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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
92/195

92話 小さな思い出

 雲ひとつない晴天で、本当にここであっているのだろうかとノゾミを抱っこして、ミライは緊張しているのか右みたり左みたり、通り過ぎる人たちを見ていた。

 時折あれミライくんじゃないと見られるも、ボディーガードをしてくれているガリシャとシザスにラドンが止めに入ってもらっている。シザスとラドンはニュラン町で情報提供してくれた人で今はガリシャの班で動いてもらっていた。

 軽く説明するとシザスは元海軍中将でラドンが元陸軍大佐って言えばわかるかな。


 するとヨウミとリア、それから知らない奴が一人の姿が見え、ミライはパッと花を咲かせママと大きく手を振っていた。リアはそれに気づいて小走りでミライを優しくハグする。


「ごめんね、寂しい思いさせちゃって」

「寂しいけどミライ、我慢できるよ」


 そうなのと涙ぐむリアでまんまとノゾミが行きたがるから、リアはおいでと手を差し伸べると、ノゾミはリアのところへと行く。このままリアを連れて帰りたくても、リアの身体が心配だし、子供たちもそれをわかっている。

 リアはノゾミを抱っこしたまま、しゃがみミライの目線を合わせて、ミライに質問をする

 

「ミライ、今日はどこに行きたい?」

「えっと」


 ミライはリアと行きたいところがたくさんあって選びきれないよな。俺もしゃがんでミライのノートをを取り出してあげる。そしたらなぜか返されてしまい、ちゃんと言えるようだった。


「お魚さん見に行きたいけど、動物も見に行きたい」


 水族館と動物園どっちかにしようなって伝えてたんだけど、両方言っちゃったか。水族館はブルーバスの土地にあって、動物園はグリディアの土地にある。両方行くにしてもリアに負担をさせたくないからな。

 そう思ってミライに提案しようとしたら、ヨウミが場に入って来てヨウミがミライに言った。


「両方見れる場所を知っている。そこに行ってみようではないか」

「そんな場所はないはずだけど」

「我が輩に任せなさい」


 ヨウミを信じていいのか、これが罠だとなれば確実にルシャンダを呼ぼう。


 知らない人が手配したらしい車でそれに乗り込みガリシャたちはルシャンダのゲートで合流することになった。ミライは外の景色を見ていて、ノゾミはリアに会えたからなのかぐっすり眠ってしまう。


「ワイズ、これニディアとキアに渡してもらえる?結婚祝い」

「渡しておく。ごめんな、リアが不在時に披露宴しちまって」

「いいよ。ティルは元気そう?」


 ティルの様子をここで伝えたくないし、ヨウミは何かを知っているような仕草だ。どうせ全て報告されるのだろうと正直に答える。


「ティルは元気であっても、少し様子がおかしい部分が起きてる。ニディアが言うにティルの中に別の人物がいそうって相談があったんだ」

「え…」

「ただニディアが扉を開けると何もなかったように、接してくるから少しみんなで様子を見るようにしてる」

「言われてみれば楽園にいた頃もティルじゃないような時もあった。けどしばらくしてティルのままだったから普通に接してたの」


 ティルは心の中で今も戦っているということでいいのだろう。二重人格となってしまったということでいいのか、それともリアを縛り付けている人が今もなお、ティルを操作しているのかはまだわからない状況だ。


「ティルを楽園に戻せばよかろう。そうすれば苦しまずに済む」

「何か知っているの?」

「さあ。そう言えばリアに渡すものがあるのではないか?そこに記されているかもしれんぞ」


 鞄から例の本を取り出してペラペラとめくり、ドゥシャー王子のページを見せてあげる。するとリアはびっくりしながら片手でそれを読み始めるから、リアと交代してノゾミを抱っこしてあげた。


「ティルにそっくり、それにワイズやルシャンダたちに似ている人たちもいる」


 すると助手席に座っていた知らない奴が、説明をしてくれる。


「ドゥシャー王子はそこに記された通りに、姫様を影に閉じ込めたと言い伝えられています。そして影から救出したのがホムヴァル王子。再び災いが起きようとしているのでしょう」

