96話 マーメイル国③
人魚の姿となって海の世界を泳いで行くも、やたらとファンズマに遭遇する。マーメイル国がこの辺だったはずだけど、城下町の明かりはなくただポツンと岩の塊があるだけだ。
何かがおかしいと警戒していたら、ファンズマの一種メドマーが兵の格好をしながらこっちに来る。そこに波動を感じ電気が流れるとわかって距離を離すと大きな放電が流れ込んだ。僕はこの程度ではやられない。メドマー兵を倒してあの岩の中に入るか、考えていると潜水艦の音が聞こえ、そちらに目をやるとやや大きめの潜水艦が現れた。
もしかしてウバンたちかと思ったが、違うようで攻撃してくるから、僕は避け続ける。相手が水だからやりずらいなと思った時のことだった。
チーシャの幻覚かそれともマネジールかと警戒していたら一瞬でいなくなり本物はどこだと見渡したら僕の後ろにいる。距離を一度離すと、チーシャは冷笑していた。
「ハイス団長も人魚になるの初耳なの。てっきりネフィラだけだと思ったの」
「僕は一応、マーメイル国の王子と言われているから、水に浸かるとこの姿になる」
「じゃあ青遺伝子の子たちは人魚になれるのに、なんでブルバは人間のままなの?」
隠していたわけではないけれど、僕の遺伝子があったとしても個人差が出る。人魚になれる人となれない人が存在するということ。
「まあいいの。ブルバはとある土地に送ったから、もう二度とブルバには会えないの。それから本当はネフィラも送るはずだったんだけど、逃げられちゃったの」
逃げたならなぜフリジンダ社に戻って来ていないと考えていたら、チーシャが近づいてくる。再び距離を離して話を進めた。
「ネフィラはどこに行った?」
「さあ。姫様、本当はハイス団長を使って、ミライを連れてきてもらおうとしたけど違う策にするって言ってたの。だからハイス団長は帰ってなの」
「ミライは誰にも渡さないし、チーシャ、なぜそっち側についている。何があったんだ?」
チーシャは頬を膨らませ、答えてはくれなさそう。相性は普通かもしれないけれど、チーシャを捕まえて連れて帰ったとしてもフリジンダ社には送れない。連行するならニューダ社だろう。
そう思ってチーシャを捕まえようとした時のことだった。違う潜水艦が現れなぜか一輪の花がチーシャに向かって放つ。けれどチーシャは完全に消えてしまい、こっちだとエリュウが出てきたから僕は潜水艦の中へと入る。その影響で元の姿に戻ったけれど、服がびしょびしょになってしまった。
エリュウがバスタオルをくれて、それで身体を拭く。
「ウバン、さっきはありがとう」
「いいだべが、びっくりしただべ。ハイス団長が人魚姿ってどうなっているんだべか?」
「僕は元々マーメイル国の王子と元館長に言われてた。マーメイル国の王族は全員人魚。大半の国民も人魚と聞いてる」
「わんぼが行った頃には普通の人間住んでたっすよ。場所はここであってるはずっす」
今いるのはウバン、エリュウ、タングがいて、そして革命軍の海軍大将、カイがいるとは思いもしなかった。
「ハイスくん、初めましてだっけ?」
「いえ、何度か鉢合わせたことある」
そしたらカイ大将が僕の両頬を強く引っ張って、こう言われる。
「なあにうちの子に手出してくれてるんやさ?エルラド族の血と混ぜて何がしたいんやさよ。早く戻せやさ」
「ぼふぁのしふぁらでふぁむり(僕の力では無理)」
するとパンッと鳴るように離されいたたたたと頬を摩りながら、カイ大将は潜水艦を動かしている航海士に指示をし始めた。
「ハイスどんまい」
「赤ん坊の頃はとにかく覚えてないからなんとも言えない。ネフィラの波動は確かにある。だけどここじゃない」
僕はネフィラの波動を感じ取り、カイ大将に報告する。
「九時の方向に進んでください。ネフィラの波動がそっちから聴こえてます」
「それくらいあすも波動は感じてるんやさよ。ハイスは黙っときやさ」
