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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
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94話 マーメイル国②

 行けると思っただべが、やっぱり無理があっただべかとサリラに診察してもらい一度島に戻っただべ。エリュウの通りもう少し冷静になってから、動けば良かっただべかと家に入り、ソファーにストンと腰を下ろしただべよ。

 ぼかぁは任務に外されるだべかと深く座り込むと、スマホが鳴り確認するとエリュウからのメッセージだ。


 飛び込めなくてごめん。体調はどう?ウバンが回復したら任務を続行するから、ゆっくり休めな。


 エリュウに心配されてしまい、エリュウにメッセージを送る。


 心配してくれて、ありがとだべ。エリュウの言う通り冷静に動けばよかっただべ。回復したら連絡するだべ。


 送信するとルシャンダが作ったスタンプで、気にするなと言うスタンプで、ぼかぁはありがとうスタンプを押して、写真を見るだべ。

 ネフィラと撮った写真がたくさんあり、キャビネットの引き出しには指輪がしまってあるだべ。いつプロポーズしようか迷いに迷って、この件が終わったらプロポーズしようと思っただべよ。


 ぼかぁは昔からネフィラに一目惚れをしていただべだから、やっとネフィラと再会した時に告っただべよ。ネフィラは照れながら、よろしくねと笑顔で言ってくれたことが嬉しかっただべ。

 なんとしてでもネフィラを助けなければならないだべだから、まずはタングに聞いてみようとした時のことだっただべよ。着信が入り、非通知からの電話だっただべ。


 誰だべかと思っただべが出てみると、なんとビルーからだっただべよ。


「なんだべ?」

『はあ…はあ…そこに…お母さん…いる?』

「どうしただべ?何があったんだべ?」

『ネフィラ…あちの…ストーカーに…』


 バタンという音が聞こえ、ぼかぁは真っ先にフリジンダ社へと急いだだべ。社員のみんなはあれという表情で見られているだべが、ルシャンダがいるモニター室へと入っただべよ。


「ウバン、どうしたでありますか?今日は寝ているよう言われているであります」

「ルシャンダ、今繋がっているところ特定して、ゲート開けだべ!後、カイさんを呼ぶだべよ!」


 サーバー対策部社員はカイさんを呼び出してもらい、ルシャンダはゲートを開けてもらってビルーを運ぶ。ルシャンダが内線でサリラを呼んでもらい、すぐ手当をしてもらっただべよ。

 カイさんが入って来て、目を大きくしビルーのそばに寄っただべ。島には一応地下牢があるだべが、ワイズが来て医務室で寝かせることになっただべよ。


「カイさん、ビルーが変なこと言っただべ。ネフィラがあちのストーカーにってどういうことだべ?」

「皆さんに伝えなければならないやさ。ネフィラがライディー騎士団にいた頃、ビルーは芸術に憧れていたやさよ。部屋にはありとあらゆる絵画や水墨画のキャンバスがたくさんあったんやさ。ただね、ビルーの作品に見惚れたのかはわからないんやさよ。ビルーの三つ上の子に付き纏われるようになったんやさ。そこからエスカレートし、ビルーは楽園から出ることも、筆をとることもなくなったんやさ。好きなことさせたいと思って、ビルーを置いて革命軍として動いてたんやさよ」


 カイさんは娘のために動いていただなんて思わなかっただべ。だけど確かビルーってカディヴィア社にいたんだべよな。するとノアが走って来たのか息を切らして、ビルーを見たらよかったとほっとしたのかよかったと座り込むだべ。


「ノア、なんか知ってんのか?」


 ワイズがノアに聞くとノアはあぁと空いているパイプ椅子に座って説明をしてくれるだべよ。


「ビルーがカディヴィア社として動いていたのは確か十歳の頃だ。カディヴィアで放浪していたところを保護し社員にさせていた。俺は過去にトラベラーしてビルーの過去を確認したら、レクシティを飼い慣らしている少年というか今は青年だな」


 ノアがスマホを取り出し見せてもらったのはある彫刻展のホームページだった。そこに展示している人の写真と名前があっただべ。


「名はアルト・アートと言って、黄遺伝子と橙遺伝子を持っている」

「つまり俺たちと一緒の施設にいたとか?」

「ただおかしいだべよ。ぼかぁたちは同色の遺伝子だべ。違う組織でもあるだべか?」

「最初は逃走者だとは思っていたが、新たな組織が存在していることがはっきりした」


 するとそこにエリュウも到着して、どうなってるのという表情でいながらも、ぼかぁの隣に座っただべよ。


「ブラッディアの土地のように無謀地帯が実際するんやさ。そこの土地は黄金や銀、宝石が多く採取できるとされてやさね。その土地をストーンジェムというんやさよ。けれどその土地に行くには、まず辿り着いた者は誰もいないんやさ」


