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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
81/195

81話 イベント会場

 夏後半となりイエロードの土地では大きなイベントが開催されているであります。チケットがないと入ることができないイベントでありまして、チケットを取るのに必死でありました。

 ようやく手に入れたチケットを一度は無駄になりそうでありましたが、無駄にはならなくなったであります。


 まだでありますかねと周囲を見渡していたら、お待たせーとズユがやって来たのでありました。普段の格好ではなく、一段とレベルアップしたかのように洋服が可愛かったであります。

 もうちょっと和吉もお洒落してくればよかったでありますかねと、自分が着ているのは夏なのにパーカでだぼっとしたジーパン、それからスニーカーに鞄はリュックであります。行こっとズユが和吉の手を取り入口へと向かったでありました。スタッフにチケットを渡し、鞄の中をチェックしてもらって、中に入るであります。


 和吉とズユは目を輝かせ、どこから行こうか受付でもらった地図を見たでありました。有名な企業が手がけたソシャゲの世界は素晴らしいでありますと、VR系やAR系、MR系の新作ゲームであり、和吉たちは興奮していたであります。

 一斉の声でと指を指すと和吉とズユは真っ先にVRゲームの新作があるエリアへと向かったでありました。これはたまらないと尻尾があったらぶんぶんと振っているであります。


「ズユ、この前はその、ごめんでありました」

「わゆも伝えてなくてごめんね。今日は思いっきり楽しも」


 わゆはスマホを取りツーショットを撮って、リクに怒られないでありますかねと聞いたであります。


「ツーショット撮って、リクに怒られないでありますか?」

「んーリクはそういうので怒らないけど、男と連絡しているところは拗ねる程度ぐらい。だからそんなに気にしなくても大丈夫だよ」


 本当にいいのでありますかねと思いながらも、順番が回ってきてスタッフに何名様ですかと言われ二人と告げたでありました。どうぞこちらにと案内されたところで、VRゴーグルをセットし席に座ったであります。

 行ってらっしゃいと言う合図で世界ががらんと変わったであります。まずはキャラ設定から始まり、んーと悩みながらキャラを設定し、OKボタンを押すと、仮想世界へと入ったでありました。

 今回のVR系のソシャゲは謎解きしながら冒険するゲームであります。今回はチーム制で、謎を解き明かして冒険を進むというソシャゲでありました。体験版でありますからすぐ終わるでありますと、ズユと合流して一つの謎解きを進むであります。


「仮想世界、やっぱり凄いよね」

「ズユ、なぜ少年の姿になっているんでありますか」

「えへへ。いつも言ってるでしょ。ゲームは基本、少年を選ぶって」


 和吉は少々しょんぼりしてしまう部分もあるけれど、少年に猫耳と尻尾もつけるとは思わなかったでありました。和吉も猫耳と尻尾つければよかったでありますと謎エリアに到着し、謎を解き明かせという表示が出てズユと手分けして探すであります。


 謎を解き明かすという内容は、村長の娘が突如、消えたらしいけれど、毎週日曜日の午前0時にふらっと娘の姿が現れるという内容であります。情報が少ないでありますが、手がかりはこの村にあるらしいでありました。

 村中を探し回ったり、住民の話を聞いたりして、娘の居場所を考えていると、ズユが何かを感じているようであります。


「何かあったんでありますか?」

「ルシャンダ、ここから出よう」

「む?まだ途中でありますよ」

「いいから早くでよ」

 まだ途中でありますが体験版終了ボタンを押し、現実に戻ってVRゴーグルを外すでありました。そこにはイベント会場にファンズマが出現しており、それによってイベントに参加している人たちが慌てているであります。

 和吉はまだ試作品ではありますが、MR型のサングラスをかけ状況を確認するでありました。イベント会場に出現しているのは、グラキャスと天魔ジェルロが複数いるであります。グラキャスはコードを引きちぎり食べたであります。

 これはまずいでありますと、和吉はリュックに入っているコンパクトの棒を取り出して、電気を流すでありました。グラキャスは土で、効果は薄いことはわかっているであります。