ネフィラの母親だとしても今はなんか腹が立って襲い掛かろうとしたけれど、ウバンたちに止められてしまった。
「ハイス団長、冷静になれ。深呼吸だ」
そう言われなくても僕はいつも冷静で動いているとエリュウに向かってムンッとする。まあまあと場を和ませようとするウバンであり、タングがガラシャディとなって何かを感じているようだ。
「やばいっすよ!今あの岩ん中にヨウ姫がいるっす!早く逃げるっすよ!」
早くそれを言えと僕たち三人はタングに言い、潜水艦がやや早く動き始めた。マーメイル国に行ったとしても、ネフィラを救えるかどうかわからない。
「ハイスはあの中に入ったんやさ?」
いきなりカイ大将に言われ、入ってないと告げるとそうやさと少しトーンを落としていた。
「あの中にビルーのストーカーがいるんやさよ。あいつから逃げられてよかったやさけど、別の奴に捕まったようやさ」
「それって」
「あなたの王に決まっているやさよ。さっきの潜水艦、もしかするとマーメイル国に侵入するために動くと思うやさ。一刻も早くネフィラを救うやさよ」
あの潜水艦はファンズマの潜水艦だったんだ。全然気づかなかったなと着いたところでどう動くかが肝心だ。ネフィラを救うにはまずウバンとエリュウの力が必要になってくる。
国が水中で人間が息できない状況ならエリュウの力で息ができるようにしてもらわないと絶対に不可能。カイ大将たちはどうやって動くのか決めているのか、確認をとる。
「水中で動くことになったら、ウバンたちはどうする気?」
「そこはわんぼに任せてっす。息がしやすいようにわんぼが作ったこのマスクがあれば大丈夫っすよ」
そう言えばさっきウバンはそれを装着しながら攻撃をしていた。なら大丈夫そうかな。すると潜水艦が止まり、カイ大将が上に登って、到着したやさと教えてくれる。
登り潜水艦から出るとやや遠くに街並みが見え、色鮮やかな光があった。ここがマーメイル国と見惚れていたら、ハイスと捕まっていたはずのブルバが来る。
「ブルバ捕まっていたんじゃないの?」
「あんな簡単に捕まるかよ。それで状況は?」
「あらあらこれはミズファ王子」
「は?あーあの本の王子に俺が似てるっていう奴か。てことは俺の故郷ってことになんの?」
「ブルバの母親は人魚じゃないから多分違うと思う」
「ふうん。まあいいや。それで水魔出したほうがいいなら出すけど」
水魔は出したことがないし、試しに一度やったことはあるけれど出たことはなかった。
「まだ出さなくていいやさよ。タング、作戦通りにシャガヴァを数体放ってやさ。その隙に侵入するやさよ」
指揮はやはりカイ大将だと分かり、仕方なく従うことに。タングが暴れてくれている隙に二手に分かれて宮殿へと目指す。僕とエリュウ、それからカイ大将が選んだという部隊少数を連れ、隠れながら向かっていた。
「ハイス団長」
「団長はいらない。どうした?」
「ハイスはネフィラのこと、どう思ってる?」
直球な質問に僕は数秒口ごもってしまうほどだ。僕が触れていなければ、ネフィラを娘としてではなく、一人の女性として見ていた。遺伝子を戻す方法がないから、どうすることもできない。
マーメイル兵が僕たちの侵入に気づいたのか、探している様子だった。ここはまた分かれて動いたほうが見つからず進めそう。そう思って指示を出そうとした時。
「みーつけた」
上を見ると僕たちより少し下の子がいて、マーメイル兵が来てしまい、散らばれと指示しながらエリュウの力を使って逃げる。
「逃がさないよ!」
あの子は一体なんだと逃げるも人魚たちがこっちと合図をするからすぐ見つかってしまった。
「可愛い娘が待ってるからおいでよ」
「君は誰?」
「僕?僕はねえ、ハイス兄様の弟、マリス。今お姉様たちが他の人たち捕まえに行ってるよ。仲間を傷つけたくなかったら来て」