 いずれその組織が動き出すということで、いいだべかと沈黙していたら、ビルーが起きてここはとぼかぁたちを見てそっかっと上半身を起こすだべ。


「お母さん、あちのアトリエがあいつに奪われたっ。大切なキャンバスがたくさんあったのにっ」

「取り返すやさよ。だからビルーは今すぐ、楽園に帰るんやさ。あのお方はわかっていらっしゃる。天罰は与えないやさよ」

「だけどあちのせいで、ネフィラが」

「もう妹じゃないって言ってたのに、ネフィラのこと考えてくれていたんやね」


 カイさんはビルーの頭を撫で、ビルーは抱えていた思いをカイさんに抱きしめただべよ。こう見えてビルーはただ表に出さないだけで、ネフィラのこと考えていたんだと理解するだべ。

 アトリエ、つまりマーメイル国がネフィラのアトリエってことでいいんだべよな。


「あのお方は例の組織のことなんか言ってなかったやさ?」

「何も。ただ妙なこと言ってたやさよ。もうすぐ影に覆われるかもしれないって」

「わかったやさよ。こちらもなんとかしとくやさと伝えといてくれるやさ?それからいい加減にリアちゃんを降ろしなさいって圧かけといてやさよ」


 ビルーは冷や汗をかきながらわかったと言い、すっといなくなってしまっただべ。


「カイさん、あのさっきのって」

「一応、心配だからそばにいてあげてとあのお方に言われて、革命軍に入っていたんやさよ。こういうところ過保護すぎるというかなんというか」

「じゃっじゃあ、カイさんはあっち側?」


 エリュウが質問するとまあそういうことになるやさねと人差し指を立てて、なぜかぼかぁたちは椅子からずっこけてしまうほどだべよ。


「まああのお方のやり方はやりすぎるから、あすは帰らないやさし、それにこっちの方がビルーを苦しめている人と接触しやすいと思ったんやさよ」


 ビルーの過去を知ったことで、ぼかぁたちにできることと言ったらなんだべか。それにしてもあのお方という人は最近になってなぜか優しくなったと聞いているだべ。

 つい先日、ワイズはリアと再会できたと言っていただべし、本当はいい人なのかはまだわからないだべよ。とにかくまずはネフィラ救出に向かうために、まずは身体を回復しなければならいなだべ。


「よし、じゃあウバン回復が終わったら、引き続き任務よろしくな。俺は他のことで山積みだから」

「わかっただべ。カイさん、よろしくお願いするだべ」

「いいやさよ。それで社長さんから聞いたんやさけど、ネフィラとどういう関係やさ?」


 微笑みながら質問するカイさんで、ぼかぁは緊張してしまい、エリュウに背中を叩かれながら、カイさんに報告しただべよ。



 楽園へと戻り一応清め風呂に浸かって、久々のお母さんの匂いにもう少しあそこにいたかったな。それにしてもあのサリラって子の力すごすぎ。絶対に傷ができると思っていたところが綺麗に治ってる。

 あそこの部屋に侵入されたくなくて、それを自分が書いたようにあいつが言った。あれを描いたのはあちなのにとぶくぶくと湯船に潜る。今度会ったらペンキ塗ってやるんだからとまたアイディアが浮かんでしまった。


 あちはもう筆を持つことできないのにと潜るのをやめたら、そこにスターリがバスタオルを持って待っている。清め風呂から出て、そのバスタオルをもらい身体を拭いて、楽園の服に着替えた。


「パトレア様がお呼びです」

「わかってる。勝手に楽園を出たことで怒ってるんでしょ。それにこっちじゃなくて、島にいる人たちに助けを求めたことで」

「そうではありませんよ。とても心配されておりました」


 珍しいと着替え終え髪の毛は女官たちに任せ、髪飾りがつき早歩きでパトレア様の元へ向かう。てっきり叱られると思ったけ

どなと、階段を駆け上り到着したら、パトレア様は空の海を眺めていらっしゃった。

 呼びかけるとこちらを向き、ここに座りなさいと指示をもらったから、ソファーに座ってパトレア様も隣に座る。


「すべて見ていましたよ。妹ではなくなったネフィラを救おうとしていたところ、わたわは尊敬いたしました」

「痛み入ります。パトレア様、母上から伝言を預かって」


 そしたらパトレア様の人差し指があちの唇に触れ、お母さんとパトレア様ってそういう関係性だったけ。


「とにかくビルーは、ファンズマ付きの青年と接触しないよう、楽園にいなさい。外出も禁じます。雲の海は他のものに任せるので、そうですね。リアとズユのこと頼みましたよ」