「せっかくの休日、台無しにされるの本当に嫌なんだけどな。ルシャンダ、イベントに来ているお客さんたちを避難させて。ここはわゆが倒すから」

「わかったでありますが、無茶はしないでありますよ」


 わかってるってと言われながら、和吉は逃げ遅れている人がいないか、走り回ったでありました。警備会社はカディヴィア社でもあり、何人かはグラキャスと天魔ジェルロ退治をしてくれているであります。

 遊ばせてくれないとはとMRで確認しつつ、動いていると一番会いたくない人がいるでありました。


「おっルシャンダじゃんら。元気にしてたら?」

「グックに会いたくなかったであります。せっかくのお楽しみを返してくれでありますよ!」

「そう怒んなら。用が済んだら帰るらよ」


 スニャンパと天魔ジェルロが和吉を囲み、狙いがなんなのかわからず、まずはここをなんとか凌ぐ必要があります。するとグックはスマホを取り出し、ある映像を見せられ言葉を失うでありました。

 和吉の表情を見て、グックはにやりと笑い、怒りしかなかったであります。


「どうだ?この写真。よくできてるだろ?」

「和吉を怒らせないでくれであります。その写真をワイズに送ったら火破りじゃ済まされないでありますよ」

「なぜこうなったのかまだ知らないようだな。一ついいことを教えてやろう。ズユは何かを隠している。まぶたちなら教えてくれるんじゃないか?」


 まだ和吉はグックに勝てる力はないでありますし、ここで負けたらどんなことが起きるのか、予想はなんとなくわかるでありました。和吉の能力は誰しもがほしい能力であり、使用するために和吉を捕まえるということであります。

 リアのところに行けるのならば幸いであっても、和吉がどんな境遇に置かれるのかはわからないでありました。あの状況でリアと接するのは不可能でありますと棒を握りしめるであります。

 

「この前、言い忘れたけど、おもちゃじゃないよら?」

「前々回は失敗したでありますが、ちゃんとした武器でありますよ。それにこのMRが分析を行い、次の行動を読み取れるであります」


 ひゅうと吹きそれは凄いらと拍手したことで、来ると和吉はスニャンパと天魔ジェルロを叩き道が開くでありました。そこに逃げ、次はグックが和吉に攻撃を与えようとするであります。

 妖精の姿になっていなくてもグックの力は凄いでありますと制御できず、吹き飛ばされたでありました。衝突してセッティングした一部が破壊されてしまい、落ちてくるところズユが助けてくれたであります。


「遅くなった。グック、しつこいよ。狙いはわゆでしょ?わゆを狙いなさいよ」

「パトレア様の指示ら。ルシャンダを連れて来るよう言われてんらよ。だから大人しく捕まってくれると助かるんら」

「ルシャンダ、ゲートを開いて逃げて」

「和吉はまだ戦えるであります。それにわゆを置いて逃げたら、かっこ悪いでありますよ」


 ゆっくりと体勢を立て直し、これくらいでやられないでありますと左腕を上げると雷魔らいまが出てきたでありました。ここでは電気製品が勢揃い。効果は薄くとも逃げれるチャンスはあるであります。

 和吉は雷魔を飛ばせ黒い雲ができるでありました。電気を貯めさせ雷鳴が鳴り響き、和吉はわゆを引き寄せ落雷と同時に電気を放ったであります。強い光で和吉はゲートを開け、違う場所へと逃げたでありました。

 

「ルシャンダ」

「ごめんであります」


 つい引き寄せてそのままにしていたでありますと離れ、ここはと言われたからタッタン町でありますと伝えたであります。


「あのままわゆ残っててもよかったんだよ。どうして?」

「ズユに聞きたいことがあります。和吉に隠していること話してであります」


 それを伝えると目を逸らし言われちゃったのかと悩み始めるズユであります。少しして話すから島に案内してと言われ島のゲートを開けたでありました。

 フリジンダ社へ入り、ジロジロ見られるも、使っていない応接室に案内するであります。


「ルシャンダ、ワイズとそれからノアもいればノアも呼んできてほしいの。二人に伝えておかなければならないことがあって」


 わかったでありますと伝え、和吉はモニター室に入ると部の社員が早かったですねと言われるでありました。大変なことがあったでありますと言いながら、社内と島に放送を流すであります。


