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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
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79話 脱出

 一週間後、ロンゴールが俺たちのところに来て、今、ロンゴールに指導をもらっているミライを見届けていた。ちゃんと消えるだろうかと思いながらも、夏季休暇を終えたみんなは仕事に戻っている。

 俺もノゾミの面倒を見ながらノートパソコンで仕事をしつつ、ミライを見ているとパーパとノゾミに呼ばれた。見るとおもちゃが地面に落ちてしまったらしく、それを拾い除菌シートで拭いて渡してあげる。

 

 ミライが赤ん坊の時に使っていた玩具で遊んでおり、女の子だからおままごとセットとか買おうかと思い始めた。そんなことを考えながら、カタカタと作業しているとルシャンダから無線で言われる。


『和吉はどうしたらいいでありますか。仕事に集中できないであります。もっと夏季休暇増やすべきでありますよ』

「あのなぁ、失恋を仕事に持ってくるんじゃない。あのイベント、どうするんだ?もうすぐなんだろ?ルマと一緒に行ったらどうだ?」


 むぅと俺の中でのルシャンダの今の様子は顎を机につけ、不貞腐れている様子が目に浮かんだ。

 引きこもり生活を送っていたニディアを無理やり花火大会に呼び出したが、運悪く天魔ジェルロとファンズマが出てしまった。

 そしてニディアが俺を呼びに来て、ルシャンダとデザン隊長が大喧嘩している場に入って止めるのが必死だったな。俺はルシャンダを抑えて、ズユの仲間の人にデザンを抑えるも、口喧嘩が始まった。


 ルシャンダはズユちゃんとイベントに行くんだと言いながらも、デザン隊長は俺様の女に手出してるんじゃねえと言い出していた。

 そんなの嘘だとルシャンダは半泣きをしている時に、ズユが登場し何やってんのーと一発デザン隊長に拳骨を与えている。それでズユはきっぱりルシャンダに言ったのだ。

 ルシャンダは男友達として見てるからごめんねと言って、デザン隊長の手を握り、ズユの仲間たちを連れて退散した。


 親父は残念だったなと少々笑っていながらルシャンダを励ますも、ルシャンダにとっては初めての恋だったらしく、先にホテルへと行ってしまって、休暇中はホテルに引きこもっていたな。

 ルシャンダに新しい女を紹介しようか当てはあるが、ネットでの繋がりができるのは今のところ、ズユだけだ。

 

「他に気になる子はいないのかよ」

『いないであります。ハッカークロウに先ほど馬鹿にされたでありますよ。ハッキングした女と付き合えるかって。ハッカークロウはすでに彼女持ちでありました。なんか悔しいであります」


 笑いたくなるようなことで、こう見えてクロウはデッドハラン王国の調査隊長であったこともあり、時に外出をして調査をしていたらしい。調査をする上で一目惚れをした一般女性と交際していると本人から聞いたことがあった。

 負けるなルシャンダと心の中で叫びながら、別のことに切り替えせようと話す。


「ルシャンダ、別件なんだけど」

「話そらさないであります。むぅそれで別件はなんでありますか?」

「ヨウミが以前、ズユの基地にお邪魔した時、情報もらったんだろ?その情報を俺に送っといてくれるか?」

「ズユとのメールはすべて削除したでありますが、復元して送っとくであります。イベントはウバンとネフィラに渡すでありますよ。和吉はもう島から出ないであります」


 二人はそのイベントに興味は持たないと思うんだがと思いながらも、しばらくルシャンダはズユのことを考えたくないのだろうと思った。そうなればと思っているとスーツケースを持ったシフォンとキアが現れたのだ。