「災い?」

「えぇ。この世界は光によって守られていますが、ドゥシャー王子は欲深い王子。それがティル様だとすれば、ティル様は必ずこの世界を影に落とす力があることを忘れなきように」


 そうなるといずれフィカスはティルを使って支配するつもりってことになるんじゃ。それにニディアが危険になる。


「ママ、パパ」


 そしたらミライが窓を眺めるのをやめしっかり座り、俺たちに言ってくれた。


「ミライはママに毎日会えないのは寂しいけど、パパが守っているこの世界を守りたい」

「守っているのはパトレア様ですよ」


 むすっとした表情を一度ヨウミに見せ、普通の顔に戻り続きを教えてくれる。


「だからミライね、エンディードを使ってこの世界を守るの」

「ミライ、その話はちょっとやめようか」


 するとリアが笑い泣きをし、そんなにおかしいことかと思ったら、リアが涙を拭きながらこんなことを言ったのだ。


「ミライ、エンディードとお友達なんだよね?」


 うんと楽しそうな表情を出し、それじゃあとリアは小指をミライの前に出す。


「ならお友達に、人を潰さないように気をつけながら守ってねって」

「うん!伝える!」

「それと花火大会の時、助けようとしてくれてありがとうとも伝えてくれると嬉しいな」

「ママの気持ち、伝える!ミライね、えっとロンゴールおじさんから出し方や消し方教わったの」


 これヨウミとまだ名前教えてもらっていない人に聞かせてもいいのかよと思いながらも、ミライが楽しそうにロンゴールに教わったことをリアに話していった。


 到着したらしくこんな場所に水族館と動物園が一緒になっているだなんて思ってもみなかった。ルシャンダに位置を知らせガリシャたちがゲートで来る。

 よしっと俺はミライを肩車してあげリアは寝起きのノゾミを抱っこして一緒に歩くが後ろの圧が異常だった。ばちばちするならよそでやってくれと思いながらも、チケットを買い中へと入る。左が動物園で右が水族館の建物が設置されているようだ。


 まずは動物園を周ることにしたのだがやけに視線を感じるとチラッと見たら、木に隠れている人たちがちらほらいる。ストーカーではなさそうだけど、あれは完璧にルマとウリだな。どうやって入ったのかは知らないけど、知らない振りで行こうか。

 ライオンさんとミライが言うもんで、ライオンのところへと向かった。ちらほらと子ども連れの親がミライを見て写真を撮ろうとしている。ガリシャたちに合図をして、写真をお断りするよう伝えてもらった。

 ノゾミはちょっぴりライオンが怖いのかリアの服をギュッと掴んでいる。ヨウミはリアに何かを吹き込んで知らない奴と一緒にどこかへと行ってしまった。


「ヨウミなんだった?」

「ここの関係者にご挨拶しに行くから、周っていいよって」

「ならその間に家族写真」


 だねとリアはスマホを取り出してガリシャに頼み、四人とライオンで写真を撮ってもらう。後でアルバムで送ってくれるらしく、ミライは降りたいようで降ろしてあげた。

 ミライがリアに手を出すからノゾミは俺が抱っこし、リアはミライと手を繋いで歩く。俺はついその後ろ姿を写真に収める。いつ撮れるかわからないしなと写真をチェックしていたら、パパー早くと言われ、ミライの隣を歩いた。