「至急至急、ワイズとノアは応接室Dにお越しくださいであります。繰り返すであります。至急至急ワイズとノアは応接室Dにお越しくださいであります」


 これでよしでありますと応接室Dにお茶を四つ持って、中に入ろうとしたら廊下でどうしたとワイズとノアが到着するでありました。

 中に入ってもらい、二人は驚いているも空いているソファーに腰を下ろし、和吉はズユの隣に座るであります。


「さっき、速報が入ったから心配してたけど、何かあったのか?」

「本来ならばすぐ伝えるつもりだったんだけどね。天魔ジェルロとカディーラがしつこくて引きこもってたの。あのイベントが終わったら直接会いに行こうと思ってたから」


 ここでギブアンドテイクを出すのかと思ったでありましたが、今回は特別として情報を共有してくれたであります。


 三日前、わゆは脱走を図ったリアとティルを救出するためにウラデュエの都市に侵入し、うまくリアとティルを助けたはずが、二人を乗せた戦闘機が破壊したでありました。その頃ズユはカディーラに邪魔をされていたため、状況が読めなかったそうであります。

 そして空軍大将であるソラに確認したところ、リアはパトレア様に捕まってしまい、ティルは行方知らずになってしまったでありました。


「それで本当はもうこれ以上、ワイズたちには関わってほしくないのがわゆの理想なの。それでもワイズはリアを救いたい?」

「当たり前だろ。俺の妻でミライとノゾミの母親だ。なんとしてでも取り返すってフリジンダ社一同は動いてくれてる」

「リアがたとえ自我を失ってまで言える?」

「どういうことだ?」


 ノアが質問するとスマホを取り出して、見せてくれたのはヘリットであっても、身体には古代文字があり羽根が背中についているであります。そしてぼーっとしている様子に、ワイズがズユに聞き出すでありました。


「リアもこうなるって言うのかよ」

「あの時点では天魔ジェルロになりかけていた状態だったの。地に降りれば天魔ジェルロに変わるようにされている。たとえ救えたとしても、ヘリットのように自我を持てなくなるケースになるかもしれない。再度聞くけど、それでもリアを救いに行きたい?」


 ワイズはまじかと両手で顔を覆い、ノアも何も言い返せない状況であります。グックに見せられた映像は別で、パトレア様の膝に座っているリアは心を失ったかのような姿であっても翼や古代文字はなかったでありました。

 沈黙が続き、何か方法はあるはずでありますと伝えようとしたら、スマホが鳴ってみるとリアのチャットからティルからで、ゲートを頼みたいと言うメッセージだったであります。和吉はここでゲートを開けるとバタンとティルが倒れてしまったでありました。

 ワイズとノアが運び、和吉は扉を開け医務室へと運んでもらうであります。


「ティル、無事だった。よかった」

「相当な傷でありますが、大丈夫でありますかね。一応、ニディアに伝えるであります」


 ニディアにメッセージでティルが帰って来たでありますと報告してあげるとすぐ既読がつき、ゲート開けてと言われたから開けたでありました。


「ティルは?」

「医務室に運ばれたであります」


 ありがとうとニディアも医務室へ行き、和吉はズユを応接室に戻し、さっきワイズが座っていた場所に座ったであります。


「せっかくのイベント駄目になっちゃったでありますね」

「そうだね。一箇所しか遊べなかったけど、ルシャンダ。わゆと遊んでくれてありがとね。しばらくはパトレア様のことで仕事に専念しちゃうけど、またイベントあったら行こう」