 悪い、一度無線オフにするぞとルシャンダに告げ、あいあいさーと機嫌の悪い声を聞き、無線をオフにする。


「一週間前ぶりだな。どうした?大荷物持って」

「ワイズ、ただいま。帰り際にこれをワイズに渡すよう預かったものがあって」


 キアが俺に封筒を渡し、綺麗に開けて読んでみることに。


 ワイズ、わたわの子はリアのみだということはわかっているだろうか。

 キアは乱暴なエンディードを生み出すこともあり、体内から出すため、一度預かったまで。

 おそらくルワードはそれを聞いて、ワイズたちの前に現れるかもしれないということを伝えておこう。

 そこでノアが暴走しないようにと心構えしておくように。

 二人は秋に結婚をするということで、ティルとリアのことは忘れてもらい、地に降りてもらった。

 ワイズの能力、そしてミライの能力を使っても、二人の記憶は回復させられないということを覚えておきなさい。

 さてノゾミは残念だった。

 ティルの子に宿らせようとしたのですが、研究をした結果。

 ノゾミの体内に忍ばせていたティルの遺伝子が消滅し、ワイズとリアの子だという証明が明らかとなってしまった。

 ノゾミはまだ小さいこともあり、ワイズに返したが、リアとの接触はもう二度とないことを伝えておきましょう。

 リアはわたわの思うがままに生きてもらいます。

 ティルがリアと一緒に脱走を図ろうとも、二人はわたわから逃げきれないことを、心に刻みなさい。

 では、リアの子供たちを頼みましたよ。 


 手紙をくしゃっとしノゾミが泣いてしまってキアがノゾミをあやす。


「シフォン、帰ってきたわけはなんだ?」

「旅行で何週間かはお休みいただくって言っていませんでした?」


 やはり記憶が抹消されてんだとその手紙は燃やし、ティルにやったように弾き飛ばされる可能性が高い。ヘリットに頼みたいがズユとギブアンドテイクをしなければならなくなる。


「報告が漏れていたようだ。気づかなくて悪かったな。満喫できたようでよかったよ」

「あのさ、ワイズって結婚してたっけ?」


 キアにこんなことを言われるとは少々心が痛いよと思いながら、二児のパパだよとノゾミを返してもらい、さっきはごめんなと謝った。そしたらノゾミが笑ってくれて、二人はフリジンダ社の社員として動いているってことでいいんだよな。

 そうとなればシフォンとキアの家が必要になるけれど、開発地に造った家の空き情報を後で調べておくか。キアはもしかすると島のことを思い出すかもしれないしな。


「シフォン、一応確認だけど、どこで働いているか覚えているか?」

「何を言ってるんですか。余はずっとフリジンダ社でワイズ様の秘書をしている。元ライディー騎士団でもワイズ様を支えていたじゃありませんか」

「じゃあキアはなんの仕事を任せているか覚えているか?」

「僕はフリジンダ社司令部代理官。忘れるわけがないよ」


 キアは正解であってもシフォンの言葉に違和感を感じた。俺は元逃走者でシフォンと一緒に過ごしていたわけじゃない。ティルと過ごした記憶を俺と過ごした記憶へと変わっていることがはっきりした。

 これを知ったティルはだいぶショック受けそうだなと思いながら合格と伝える。後でシフォンとキア抜きでオンライン会議をしとくとして、手紙の内容に書かれていたことを聞いた。


「式はどこでやるんだ?」


 二人は頬を染め、シフォンがタブレットを取り出し、式場はここでやるらしい。そこはティルにサプライズ披露宴をしてくれた、思い出が詰まった島。今はカディヴィア社が式場として運営をしている。

 またこの島に訪れることになるとはなと思いながらも、何かあったら手伝うからなと告げ、二人は照れながら感謝を述べた。二人は一度、シフォンの父親であるユフェンに報告しに行き、無線をオンにする。


