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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
87/195

87話 夜ノ海

 ヨウミと会食を度々することが増え、ウラデュエ都市に来ていた。まだヨウミは半ファンズマということもあり、楽園には入れていなから。馬車に乗ってウラデュエ都市の景色を眺めていたら、とと様に言われる。


「リア、その指輪を外しましょう」


 私がつけているのはティルとの誓いの指輪だからなんだろうと左手をとと様に差し出し、指輪を外してもらう。薬指は指輪の跡がついている。新しい指輪がこの薬指にはまるってことだよね。ワイズ、ティル、そしてヨウミという順番。

 馬車が停止し到着したのかと思っていたけれど、目の前に誰かが立っていた。誰なのかわからずでとと様がおやおやと馬車から降り、降りなさいと言われたから降りる。


 馬車から降り前を歩いたらそこにいたのは、凛々しい着物のような衣服を着て、顔立ちも心が奪われるような美貌。けれど瞳からは殺気を感じるかのような圧がある。


「シシア、楽園からどうやって出たのでしょう」

「リアを解放してほしいの。そうすれば、あなたの望みを叶える。ズユはリクを選んだ。それともヨウミという子もリアのように与えるというの?」

「シシアも喜んでくれると思いましたが、そうではないようですね。ズユの母親でもあり、ティルの母親でもあり、そしてヨウミの母親でもある、シシア」


 信じられない真実で圧倒されていると、シシアさんという方はとと様の近くに来て扇子を手にし、とと様の首に向けた。


「リアはヴィアント家の血筋を受け継いでいる。ならば本来あるべき場所に返しなさい。子どもたちは母親を求めているの」

「リアの父親としてそれは受け入れられませんよ。リアはエルラド族に必要な子。シシアは、わたわが思うがままに動きなさい。リアの子たちにはもう手を出さないと約束しましょう。それで十分ではありませんか」

「よくない。リアの幸せをこれ以上奪わせないであげてほしいの。そうじゃなきゃ、わわはあなたの望みに応えない」


 とと様の望みがなんなのか教えてはくれないけれど、二人の会話を聞いていたら扇子を降ろさせる。


「シシア、このことは後ほど話しいたしましょう。せっかくの会食を無駄にはしたくない」

「えぇ、わかった。部屋で待っている」


 シシアさんは楽園へと帰ったことで、とと様は行きましょうと馬車に乗り出発した。

 さっきのこと聞きたくても、帰らせてはくれないよねと思ってしまう。とと様は表情を変えないお方だから読みにくい。


 到着して父様の手を借りながら馬車へ降り、建物の中へと入ってそこにヨウミが待っていた。ヨウミは私に会えたことでパッと花を咲かせるように笑顔。私はぎこちない笑顔になりながら席に座って、会食が始まった。


「こっちに住み始めて慣れてきましたか?」

「快適に過ごさせてもらっている。リアと過ごす日々が待ち遠しいよ」


 私はそうだねとかうんとか言えずにいて、笑顔を張り付けるしかない。食事が来てそれを黙々と食べながら、とと様があることを打ち明ける。


「先ほど、シシアに出会ったよ。リアをあるべき場所に返してほしいと。ヨウミはどうしたい?」

「あっちに帰っても我が輩の居場所はもうない。ならここでリアと過ごしていきたいと思っているぞ」

 嬉しそうな表情をするヨウミで、笑顔が引きつりそうな勢いだ。私は真っ先にワイズのところに帰りたい。


「リアはわたわの思うがままに生きてもらうことにしているので、心配はいりません。ですがネズミがちらほらと侵入しているようです。それを排除してくれれば、正式に楽園に入ることを許可しましょう」

「まことか!なら手短にネズミを排除すると誓おうではないか。リア、待っていてくれたまえ」


 私は待ってないよって言いたぐらいで、ご飯を食べて、そこからは呆れるほどの私への愛話を聞く羽目となった。



 秋の季節だというのにひんやりとする夜に、パトレアから呼び出されパトレアの部屋へと向かう。わわはデッドハラン王国とライディー社、それから楽園を行き来していた。

 遺伝子を一部抜き取られそれをファンズマの帝王がもらい、ライディー社ではオーケルの妻としてティルを産んだ。そして楽園へと戻りパトレアの子、ズユを出産後、ロンゴールに襲われ一度はデッドハラン王国に幽閉されていた。

