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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
72/195

72話 ニュラン町の真実①

 ヒアラに会うとヒアラはミライを見て可愛いとミライのほおにすりすりをする。ミライは嬉しそうにしていて、状況確認をした。


「ヒアラ、そろそろニュラン町のことを」

「話してみたけれど、以前と変わりない内容しか教えてはくれなかったわよ。まずは町長を試すのがいいかもしれない」


 情報をあまり提供してくれないニュラン町の住民たち。よし行ってみるかと荷物はヒアラの家に預け、町長が住むご自宅へと行ってみた。

 ノックをして出てくれるだろうかと待っていたら、杖を着いた老婆が町長ということになる。ミライを見て可愛いのうと言われ、ミライは町長に触れ、俺は失礼しますと長老に触れた。次の瞬間、町長が倒れそうになり、ハディックが支える。やったなとミライとハイタッチをして、長老のご自宅に入りソファーに座らせた。


 ハディックは本部に連絡を取り、記憶が回復したという報告をしてもらっている間、リビングに飾られている写真たてをつい見てしまう。

 これってと一つの写真たてを見ているとミライが俺のズボンを引っ張り、見たいのだろうと思って見せてあげる。そしたらミライは俺の後ろに隠れてしまい、お化けと言い出したのだ。


 すると目を覚ましたらしい町長が、今何年じゃと俺の隣にいらして、伝えるともうそんな年になってしまったのかと呟く。


「勝手に入ってしまって、申し訳ございません」

「よいよい。お茶を淹れてくるから、ちょい待っておれ」


 そう言いながら町長は弱弱な足に台所へと入ろうとしたところ、段差があったようで派手に転ぶ町長だった。大丈夫ですかと町長を起こすとおでこに大きなたんこぶができてしまう。

 俺がやりますと伝え、どこに何があるのかを教えてもらい、町長はミライに何かを読み聞かせていた。ハディックはそれですぐ寝ている。


 できましたよとテーブルに乗せ、何を読み聞かせていたかというとあのおとぎ話の内容だった。


「あの、町長」

「この本に関することについて、お主たち来たんじゃろう。ニュラン町の者たちはのう、もとはある種族の下で働いていた者たち。じゃが触れごとに触れてしまい、なんとか逃げニュラン町を作ったのじゃが、あのお方は目に見えていた。わしゃたちは天罰をくらい、記憶をいじられたのじゃよ」

「触れごと…?」

「そうじゃ。触れごとというのはあのお方の正体を見てしまったということじゃ。あのお方は一見神様のように見えるが、実際は悪魔のような姿をしている」


 つまりリアたちは悪魔の子ってことかと考えたくはないものの、町長はその続きを綴る。


「この本に語られているものは少し異なることがある部分があるのじゃ。読んでいくぞ」


 町長が話し始める頃に、ハディックが目を覚まし、俺たちは町長の読み聞かせを聞いていった。



 これは夢のまた夢の話のこと。

 かつてとある王国に王女が誕生いたしました。それはそれは麗しい姫君となったのです。それを聞いた他国の王は縁談話を持ちかけ、王は王女に相応しい人を見極めるため、七人を選びました。

 

 一人目は熱い心を持ち活発でとにかく明るい王子、ホムヴァル。

 二人目は物静かなで何を考えているのかわからない王子、ロッキャス。

 三人目は人見知りが多く引きこもりがちな王子、サンダウ。

 四人目は植物を愛し、誰にも優しく接する王子、ベンブル。

 五人目は探究心を持ち常に動いていないと気が済まない王子、ミズファ。

 六人目は誰にも笑顔を見せず冷たい空気を漂わせる王子、クアヴィ。

 七人目は負け好奇心旺盛で負けず嫌いな王子、ポインズ。


 七人の王子は王女の姿を拝見し、七人は王女に好かれるようにと動き始めたのです。

 ホムヴァル王子は得意とするダンスを披露し、ロッキャスは作ったものを王女に渡しました。サンダウ王子は人見知りでもありながら、一生懸命に王女を楽しませるよう努力をし、ベンブル王子は愛を込めた花束を王女にプレゼントしました。

