76話 花火大会で
ブルーバスの土地では毎年、花火大会が行われ、夏季休暇ということもあり、各土地からブルーバスの土地に多くの人たちが訪れている。パトレア様より許可を得て、リアとノゾミを連れてブルーバスの土地にある、ビーチに来ていた。もちろん、キアたちも同行している。
あの人たちってと観光客の人たちに噂されるも、僕たちは気にせずリフレッシュをしていた。リアはノゾミを抱っこして足に水をつけながら、海を眺めている。僕はビーチベッドに寝っ転がりながらタブレットで新聞を読んでいた。また一件、無差別事件が起きており、ワガラ警視庁は引き続きその事件を追っているようだ。
見ていたらリアの顔が入り、ムウという表情をしていたからタブレットをスリープ状態にする。
「せっかく来たんだし、仕事のことは考えないでよね」
「ごめん。つい癖で見てただけだよ。夜に着る浴衣決めたの?」
「うん。パトレア様が用意してくれた浴衣持って来てるよ」
リアは少し自分で決めた浴衣を着たかったのだろうと思いながら、僕の隣にあるビーチベッドに腰を下ろす。ノゾミはキアに任せているようだ。
最近何かを思い詰めているような雰囲気で、相談に乗ろうとしたら、うっひょーいとはしゃぐ観光客をみる。騒々しいなと思いながら、リアはその人たちを見ていた。
観光客たちが子役のミライくんじゃないと噂をしている。よくよくみると最近話題となっている子役、ミライ・ノールディンくんが父親らしい人と遊びに来ていた。
「リア。大丈夫だろうから、ミライくんに会ってくる?」
「いいの?パトレア様に怒られない?」
「そんなことでパトレア様が怒るはずがないよ。行ってみよう」
リアは戸惑っているも、ノゾミをキアに返してもらい、一緒にミライくんのところへと向かう。ミライくんは人気でもあるせいなのか、警護がついているようでベルトポールが立てられてしまい制御された。
観光客はこっち向いてミライくんと叫んでおり、ミライくんは笑顔で観光客にファンサービスをしながら、ビーチで遊ぶ姿を見る。リアはミライと最初は小さく言い、それが段々と大きく声を出してミライと叫ぶ。
観光客はやっぱりとリアの動画を撮り始め、僕は行くよと伝えるも嫌っと言い出して、それに気づくミライくんは海から出て僕たちを見ている。
「ティル、離して!離してよっ」
「リア、落ち着いて。ほら、迷惑になるから、行こう」
無理矢理でもリアを引っ張るとノゾミが泣き出してしまい、困ったなと思ったらミライくんの父親が来た。どこかで会ったような、そんな感覚で、ミライくんの父親はリアからノゾミをとりあやす。するとノゾミは泣くのをやめ、笑顔になりミライくんの父親の顔に触れた。
ミライくんの父親は愛おしそうに、ノゾミを見て、ノゾミに伝える。
「びっくりさせちゃってごめんな。ミライをいつも応援してくれてるのかな?これは迷惑しちゃったサービス。気に入ってくれるといいな。お母さん、これを」
リアに渡したのは、ミライくんがマスコットとなった商品で、なかなか入手が難しいとネットに騒いでいたものだった。それを受け取るリアは涙目を見せ、ありがとうと告げるとノゾミをリアに返し、ミライくんと一緒に遊び始める。
よかったねとそのマスコットを見せながら、リアはノゾミにそれを渡してビーチベッドに戻った。なんだこの感覚はと胸が騒ぎ始める。
ビーチベッドに戻った直後、胸辺りが激しく痛み、リアたちが僕を呼んでいるも暗闇へと落ちていった。
◇
ティル、ティルしっかりしてと揺すっても反応がなく、グックがティルを運び、ジルーが扉を出してくれてその中へと入った。ティルは完全にワイズたちの記憶がないから、ワイズと接触した影響が原因かもしれない。
ピットはパトレア様のところへ行って報告しに行ってしまった。
「誰かが情報を漏らしたとしか言いようがないようだな」
「どうするの?海から天魔出してもいいけど」
「偶然にあっただけだろうら。ただピットが帰ってくるまではリア、ここで待つんらよ。勝手にワイズと接触したらわかるよら?」
「わかってる。ティルのそばにいるから、ノゾミだけは遊ばせてあげて」
ビルーにノゾミを預け行ってもらい、私はティルの手を握ってティルが目を覚ますのを待つ。ティルが完全に回復したら、脱出計画を練る。
けれど今のティルのままなら、何も言わずにティルと過ごす。グックもジルーも退散して行き、ジョセだけが残った。