エリュウは氷を出そうとしているけれど、止めさせ案内してもらうことにする。妙だ。元館長の話によれば僕には姉が二人いるけれど弟はいないはずだ。
何かがおかしいと王の間へ案内してもらうと、マリス含め九人の姉弟がいる。波動の波がここだけ荒れているような感覚。これはただの人魚じゃなさそうだ。
「ほっほっほ、ハイスよく来たのう。それと地の人間たちも」
人魚たちはくすくす笑い、王は僕の前に来て僕の首を掴む。それによってエリュウたちが戦闘準備をするから止めに入った。
「よくも妻の遺伝子を書き換えてくれたのう。そのせいで妻は死んでしまったのじゃよ。ハイス、ここで」
「お言葉ですが、陛下。僕の母親は生きている」
「戯言を言うでない。ハイスは第一王子に過ぎん」
「ですが僕は水魔を出すことはできない。これでわかるはず。魔遺伝子を扱えるのは王族のみ。おそらくですが、僕と王子は何者かによってすり替えられていた。それを知った王妃は自ら命を絶ったと言えるべきだ」
王の手が緩み動転していて無理はない。以前、まだライディー社があった時期に、僕の母親という方がライディー社に来日したからだ。
最初、母親は僕のことをマーメイル王国の王子と言っていたけれど、王族には魔遺伝子という遺伝子が流れている。
そこで僕は自分の遺伝子を確認したところ、魔遺伝子という遺伝子はなく、唯一魔遺伝子の遺伝子を持っていたのがブルバだった。
そこにブルバたちが到着して、カイ大将が王様に言い放つ。
「あすの子を返してくれないやさ?ネフィラはあすとそれから」
なぜか僕の腕を掴んでにっこりと笑いながら余計なことを言い出す。
「ハイスの子やさ。言っておくけどあすはエルラド族の末裔。ネフィラもそういうことやさから、今すぐ引き渡してもらいたいやさ。そうしないと王様、天罰がくるやさよ」
子供たちはさっきまで笑っていたのに一変して、あの族と怯え始める。ただ一人除いでただ。
「へえハイス兄様の娘ってエルラド族の子だったんだ」
「その名を口にしていいのはエルラド族のみやさよ。天罰が降るやさ」
「ははっ。おばさん、いい情報教えてくれてありがとう」
「マリス、今すぐ逃げるんじゃ」
「いや、そもそも、僕は父様の子じゃないよ。魔遺伝子は僕も出せないから」
マリスはそう言っていて、カイは起こりそうな勢いの中、ウバンがマリスに向かって矢を放つ。けれどシャガヴァを出してシャガヴァに当たった。
それによって王女たちが逃げて行き、マーメイル兵が王の間へと入ってくる。
「マリス、貴様何者だ?」
「やだなあ。ずっと一緒にいた奴のことも忘れるだなんて、王様失格」
マリスは少年の姿からみるみる青年となり、そしてファンズマの姿となった。タングはまじっすかと呆然としている。その姿は絶滅したとされているファンズマ、スアーカン。
「絶滅したのはわんぼたちのみじゃなかったんすか」
「ご名答、ガラシャディのタング。絶滅したファンズマの遺伝子はあの土地で保管されてるよ。ファンズマの帝王はそこに訪れ、四つの遺伝子を入手したと記されている」
「まさか絶滅したとされているファンズマは全て」
「生み出され、今は各土地に潜伏してる。探し出せるかな?」
絶滅したとされているファンズマは確かタングたちが持つ四種類と残り七種類。七種類の一つがスアーカン。全て生み出されたということは、いずれ出現する確率は高い。
「さあて、じゃあみんなに質問。スアーカンはどんな種類でしょうか?答えられた人だけ逃がしてあげるよ。ただし知っている人は誰にも教えないこと」
絶滅つまり古代のファンズマであって、確かスアーカンは海の怪人と呼ばれている。だからシャーチのように怪力を持つから格闘。だけど格闘はハディックがファイヴァンだから格闘ではない。となると答えは一つしかないようだ。