 ミズファ王子は王女を城から出し、世界は広いことを王女に話し、クアヴィ王子は苦手とする笑顔を作り、王女と距離を縮めようとしました。

 ポインズ王子は得意とする実験を披露し、王女を楽しませていました。


 しかし、王女には七人よりも、別に恋をしていました。その王子というのは敵であるファンズマの王子、リベルナ。

 王女は七人の相手をしながら、こっそりファンズマの王子、リベルナと過ごしていたのです。

 夜、王女は城から抜け出し、待ち合わせとしている花園でリベルナ王子と過ごしていました。リベルナ王子は花冠を作り、王女に被せ、王女も花冠を作り、リベルナ王子に被せたのです。

 それを知った七人は負けまいと昼間、王女を楽しませておりましたが、王女の瞳にはもうリベルナ王子のことを想っていました。七人は諦め王女の幸せを望み、縁談を断ったのです。


 けれど王はそれではいけないと王女を部屋に閉じ込め、ファンズマの王子を会わせないようにしました。

 夜になりいつもの花園で王女を待ち続けていたリベルナ王子。そして新しい縁談話が入り、王女の前に現れたのは裏表がなく、月夜を照らすような王子ドゥシャー。


 王に頼まれドゥシャー王子はリベルナ王子に告げ、それ以来リベルナ王子は花園に現れなくなったのです。 


 王女がファンズマの王子に恋をしているのを知りながらも王女を支え、王女はその優しさに惹かれました。王女はドゥシャーといることを王に告げ、ついに王はファンズマの王子リベナルもファンズマと幸せに暮らしましたとさ。



「これが本通りの話じゃ。この七人というのはワイズ知っておろう」

魔遺伝子ティオス

「そうじゃ。王は光、そしてドゥシャーというのが影魔えいまを意味している。本と異なるのは最後のほうじゃ。王女がファンズマの王子に恋をしているのを知りながらも王女を支えたと書かれているが実際は違う。ドゥシャーは王女を支えてはおらず、王女を影へと落としたのじゃよ」

「落と、した、って、どの、よう な?」


 町長はハディックの質問に口を閉ざし、ミライの前では話しづらいことなのだろうか。そしたらミライが耳を塞いで、聞かないとしてるから、町長はミライの頭を撫で話してくれる。


「落としたというのはドゥシャーの中で眠り続けているということじゃよ。じゃがな、ドゥシャーには弱点があったんじゃ。ドゥシャーを倒したのがホムヴァル。暗闇から灯火を宿し王女を救って、二人は結ばれたようなものじゃ。だからヴィアント家はウラディエから追い出され、カディヴィアという国を創ったとされておる」


 俺の家系がまさかウラデュエと関係しているとは知らず、親父たちはこのことを知っているのだろうか。


「魔遺伝子を持つ者をこう呼ばれておる。口には出さぬようにな」


 紙に書かれたのはエルラド族でイルラナ遺伝子細胞があるということ。これを口にした者は天罰が与えられるとされているらしい。すぐにそれを暖炉に投げ捨て、町長は言った。


「これを口にした者たちは全員死によった。時期にわしゃたちも記憶が戻ったことで天罰が下るはずじゃ。まだ間に合う。ここを立ち去れ」

「それはできない。町長、俺は誰にも死なせない力がある」

「ホムヴァルがいたとしても、それを使うのは今じゃないはずじゃ。とにかく用が済んだからこの子を連れて帰るんじゃよ」


 俺たちはそれでも全員の記憶を回復させるために来たんだ。覚悟はできていると俺は町長に告げる。


「俺はフリジンダ社の社長でもある。ニュラン町は俺たち、フリジンダ社が守り抜いてみせる。だから町長、俺たちにウラデュエに行く方法を教えてくれないか?そこに俺の妻がいるんだ」


 待受画面を見せこれはと町長は目を開いて待受画面をまじまじと見ていた。何かあるのかなと思っていたら、そっくりじゃと町長は棚にある一冊をとり見せてくれたのは古い写真。よく見るとリアにそっくりな女性が笑っていた。