「そうでありますね。ワイズとノアは整理が必要でありますから、後日メールで返信でもいいでありますか?」

「うん。そうしてくれると助かるかな。それとグックたちに目をつけられてるから、気をつけなよ」


 気をつけるでありますと告げ、ズユは和吉のゲートで帰ってしまったでありました。和吉は応接室を綺麗にしてティルの様子を見に行くであります。



 脱出したことで楽園には警備が強くなってしまい、逃げることは不可能となってしまったけれど、天魔ジェルロになりかけたことで、外に出ようとすると足がすくむ。

 ティルがいるから大丈夫と思っていたけれど結局無理だったと、ベランダにロッキングチェアを置いてそこに座っていた。ティルは無事に帰れたかなと思いながら、空の景色を眺めていると、リアとパトレア様から呼ばれ、ロッキングチェアから立ち上がる。


「パトレア様」

「これからはとと様と呼びなさい」

「はい、とと様」

「よろしい。今回脱走を図ったことは心がまだ痛みますが、許しましょう。但し、これからリアはわたわの後継ぎとして動いてもらいます。まずは気分展開にわたわとここに行きますよ」


 すっと渡されたのはファッションショーのイベント会場のお知らせのチラシ。そこにモデルさんの名前が入っており、そこに私はえっととと様の顔を見てしまった。表情が変わらない人であっても、私が落ち込んでいるのは見え見えだったんだろう。


「行ったとしても、発動は」

「わたわがいるから大丈夫。一度は見に行きたかったのでしょう。怖がることはありません。一般人を襲うつもりはさらさらありませんよ」


 とと様を信じていいのか分からずとも、ミライを一目見れば大丈夫かな。ありがとうございますととと様に伝えその日が待ち遠しかった。


 そしてファッションショー当日、とと様が選んだ洋服に着替え、新しいスマホをいただき、これでたくさんミライを撮れる。とと様の普段の服が神様が着ているような服だから、こうやってみると普段着は貴重かもとつい撮ってしまった。

 とと様はどうしたのですとにこにこしていて、撮った写真を見せてあげる。そしたら私のスマホでツーショットを撮り、行きましょうととと様の手を握りファッションショーへと向かった。


 会場では凄い人盛りでそれぞれチケットを手にしている。チケットはどうするんだろうと思ったら、こちらですよと関係者以外立ち入り禁止のところに入った。

 扉でノックをすると開き、パトレア様、リア様こちらへとスタッフがまさかのノールト人。関係者という名刺が付いているネックストラップをもらい首に下げる。ここでばったりワイズたちに会わないよねとそわそわしながら進んでいると、何か視線を感じた。チラッとみたらモデルさんたちがあれってとこそこそ話しているのが見える。


 私は思わずとと様の服を掴んでしまうと大丈夫ですよと、私の手を握りVIPルームに案内され入った。そこにはステージがよく見え、ペンライトがちらほらと輝いている。

 始まるまでには少し時間があり、スタッフがグッズを持って来てくれて、迷っているととと様が全部買ってくれた。


「ありがとうございます、とと様」

「いいのです。わたわは少し席を外しますが、ファッションショーを楽しみなさい」


 そう言ってとと様は部屋を後にし、開始時間までスマホをいじっていると時間になる。部屋が真っ暗になりステージとペンライトの光に包まれながら、ファッションショーが始まった。

 最初は女性モデルや男性モデルがランウェイを歩いていて、また洋服作りたいなと感じてしまう。エルらド族の楽園に着てから、とと様が指定した服ばかりだった。言えば作れるのかなと思うと全体が真っ暗になる。数秒後、周りのペンライトが文字となって、私は思わず泣きそうになった。


 ママにとどけとあって、再び暗くなり舞台が光ると、そこにミライとワイズがランウェイを歩いている。私は写真をたくさん撮り、見てるよと声に出したら、こちらを向いたかのように可愛らしい笑顔を見せてくれた。

 帰りたい、ミライとノゾミ、そしてワイズのところに帰りたいよと窓に手をつけると背後からヨウミに抱きしめられる。


「ヨ…ウミ?」

「やっと、我が輩の順番が回ってきて嬉しいよ」

「離してヨウミ。私は」


 きゃっと思わず声を出してファンズマとなったヨウミに捕まってしまった。とと様はどうしたのと思っていると、父様が入って来たけれど、とと様は何も言わずに見物するかのような目で見ている。