「リア様、よろしかったのですか?」
「うん…。どちらにせよ、パトレア様は天で見てらっしゃるし、私はパトレア様から逃げられないの」
おでこを指しながらそう伝えると珍しくジョセが隣に来て私のおでこに触れる。
「リフィアの時と同じ。パトレア様は何を考えてる。娘にも同じ姿にさせ何をさせる気なのか」
「あの、パトレア様はなぜ、そこまで…」
「パトレア様は誰にも見せていない裏の顔がある。それを知っているのは愚生、そしてピットのみ」
「裏の顔…」
それはどんな顔なのだろうと想像しても、微笑んでいる姿しか思いつかなかった。
「パトレア様がファンズマを憎んでいるのは存じてる?」
「直接伺っています」
「パトレア様のご家族はファンズマによって殺された。それまでは心が清らかで、ファンズマにも人間にも優しかった。けれどファンズマにご家族を殺されたことで、心が壊れ、ファンズマが裏切るというのならば、他国のものたちも同じと考えた。それによって、パトレア様は愛弟子であるオーケルにファンズマを制圧させ、裏切るものたちはパトレア様によって、天魔にさせられた」
パトレア様のご家族がファンズマによって殺された。つまり私の先祖の人たちということ。
「パトレア様は創造主の能力なこともあり、神に等しい力を得ている。パトレア様が死なない限り、この世界はパトレア様によって支配されているようなもの」
パトレア様がいる限り、私たちの自由はないってことなんだ。こんなこと聞いちゃって無事ではいられないような気がする。そしたらタイミングよくピットが来ちゃった。
「なあに、リア様に情報流しちゃってんの?まあそれくらいでパトレア様は怒んないけど」
「パトレア様はなんと?」
「なぜ元旦那様がいたのかは把握していないらしいけれど、しばらくすれば起きるだろうと。リア様、ティル様のおそばにいてくださいとご指示を承りました」
うんと相槌を打ちピットは浮き輪を持って、ビーチへと行き、ティルが起きるまで待つことに。
◇
ミライと水の掛け合いっこをしながら、遊んでいた。フリジンダ社は夏季休暇となっていて、それぞれ休暇をとりつつ、花火大会に来ている。
それにしてもリアたちと遭遇できてラッキーだったが、あえて知らない振りをしていたのは訳があった。それはヘリットからのメッセージだとしても、それがヘリットからの情報ではないということ。
ヨウミがフウトウ街に行った際に、出会ったズユという子からの情報で、花火大会で何かが起きるという情報をもらった。それがなんなのかは、ズユは把握していないようだが、夜、何かが起きるということ。そしてそこにリアたちが来るが知らない振りをしておいてと言われた。
本当は真っ先にリアを返してもらおうとしたけれど、ティルの状況を見て、さすがにあの時点でリアを奪い返したら大事になると思ったからだ。
警備の後ろにはまだミライファンの人たちが俺たちのことを撮っており、気にしていなくてもまだそこにキアとシフォンは見ている。どうするかなと考えていると隣から大きな水を喰らったのだ。びしょびしょになりすぎて、やった人物に思いっきり水をかける。
「ごっめーん。ミライ、大丈夫だった?」
俺は咄嗟にミライが見ないようにと手で目を覆わせ、観光客の男性たちが倒れているような音が聞こえた。ガリシャは鼻血を大量に出し、テルゼにしっかりしてくださいと止血をしている。
ネフィラたちに笑われながら、俺にぶっかけてきて、この影響まずくないかと感じてしまった。
「俺より、みんなにかけろよ、サリラ」
観光客が社長ってと引き始めているような噂話をされそうで、ミライを連れて一時ホテルへと帰る。危なかったとため息を出していると、ミライが俺の海パンを少し掴み、どうしたとしゃがんだ。
「ママとノゾミ帰ってくる?」
「んー今の段階だとな、助けたとしてもまた奪われちゃうかもしれない。ミライ、_ごめんな」
「パパ」
んと頭を撫でているとミライは最初しゅんとしていたが、ミライは俺の瞳をしっかり見て俺に伝える。
「パパのように、強くなって、ミライも、ママとノゾミを助けたい。ずっと待っているのは嫌だ」
ミライからそんな言葉をもらえるだなんてとぎゅうと抱きしめてあげた。ミライは小さな手で俺の背中に手を回す。
「ミライがそこまで言うなら、お休み終わったら稽古して、一緒にママとノゾミを助けに行こうな」