「わしゃたちが仕えていた姫君、リフィア様。心優しいお方じゃった」

「この、隣に、いる、人、誰?」

「パトレア様じゃのう。リフィア様の許婚であったのじゃが、リフィア様は十七の時に病で亡くなられておる。これを見た時は驚いたのう」


 姫君のリフィア様にそっくりすぎるリアで、名前はそこからとったかのように見える。


「行き方としてはあるが、周りには計り知れない天魔ジェルロがいる。突破するにはそれに対抗できるものでなければ、確実に死ぬじゃろう」

「ちなみにリフィア様は能力をお持ちでしたか?」

「うむ。確か治癒能力じゃったが、自分には能力がかからないようじゃったから、病がかかったとしても治せたなかったようじゃ」


 まるで生まれ変わったかのように、リアが誕生したのなら、パトレア様という方は手放したくない位置に存在だろうな。パトレア様に挑むとしても、今の段階では敗北に陥るのが目に見えている。まずはパトレア様の弱点を探らないと意味がない。


「パトレア様の弱点というのはご存知でしょうか?」

「わしゃたちは知らぬ。知る者はおそらくパトレア様のおそばにいるピットじゃろう」

「まだ子どものように見えますが違うのでしょうか?」

「パトレア様と同じ年齢じゃよ。子どもに見えているようじゃが、あれは可愛ごぶっているようじゃな」


 町長がそういうのならそうなんだと理解ができ、一応これは聞いておいたほうがいいかな。


「ニュラン町を記憶回復させれば、戦ってくれる人たちはいらっしゃいますか?」

「そうじゃが、本当によいのじゃな?解いても。力になってくれると思うが、すぐに追っ手は来るぞ」

「任せてください。逃げ道は用意しておきます」


 そうかと少々心配する町長であっても、頼んじゃぞと言われ俺たちは一軒一軒訪ね、記憶を回復させていった。



 天空都市ウラデュエ、エルラド族の楽園の一室……。


 ノゾミを抱っこしながらロングチェアに座り、子守唄を歌っていた。パトレア様の指示によりこの一室にずっといて、ティルの帰りを待っているも、いつも帰りが遅い。

 起きている時間帯に会えないのがとても辛いと、ノゾミの髪の毛を直す。そしたら走ってくる足音が聞こえ、スターリだとわかった。それでも立ち上がることはせず、ノゾミに触れていたら、スターリが報告する。


「リア様。パトレア様がお呼びでいらっしゃいます」


 また何かを下されるのかなと思いながら女官にノゾミを預け、スターリと一緒にパトレア様のところへ向かった。階段を登りきると、パトレア様は空の海を眺めている。

 スターリが呼びかけるとパトレア様はこちらを向き、スターリを下げさせた。こっちへおいでと言われパトレア様の近くに寄る。


「呼び出したのは他でもありません。リア、このまま嘘を貫き通すのはやめなさい」


 周りには天魔、ジェルロという魔が出てきて、私はこの三年間、嘘をついていたこと。私はあの時、ワイズの能力を吸収していたこともあって、あの指輪をはめられたとしても無効化ができた。

 脱走をする振りをして、どうやって脱出すればいいのか、どうすればティルは元に戻るのか、楽園を探っていたことをパトレア様は知っていたことになる。

 いつかばれる可能性があるから、記憶が元に戻るようにとあのメモを書いていた。そしたらティルにくしゃくしゃにされて捨てられちゃったな。


「脱出の振りをして楽園を探ってました。何があり、どうすれば脱出できるのか。ティルはどうすればいつものティルに戻るのかと」

「リア、記憶が戻っているようですね」

「愛する夫の能力を持っていたので」


 本当はあの儀式をしたくなかったけれど、我慢をして儀式を行った。ワイズは許してくれるよねと、パトレア様が下げている指輪を見つめる。あれが私とワイズが誓い合った指輪。あれを取り返してノゾミを連れて帰るんだから。

 

「儀式を行った以上、リア、わたわから逃げることはできませんよ。それに」

 

 パトレア様は私の前に来て私の顎を上げながら唇を触れ私に言う。


「昔のように逃走生活を与えることはできますが、わたわはリアがどこにいるのかも把握できる。リアにはもう逃げ場がないということを噛み締めてもらいたい」


 パトレア様のお顔が近づき、口付けと咄嗟に逃げようとした時のことだった。パトレア様は口ではなくおでこにキスをする。焦らされたけれど、身体に異変が起こり倒れそうなところパトレア様が私を支えた。