 けれどクロウが助けてくれたこともあり、楽園へと戻ったはよかったものの、パトレアの思うがままにズユを育てたくなくて脱出。


 そのせいでリアがパトレアの思うがままに動いていることが辛く感じ、ズユを置いてこっちに戻って来た。帰って来た時は覚悟をしていたけれど、パトレアはわわを天魔ジェルロにしなかった理由。

 それはまだはっきりしていなくても、パトレアが望むものがなんなのか知っている。


 空の海を眺めている場所ではなく寝室にいるのだろうと、ノックをすると入りなさいときたから入った。ベッドでゆるりとしているパトレアであり、わわはベッドに座るとパトレアが背後から抱きしめてくる。


「パトレア、話の続きを」

「焦るでない。シシア、わかっていますが、リアはこれからもこの先もこの楽園へといてもらいます」

「なら話は終わりのようね」


 パトレアの腕を払い、行こうとしたら引き寄せられ、ベッドに寝っ転がってしまい、その上にパトレアが乗っかる。わわの身体に触れながらパトレアが狂ったような表情で指がわわの唇に触れた。


「いいですか。穢れを落としても落としても、リアの体内にはいるのですよ。今もリアの体内では炎魔ホムヴァル天魔ジェルロを抑えている。本来ならばわたわの思うがままに動いてくれるリアだというのに根強い。シシア、あなたの能力で炎魔ホムヴァルを消滅させてください。そうすればリアを返しましょう」

「返さずリアを従わせるでしょ?それなら天魔ジェルロを消したほうがよっぽどいい」


 するとパトレアはいけませんねと口付けをし、それが長くて胸を押さえようとも両手を掴まれてしまっている。わわの口に何かを入れたような感覚で吐き出したくても飲み込んでしまった。

 離れたパトレアは不気味すぎる微笑みで、わわの身体に異変が起きる。身体が縮み込み幼女の姿になって、慣れていない身体だからパトレアがわわを抱っこしあの子守唄を聴かされ、眠りについてしまった。



 夜、私は行きたくなかったけれど、ヨウミの自宅で泊まることになった。ヨウミは上機嫌すぎて楽園に戻りたいと家の中にお邪魔してもらうと、召使いたちがいない。てっきりいるのかと思っていると、ヨウミは周囲を確認して引き寄せこう言われた。


「リア、すまない。今も我が輩はリアのことが好きで好きで堪らないのだが、こうでもしなければあやつに気づかれる。我が輩はある目的で、パトレアと接触をしていた」

「え…」

「無差別事件が起きているのは知っているであろう。しかしエピルスの皆は無実なのだ。エピルスと名乗っている人物がここにいると思って、こうするしかないと判断した。必ずや、真実を突き止め、リアをワイズのところへ帰す。それまでは我が輩のわがままに付き合ってくれ」

「そうだったんだね。てっきり、ワイズたちを裏切ってここに来たのかと思っちゃったよ。信じていいんだよね?」


 うむ、心配するでないと言われ、そうなら私もヨウミの力になりたいと感じ、わかったよと伝える。


「ヨウミがワイズたちを裏切ったんじゃないなら、私はヨウミの力になるよ」

「感謝する。ワイズたちには裏切ったように見せかけてはいるが、ノデッドが聞いているだろう」

「そうだね。ノデッドなら私たちの会話、聞こえそう」


 そうであろうとヨウミの無邪気な笑顔を見せられ、少し怖いのがとれた。気になっていたことをヨウミに聞いてみる。


「召使いさんたち、いると思ったんだけど」

「我が輩はまだ半ファンズマでもあって、いないのだ」


 そっかと思い出して、楽園に入る頃にはヨウミはもうただの人間ってことになるんだよね。その力失ってもいいのかなと思いながら、居間に案内してもらった。

 紅茶を持ってくるそうでソファーにくつろぎながら、居間に設置されているテレビをつけてみる。すると馴染みの島が映っており、ワイズたちのお母さんが報道陣に説明をしていた。