「ねえワイズ」

「ん?」

「子供が三人目だったら、名前どうしたい?」

「三人目ってヨウミの子だろ?だいぶ凹んだけど、要はその子の名付け親になれってことかよ」


 あの電話越しで聞いた時、だいぶ暴れてしまったことはリアには言えないけど、生まれてる子に罪はないしミライ、ノゾミとなれば、そうだな。


「男の子ならネガ、女の子ならカナ」

「二人は三文字なのに今回は二文字なんだね」

「ネガイとカナウでもいいなって思ったけど、なんか言いづらいかなって思っただけだよ」


 願いが叶って欲しいという思いから出ちゃったけど、リアは納得したような表情で感謝を述べられる。


「ありがとね。出産時はできれば立ち会ってほしいな」

「どうしてだよ」

「だってミライの時もノゾミの時も立ち会いできなかったでしょ?だから出産時の時はワイズに来てほしい」

「だけど俺は楽園には入れないのは知ってるだろ」

「そこは任せて」


 余裕ぶりな笑顔を見せリアがそう言うのであれば、立ち会いたいな。歩いていると触れ合い広場が見えて、餌あげたいというものだから、餌売り場で餌を買う。

 餌をミライに渡してあげ羊にあげる姿を写真に収め、ノゾミはリアに抱っこされたままじーっとうさぎを観察していた。そこも写真を撮っていたら、やや遠くで山羊に餌をあげている姿を見かける。あれってキアとシフォンかと呼びかけようとしたら、無線からルシャンダの声がした。


『ワイズ、たっ大変であります』

「何が?」

『マネージルでありますよ!』


 マネジールは以前、ルマの姿であちこちに出現したとされていた。仮にマネジールが俺たちの仲間たちとなっているとなればリアたちを避難させなくちゃならない。もしかしてヨウミはそれを感知し、関係者と会っているということなのか。

 そこで無線からキアの声が聞こえる。


『僕の姿になっている奴は偽物だよ。ったくそもそもそこは何もなかった場所だ。何か裏がある。十分に気をつけて』

「やっぱりな。ルマとウリも見かけたからさ」

『あールマとウリは興味があってそこに行くって言ってた』

「本物かよ。声かけてくれればよかったのに」


 まああの時はヨウミもいたから、声はかけられないか。リアはキアと話したいだろうし、代わると聞いたらいいよと断れる。


『姉貴は今大事な時期だし、心配はかけたくないから、落ち着いたら姉貴に伝える』

「そうか。じゃあ俺からはキアのこと言わないでおくな」


 するとパパーと呼ばれてしまい、一旦切るぞと無線をオフにしミライのそばに寄った。


「パパ」

「どうした?」

「ママにサプライズしたい」


 ん?とミライが指す方には子供向けの体験で、動物の形を型取り色付けをし、キーホルダーやブレスレットなどアクセサリーや小物入れなど多種多様に作れるようだ。

 リアと呼びリアはノゾミと一緒に来て、説明してあげるとやろっかと笑顔で言ってくれる。ミライはやったと体験のフロアへと向かった。そこには子どもが多くいて、人気だなと思いながらも、体験料金を払い、ミライが作っていく姿を俺とリアは見届ける。


「ミライ、何にしたのかな」

「何だろうな。ノゾミはもう少し大きくなったらミライと一緒にやろうな?」


 ノゾミに告げるとあいっと可愛らしい笑顔を見せるから、思わずパシャリと撮ってしまう。そしたらリアがくすくす笑い、なぜか照れてしまう俺であった。するとノゾミを片手で抱っこし、もう片方で俺の手を握るから、握り返す。


「いろいろ任せちゃってごめんね」

「いいよ。リアがいないからチャージできねえけど、毎月会えるからその時にチャージさせて」

「私もワイズやミライにノゾミがいない生活は耐えきれないって思ってた。だけどこうやって会える喜びは変わらないよ」

「ヨウミもこう見えて役に立ったな。敵だと言うのになぜかなじみ感があるというか。俺たちの邪魔をしないから少しほっとしちゃってるけどな」


 そうだねとリアが相槌を打ち、すぐにできたようでパパ、ママと呼びながら戻ってきた。


「何にしたんだ?」

「うさぎ。ママ、はい」


 リアは手を離しミライが型をとったうさぎのブレスレットをもらい、ミライの頭を撫でてありがとうと伝える。ノゾミを俺に渡しリアはうさぎのブレスレットをつけ、ミライの両手を握った。