 何をしたのと息が荒くパトレア様の服を掴むと耳元でしーと言われながら私の頭を触れ、心臓が暴れ出す。そのままパトレア様は私を抱っこし、初めてパトレア様のお部屋へと入った。パトレア様が使用しているベッドに寝かされパトレア様の子守唄で眠ってしまう。


 ここはどこと周囲を見渡すも真っ暗すぎて、何があるのかわからなかった。するとスポットライトがついたように光が差しそっちに歩む。着くと私にそっくりな女性が悲しそうな瞳で私を見ていた。


「あなたは?」

「私はあなたの前世であり、パトレアの許嫁だったリフィア。パトレアが変わってしまったのは、あなたの感情でわかっています」

「パトレア様の許嫁?」

「えぇ。そして私はパトレアによって殺された。病で亡くなったと世間では知られているようだけれど、実際は違う。パトレアは天を司る者だとしても、私は見てられなかった。逃げる時、パトレアの第三の目に捕まってしまったことで、気がつくと死んでいたの」


 パトレア様は第三の目で従わせているのと思っていても、私は一度も見たことがない。もしかしてと私はおでこに触れるとしこりみたいのがある。

 そしたらリフィアが触れ、やっぱりそうねと教えてくれた。


「パトレアはこれを望んでいた。自分の思い通りにさせるために、第三の目を与える。与えた者たちは、従わないと天魔ジェルロとなるわ。天魔ジェルロは元々人間。天魔ジェルロにさせているのはパトレアと幹部六人ってことかしら」


 あの化け物にされるってことと茫然としてしまい、リフィアは大丈夫よと安心させてくれる。


「助かる方法は必ずあるわ。それまでは天魔ジェルロにならないよう嫌でもパトレアの言うことを聞きなさい。助けてくれるのは魔を持つ七人。いい?決して挫いてはならない。弱まれば弱まるほど、天魔ジェルロになるわ」

「また会える?」

「わからない。これが最後かもしれないけれど、あなたを助ける方法を探す。また会えたらお話ししましょう」


 私の頬を撫でリフィアは光となって消えてしまい、上から眩しい光が差して、目を覚ました。上半身を起こすと椅子にゆったり座っているパトレア様が微笑んでいる。おでこはと触れるとあのしこりは消えていた。


「気分はどうです?」

「平気です」

「ふふっ怖がらないのですか?大抵の人は怖がりすぐ天魔ジェルロになるのですが」


 どう言うことと鏡に映っている自分を見ると大きな翼が生えていて、身体には古代文字が刻まれている。こんな姿、誰にも見せられないとパトレア様の方をみるもいつもの表情だった。


「まあ私の遺伝子があるおかげで、人間のままでいられるのでしょう。私が古代文字と翼を消してあげます」


 パトレア様は立ち上がり私に触れると翼と文字は消える。


「私を逆らったら天魔ジェルロになることを忘れないように。ノゾミやキアにもそれを与えられることも」

「承知しています」

「よろしい。記憶はもう書き換えない代わりに、リアにやっていただきたいことがあるのです」


 パトレア様が手を差し出し、その手に触れると別のところへ移動した。ここは何と両サイドには天魔ジェルロがいて、思わずパトレア様の服を掴んでしまう。


「大丈夫。襲っては来ません」


 そうは言われても薄暗い部屋に天魔ジェルロがいたら、怖がるのは当たり前なほうだと思うな。大きな扉につき、パトレア様が立つと開いた。

 中に入ると大きな樹木があり近くによると樹木の中に誰が眠っている。


「この人は?」

「世界樹能力、ジュセ。わたわの右腕だった。けれどジュセはわたわの許嫁であったリフィアを連れ去ろうとし、ジュセと激しい争いをした際に、リフィアはそれを止めようと、ジュセを庇い、わたわが殺したようなもの。ジュセはそれによって世界樹となってしまった」

 