『本日、娘の披露宴及び息子の妻にいる妹披露宴を行なっている最中に襲撃を受け、ここで勤務をしていたカディヴィア社員が死亡。当面の間、式場を閉鎖することを宣言させていただきたい。そのため予約していた皆様、大変申し訳ございません。後日、謝罪及び日程調査をさせていただきますので、待っていただけたらと思っております』


 深々と頭を下げるディリー総司令官、今日、ニディアとキアの結婚式だったのとびっくりしてしまう。おめでとうって伝えたかったな。

 見ていたらヨウミがティーセットを持って来てくれて、テレビは消しそれをいただく。とてもいい香りがしてリラックスしていると、ヨウミがポケットから正方形の箱を出す。そして箱を開けてもらうとそこには可愛らしい指輪が入っている。


「怪しまれては困るであろう。一応、その我が輩からだ。何度も指輪を変える形にはなってしまっているかもしれぬが、我が輩が選んだ指輪でもある」


 とと様に怪しまれないためにも、これは貰っておいたほうがいいと感じ私は躊躇せずに左手を出した。ヨウミは照れながら、その指輪をとり私の薬指にはまってサイズもピッタリ。


「ワイズと誓い合った指輪、まだとと様が下げてるの。ヨウミ、その指輪を取り戻せることはできる?」

「ふむ、交渉はしておくが、どうなるかはわかるまい。それでも良いのか?」

「お願い。帰った時に指輪がなかったら嫌なの」

「聞いておくとしよう。部屋の用意をするゆえ、しばし待たれよ」


 ヨウミは寝室を用意してくれるらしく、私はその紅茶をいただきながら、なぜか睡魔に襲われてしまった。



 ウラデュエ都市、裏路地にて……


 やばいじゃんと出血している部分を押さえながら座り込むじゃんよ。ウラデュエ都市に侵入できたが、ヨウミにやられた傷が思った以上に深かったじゃん。

 ヨウミが完全黒で間違いなのはわかってるけど、自分たちを四天王につかせた意味が全くわっかんねえじゃんとm押さえてない手で顔を覆う。

 

 絶滅したファンズマを甦らせるために自分たちは生まれ、そして四天王として自分たち四名は、ファンズマ帝王の指導を受けていたじゃん。ヨウミとも仲がよかったのに、ヨウミのあの裏顔を見ちまった以上、ヨウミを確実に自分たちが仕留めなければ、この世界は滅びるようなものじゃんか。

 なんで今までヨウミの正体に気づけなかったのかが疑問であっても、あの日の出来事が原因かもしれないじゃんと覆うのをやめ、夜空を見上げる。


 ヨウミがリアに殺されかけたあの日、実は誰も知られていない事実が実在している。リアはワイズとティルによってなんとか収まり、そこにライディー騎士団が来て気を失ったリアを運んで行った。

 ワイズもティルも館長に叱られながらもリアと一緒に帰っていたが、館長はあの場に残りヨウミが助けた行方知らずだったズユを抱っこしていたじゃん。そして傷だらけのヨウミを救ったのはパトレアという人物。ズユは気を失っていたこともあり、楽園に戻るのかと思えば、リクを呼んでズユを託していた。


 自分が思うにあの日からヨウミは命を救ってもらった恩人に、従うようになったのかもしれないじゃん。とにかくここから脱出して、ワイズたちに報告しねえとじゃんとゆっくり立ち上がっていると、最悪な人物と接触するじゃんか。


