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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
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63話 デッドハラン王国へ

 ミライの手を握りながらゆっくりと浜辺の散歩をしていると、放送でルシャンダに呼ばれ、ミライを抱っこしフリジンダ社に入った。すると社員たちが慌ただしくしていて、いよいよって感じがする。

 モニター室に入るとお兄ちゃんがモニターをチェックしており、ルシャンダが椅子に座ったままこっちにやって来た。


「ワイズが話したいことがあるみたいで、社長室で待っているでありますよ」


 ワイズがとスマホを確認したら着信が入っており、なんだろうと社長室に入る。そこにはカディヴィア南軍隊長のセイワン隊長がいらっしゃった。


「久しぶり、リア」

「セイワン隊長、なぜこちらに?」

「総司令官の命で来たのだ。デンパット王国の広告、見た?」


 あれはニシャが作った広告で、一見普通の広告かと思ったけど実際は私たち宛てのメッセージが細工されていたこと。


「はい、拝見しました。闇はもうすぐ近いと赤く表示され、闇というのはデッドハラン王国を意味している」

「黄色は確か全ての土地に配置をだったよな」

「信号を意味しているとおんたちは思っている。青の表示が出たら戦の合図。黄色がだんだんと消え始め青がかすかに見える」


 言われてみれば黄色が消え始めて青が見えていた。デッドハラン王国の人たちにはどう見えているのかはいまいちわかっていなくとも、もうすぐってことになる。


「リア、呼び出したのは他でもないんだ。じいちゃんがあんな状況だし、エンディードを出せる方法はなくなった。だけどリアはそれでもキアや他のみんなを助けに行きたい?」

「できればそうしたいけど、ミライや他の子たちを守りたい」

「なら俺たちが不在の時、島を任せてもいい?ほとんどは出払う形になるし、高校生の子たちも出動命令を出す。それ以下の子たちをこの島で守ってもらいたい。ルシャンダがいるから大丈夫だとは思ってるけど、何人かは島に置いとく」

「うん。島のことは私に任せて」


 よろしくなとワイズに言われ、誰が残ってくれるのかはルシャンダに聞いてほしいと言われたから、モニター室へと戻ってみる。ルシャンダに誰が島に残るかリストを見せてもらった。

 一応ファンズマを使えるエピルス社員数名とフリジンダ社少数、それからルシャンダとイルルが残ってくれるそうだ。ほとんど島はいなくなるってことか。下の子たちの能力も改めて確認しておく必要がある。


 ミライを守りつつ下の子たちの面倒を見ながら、ワイズたちの帰りを待っていたとしても、島を襲ってくる可能性があるかもしれない。


「お兄ちゃん」

「ん?」

「お兄ちゃんは島にいるよね?」

「いや、デッドハランに向かう。島にいたとしても結果は同じだったからな」


 お兄ちゃんは何通りか見て来ても、最近は私たちに情報はくれなかった。何が起きるんだろうと思っていると、リア義姉ねえ様とニディアの声が聞こえる。少し扉を開けこっち来てという合図でミライはルシャンダに一旦渡し、モニター室を出た。


「ティルに何かあった?」

「ううん。これを渡したくて」


 ニディアに渡されたのは何かの薬みたいな瓶。


「これは?」

「身体の不調に出た時に飲んでほしいみたい。赤ちゃんには害ないから」


 ありがとうとポケットにしまい、ニディアはティルのところへ行くのか鈴を使っていなくなった。お兄ちゃんがひょっこり顔を出し、例の薬もらったと聞かれたからもらったとお兄ちゃんに渡す。

 お兄ちゃんは興味本心で瓶に入っている液体を見ている。


 実はお兄ちゃんの未来とイルルの未来予知でその薬を飲んだら、ワイズの子が別の子になると言われ、ニディアからもらうのを待っていた。


「これは預かっておく。研究のためにリアを使わせるかよ」

「これでいいんだよね」

「まだわからない。俺が見てきた未来では島は大丈夫だろうけど、万が一に備え準備はしておけよ」

「うん。ワイズの子は私が守るし、ミライや他の子たちも守ってみせるよ。お兄ちゃんも必ず無事に帰って来て」


 おうっとお兄ちゃんは扉を開け中に入れてくれて、ミライを抱っこしルシャンダと打ち合わせしていく。


 一週間後、ワイズたちはデッドハラン王国へと旅立ち、ルシャンダとイルルで船が見えなくなるまで見届けた。


 ◇


 島が見えなくなり俺、ノア、ヨウミ率いるエピルス団。そしてティルが率いるつもりだったニューダ団。それからカディヴィア社ブルバが率いる軍がこの船に乗っている。

 結局、ティルはこの日まで記憶はなく、親父がティルの代わりとして動いているから、親父は今回ここにはいない。その代わりにニディアがティルが率いるつもりだったニューダ団の団長として動くことになった。