うんといい返事をもらい、俺たちは一度シャワーを浴びて浴衣に着替えることにした。
夕方となりホムリは花火師として仕事へと入り、準備をしているようだ。はぐれないようにミライの手を握り、ミライがやりたいと行っていた金魚すくいの屋台へと行く。
ミライはしゃがんで金魚を眺めており、おじさんがニコニコしながら、いらっしゃいと言われ、お金を払い、ポイをもらった。よしすくうかと腕をまくりしやろうとしたら、隣になんとカディヴィア東軍隊長のデザンもポイを持っている。
「デザン隊長、それからそちらは?」
「初めましてだねえ、ワイズ。わゆはズユだよぉ。よろしくね。そうそう、ミライくん」
ズユはミライの隣に行き、巾着から何かを取り出し、ミライに渡した。ミライはこれなあにと聞いており、これはねぇとズユが操作の仕方を説明する。そこに映っていたのはリアとノゾミのフォトアルバムとなっていた。
「今は寂しいかもしれないけど、わゆたちもミライくんのママとノゾミちゃんを助け出す。寂しいなって時はそれを押して元気出してね」
ズユはいつでも持ってられるようにと紐がそのキューブにつけられておりミライの首に下げてあげる。ミライはありがとうと感謝を述べていて、よしっ俺もと金魚をすくおうとしたら空っぽになっていたのだ。
隣をみるとデザンが満足げの顔をしていて、俺の分も残せと言いたいくらいだった。せっかくミライにかっこいいところ見せたかったのによと、落ち込んでいたら四匹を俺のお椀に移してくれる。
「とりすぎた」
「んっもう。ごめんなさい、店主さん」
「それにしてもよくポイ破れなかったな。破けるようにはしてんのによ」
ドヤ顔でいるデザン隊長であり、四匹の金魚をもらいミライは可愛らしい笑顔でお兄ちゃんありがとうと言った。俺は親父の遺伝子があるせいで、親バカになりその瞬間を写真に収める。
そしたらいきなり二人が笑い出し、親バカとハモる二人で、金魚すくいの店主はほっこりした笑みで俺たちを見ていたのだ。なぜか恥ずかしくなり、次どこ行こうかとミライに聞くと、あのお兄ちゃんとあれがしたいと言われて、ミライに振られる俺であった。
ミライはくれた金魚を俺に託し、デザン隊長の手を引っ張って射的屋の屋台へと行く。俺から離れんなよとズユと射的屋のところへと歩きながら話した。
「ここに来たと言うことは」
「ワイズと話しておきたかったからちょうどよかったよ。天魔になったヘリットを確保した。島に入る直前だったから、ルシャンダとタングは勘づいていたかもしれない」
「確かに妙な報告は二人から聞いてる。ヘリットは大丈夫なのか?」
「まだ天魔の姿のままで、何も聞けてはいないけれど、ジルーから情報を得られた。狙いはルシャンダでウラデュエに連れてくるよう指示が出ていたらしい。ヘリットが駄目なら他の天魔がルシャンダを襲うかもしれないから注意して」
ルシャンダがとうとう目をつけられたか。今までルシャンダが狙われなかったのが奇跡のようなものだ。これ以上俺の仲間を奪わせはさせない。
ズユが足を止め耳に手を当て何かを聞いているような仕草だった。次第にズユは表情を曇らせ、リクと叫ぶ。そしたらデザンがこちらを向き、ミライごめんとデザンはどこかへと行ってしまう。
「何があった?」
「来る」
ひゅうと花火が打ち明けられ、観光客は花火に夢中になっている隙に、あちこちからモクディガンと新種のファンズマ、フザラーに、天魔が出現した。
それによって気づいた観光客は逃げろと叫び出し、観光客は大慌て逃げていく。俺ははぐれないようにミライの手を握って、人の津波から外れた。どうなってんだよとズユの姿がなく、周囲を見渡していたら、ヨウミとウリが人の津波になぜか流されている。二人を呼ぶと気づいてくれて、なんとか人の津波から抜け出す。
「皆とはぐれてしまった。この状況は少しおかしい」
「ハディックがいきなり行っちゃって、追いかけようとしたら、人の津波に流されてはぐれた。どうなってんの?」
「ズユとさっき会って、来るって言った瞬間に、ファンズマと天魔が出現したんだ。もしかして」
俺は何かあったらと考え、俺とルシャンダは常に無線をつけていた。ルシャンダ、応答しろと言っているもルシャンダから応答がない。ヨウミとウリは周囲にいるファンズマと天魔の相手をしてもらっている。
