姫となるのはリアであり、光魔こうまを出せるはずだ。けれど弱点があり光魔を出すには無防備になるため襲われやすい対象に値する。もし光魔を出すとしたら七人の魔遺伝子ティオスが必要になってくるってわけだ。


「リアはもう誰にも邪魔されず、振り回されず、ワイズそして三児の母として幸せになってもらうんだよ!」

「それがなんだって言うんだよ?僕は必ずしも光の姫をいただく。そのためには昔のように過ごしてもらおうか」

「昔?」


 そうっと言い出して、何かとてつもないことを言うんじゃないだろうなと冷や汗をかく。ドゥシャーはお腹を押さえながら笑い始め、グックが床につけ床の一部が柱となった。そこには信じられないことが起きる。


「逃げるのは得意のはずだよ。訓練して来たんだからさ。僕の世界は能力者は必要ない。あるとすれば生きるために僕に忠誠を誓ってもらう。そうだな、リアは今まで通り、手配書はなしにして子供たちはホムヴァルの子だから手配書は作成済み。生きたければ、能力者と取引して自分の能力を守ること。楽しくなりそうじゃない?」

「ふざけんな!こんなことしても全世界民は俺たちのこと信頼している!ドゥシャーの言葉なんか信じるものか!」

「やだなー、もう全世界に知らせたよ」


 新聞の束を投げられそれを拾うとこう書かれてある。披露宴の際、天の神を殺したのはワイズ・ヴィアント。そし天にいる人たちを殺害したのは能力者たちである。よってこれから無能力者たちに告げよう。

 生きる選択肢は能力者を狩ること。それによって報酬を渡す。能力者も死にたくなければ他の能力者を狩れという記事。問い合わせはもちろんR・D社の電話番号。


「逃げるなら今のうち、後日手配書を送らせてもらう。僕の世界から逃げ切れないだろうけどね」


 ノアはドゥシャーに手を出そうとしたけれど、グックがノアの目の前にきて、もう片目行くかと聞かれていた。ノアは俺の手を取って鈴を使い披露宴会場へと戻る。


「ノア」

「俺はもう本来の能力が見れない。俺はイルルを絶対に守らなければならないようだ。ワイズ、覚悟はできているか?」

「とにかくこの戦場をなんとかしねえとな。ニディア病院にいてもらっているから叫べないしな。どうやって告げる?」


 ルシャンダはまだあの女に捕まってそうだからなと思っていたらゲートが開きアイズと一緒にくる。


「アイズ」

「アイズのせいでズユを連れ去られなかったであります!」


 半泣きでいるルシャンダであり、アイズはそっぽを向いていた。


「アイズ、この状況止められるか?」

「リクが来ないと収まらない。ティルはやはりドゥシャーになったのか?」

「能力者狩りが始まる。逃げるなら今のうちだって言われたよ」

「そうか。リクが言った通りになったな。とにかくワイズは社員たちを撤退させろ。これから闇に覆われる。俺たちはおそらく組長の指示に従って、ドゥシャーの手下になるかもしれないから急げ」


 どんな取引してるんだよとノアを見たら一刻も早くここから出ないと、ノアが暴れそうだな。すでにミライが出したエンディードは消えているから、ほっとしている。


「ルシャンダ、ズユのことは後回しだ。全社員に撤退命令を告げ、ゲートを開けろ。あまり時間はない」

「むうズユに会いたかったでありますが、緊急でありますね」


 ルシャンダは眼鏡を変え、MR眼鏡をつけて操作しながら全社員に繋げていた。


「さっき、ルシャンダを捕まえた女は?」

「こんにちわー」


 ほんわかした声がして後ろから抱きつかれ、しかもサリラレベルの人だと逃げる。しかも服乱れていても直さないのかよ。これガリシャが見たら大量の血を流しそうだな。



「式が大変なことになってるーってお姉ちゃんのところに若頭が来たから解放してあげたのー」

「ワイズの前ではやめてください、姐さん」

「んっもう。さてさて、リクから連絡来たから、お姉ちゃん仕事始めさせてもらうねぇ」


 髪の毛を一つにまとめその髪を右肩に乗せ、ほんわかしていた表情が凍りつくような表情になりニディア並みに叫んだ。


「てめえら、ストップしろ!」


 する全員がこちらを向き、俺の社員たちも何事とこちらを向いた。


「エルディ組!レイディ組!戦争は中止だ!ワイズの仲間たちは直ちに撤退せよ!これはうちの弟、リク組長からの命令だ!逆らう者はお尻叩いてでもいいからワイズの仲間を追い出せ!」