「ニディア、大丈夫か?」

「怖いけど、キアたちを救いたいし、ティルのために頑張ってこようって決めたから」

「もし怖くなったりしたら、鈴使って逃げていいからな」

「ありがとう、ワイズお兄様。でもニディアは大丈夫。そばには心強いノールト兵がついてるから」


 こいつがいるとこっちは少々気が狂うのだがと嫌々でよろしくお願いしますとだけ伝える。匿名部隊がここにいるってことは何人かは匿名部隊が紛れ込んでいるし、ノアはそれによって物陰に隠れてるしな。

 危うくノアさんと言いそうなやつが一名いた。ブルバはかつてエリュウのライバル関係であったらしく、今はエリュウとエワンの話でなぜか盛り上がっている。


 それはさておき長旅になりそうだが、他の土地に配置させておいたみんなはもう戦が始まっている頃なんだろう。



 橙土地オンジーレ、ヤエン団長率いる団とダディゴ率いる団。


「…ダディゴ、暇すぎではないか」

「そうですね。あの広告では出陣とだけありましたが」


 黄土地イエロード、タンヴァ団長率いる団とウリ率いる団。


「ウリ、静かすぎるである」

「あれーヨウミの言われた通りに来たけどな」



 緑土地グリディア、ユフェン団長率いる団とハディック率いる団。


「虫で遊んでいる暇はないが、気配が感じ取れん」

「敵、さん、ここに来ないの、かな」



 青土地ブルーバス、ハイス率いる団とタング率いる団。


「海の波動を聞いてるけど、敵がいるようには見えない」

「あの広告では全土地に配置をと書いてあったっすよね」



 水土地アクアリーア、オーデュエ率いる団とコルア率いる団。


「人の気配が感じられへんな」

「ここであってるはず。もしかして日にちがずれているとかなのかもしれないわよ」



 紫土地プルパカーズ、ワファエ率いる団とノデッド率いる団。


「わはははは。敵はわしたちが来て逃げよったのか」

「ふわあ、ねむ。気を抜き技じゃん?本当にここであってんのかじゃんかよ」



 赤土地レッドヴィーク、ギーディス率いる団は……


「今すぐ逃げろ!」


 本部にいたニューダ社員たちを逃しつつ、防犯カメラが全て壊されたことでルシャンダにゲートを開けてもらえない。それにノイズが酷すぎて無線さえも使えない状況だ。

 くそ、まさかデッドハラン王国調査隊長が二人が来るだなんて思いもしなかった。


「はははははは、ローメア、女性たちを確保しちゃえ」

「ドロップさん、目的忘れないでくださいよ」


 第六調査隊長ドロップに第四調査隊長ヘリットの組み合わせで第六と第四の調査員もいる。スマホで連絡したいがこの二人を対応できるのは俺のみ。

 ノースがうまく社員を逃がしてくれればいい。残りの体調たちがどこに向かったのかが気になる。


「他の隊長はどこに侵入している?」

「ギーディスには教えなーい。ニディアを渡してくれれば教えてあげよっか」

「あれだけアイズさんに叱られても、まだニディアさんのことを想っているんですか」


 この二人に聞いても教えてはくれそうにないなと、二人に攻撃を与えデッドハラン王国に向かったワイズたちに知らせなくちゃならない。

 何かいい方法はないかとドロップとヘリットの攻撃を交わしつつ、ファンズマを倒していく。ヘリットが言っていた目的って一体なんなんだよと俺もホデュヴィを出した。


「ヘリットォ、ろはギーディスとやり合うつもりはないから、女性陣捕まえてもいい?」

「師匠に怒られます。今回は諦めてください」


 ぶうとドロップは機嫌を損ねながらも、ローメアに指示を出して俺に襲いかかる。ヘリットはオウガッセとう霊のファンズマを出してきた。ローメアは炎で燃やせるけど、オウガッセは苦戦しそうだな。

 すると壁や天井が凍りつき床も氷となって二人はずっこける。俺は炎だから立っていられた。コツコツと歩いてくる音に振り向くと、おいおいここで登場かよと長い髪の毛を靡かせながら俺の隣に来る。