「ヨウミ、離れて。離れてよ。とと様!」

「離れてあげなさい。わたわはまだヨウミを受け入れていないことはわかっているでしょう」


 ヨウミが離れてくれて、私は身体を縮こめると、とと様が優しく包みこう言われた。


「大丈夫、後でゆっくり話しましょう。ヨウミ、一旦部屋を外してください。ミライがこちらを見ています」


 その言葉にミライが困惑しながらこちらを見ていて、ワイズが行くぞと引っ張るもミライは私を見ていた。私は大丈夫だよと手を振ってあげると、ワイズと一緒に撤退してくれる。

 ヨウミが撤退してくれたことで、どういうことなのか聞きたいけれど、とと様が綴った。


「今はミライの姿をちゃんと見届けてあげましょう」


 そう言われてもなぜヨウミがあそこにいたのか、なぜとと様はファンズマを嫌っているのにヨウミだけは心を開いているのか考えてしまう。

 けれどミライを見に来たから、その時間だけは救われた。



 スタッフや関係者の人たちに挨拶し終え、控え室に戻るとミライが俺の服を引っ張る。ミライは我慢しきれないようで、どうしてと不安を抱いているようだった。

 俺もリアとヨウミが接触している姿を見て戸惑ったが、観客を困らせるわけにいかなくて、ミライを退場させ新しい衣装に着替えさせてもらうもから元気で場を楽しませていたのは知っている。ママもちゃんと見ててくれてたよとミライの頭を撫でると俺に抱きついて少し泣いてしまう。


「ママに会いたいっ」

「俺もママに会いたいよ。もう帰っちゃったかもしれないけど、ちゃんとママは見ててくれてた」


 ヨウミは普段通りに仕事をしていたから、違和感はなかったけれど、ノアとイルルの助言によってヨウミが裏かもしれないというのは耳に入っていた。

 するとノックが聞こえ、モデルさんたちの誰かが挨拶しに来たのかなと扉を開けるとリアで飛びつかれる。


「リ、リア?」

「ごめんなさい。私っ」


 すると見慣れない人が現れても、なぜか神々しさを増しているような人でもしやと思ってしまった。ママと後ろにいたミライでリアはしゃがんでミライをギュッと抱きしめてあげる。

 俺はリアとミライだけにするため、扉を閉めどういうことだとその人に問う。


「なぜ、わざわざリアをここにさせた?」

「もう二度と会えないことだろうと思い、連れて来たのだよ」


 ふざけんなとその人の服を鷲掴みにし壁に突きつける。


「ミライがどんな思いで過ごしていたと思ってる!こういうことするなら、最初からリアはここにいさせるべきだ!」

「わたわは望んではいない。エルラド族の血筋は途絶えさせてはならない」

「じゃあなぜズユは放っておくんだよ。実の娘だろ」


 そしたら俺の手首を掴み、身体が凍りつくかのような笑みで言われた。


「見守っていますが、リアはヴィアント家を多少受け継いでいる。それが気に食わないのですよ。ですからリアはわたわの思うがままに生きてもらうだけです」


 この場で炎魔えんまを出しそうになったところ、扉が開きリアが出て来てしまって、何してるのと引き離される。


「ワイズ、私は平気だから子供たちをお願い。みんなにも迷惑かけてばかりだけど」


 リアが言いかけていたとしても、リアを抱きしめ、そばにいられないことが俺にとって苦痛すぎる。もっと強くならなければこの人には勝てないことがわかっていた。

 時間ですとその人に言われてしまい、リアは俺と口付けをして、帰られてしまう。パパとひょっこり顔を出していたミライで寂しくないかと聞いたら、ママに会えたから平気と言った。本音は違うのだろうにとミライの頭を撫で、帰ろうかと荷物を持って島に帰る。

 それ以来ヨウミがフリジンダ社に出勤することがなくなり、ヨウミの家に行ってみると置き手紙があった。そこに記されていたのは、


 今まで世話になった。騙すようなことになるが、我が輩の気持ちがもう我慢できないようだ。すまない、ワイズ、ノア。


 とだけ。それで発覚した。ヨウミがエルラド族の末裔に繋がっていることを。

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