 すると組の者は武器をしまい、早く行けと誘導していて、困惑しながら俺は無線を使って伝える。


「いいから言う通りに動け!話は社に戻ってから報告する!今は一人でも多く生き延びろ!以上だ!」


 後はヨウミがまだ突っ立っているはずだから、行こうとするとタングがよろけながら歩いていた。俺はタングを支え何があったと聞くと、ヨウミさんがと言って気を失う。手を見ると出血しており、サリラはどこだと周囲を見渡すもいない。

 ノアも手を貸してくれてとにかく避難させ、ちょうどテルゼがいたから応急処置をしてもらい、負傷者がいないか探すことにした。

 エルディ組とレイディ組が負傷者を運んでくれて、これで全員かとルシャンダに確認してもらい、全員いることがわかって俺たちは島に戻る。

 サリラとテルゼは行ったり来たりしながら治療に励み、手当をしてもらったノアはイルルを連れて会議室で何かを話していた。おそらくドゥシャーが左目を負わせたことを説明しているのだろう。


 俺はモニター室に入り、ルシャンダは手慣れた操作をしながら、俺に聞いてくる。


「ズユは無事でありますか?」

「無事だろ。リクがいるから心配はいらないと思う」

「そう、でありますか。悔しいであります。あのサリラレベルの人に会うとは思わなかったでありますよ。危うく心奪われそうになりました。さっき聞こえてしまったであります、ティルの声…」

「ティルの声であっても、あれはティルじゃない。とにかく、今後について話しておきたいが、今は身体を休めろ。俺はリアの様子見に行ってくるから」


 あいあいさーと元気のない返事でゲートを開けてもらい、病院へと入った。リアの部屋に入るとリアのお母さんがいる。空いているベッドではミライとノゾミが手を繋いで寝ていた。


「みんなは無事?」

「無事だけど、話しておかなければならないことがあるんだ」


 リアのお母さんが座っていたところを空けてくれてそこに座り、血塗れだけどリアの手を握り伝える。


「ティルがドゥシャーによって乗っ取られた。ティルは闇の奥に寝ているらしい」


 そのことを告げるとリアは嘘でしょという表情ではなく、そっかと落ち込む程度だった。

「お母さん、あの箱見せてあげてほしい」


 箱ってなんだとリアのお母さんは箱を取り出して、俺に見せてくれる。そこには大量の資料のファイルがたくさんあり、手紙もあって、それを読ませてもらうと、そういうことだったのかと理解した。

 一冊を手にして見るとドゥシャーに関する資料が記されている。あの本には記されていなかった部分が多く書かれてある。


「ティルを元に戻す方法はまだないらしいけど、ドゥシャーを倒さない限り、ティルとそしてリヒティルは戻って来ないってことか」

「きっとそうだと思うの。ワイズ、こんなのわがままになるかもしれない。この子たちを育てながら、チーシャのことやティルととと様を救いたいの。だから前みたいに旅をしたくて」

「いや、旅は難しくなる。夕刊の新聞ってあるか?」

「まだ見てないけど、何か知ってるの?」


 そうか。カディヴィア人は全員能力者だからここに送られてくる可能性は低い。スマホで探してみるとすでにニュースとなっていて、見せてあげる。


「これって…」

「再び逃走生活を送る羽目になるかもしれない。あのおばさん…」

「こうなった以上、私の出番のようねロンゴールも気づいているかもしれないから、一度バンジャの世界に戻るわ。話し終えたら会いに行く。だからあなたたち気をつけなさいね」

「お母さんも」


 リアのお母さんはバンジャと呼びかけると消えて行き、子供たちは寝ているからついリアを強く抱きしめた。次第に我慢していた思いが涙へと変わる。

 リアの柔らかい手が俺の背中に回り、俺の服をギュッと掴んだ。リアは啜り泣きをしていて寂しかった思いが伝わる。もう二度と離さないから安心してほしいと頭を撫でた。

 少ししてハグするのをやめた俺たちでリアは首に下げていたものを俺に渡す。リアは違う指輪をつけていて、それを外しつけてと笑顔で合図を送ってきた。チェーンから外し、俺はリアの薬指にはめ、キスをする。


「リア、おかえり」

「ただいま、ワイズ」

 

 俺たちは照れ笑いしながら、この幸せが続きますようにと、子供たちの寝顔を見ていった。

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