ウバンたちは授業で習ったはずだけど、答えを導けていないよう。どう伝えると思考を膨らませているとカイ大将が離れ、語り始める。
「かつて海の深海に魚人族が住んでいたやさよ。けれどそこに人魚族が現れ、棲み家を奪われてしまったやさ。それによって魚人族はファンズマとなったとされているやさよ」
それを聞いたウバンたちはそうかと閃いたようで、一斉に魚人と言うとマリスはシャガヴァとスアーカンを数体出す。
「語ったおばさんも、それによって知った奴も、ここで殺す」
来ると攻撃しようとしたら、水魔を出しながら大きな槍を持ち、僕たちに告げる。
「ここはわしがやる!ネフィラは南の塔にいるから連れて逃げよ!」
「海を自由に操れるんやさよ。ハイス、あすも残るやさ。ネフィラを連れて逃げるんやさよ」
「無事を祈る。行こう」
カイ大将を残して、僕たちは言われた南の塔へと向かった。
◇
外がやけに騒がしくて出たくても、鍵は閉まっている状況。小窓を覗いてみるも状況が読めず、どうにかして脱出する方法を探さなくちゃ。
ベットと椅子にテーブルしかないから、脱出するにしても簡単には扉は開かない。小窓の柵も頑丈だから壊れそうにないや。どうしようと悩んでいたら外からぎゃーとやられた声がして扉が開く。
ウバンたちかなと一瞬希望を持っていたのが間違いで、来たのはなんとアルトだった。
「迎えに来た。行こう」
「誰があなたと一緒に行くって言った?扉開けてくれてありがとう。それじゃあ」
アルトはうちの速さについて来ないと思って、泳ごうとしたら尾鰭を掴まれてしまう。
「離して!離してよ!」
「ちょっと、じっとしてろ」
嫌だと思ってもレクがいたことで多少麻痺してしまい、身体が動かない状態でまた何もできない。うちが落ちないように支えながら、首に触れ何をするのかと思えば装置を外してくれる。
「ありがとう」
「いい」
「やれやれ、マルスが暴れ始めたようちゃ。急ごうちゃ。それにネフィラを助けに来たらしい奴らがこっちに来ているちゃ」
ウバンたちがとうちはウバンを呼ぼうとしたら口元を押さえられてしまう。
「また麻痺したくなかったら、僕と一緒に来い」
んんっと抵抗したくてもまだレクにやられた麻痺が多少残っており、力が出ない。助けて、ウバンと強く願った時のことだった。なぜか爆発が起き咳き込んでいると、腕を引っ張られその中へと入ったらそこにソアレが笑顔でうちに抱きついている。
てことはここはバンジャの架空世界ってことなのかな。それにしてもどうやってここがわかったのとソアレを撫でる。
「やった。うまくいけた」
「まだ油断はできないのろ。久しぶりのろ、ネフィラ」
「久しぶり、二人とも。状況が読めてないんだけど」
そしたら足音が聞こえそちらに目をやると、師匠がいらっしゃった。
「師匠」
「無事のようだな。怪我はないか?」
「平気です。それよりなぜうちがここにいると知ったんですか?」
「ある土地を調べていたところ、マーメイル国が騒いでいると魚たちから聞いたからだ。とにかくここから離れる。後でワイズに連絡を入れておく。ネフィラ、アルトという人物と接触したか?」
はいっと告げるとやはりかと師匠は何かを考えていて、アルトがこの架空世界に入ってくるわけじゃないよね。そしたらバンジャが立ち上がり耳を澄ましている。
「バンジャ?」
「師匠、気づかれたのろ!ソアレはネフィラと一緒にいろのろ!」
バンジャはそう言っていなくなってしまい、ソアレはうちの手を握っていた。
「ソアレ、ネフィラの足を元に戻せる子が第二区にいるから連れて行きなさい。バンジャ!車椅子か台車を出せ!」
いないのにボンッと両方出て、車椅子だと尾鰭が傷つくと思ってなのか、台車を出してくれていなくても出してくれるのすごいな。うちはそれに乗り、ソアレが第二区というところに連れてってくれた。
◇