狙いがズユが言っていた通りになれば、ルシャンダが一番危ない。かと言ってミライをここに置いておくわけにはいかない。せっかくの休暇を邪魔されて、機嫌が悪くなりそうだとどの手段を選べばいいか悩んでいると、リアとノゾミがこっちに向かって走ってきたのだ。
可愛すぎて思わずガリシャのように鼻血を一気に出そうになるも、それどころじゃなかった。リアはノゾミを抱っこしたまま俺に抱きつく。
「リア」
「ティルをっ」
ティル?ティルがどうしたとリアの言葉を待っていると、ティルが漆黒の翼をつけてこっちに向かってきた。俺はリアを庇いつつ、炎魔を出して回避する。
ミライ逃げろと言うもすでに他のファンズマが出現して逃げ場を失っている状況だった。リアたちを庇いながらだと必ず奪われそうだな。ヨウミとウリはまだ戦ってるし、俺の無効化とミライのリセットで治せるか試すか。
危ないところでやりたくはなくても、ティルを思いっきり地面に突きつける。ミライと叫ぶとミライは暴れているティルのおでこに手を当てリセットし、俺は無効化をするも弾き飛ばされた。ティルが影となっていなくなり、ミライの下に現れるからミライを突き飛ばしティルの攻撃を受ける。
ワイズとヨウミとウリが来ようとするから、来るなと伝え、これくらいどうってことない。リアが隣に来て俺を癒しリアはミライを下げさせた。
ティルはまるで悪魔のような姿で俺に向かって唸り出す。俺の無効化が効かないから、どうすることもできない。ここは一旦引いて、立て直すのが一番いいだろうと思った直後のことだ。ティルが苦しみだし、俺を見て言う。
「リアを連れて行け!ワイズ!時間がない!」
「ティル!」
「来るな!抵抗できるのがこれが最後かもしれないっ。僕は大丈夫だから、リアをっ」
抵抗していたティルが再び苦しみだし、そして唸り出して襲い掛かろうとしていた。ヨウミがティルの相手をしてくれて、早く逃げろとヨウミに言われる。ティルを放置したくはないが、リアたちを連れて、撤退することに。
これくらい走れば、大丈夫だろうかと足を止め、リアとミライに大丈夫か確認した。
「平気か?」
「うん。それにジョセがピットたちの相手をしてくれてて逃がしてくれたの。それよりワイズっミライっ」
リアはノゾミを抱えてミライに優しく触れ、ミライは会いたかったとぎゅっとリアを抱きしめる。俺はミライごと包み、ノゾミは嬉しそうにきゃっきゃと笑った。
「こんな状況でリアが戻ってきてくれるとは思わなかったよ。おかえり」
「私も花火大会が終わったら、また天暮らしになるかと思ってた」
話していたら何かを感じ、俺はミライたちを守る。砂埃がすごいなと思いながらも、そこに現れたのはフィカス王とヴェルディだった。
俺はリアたちを後ろにやり、鞘から剣を抜き戦闘準備をする。
「ティルから離れることはできないとパトレア様から言われているだろう。リア、ノゾミをワイズに渡しこっちに来なさい。もし逆らうなら、今すぐ」
「…わかりました」
「リア、何言ってんだよ。館長の言葉聞かなくていい。それにせっかく会えたのに」
そしたらリアが強く抱きしめて、手が震えていることがわかった。行くなよと抱き寄せリアは俺の耳元で言う。
「ノゾミとミライをお願いね。私はティルを戻す方法を探してみる。ティルを元に戻して一緒に帰るから、ニディアにそう伝えて」
「俺はこのままリアを連れて帰りたい。ミライもずっとリアの帰りを待ち続けていたんだ。頼む、行かないでくれ」
リアが離れそうで俺はやや強めにしていると、リアが俺にキスをして、俺にノゾミを託し、行こうとする。手を再度握るも振り払われ、フィカス王の元へと行ってしまった。
ではなとフィカス王とヴェルディはリアを連れて行こうとした時、お母さんとミライが珍しく叫んだ。
そしたらなんとエンディードが出現する。お願い連れて行かないでと泣き叫ぶミライの言葉で、ドシドシとエンディードがフィカス王のところへと走っていく。
振動により思うように立てない状況でしゃがみ、まさかミライがエンディードを出して、しかもミライの願いによって動いているようにも見えた。
フィカス王はリアを連れていなくなり、ヴェルディはミサイルを放って消えていく。ミサイルはエンディードに当たるも、傷一つつかなかった。リアたちがいなくなったことでエンディードが戻ってくる。ミライは俺に抱きついてお母さんとまだ泣き叫んでいるも、エンディードはドシンッと座ってミライが泣くのを待っていた。