「ルシャンダ、緊急オンライン会議を始める。幹部を集めてくれ」

『キアとシフォンの歓迎会はどうするでありますか?』

「全社員、及びニューダ社員とカディヴィア社員たちに伝達を頼むけど歓迎会はするな。キアとシフォンの記憶が変わっている」

『了解であります。あの手紙燃やしてよかったでありますか?和吉、防犯カメラの映像を拡大して読んでしまったであります』

「あの内容は誰にも見せたくない情報だから、ルシャンダ、内密にな。サーバー対策部の社員たちも見ていたら、伏せるよう伝えてくれ。準備ができ次第、開始する」


 あいあいさーと返事をしてもらい、俺はルシャンダの応答が来るまでノゾミと遊んであげた。



 シフォンとキアが無事に地へと降りた報告を受け、みんなの元に帰っている頃だろうなと思いながら仕事をしていた。新しい秘書はどうするかと思いつつ、資料を整理しているとスマホが鳴る。

 誰かと思えばリアからで準備が整ったよという連絡だった。いよいよかと後ろの棚にある金庫の番号を入れ開ける。そこに入っているのは、脱出するための道具。これを準備するには結構な時間がかかったけれど、今日の夜決行をする。ウラデュエを出るには三つを通らなければならない。


 僕は簡単に地と天を行き来できるけれど、リアは簡単に天から出られないようになっている。僕が調べたルートであれば確実に脱出は可能になるはずだ。これが失敗すれば僕はパトレア様から天罰を受ける覚悟はできている。

 ただ一番厄介なのはスターリで、遭遇してしまったらアウトだ。

 だから僕とリアはあることを思いついた。リアは時に眠れないこともあったことで、強力な睡眠薬をスターリからもらっており、それを飲ませた後に脱出する予定にはなっている。それを飲ませるのはリアだから、うまく行ってほしいと願うしかない。

 

 仕事をしていたら珍しく父様が入って来た。王だから様をつけろと命令されている。父様はソファーに座り、こっちに来いと言われたから、向かいのソファーに腰を下ろした。


「父様、何かご用でしょうか?」

「子はまだ授かっていないようだな。パトレア様の機嫌が悪くなっている。早く子を宿らせろ」

「リアの体調を考えながらやっているので、もう少し待っていただきたい」


 ここでニディアと接触していることがばれたら、僕はきっとパトレア様の天罰をもらっている頃だろう。そしたら小瓶に入った液体と注射器が入ったケースを取り出した。


「今日の夜にこれをリアに刺し、リアを抱け。そうすればうまくいく」


 昔の僕はきっと父様の指示に従っていたと思うけれど、僕はもうこれ以上リアを抱けないし、リアはそれを望んではいない。父様はパトレア様の愛弟子だから、僕をコントロールしたがる気持ちは子供の時から知ってた。今は耐えるべきとそのケースは一応預かる。


「わかりました。今日の夜、実行します。あのもしかしたらパトレア様が見ていらっしゃると思うのでその時間帯は見ないようにお伝えできますか?」

「夜は見ていないと言っているから、安心しろ。もし私を失望させたら、わかるよな?」


 はいと告げると父様は城へと戻って行き、夜これは捨てようと決めた。


 そして決行の夜。リアとやってますアピールを女官たちに見せつつ、女官たちと警備兵がいなくなった気配がとれた。僕とリアは速攻に着替え、リアの手を握り脱出ルートを辿りながら物陰に隠れ、警備兵が通りすがるのを待つ。

 スターリはリアに渡した薬でガッツリ寝てもらっているから一安心だ。後は幹部たちに見つからなければと警備兵が通りすがり、忍足で走って行く。


 途中まではうまく行ったものの、警備兵がやたら多く感じた。僕が調べた時は警備兵がそんなにいなかった。なぜだと影魔えいまに聞く。


「ルート変更できそう?」

「ルートは変更できないようだ。あそこを突破するしか道はない」


 能力は温存したいけれど使うしかなさそうだなと影魔えいまを使って衣服が真っ黒となる。それで僕は堂々と出て警備兵に止まれと叫んだ。止まったことで影魔えいまと叫び、僕の背中に羽がつきリアを連れて飛行した。

 リアはしっかり僕にしがみついて、落ちないようにしながらエルラド族の楽園から出る。次はウラデュエの都市でグックがいたら、戦うしかないだろうな。今頃、エルラド族の楽園では大騒ぎになって僕たちを探し出しているはず。