 さっきリフィアと会ったけれど、ジュセという人物の名前は出なかった。つまりこの人と一緒に逃げた時にリフィアは天魔ジェルロとなってしまったということなんだ。


「そこでリア、試しにジュゼを起こせるか試したい」


 この人を起こしたことで、パトレア様は何をする気なのと思いながらも、リフィアと約束したし、木に登ろうとした。けれど届かずにいたら、パトレア様の力で近くに寄れた。

 触れてみると世界樹が光り出して世界樹が消えて行き、ゆっくりとジュセが目を覚ます。そしてジュセはパトレア様に向かって攻撃するも、パトレア様の力によって制御された。


「リフィア、パトレアから離れてください!」

「リフィアは死んでいる。この子はわたわの子に過ぎない」


 その言葉で目を疑うような瞳を私に向けるジュセであり、天魔ジェルロが数体ジュセを囲む。


「ここで葬りたいですが、ジュセ、チャンスを与えます。わたわの右腕として戻りなさい。さもなくばここでジュセを葬ることになる」

「…本当にリフィアではないのですか?」

「ごめんなさい。私はパトレア様の娘、リアと申します」


 時が止まっているジュセだから、混乱してしまうのは理解できる。ジュセは攻撃するのをやめ、パトレア様に忠誠をするかのように跪き告げた。


「ならパトレア様の娘であるリア様のお側でお仕えしたい。以前のようには致しません」

「えぇ。そのつもりでジュセを起こしたようなものです。ただしリアを逃がそうとしたら、二度はありませんよ」


 はっとパトレア様に伝え立ち上がりジュセが私の側近になり、楽園へと戻る。部屋に戻り女官から娘を返してもらい、ノゾミは私に会えたことで、笑顔になった。

 女官たちはあの人誰と部屋で立っているジュセを見ているも、ジュセはじっと立ったまま無言でいる。女官たちは一度下がってもらおうかなと、思ったらティルが珍しく帰って来て誰という表情で隣に座った。


「おかえり」

「ただいまというより、誰ですか?」

「私の側近になったジュセ。パトレア様から話言ってない?」

「言われてないけど、部屋に入らせるのはちょっとな。廊下で待機してくれると助かるんだけど」


 ティルがジュセに言うも動こうとしなくて、私は思わず苦笑いしちゃう。私は外で待っててくれると伝えると部屋を出てくれた。


「僕よりリアの言葉聞くとは、なんか腹立つ」

「仕方ないよ。パトレア様の指示だから。それより今日はどうしたの?」

「仕事が溜まり過ぎてるけど息抜きにノゾミの顔がふと見たくなって。おいで」


 ティルが手を出すとノゾミは嬉しそうにティルのところへと行く。まだティルは気づいているかわからないけれど、面影が実はワイズに似ていることだった。

 パトレア様はティルの遺伝子に変えたと言っていたけれど、うまくできていなかったとしたらと考えてしまう。


「そう言えばリアにそっくりな男の子の広告を見つけたんだ」


 スマホを見せてもらい、広告がミライで思わず涙が出てしまった。だって広告の内容が大好き、ままとあり、ミライの満面な笑み。


「リア」

「ごめん」


 パトレア様はもう記憶をいじらないと言ってくれたことで、こうやってミライの成長を見れる喜びがあった。そしたらノゾミがにっにと笑って言う。

 ミライがまだノゾミぐらいの歳にパーパとはしゃぐように、ノゾミもミライのことをにっにとはしゃぎながら言うだなんて奇跡だ。ティルはお兄ちゃんじゃないよとノゾミに言うも、ノゾミはにっにと言う。


「ちょっとごめん」


 ノゾミを私に託しティルは会社から連絡が来たのか、私の部屋を後にしてしまった。私にはスマホを持たせてくれないから、ティルが帰ってくるまで、待つしかなさそう。

 ノゾミの能力、そう言えばまだ知らないけど、どんな能力なのだろうかと考えていたら、ヴェルディが部屋の前にいるも廊下で立っているジュセに驚いているようだった。少ししてヴェルディが入ってくる。


「パトレア様から、ご指示もらってリスヴィオン王国なら外出の許可が出た。行くなら俺か廊下にいるジュセに話せば外出できる」


 ずっと楽園にいたから、退屈凌ぎになりそうと思い、今から行きたいと告げるとヴェルディとジュセが同行して行くことになった。 

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