「待たせたかい?」

「待ってねえよ、カディッち。こっちに来てよかったのか?」

「大丈夫さ。息子が団長になってもらい、私は自由に動いてある情報を手にしたのだよ。それはジルーという男の名は聞いたことはあるかい?ヘリットよ」


 尻餅をつきながらヘリットの表情が強張り何かを知っているような瞳だ。


「やはりそうか。館長が言っていた通り、君はある種族の末裔。そうなのだろう?」

「違う!わいはある種族の末裔じゃない!ただの人間です!あなたこそ、そんなに詳しいのはなぜですか?」

「私かい?私は元ライディー社の水遺伝子学者、カディーラ・アクティだ。館長の下で今も働いていると言ったらわかるかい?」


 カディッちどういうことだとカディッちの瞳を見るもいつも見る清々しい笑顔で裏とかはなさそうだ。しかしヘリットとドロップは後ろへ引き下がり逃げようとするから、カディッちが氷の壁を作る。


「逃しません。ギーディス、嘘をついていました。許可を得たのでお話ししましょう。私は元々オーケル館長の部下として動いています」

「そりゃあそうだよな?」

「私の生まれた故郷の土地はアクアリーアではない。私が生まれた場所は天空の都市、ウラデュエです。私はアリュアに恋をしてしまい、あのお方からはさぞ嫌われウラデュエには帰れなくなりましたが、オーケル館長はそれでも私を受け入れてくれた」


 カディッちの言葉で愕然としてしまうほどで、つまりオーケル館長はウラデュエという都市からここに降りたった人物ってことかよ。そうなるとティルは天空の都市ウラデュエの人間。


「つまりティルは」

「ギーディスの言う通りになる。その言葉は口に出すと消されるから気をつけたまえ」


 ティルの遺伝子データは見てないが、カディッちが忠告をするってことは、ティルもイルラナ遺伝子があり、オーケル館長もその遺伝子があるってことだ。

 親父の憶測は当たっていると思うが、館長は元々ウラデュエ出身だから、たとえ研究していても狙われなかった。


「カディッち、元館長は?」

「デッドハラン王国に幽閉されているが実際は違う。館長はわざとデッドハラン王国に幽閉された」


 じゃあオーケルが死刑されたという情報はデマだったと言うことか。それ以上聞いたら俺は処刑されそうになるから言いたいことはやめておく。


「さて、二人に天罰を与えなければならない」


 カディッちはローブを脱ぎ捨て、まるで神に等しい人物に近い服装をして、槍を手にし二人に天罰を与えたのだった。



 カディヴィア本部内……


 よりによって各土地に部隊を配置させていたせいで、こっちは手薄状態だ。防犯カメラも全て壊され、ノイズが入っているから無線は使用できまい。

 ルシャンダが気づいてくれればいいのだが、ハッカークロウがルシャンダに攻撃をしてそれどころじゃないだろう。カディヴィア本部内に侵入しているのは、第二調査隊長グックと第五調査隊長ネフィラ、そして第二と第五の調査員が攻めてきたということだ。


 幸いここにアイズとキアがいなくてよかったが、この二人を止められる自信はない。


「こっち来て正解だったら。超手薄らね」

「うちは学園のほうに行きたかったけど、アイズのお母さん初めてみた」

「学園…?」

「学園にはボルシャとバンジャが行ってますよ。優秀の子どもたちをデッドハラン王国に連れていくために」


 狙いは最初っから子どもたちかと鈴を手にし行こうとするも、グックの能力で身体に糸が絡まる。糸を燃やそうともネフィラの基本能力で水がかかり炎が使えない状況だ。


「アイズの言った通りだったら。水をぶっかけておけばただの一般人ってら」


 子どもたちの身が危ないが私はこの程度ではやられないぞと部屋中を熱気状態にし、あちちちと二人は部屋から出た。私を怒らせるとどうなるか。

 部屋を出てみると左側の通路にはスニャンパ数体いて、右側には人魚のファンズマが数体出し待ち構えていた。


 人魚ファンズマは初めてみるが、名は確かメドマーだったかな。まあちょうどいい。手合わせと行こうか!



 カディヴィア学園内……


 先生の指示に従って避難するも、ファンズマがうようよいて逃げ場を失っていた。ルシャ兄にゲートを開けてもらいたいけれど、それどころじゃない。

 あっ初めまして、遮断能力者のトゥフィって言います。よろしくって挨拶してる場合じゃなかったと、電気を与えファンズマを倒しつつ道を作るも道を塞がれる。ホムリは花火を投げまくっている様子が見えるも、次々から爆発音が聞こえた。


 先生たちと逸れてしまったわっくたちで、なんとか自分たちでやり過ごさなきゃならない。かと言ってわっくは遮断能力と電気の能力。

 あのファンズマはモクディガンにガディック、それから土タイプのグラキャス。グラキャスに捕まったらアウトだ。どうすればいいと様子を見ていたら、顔に火傷を負ったバンジャとソアレが歩いていた。ソアレと同じクラスであった子が、ソアレを呼ぼうとして止めに入る。