 都市に行けば隠れる場所は把握してあるからまずはそこに行く。それまでに何も起きなければいいけれど、天魔ジェルロが動き出している気配を感じた。

 とにかく都市に行ければ身を隠せるだろうと都市が見え、向かっていると天魔ジェルロが複数目の前にいる。


 止まれと天魔ジェルロを止め、倒せなくても止まってくれるから好都合だった。ウラデュエの都市につき影を利用しながら、一度身を隠す。

 やっぱり予定より早く天魔ジェルロが来たことで、グックたちも動き出しそうだな。


「ティル」

「僕の手を絶対に離さないで。大丈夫、ワイズのところにちゃんと帰れるから心配はいらないよ」


 本来ならばスマホを使ってルシャンダが気づいてくれればゲートを開いてくれそうだけれど、この状況はさすがにゲートは開けられない。だからなんとか地まで降りてそこからゲートを開けてもらうためにスマホが必要だった。

 天魔ジェルロがいなくなったことで、僕はリアを連れて逃げる。走って時に隠れの繰り返しであっても、グックに遭遇しなかったのが幸いだった。


 後もう少しで空の海岸に行けるけれど、パトレア様は空の海を眺めていらっしゃることが多い。空の海に潜った時に気づかれてしまったら、パトレア様の天罰が下る。

 ここは慎重にと動こうとしたら、待ってとリアが僕の服を掴んで止まった。リアは怯えるようにあれと指を指していて、そちらに目をやるとあれはなんだ。巨人らしいけれど天魔ジェルロのような姿をしている。あれに捕まったら元も子もない。僕らが脱走したからあれが現れたというのか。


影魔えいまルートはどうなってる?」

「途中途中に天魔ジュエロがいるようだ」


 所々に天魔ジェルロがいたとしても、グックたちがいないようだからスムーズに行けるかもしれないと、巨人と反対方向へと進んだ。

 

 ◇


 報告が上がり一斉にリア様とティル様の捜索が始まっていながら、私は急いで自分の部屋へと行きある扉を開けた。そこにいたのは、餓死寸前の老爺をおんぶしズユのところへと急ぐ。まだ死なないでください、炎帝と願いながら鍵を開けズユの部屋へと逃した。

 ズユは驚いた表情をしていて、何があったのと言いながら受話器をとり医者を連れて来てくれる。

「ズユ、私はどうなるかわかりません。たった今、ティル様がリア様を連れて脱走しています。今のところ楽園から出て都市へと逃げているようですが、時間の問題でしょう」

「意外すぎるけど、好都合。情報ありがとう。ジルーはベインを連れて脱出して。わゆは二人を保護する」


 お願いしますと告げ、ベインの部屋へと入り脱出することにした。



 後一歩のところでグックとそしてヴェルディが待ち構えていた。なぜ現れなかったのか思っていたけれど、僕たちの脱出計画を知っていたかのようにここで待ち伏せていたということ。


「大人しくしているかと思えば、そういうことだったんら」

「俺らを突破するのは不可能だ。楽園に帰ってもらおう」


 天魔ジェルロとグックの妖精であるスニャンパが複数現れた。二人は僕の能力が効かないけれど、リアは能力者の倍が出せるということだ。僕の能力を吸収したリアは止まれと発すると二人は驚いた表情で固まった。

 これでと僕はリアを連れて突破をし、空の海へと潜り地上へと目指す。するとビルーが潜って来て空の海だというのに、僕らに向かってビー玉を投げてきた。

 あのビー玉に触れたら、縄が出てくる仕組みはわかってると一度止まり作戦通り僕とリアは雲に触れて白い雲を黒くさせる。ビルーが見えなくなったところで、僕はリアを抱き抱え影魔えいまの翼を出し空の海から脱出した。