「グック…」

「こりゃあ、驚いたら。盗聴してワイズたちに報告しに行くつもりなんら?」

「だったらなんだ?自分を捕まえるってことじゃんかよ」

「そう焦らんら。ちょっとその傷、見せてもらおうらよ」


 おいっと言いたくてもグックは自分の傷口を見て、すると傷が段々と癒えていき、痛みもだいぶ引いた。


「どういうことじゃん?」

「助けた代わりに、手を貸してもらうらよ。らいはパトレア様に忠誠を捧げている妖精らが、一つだけ許せらんよ。それはヨウミを楽園に入れさせることら。あそこはエルラド族のみしか入ることが許されない楽園。半ファンズマとエルラド族の血を引いていたとしても、それは異例なことら。らいは忠誠を守るために、ヨウミを止める手段があるんらよ」

「そんなの聞けるわけないじゃん。これが罠かもしれないじゃんかよ」

「そうかもしれないら。信じるか信じないかはノデッド、お前が決めろら。そうこうしている内に、ヨウミはリアに手を出すかもしれないらよ」


 リア愛を知っている自分たちだから、リアが一番危険なのは知っているじゃん。それにさっきの会話、聞こえたからリアに何かをするんじゃないかと感じるじゃんよ。

 しゃあない、こいつの言葉を信じるしかなさそうじゃんと、どうすればいいとグックに聞いたじゃん。


「まだ確定ではないようらが、ネズミを排除したら楽園に入れさせるらしいら。他にもネズミがいるようらから、ネズミと合流して、一度地に戻れら。ビリーには話を通しておくらが、くれぐれも気をつけるらよ」


 まだ侵入している奴らがいるのかよと思いながらも、わかったと告げてローブを貸してくれてそれで探索することにしたじゃん。



 いつの間に寝てたのかなと横を見ると、隣にヨウミが寝ていて、えっと確認するときゃっと布団に包む。何がどうなってるのと全身が赤くなってそう。

 確かに紅茶を飲んで睡魔に襲われたけど、状況が読めないでいるとヨウミが布団を少しずらし、私の髪の毛に触れる。


「やっと目を覚ましてくれたようだ」

「さっきの話と違う。説明して!」


 ヨウミは私の頬を触れ嫌と振り払おうとしても、身体が思うように動かなかった。なんでと混乱していると寝たままヨウミに引き寄せられてしまう。


「さっきのは冗談。我が輩はこの日をずっと待ち侘びていた。リアに殺されかけたあの日、我が輩はリアの父君に救われたのだよ。リア、あの頃の償いをしてもらう。もし我が輩から逃げようとするならば、リア、わかっているだろう」


 あの頃のこと、許してくれたんじゃなかったのと思っても、私は何も言えなかった。ヨウミを殺してしまったら、私は今頃どうなっていたか、ワイズたちと一緒に暮らせていたのかもわからない。

 楽園に閉じ込められている意味も、私の天罰はそれの償いってことなのと感じてしまう。


「怖がらなくてよい。リアをあんな姿にはさせないよう努力する。ワイズとの指輪も必ず取り返すと誓おう。だから」


 ヨウミが言いかけた時、私はその言葉を遮ってヨウミに伝える。


「小さかった時の償いはちゃんとする。だけどもうこれ以上、何も失いたくはないの。お願い、ヨウミ。私の大切な人たちをこれ以上傷つけさせないで」

「それはリアの父君が決めることだから、我が輩に権限がないのだよ。だが交渉はしよう」


 ありがとうと伝え、ヨウミの温もりでうとうとしてしまい、私は再び夜の海に潜り深い眠りについた。


 

 翌朝、起き上がるとヨウミの姿はなく、机には洋服が置かれてありそれに着替える。着替え終えた私はヨウミを探しに居間に入ってみるも姿はなく、どの部屋にもヨウミはいなかった。