「ミライ、好きな動物さんは何かな?」

「んーライオン!」

「さっき会っちゃったね。じゃあお魚見に行く?」


 行くと元気よく返事をして、水族館に向かう途中のことだった。ファンズマが出たと騒ぎになり、ガリシャに確認をする。


「ファンズマの数は?」

「数えきれないほどの数はいるな。ただヨウミが出したファンズマではなさそうだ。指示を出しているのが見える。それからアイズとあれはリクもいるな。どうする?」

「兄貴が?合流はしたほうがよさそうだけど、ルマとウリの居場所は把握できそうか?」

「水族館に閉じ込められているようだ。中に入れそうにない」


 ここ最近、イベント会場や披露宴といい邪魔が入ってばかりだな。マネジールとシャッガヴァにレクシティ、三種類のファンズマがいる。


「ガリシャ、ラドンはリアたちが逃げられるよう道を作りつつ、シザスはリアたちと避難場所へと迎え」

「ワイズ、私も戦える」

「子に何かあったら困るから、ミライとノゾミを頼む。ミライ、エンディードは絶対に出すなよ」


 はいっと返事をしてくれて、いけっと言う合図で言ってもらう。俺は左腕を肩ぐらいまであげ炎魔えんまと叫ぶと炎魔が眠そうに出てきた。


炎魔えんまやるぞ」

「みんなを死なせない」


 炎魔が飛ぼうとしたら炎魔はなぜか俺の体内へと入ってしまった。よくよく見ると目の前からヨウミのような姿をしたファンズマがこちらに来る。

 冷血さを持つその姿は、この前タングが教えてくれたファンズマに違いない。名前は確かヨウ姫。

 


「妾はお主の子に用事があったのだが、子はどこへ行った?名前は確かミライ」


 もしかしてエンディードを出せるから、現れたとしか言いようがないようだな。


「逃すに決まってんだろ。ミライは俺の妻と一緒だ。ヨウ姫は何が目的でここにいる?」

「妾のことを知っているとは、タングに教えてもらったようだな。なら話は早い」


 触手が襲いかかってきて、俺は炎で触手を燃やすも一瞬で消えてしまい、拘束される。


「ミライをいただきに来た。エンディードがいれば奴らを仕留められる。容易く扱わないと誓おう」

「ミライは誰にも渡すものかよ。それに忘れないでもらえるか?ここにもう一人ヴィアント家がいることをな!」


 するとアイズの炎魔が炎を吹きそれによって解放され、俺の前にアイズが登場した。


「遅えよ」

「遅くはないし、ワイズの仲間じゃない。俺は」

「エルディ組の若頭だろ。それくらい、知っているというかルシャンダがハッキング済みだ」


 アイズは若頭という名に、慣れていないようで多少照れていた。俺の炎魔よりアイズの炎魔の方が賢いってじいちゃんに言われた時は少しショック受けたけどな。


「ヨウミが避難場所へと向かった。すぐ行け。ここは兄貴に任せればいい」


 自分で兄貴ってとつい笑っていたら、来るから行けと言われ、サンキューと肩を叩き、リアたちがいる避難場所へと向かった。

 本当はまだ話したいことがあったけれど、また話せるかと避難場所へ行ってみると、リアはミライをギュッと抱きしめている。本当なら水族館も周りたかったよなとミライの頭を撫でリアとミライを抱きしめた。