 その先はやっぱりリスヴィオン王国の真上だったらしく、ここは防犯カメラがないからスマホを使ってルシャンダに連絡するしかなさそう。その時だった。リアが苦しみ出し、リアを抱っこして建物の屋上に足をつける。

 早くルシャンダを呼ばないととリアのスマホを取り出して、連絡しようとしたらリアの身体から古代文字が現れ、白い翼が背中から出てきた。どうなっていると混乱していたら、パトレア様が空から現れ僕はリアを抱え、距離を離す。

 パトレア様は凛々しい顔をしながら手を差し伸べ、僕に忠告をした。


「リアをわたわのところに返さないとリアは天魔ジェルロへと変わります。そうさせたくないでしょう。さあ早く、リアを渡しなさい」


 古代文字ならヨウミなら解けるはずだ。絶対にリアを渡すものかと思っていても、リアは苦しそうにしながら僕に告げる。


「私は大丈夫だから、ティルだけでも脱出してっ」

「そんなのできない!ワイズのところに一緒に帰ろう」

「子どもたちに危険が及ぶのは避けたいのっ。だからティルっ」


 リアの顔が段々と天魔ジェルロの姿になりそうで、リアを置いて帰れるわけがないと、リアを抱きしめる。そしたらパトレア様がおやと言い、前を向くと目の前には知らない女の子がいた。


「間に合ってよかったー。ティル、もう大丈夫。リアは必ず元に戻すから少し待っててくれる?」

「君は?」

「わゆ?わゆはねぇ、パトレア様の支配を奪い取って、覆すために動いている者かな。まあ実際にパトレア様が本当の支配者ではないことはわかっていますよ、パトレア様」

「なんのことでしょう。わたわは娘がこんな穢れた地にいてほしくないから、迎えに来たのです」


 ふうんと言いながらズユはリアの状況を見て、パトレア様に言い放つ。


「娘にこんなことはしないはずだと思うな。それとも娘が反抗的だからあれを使ったの?最低な父親だな」

「あなたにとにかく言われる筋合いはありません。エルラド族ともあるズユ、あなたには失望しましたよ。あの時に排除しておくべきでした」

「あの気色悪い楽園から出て正解だったよ、とと様!」


 今なんて言ったと思いながら陸が歪み始めて行き、建物から落ちそうになったところ、ゴーグルをつけた少年が助けてくれて戦闘機の中へと入れてくれた。

 けれどリスヴィオン王国から離れるとリアじゃなくなって行き、それを見た少年はズユに報告する。


「ズユ、大変きゅう。リスヴィオン王国から離れようとするとリアが天魔ジェルロへと変わって行くきゅよ。了解だきゅう。ティル、リアの思いがまだあるならリアにキスするきゅう。愛する力で人間に戻るきゅよ」


 愛する力と思いながらも僕はリアがリアでいてほしいから、リアに口付けをするもリアが戻らない。何度やっても効果はなくもしかしてワイズじゃないと無理なのかと感じてしまった。

 それを見た少年はリスヴィオン王国へと引き返すも、ミサイルがこっちに向かって、戦闘機が爆発する。



 やや遠くで爆発が起き、ソラと呼びかけているも反応がない。何が起きたのと思っていたら、パトレア様、わゆの実の父親はくくくと笑い、観念しなさいととと様に言われてしまう。


「ズユも楽園に戻ってくるのならば、今回のことは見逃してあげましょう」

「わゆは絶対に戻らない!とと様のやり方は間違ってるよ!こんなのおかしすぎる!」

「ズユに理解できないのがお辛い。カディーラ」


 そこに現れたのはカディーラであり、ズユはこの人が一番苦手なのはとと様は知っている。父様と似たように常に微笑んでいる不気味な笑顔が大っ嫌いだ。

 