一部土地が潰されたが周りにいた人たちは下敷きになっていないか、少々心配になるもミライが落ち着くのを待つしかない。ノゾミもミライと同様に泣いてしまってあやす。
なぜフィカス王はリアだけを連れて帰ったのかが疑問だ。もしかして以前ピットに見せられたあの夢の意味。ミライとノゾミを意味していたわけではなく、本当にリアとティルの子ができる意味ってことなのか。
これはイルルに未来を占ってもらったほうがいいのかもしれないな。二人を落ち着かせていると、遅れて親父と母さんが浴衣姿でやって来たのだ。
「ワイズ、大丈夫か?ノゾミがなんでここにいるんだ」
「エンディードが出ているという情報を聞いて駆けつけたが、驚いたな。お座りしている」
「説明は後でするから、母さん、ちょっとミライとノゾミを見ててくれるか?」
母さんにノゾミを託し、ミライを見ててもらって、俺はやや離れたところで親父に報告する。
「俺がさ、以前ピットに見せられた夢話したよな?」
「確かティルとリア、それから子どもが三人でいる姿でワイズのことを忘れている夢だったよな」
「そう、それ。よくよく考えたらさ、その子どもがミライじゃなかったし、かといってのぞみでもなかった別の子ども。フィカス王がノゾミを簡単に返した理由、ティルとリアの間に子ができたらってふと思ったんだ」
「フィカス王が考えそうなことだな。一度ノゾミをティルの子にしようと研究していたが、ヴィアント家の血筋によって消滅された。ノゾミはあの場に居させるわけにもいかないことにより、ワイズに返し新しい研究をするかもしれない」
それを阻止するには一刻も早くウラデュエに侵入しなければ、リアはティルとの子を宿してしまう。そうはさせないし、ニディアがこれ以上、悲しませたくはないからな。
するとニディアが息を切らして着て、浴衣が乱れていながら、ワイズお兄様っと呼ばれる。
「ニディア?」
「ルシャンダがっルシャンダがっ」
まさかグックたちに連れ去られたのかと動いた時に、ニディアがこう発した。
「デザン隊長と喧嘩してるから、早く止めに入って」
走っていたこともあり、そんなことかいとずっこける俺であった。親父は大笑いして、あのデザンとかと親父は見物しに行くらしい。
ったく焦らせるなよと立ち上がり、砂を払ってニディアと親父とでルシャンダとデザンがいるところへと向かった。
◇
エルラド族の楽園へと帰り、私はすぐにパトレア様のお部屋へと連れて行かれた。パトレア様はいつものように空の海を眺めており、フィカス王とヴェルデは下がっていく。いなくなったことで、こちらに向き私の前へと立った。
「わたわの思うがままに従ってくれて、リアを誇りに思っています。帰って来なかったらあの場で発動させていましたよ」
「パトレア様、ティルは」
「天魔の詠唱で、深い眠りについてもらっています。時期に普段の姿に戻るでしょう」
それならよかったと安堵をしていると、パトレア様は微笑みながら私のほおに触れ指示をもらう。
「本来ならば忘れさせたいところですが、わたわの言うことを聞くのであれば記憶はいじらないことを約束します。いいですか、リア」
私の耳元でパトレア様は指示をし、それは絶対に避けたいことだった。もしかしてノゾミはもともとワイズの子だったのと思ってしまう。あの時、記憶を最初にいじられる前に、ワイズの子ではなくティルの子と言われたのに。
伝え切るパトレア様で、ワイズとニディアは許してくれるかなと感じてしまった。ここで従わなければ私は天魔になってしまう。嫌でもかしこまりましたと告げ、いい報告を待ってますと言うパトレア様は私を下げさせた。
ティルは私の部屋と一緒だから、私の部屋で寝ているのだろうと思い、部屋に戻るとティルは子供のような寝顔でぐっすり寝ている。あの時、ティルが起きた時は驚いてしまったけれど、ワイズと接触したから悪魔のような姿になってしまったのかはわからない。
ベッドに座り、ティルの手を握っていると、ティルが起きあれという表情で起き上がる。
「僕、どうしたんだっけ…?」
ティルは何も悪くないとティルにハグし、どうしたと言われるも応えられなかった。ティルは察しついたのかティルに何度も口付けをされ、私の身体を倒す。
抵抗したい一心であっても、発動を恐れティルの甘えに、応えてしまった。