「ママ、次会う時は水族館一緒に周ろう」

「うん。行こうね。パパとノゾミのことよろしくね」

「うん!ヨウミ、ママいじめたら、めっだから」


 ぷうと膨らませるミライで、ヨウミはそれにつぼったのか手で口元を隠し笑っているようだ。もう少しこうしていたいけれど、リアはヨウミと一緒に天へと帰った。

 ミライは少し落ち込んでいても泣かず、アイズたちが倒してくれるまで待つことになる。一時間後、スタッフがやって来て、説明を受けた。


「ファンズマが撤退いたしましたが、本日は閉園させていただきます。こちらを配布いたしますので次回お越しにください」


 列ができ始め俺たちも並び、スタッフからチケットをもらう際に、ミライがスタッフに告げた。


「三枚じゃない。四人で来たの。もう一枚ください」

「えっと」


 スタッフが困っており、リアがここにいないからさすがにもらえないよと伝えようとしたら、ごめんと慌ててなぜかリアが走ってくる。


「ごめん、遅くなった。これで四人目。もう一枚くれませんか?」


 スタッフはリアの姿に疑問に思っている様子でも、無料チケットをもらい、列から外れる。やや離れたところで、リアがルマへと戻った。


「ルマ、ありがとな」

「いいんじゃ。ほれ、リアの分」


 ミライに渡し、ありがとうとミライは大切にリュックの中へとしまった。


「ウリは?」

「ヨウミを見つけて先に行ってたんじゃが、会っておらぬのか?」

「いや。会ってない」

「そうか。てっきりワイズと一緒におるのかと思っていたんだが」


 そしたら降ろしなさいよとウリの声が聞こえ、聞こえる方角をみると、サングラスをかけ、刺青を見せているリクが、ウリを抱えている。いつの間にかノアが目の前に現れ、そこで立ち止まった。


「これは総長、ご無沙汰だな」

「ビルーの捜索をしている振りをしながら、組を動かしていたとは、やってくれてるじゃねえかよ。それによってディリーが荒れてんだよ。始末をどうするか、ずっと考えていた」


 リクは、はははっと大笑いして、ウリを落としウリは派手に転んでしまう。なにすんのとウリは立ち上がって、リクに挑むも腕を掴まれ、人質にされ手には小型ナイフを所持していた。

 

「ぎゃあぎゃあうるせえんだよ。次騒いだら容赦はしねえ。総長、俺様を隊長に選んでくれたことで、総司令官の弱点も知れた。総司令官に言っといてくれよ。弱点に触れてほしくなかったら、大人しくしておくこと。そうすりゃあ、命だけは保証しとくってな」

「ディリーが弱点を見せるわけない。弱点を知っているのはギーディスと俺だけだ」

「俺様にも見せてくれた。酒に酔い潰れている時にな」


 ノアは何か思い当たる節があるのか、ノアは怒りリクに攻撃を与えようとしたところウリを突き飛ばして姿を消されてしまう。ウリは転びそうなところノアが支えた。


「ノア」

「悪い。後で話すから、先に帰ってろ」


 わかったと告げたらノアは鈴の力でいなくなり、俺はルシャンダにゲートを開けてもらって、島に帰ることになった。



 総司令官室の前に到着し、ノックする前に荒れている声が聞こえた。荒れている時は部屋に入らない方がいいとギーディスに言われてるも、扉を開けたら、おでこに物が当たってしまう。

 いたたたたとおでこをさすりながら、ディリーはそれでも暴れていて、ギーディスは今、ティルの秘書として動いているからな。シフォンは相変わらず記憶喪失でティルのこと忘れてるし、早めにチェンジさせてあげたいぐらいだ。


「ディリー」

「なぜっなぜなんだよっ。私はなにを間違えた?教えてくれよ、ノアっ」


 俺にしがみつき相当ストレス溜まってんなと感じてしまった。ディリーの弱点、それは信頼を失うこと。失えば失うほどディリーは壊れていく。

 隊長として選んだビリーとリク、そして愛息子であるアイズまでが裏切り、隊長として動いているのはブルバとセイワンのみだ。これでまた信頼を失えば、ディリーは確実に壊れてしまう。新しい隊長はまだ決めてはいないようで、ここは総長としてディリーを支えていくしかないようだな。


「ディリー溜めているものがあるなら、全部吐き出せ。俺が全部受け止めてやるから」


 本当はギーディスに聞いてほしいんだろうけれど、ギーディスも忙しいからなかなか話せないでいるのは知っている。本当にこの二人にだけは、世話を焼かされているような気もするけれど、俺はこの二人の偉大さを知ってるから。

 するとディリーは俺に全部嫌なこと、辛いこと全て打ち明けてくれた。 

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