「ここでお会いできて光栄だ、ズユ様」

「わゆは会いたくなかった。こんなことしてもオーデュエたちはそれを望んでないはずだよ。それともオーデュエとイルルもあの楽園に閉じ込める気?」

「そこまで知っているとは、さすがパトレア様の子だ。パトレア様、ここは私がお相手をいたします。ですので、パトレア様はリア様を」


 頼みましたよととと様は行ってしまい、あの爆発はおそらくヴェルディが仕掛けたミサイル。カディーラの能力は氷と一定の時間を巻き戻し修正できる能力。カディーラはそれによってとと様が思い描く世界を手伝っていた。

 時間が巻き戻されたことは誰も知らないけれど、わゆはとと様の遺伝子があるせいなのか、時間が巻き戻っていることがわかる。

 アリュアという女性はかつて楽園から脱走したエルラド族の女性だった。カディーラは正体を明かさず、その女性を探し出し、想いを寄せできたのがオーデュエとイルル。今は消息不明となっているけれど、パトレア様の天罰によって天魔ジェルロもしくはある組織に連れて行かれた可能性がある。


 カディーラは鞭を取り出して、お仕置きタイムということ。リクとカイはそれぞれ相手をしてもらっているようだし、ソラはあの程度ではやられたりはしない。

 ここはわゆも負けてはいられないなと、本来の能力を発動させカディーラに挑んだ。



 爆発によってリアを守りながら戦闘機から脱出するも、さっきの少年は無事かわからない。リアは天魔ジェルロになりかけている寸前で、思うように喋れないような感じだ。僕はなぜ気づかなかった。

 なぜリアはこのことを打ち明けてくれなかったんだと思考を膨らませていると、足音が聞こえそちらに目を向けるとパトレア様がいらっしゃる。


「もう逃げるのはやめなさい。天魔ジェルロになるリアは見たくないでしょう」

「リアに何をした?それにさっきの子がとと様と言っていた。どういうことだ」

「ズユは腹違いの子で母親はもちろんエルラド族。つまり純潔な子です。ですが七年前、ズユの母がズユを連れ楽園から脱走をした。そのせいでズユは穢れてしまい、放置していましたがわざわざ会いに来てくれるとは思っても見ませんでしたよ」


 娘がいながらもその子を放ったらかしリアに執着しているのもどうかと思う。ここでリアを手放せばリアは完全に僕らのことを忘れるのは確実だ。どうすると悩んでいたら、ジョセが現れ僕に向かって攻撃しようとして回避する。ここでリアを置いたらパトレア様が連れて行く。

 考える暇はなく、リアを地面に寝かせジョセの攻撃を止めていると、ピットが天魔ジェルロ七体を連れて来た。演唱はさせないとリアを助けようとも間に合わない。ジョセに邪魔をされ僕は地面に突きつけられジョセが僕の上に乗っかる。


「リア!」


 呼んでもリアは天魔ジェルロに囲まれ、天魔ジェルロが演唱した後、消えてしまい、僕は思いっきり叫び、影を使って脱出するしかなかった。

 


 ティルは残念でしたが、リアは無事に戻せたことで、今日のところは許してあげましょう。いずれティルには天罰を与えますから、それまでごゆるりと過ごしていればいい。

 リアの寝室に寝かせてもらい、天魔ジェルロは退散して、ピットが申し訳ございませんと謝罪をする。


「スターリに後できつく始動させますので、どうか」

「よいのです。もとからティルの行動は読んでいました。ピットは今まで通りに動いてくれればいいのです」

「嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからどうするおつもりですか?」

「ティルとうまくいっていなかったことも承知しています。ですから、ピット。ワイズに見せていた夢を一部変更させなさい。そうですね、私に忠誠をくれているエルラド族の息子、ヨウミにいたしましょう。ヨウミならリアのことを頼める。それとヨウミの母親にも伝えなさい。息子に会えると」


 御意とピットはリアの部屋を後にし、ヨウミはファンズマでありながらもエルラド族には変わりない。ファンズマの能力を消したとしても、人間として生きられるようにはしてある。

 あの状況になったのですから、リアはこの楽園からもう二度と脱出はしないでしょうとリアに布団をかけ、ヨウミと接触する準備をしに行った。

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