 あれは夢だったのかと思ってしまっても、部屋一つ一つ確認してもヨウミがいない。居間に戻って鞄からスマホを取り出しとと様に連絡するも応答してくれなかった。

 普段はとと様と一緒に楽園へと戻っていたけれど、帰り方が全くわからず、とにかくピットに連絡すればいいかな。そう思って、ピットに連絡してみると繋がった。


『おはようございます、リア様。どうかされましたか?』

「ヨウミがいなくて、楽園の帰り方がわからないの」

『少々お待ちくださいね。お迎えに上がります』


 通話が切れてしまい、ここで待っていればいいのかなとソファーに寛ぐ。もしかして昨日言ったことを交渉しに言ってくれたのかな。

 するとお待たせしましたとピットではなくスターリが迎えに来てくれて、私は荷物を持ち楽園へと帰る。


 お帰りなさいませと女官や宦官たちに言われながら自室に戻った。ティルと使っていた部屋でこうやってみると広く感じるな。そう思っているとジョセが入って来た。


「リア様、お帰りなさいませ。パトレア様のご指示で仕事を任せるよう申しつけられました。お時間よろしいでしょうか?」

「平気」


 ではこちらへとと案内してもらい私の部屋からやや近い部屋に到着して、その部屋は執務室のようだった。


「こちらで書類の整理をしてもらうよう申しつけられております」


 机にはどっさり置かれた書類があり、これを処理して行くのねと椅子に座り一枚を手にしてみる。これは案件書のようでいるかいらないかを私にさせるようだった。

 これは重要な役目をもらうとは思わなくて、一枚一枚丁寧に読みながらいるものはハンコを押し、いらないものは罰点印をつけていく。


 ジョセは花火大会で私を逃したことにより、とと様の天罰によって記憶が抹消され、今はもうとと様に忠誠を誓って私が逃げないように管理官をしていた。

 書類を仕分けているとヴェルディがジョセを呼んでジョセはこの部屋からいなくなる。


 ふぅと手を止め、夜中のことを思い出してしまい、唇を触れてしまう。ヨウミに襲われていたのに気づかないままだったなんて何やってるんだろうか。

 私は逃げないから襲わないでって後で言うとして、ヨウミの正体を明らかにしなければならないことがある。


 無差別事件は本当にヨウミの指示でエピルスがやったのか。ヨウミが黒であっても、あの言葉は嘘じゃない。調べたくても情報は無さすぎるし、ここにはパソコンが設置されていないから、調べることもできない。ただスマホがあるからそれで調べていけば情報が掴めるかもと思った。

 後で調べてみようと書類を仕分けて行く。



 リアを起こさず我が輩は衣服に着替え、リアのおでこにキスをし寝室を出た。そこに黒豹が待っており、我が輩が歩き出すとやや斜め後ろで黒豹がついてくる。

 黒豹はかつてスノーリア王国にいさせていたカリシーが、我が輩の元に戻って来たということは動き出したということ。エルディ組と手を組んだのも、ある組織が動き出したという証拠だ。


「カリシー、報告を頼む」

「はい。スノーリア王国の王、ヒジュン王が黒だとはっきりしました。そのため、元国王コルファ王を避難させてありますが、女王であるスノファ女王と王女は牢屋に監禁されているようです」

「我が輩が天へと行った情報をもらったのでしょう。我が輩が完全たる人間になればファンズマが消滅する。けれどノデッドたちは半分人間。生き延びられるということ」

「無差別事件の件は某がやったと全民に知れ渡っているようですが、どうしますか?」


 エピルスは皆いい子たちであり、悪さはしないというのに、濡れ衣を着させられ我が輩はとても激怒をしている。それを民が信頼仕切ってしまい、我が輩は知られぬよう動いていた。無論、リアには申し訳ない気持ちが大きいのだが、こうでもしないとノデッドたちが危ないのだ。

 四天王も作ったのも、我が輩がいなくなったとしても半分のエピルスを仕切っていけると思い、ノデッドたちを育てていたのだ。半分は我が輩の指示ですでに裏切っているであろう。


 すまない、ワイズ。大切な社員が裏切ること、どうか許してほしいと願いながら、ネズミたちをとにかく地に戻させなければならない。


「まだノデッドは」

「えぇ。傷はなぜか癒え、ネズミたちと合流しているようです」

「手当をしたのはグックでしょう。我が輩が楽園に入ることを唯一拒んでいたのがグックでしたから」


 グックは例え半ファンズマの能力が消えたとしても、楽園には入れさせたくないのは見え見えでした。まあいずれパトレア殿が天罰を与えるゆえ、我が輩からは何も言わないでおこう。