「ソアレを呼んじゃ駄目。いい?ソアレは敵さんになってるから気づかれずに動くよ」


 少し落ち込んでしまってもわかってくれているらしく、忍び足で逃げようとしたら、枝を折る音を出してしまい、みいつけたとグラキャスに囲まれてしまう。


「探したよ、トゥフィ。わろの架空世界に入ってもらおうか。師匠がトゥフィの能力高く評価してくれてる」

「そっちに行くつもりもないし、ソアレ。戻っておいで。みんなも心配してた」

「ソアレはわろの命令しか聞かないようになってるから、話しかけても無駄だっつうの」


 きゃっと叫び声にしまったと後ろにいた子たちがグラキャスの中へと入ってしまった。


「残っているのはトゥフィだけだ。それとも父君の腹に入ってもらったほうがいい?」

「断る。わっくはあんたらの指示には従わないし、それにだ!ここには優秀な子がいる!エワン!」


 同じクラスのエワンは雪を降らし、グラキャスが凍りついて消えていきみんなが出てきた。けれど捕まったみんなは眠ってしまっている。


「行かなくて正解でしたわ。トゥフィ、ここはあたくしに任せて、みんなを逃がしてくださいまし」

「一人で平気?」

「よろしくってよ。だって」


 コツコツと足音が聞こえそちらに目をやると、そこにはティル館長がいた。えっ入院してるんじゃなかったの。


「僕が大人しく入院してると思ったのが大間違いだ。ボルシャはすでに確保させてもらったよ」

「は?父君があんたらに負けるわけがないだろ」

 

 ティル館長はスマホを取り出し動画を見せるとバンジャはそんなのハッタリだとグラキャスをティルに向けて出すも、ティル館長の能力で止まり、影が現れてグラキャスを呑み込んだ。そして呑み込んだ影は風船のように割れ消えて行く。


「トゥフィ、まだ生きている防犯カメラがあるはずだから、そこへ逃げ込んで。大丈夫、もうすぐ各土地に待機していたみんなが戻ってくると思うから」


 わっくは今の段階では戦えない以上、ティル館長の言葉を信じるしかないとみんなを起こして防犯カメラを探しに向かった。



 トゥフィとそれ以外の生徒が逃げ切ったところを見届け、さてバンジャにお仕置きタイムと行こうか。


「お前は記憶を失ったと聞いてた!なぜだ!」

「そうでもしないと把握できないと思ったからだ。僕は広告を見て違和感を感じていた。最初の言葉は闇はもうすぐ近い、次は全ての土地に配置を、信号だとしても信号は青、黄、赤だ。それなのに広告は赤と青を逆にさせている。そこで閃いた。これは罠だということを。ワイズはそういうとこ見落とすから、あえて記憶がない振りをしながら待っていたというわけだよ」


 ニューダ社とカディヴィアが狙われている理由は定かではないけれど、デッドハラン王国にいるのはアイズとキア、そしてデッドハラン王国の指揮官、ロンゴールのみだ。

 それに目的は元々カディヴィア学園にいる生徒を誘拐するために、動いていたことも知っている。


 入院中、僕は影の力を使ってデッドハラン王国の様子を伺っていた。そしたらバンジャがベラベラとソアレに言っているから情報は筒抜け。そこで僕はニディアを呼び出した。


「ティル…?」

「しーこっちおいで」


 困惑するニディアは僕が使用しているベッドに座り、記憶戻ったのと聞かれ、元々記憶はあるよと告げあることを伝える。


「いいニディア?記憶があることはみんなに伏せておいて。デッドハラン王国に襲撃する日、ニューダ社にいないほうがいい。ニディアを苦しめたドロップが来る」

「じゃあ」

「そこで僕の代理としてギーディスに頼むから、ワイズと一緒にデッドハラン王国へと行って」

「ティルはどうするの?」


 ニディアは僕と一緒に行動したいのはわかっていた。それでもニディアをデッドハラン王国に行かせなければならないことがある。ニディアの手を握り、僕は伝えた。


「僕はカディヴィア学園に侵入してくるボルシャとバンジャを仕留める。狙いが子供たちだから」

「また離れての任務になっちゃうね」

「ニディアの宝物は絶対に触れさせないから安心して」


 ギーディスとディリー総司令官がどう動くかは、わからずとも父さんが生きていることに少々驚いている。父さんはある目的のためにライディー社を建設したのか知れた以上、僕はニューダ社を守らなければならない。

 ソアレ大丈夫だよとソアレとアイコンタクトをとり、ソアレは一つの爆弾を手にして、バンジャに向かって投げた。

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