 そっちを任せてもらうのかとあちは、はいっと告げると、パトレア様は他にあることを言われた。


「ビルー、ズユからの頼み事で、無透明のビー玉がほしいそうです。サイズはズユに聞きなさい」


 何に使うんだろうと思いながら、再度返事をして、パトレア様に一礼をし、ズユの部屋へと向かった。ズユの部屋に入ってみるとリアと楽しく談笑していて、呼びかけるとヤッホーと手を振られる。


「さっきパトレア様に、言われて来たけど、何に使う気?」

「ビー玉を使用してちょっとしたパフォーマンスができたらなって、リアと話してたの」

「パフォーマンス?」


 とにかく座ってと言われたから、座りズユがあるイラストを見せてもらった。イラストは式場のイメージでビー玉が大小浮いていて、下から光を当てる感じか。

「どうかな?」

「浮かせることもあちがするからヒモは使わなくていいよ。それよりリクと相談しなくていいの?」

「えへへ。相談するにしてもリクが全て決めちゃって、とと様に相談したけど、リクに任せてありますと言われてさ。だからこういうのが理想ってリクに言おうと思ってるの」


 リアには厳しいのにズユに関してはほぼリク任せにするパトレア様はどうかと思う。そこはビシッとリクに言ってあげないと、ズユが可哀想な気もする。


「わかった。絶対にリクを納得させよう」

 

 ありがとうとズユが望んでいるイメージをリアと一緒に聞いていってあげた。



 何日経ったのかわからずとも、うちの姿を見ながら、彫刻していてあともう少しで完成のようだった。それにしても筆を持ってキャンパスに描いている姿を見たことがない。

 もしかしてここにあるキャンパスたちってアルトが描いたものじゃないのかなと、絵画を見ていたらアルトが見せないように邪魔をする。


「キャンバスみてたんだけど」

「見なくていい」

「じゃあなんで、ここで工作してるの?」

「ここで作業してれば来ると思ったから」


 来るって誰をと思ったら、そう言えばお姉ちゃんが来た時、知り合いのような感じだった。


「ねえ、ここにあるキャンパスたちって本当は」

「ビルーが描いた。ここはビルーのアトリエ。やつがれが奪った」


 お姉ちゃんのアトリエを奪うだなんて、なぜそこまでお姉ちゃんにこだわりを持つの。彫刻をしているアルトは集中してしまい、これはさすがに話をしてくれそうになかった。

 そしたらレクという変な生き物がエプロンのポケットから出て、うちの膝に乗る。


「ビルーの宝物、奪って正解っちゃ」

「宝物?」

「そうっちゃ。ビルーの宝物はこのアトリエとそしてネフィラちゃよ」


 初めて言われてお姉ちゃんがそこまでうちのことを思っていてくれていたとは思っても見なかった。今は敵同士であっても、いつか姉妹で出かけたいな。リアとキアのように。

 ブルバがちゃんと生きているか、確認したいけどスルーされてばかりだからな。レクに聞いてみよっと。


「レク、聞きたいんだけど、うちと一緒に捕まえたブルバどうしてる?」

「泡能力者は興味深いと言っていたちゃから、ある組織に引き渡したっちゃよ」

「ある組織って言われても、いろんな組織があるから、教えてくれる?」


 レクに質問すると彫刻しながら、アルトが言い出す。


「機密情報。レク、余計なことは喋るな」

「わかっているっちゃよ。ネフィラもこれが終わり次第、連れて行くことになってるっちゃ」


 えぇうちまた別の組織で働かなくちゃならないのと唖然としてしまった。師匠にこのことばれたら弟子以下に戻されそう。ソアレたち、元気にしてるかな。

 なかなか会えてはいないけれど、ワイズが言うにバンジャの架空世界で自分の能力を制御しているって聞いた。それまでは師匠とリアたちのお母さんがソアレたちの面倒を見ているらしい。