向かっていたら爆発した音が聞こえて、すぐに向かっただべ。南の塔付近にはなんと全然会えていなかったバンジャがアルトに挑んでいたんだべ。
「余計なことしてくれた」
「ネフィラは師匠の弟子だのろ!あんたらの組織には連れて行かせないのろよ!」
「のろのろうるせえな。呪ってやろっか?」
ぼかぁたちは思わずバンジャの口癖を思い出して、笑いが込み上げてくるだべ。それ言ったら駄目だよと思っていたら、こちらを向いて、赤っ恥になり口を噛み締めながらぼかぁたちを睨んでいただべよ。
「仲間たちに笑われたな」
「うるさいのろ!後でお仕置きするからいいのろよ!ウバンたち、覚えてのろよ!」
指を鳴らしてぼかぁたちは架空世界へと飛ばされただべ。バンジャのお仕置きはなんなのか知らないだべが、そこにロンゴールがいただべよ。
「来たか」
「ネフィラはどこだべか?」
「奴にかけられた能力を溶かしてもらっている。時期にネフィラは元通りになるだろう。バンジャが耐えてくれている間に。ウバン、伝えておかなければならないことがある」
「なんだべ?」
ついて来いと言われただべだから、ぼかぁたちはロンゴールについて行っただべ。モニター室のような部屋で、ロンゴールがキーボードを打ち見せてくれただべよ。
ぼかぁたちは仰天ニュースを見ているような感覚を味わうほどの勢いで、そこに映っていたのはフラやノースたちが円形型の水槽の中で寝ている映像だっただべ。これワイズやギーディスに見せたら暴れそうな感じだだべよ。そしたらハイスがロンゴールに聞いただべ。
「どこにいるんですか?」
「クロウに頼んでハッキングさせたものだ。場所は特定できていないが、今バンジャが戦っているアルトの組織と関係しているかもしれない」
「待てっす。その後ろにいる水槽の中にいる人、ティルがいるように見えるんすけど」
タングに言われてよくよくみると、ティルが数体いただべよ。どうなっているんだべと困惑していたらバンジャが傷だらけで戻ってきただべ。
「いったいのろ!」
「アルトは?」
「今回は退散してったのろ。それからウバンたち、さっき笑ったこと」
「まあまあ落ち着くっすよ。ロンゴールさん、ウラデュエ戦が始まる直前っすけど、このことはまだ知らせないほうがいいかもしれないっす。それにティルの様子がおかしいってワイズとニディアちゃんから聞いているっすから、とにかくリアちゃんを救出してからでも遅くはないっすよ。ワイズは今、リアちゃんのことで集中したいと思うっすから」
わかっているとその映像は消されてしまい、ネフィラが戻って来るまでに、どうするかを話し合っていった。
◇
ネフィラを連れて帰るつもりだったけれどまあいい。
「残念だったちゃね」
「別にいい。後で奪えばいい話だ。せっかく描いたビルーの絵、流されたのはショック」
あそこで待っていればビルーは必ず来ると思っていたけれど、あれ以来ビルーはネフィラを助けようと動かなかった。ビルーじゃなくても、ネフィラを奪えば任務は完了する。そしてドゥシャー王子が目覚めればこの世界は闇に飲み込まれるからな。
帰るとルヴが不貞腐れた顔で待っていた。
「ネフィラ、逃したの」
「仕方ないだろ。あそこに僕の弱点が現れたから」
「それでもネフィラを奪えなの。それで次はどう動くの?姫様はそこまで待ってられない」
「ハイスもあの中に入ったから、そろそろ動いてもらう」
ルヴはふうんとにやついて報告しておくのと、ヨウ姫様の元へと行かれた。僕は侵入させている仲間に連絡をとる。仕事中だからさすがに出ないかと待っていたらもしもしときた。
「ミシュア、任務だ」
「わち今レッツォ先輩といるの。後にして」
「無理」
そんなと言いながら、小声で何と聞かれたから、内容を伝えて、わかったよとすぐ切られてしまう。本当にやってくれるかわからないが、ミライを連れて来るだろうと作りかけのネフィラのフィギュアを作っていった。