 家を出てカリシーにノデッドたちのいる場所へと案内してもらった。



 ヨウミさんを探しに行ったノデッドは大丈夫っすかねとノゾミちゃんを抱っこしながら携帯ショップの前で待っていたんす。子供用のスマホを買いに今、ワイズとミライくんが中で選んでいる最中に、わんぼのスマホが鳴って確認したんすよ。

 げっと思いながらなんすかと不機嫌そうに出たんす。


「いつこっちに来るのかしら?すっぽかしたら、どうなるかわかっているでしょう」

「わんぼはもうあんたらに付き合っている暇はないんすよ」

「ふふっ。いいのかしら?あなたの大事にしている人間がどうなっても」


 電話越しにタング来るんじゃねえと叫んでいて、電話口の相手がわんぼの大事な人を傷つけている様子が、目に浮かんでしまい、そしたらノゾミちゃんが泣いてしまったっす。


「あらあら、そこに赤ん坊がいるようね。わたくしめがあやしましょう」

「それは勘弁っす。社長の娘に指一本触れさせはしないっすよ。ノゾミちゃん、ちょっと待ってってすね」


 ノゾミちゃんをあやしながら、電話口の女に告げたんす。


「わんぼがそっちに手を貸したとしても、ヨウミさんはやると決めたらやる人っす。それにわんぼはヨウミさんのこと信じてるっすよ。だからフリジンダ社員として、動くっす」

「そう。なら後悔しなさい。ここで断ったら、もうあなたの大事な人はいないってことを」


 わんぼがノデッドの合コンに付き合っても、彼女を作らなかったわけ。彼女を作らないと決めていたのはわんぼのことを認めてくれた人間がいたからっす。わんぼの大切な人はヨウミさんが敵視しているファンズマだけの組織、レヴェラ。

 身を潜めているというのは前々から知っていたっすけど、わんぼにかけてくるということは、本格的に動くらしいっす。


「ふふっ。それじゃあ、ご機嫌よう」


 ブチっと切れわんぼは怒りがありながらも、ノゾミちゃんが怖がるだろうと思い、スマホをしまおうとしたっすよ。そしたらノゾミちゃんがスマホに触れたいようで、貸してあげるとノゾミちゃんの手が触れ、そしたら映像が流れたっす。

 これがノゾミちゃんの能力とびっくりするも、これは防犯カメラの映像っすかね。そこに映っていたのはわんぼの大事な人が傷だらけで倒れていたっす。周りには大事な人の弱点となるファンズマがうようよいたっすよ。助けたい一心であってもわんぼは、あいつらの仲間になるつもりはないっす。

 ノゾミちゃん、いいんすよとその手を離れさせようとも、ノゾミちゃんは何度も画面に触れていたっすよ。わんぼはノゾミちゃんのパパを裏切りたくないと、ノゾミちゃんの瞳を見ていたら、ワイズとミライくんが出てきたっす。


「タング、悪かったな。ノゾミ、おいで」


 ワイズがおいでとやるもノゾミちゃんは画面から離れたくないようで、ワイズがわんぼのスマホを見られてしまう。


「どうなってんだ?タング…」

「…ワイズ、わんぼはフリジンダ社を裏切りたくないっす。だけどわんぼの大切な人が捕まってるんすよ」


 そしたらワイズはわんぼの肩を掴み、笑顔でこう言われた。


「大事な人は助けるべきだ。俺たちも協力するよ。一人で抱え込むなって、ノゾミが教えてくれてるんだしさ。それで俺たちはどうすればいい?」


 覚悟はしてた。わんぼがある組織と繋がっていることを、ヨウミさんはどう感じ、わんぼから離れていったのか。わんぼはノゾミちゃんをワイズに返し、フリジンダ社で真実を語ったっす。

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