 そんなことを思っていたらチーシャが現れ、レクはエプロンのポケットへと戻ってしまった。


「アルト、ヨウ姫が呼んでるの。早く行くの」


 アルトはまたもや嫌そうな表情をして、彫刻道具を机に置き行ってしまう。そしたらチーシャがシャーチへと変わる。


「邪魔者はいなくなった。急ぐぞ」

「シャーチはどっちの味方なの?」

「あえはまだ信じられない。チーシャが偽物だったなんて」


 シャーチの怪力でアルトが作った椅子が壊れ自由になったけれど、尾鰭がついているから動けない。そしたら壁をいくつか突き、何をする気なのと思ったら、シャーチが壁を壊し穴ができたことで水が入ってくる。お姉ちゃんが描いた絵画がと思っても泳げることがわかる。


「シャーチは来ないの?」

「あえはもしかすると消されるかもしれない。これが最後のチャンスだ。ネフィラ、みんなに伝言を頼む。今まであえと慕ってくれてありがとってな。行け!」


 うちはシャーチを一度抱きしめ、約束するとシャーチから離れ、作ってくれた穴から脱出した。


 後ろがどうなっていようともスイスイと泳いで、海上を目指す。深海だから全然光が見えなくても水の波動が耳に聞こえた。それを聞き分けながら泳いでいると、後ろから気配を感じる。

 後ろが光っていたとしても、この前には行かないよと電気避けながら、逃げ回っていると下から強い電気の光を浴びることになった。

 やばいと思っても麻痺しちゃってどんどん海の底へと落ちていく。下はどうやって設置されているのかはわからずとも大きな豆電球のようなものが多くあった。


 するとメドマーたちがうちを網にいれ連行されてしまう。せっかくシャーチが助けてくれたのに、逃げ切れなかった。すると大きな赤い光が二つ見え、巨人魚がうちらに向かって来る。

 メドマーはその巨人魚を仕留めようとも、一撃でやられてしまった。今がチャンスだと思っても、巨人魚は大きな口を開けて吸い込まれてしまう。その時、私の前に現れた人魚が現れ、立ち去れと言ったら、巨人魚は鳴き姿を消していった。いなくなったことで、人魚の人は網からうちを出してくれて口笛を吹くと大きな鯨が現れる。鯨に紐がついていてそれにしがみつくと移動した。


「あなたは誰ですか?」

「失礼。私は新マーメイル国に仕えているエホル。あなたの噂は伺っていました、ネフィラ姫」

「うちが姫?」

「えぇ。そうです。陛下がお待ちです。参りましょう」


 余計にこんがらがっていて、新マーメイル国に到着し、宮殿に真っ直ぐ向かう。下を見ると街並みができていて、ほとんどの人が人魚族だと知れた。

 こんな美しい国だったんだと見惚れていながら、宮殿に到着しまだ麻痺があるせいで降りられないでいるとエホルが抱っこしてくれて、鯨から降りる。

 マーメイル兵が多くいながら、王様がいるお部屋に入ると、周りには人魚が少数いて中央には玉座にゆったり座っている大きな人魚が王様かな。

 

「陛下、ネフィラ姫をお連れいたしました」

「ほっほっほ。ハイスの子とはいえ同い歳と聞いていたが、麗しい姫になっているとは早めに会いにくればよかったのう」

「ハイスのお父様!?」


 思わず大声で言ってしまっても、王様はほっこりした笑みで、わしの子じゃよと髭を伸ばしながら言われた。周りにいる人魚たちはくすくす笑っている。

 だけどハイスは普通に歩いていたし、どうなってるのと思考を膨らませたら、左から三番目にいた人魚がうちの手を握って言われる。


「陸に上がったら尾鰭じゃなくて地上にいる人と同じになるの。びっくりでしょ」


 ハイスは何番目の息子さんか知らないけれど、この子を含めてざっと九人の兄弟姉妹がいるってことなの。すると一番下か判断しにくい子が泳ぎながら教えてくれる。


「耳が痛くなるほど、ネフィラの話ばっかしてる。たまには帰って来て、僕と遊んでほしいよ」

「こら、やめんか。お前たちはさっさと部屋に戻るんんじゃよ」


 はーいとうちに興味があったらしいハイスの兄弟姉妹たちは退散していった。


「すまんのう」

「いえ。ハイスと違って賑やかな兄弟姉妹がいるんだなって知れたので。それでうちが姫と呼ばれる意味を知りたいんですけど」

「ほっほっほ。それはハイスの遺伝子を持つ子じゃからじゃよ」

「つまり青遺伝子の子たちは全員ハイスの子と考えていいんですよね?」

「そうなるのう。青遺伝子の子たちは全員ハイスの子ではあるのじゃが、所詮赤の他人。無論、ネフィラもそうじゃが、ネフィラは特別なのだ。それは自覚しているのではないかのう?」


 王様が言っていることは人魚能力者だからと言いたいんだろう。そしたらうちはウバンと結ばれない関係性になるのかも知れないと感じてしまった。


「ネフィラを保護したのは他でもないのう。このマーメイル国にいてもらうことじゃよ」

「うちは帰らなくちゃならない場所があるの!それにやらなくちゃならないことだって」


 さっきまで微笑んでくれていた王様が表情を変え、エホルがうちの首に何かをつけられた。何これととろうとしても外れない。


「国から出たら爆発するよう仕組んであるのう。こうすればハイスも帰って来るじゃろう」

「ちょっと待ってください。ハイスを呼び出すためにうちを利用するだなんてあまりにも」

「ハイスは一度しか抱いたことしかないのじゃ。そのせいで妻は自殺しよった。ハイスにお仕置きをせねばならん」


 ハイスにお仕置き。つまりハイスは無意識のうちに実の母親の遺伝子を書き換えてしまったということなんだ。館長はそれを知ってハイスを奪ったとしか言いようがない。

 

「悪いのう。ネフィラを部屋に閉じ込めておけ」


 まだ話が終わってないと思ってもエホルに引っ張られ王様がいる部屋から出されてしまった。




 ワイズから情報をもらい、カラカラ港に来ていた。波は多少荒れていて、空を見ると今から雨が降りそうな勢い。それに水の波動がやや遠くのほうでおかしい感じがする。まるで僕を誘惑しているような波動だ。

 ブルバの波動が検知できなくとも、おかしいと思っているところで、かすかにネフィラの波動は検知できた。


「本当に一人で行く気か?」


 そこにギーディスも気になって来たのか荒れている海を眺め、僕の隣に立った。


「行くにしてもハイス、あの姿で行くつもりならやめといたほうがいい。人魚族は地上にいる者たちを受け付けなくなったとタングから聞かされているだろ。帰ったら戻れなくなるかもしれないんだ」

「そうだとしても、僕の娘には変わりない。天罰が降ろうとも、ネフィラが愛おしいんだ。ウバンたちを待ってはいられない。僕は一足先に行くことを伝えてくれる?」

「今回は助けられないが、十分に気をつけろ。王は必ずネフィラに何をさせるかわからない」

「わかってる。それじゃあ」


 水の中へと入りこの姿久しぶりだなと思いながらも、人魚の姿となってネフィラの波動を辿って行く。



 止めてもハイスは行っちまったが、検討を祈るしかないな。俺は炎だから水が弱点で役に立てない。まあそれにしてもハイスがネフィラに恋をしているとは全然知らなかった。遺伝子を元に戻す能力者がいれば実る可能性は低くはない。

 だがすでにネフィラはウバンと付き合っているとワイズから報告を受けている。港を眺めていたらユフェンがやって来た。


「ハイスは行ったようだな」

「ユフェン、まだそっちは片付いていないのに来ちゃってよかったのかよ」

「平気だ。どちらにせよ、ウバンは今、ネフィラのことでいっぱいだろうから、おらぁがなんとかするしかない」


 ユフェンが対処しているのはフラワーラ王国の女王が、フラとウバンを返してほしいと親権争いが始まっていた。まあ二人はもう成人したし、親権は関係ないだろうが一応、フラとウバンは女王の子だ。

 そしてユフェンはそこの王でありながら、ライディー社に勤めていたということになる。


「ウバンとネフィラの恋は実るよな?」

「わからない。シフォンは随分前からキアを紹介したいと聞いていたが、ウバンから何も聞いてはいないぞ」

「ありゃ。この件が終わったら報告するんじゃないか」

「さあな。子供たちの道を正しく案内する役目もそうだが、ウバンはもう成人している。そこからは自分で決めていけばいいが、躓きそうな場面は助けると決めている。ギーディスほどではないがな」


 おいっと突っ込みたいところだが、俺はいまだにワイズたちやそれ以外の子に甘やかしている部分はあるな。早く子離れしないと親離れできなくなる子も増えていくだろう。

 ユフェンは俺にそれを告げた後、自分の国へと戻るようで、うまくいくことを願うしかなかった。

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