57話 ボルダウ国襲撃①
ヨウミたちと話し合っていら、ティルから連絡をもらい、協力をしてくれることになり、ソアレ救出作戦を考えていた。
「ふむ、ボルシャ王はガディックであろう。ならばここは青遺伝子と緑遺伝子を持つ子たちをかき集めたほうが良さそうではないか?」
「相手はデッドハランだから、バランスを考え、全種の遺伝子はいたほうがいいかもしれない」
「そうは言ってもっすよ。デッドハランは人、ファンズマ問わずに研究するっすから、能力プラスファンズマも出るかもしれないっす」
ヨウミ、ティル、タングが言い、言われてみれば以前、ボルダウ国に侵入した際にそういうことがあったな。
ファンズマと接触したのは近くに、デッドハラン王国の人間がいたからになる。
ガリシャに頼みボルダウ国がどんな形になっているのか、見てもらい地図を作成してもらって、それを元にどう動くかだ。今回ばかりは、ザズとガリシャの力が必要になってくる。二人は別々に動いてもらう形で情報を共有してもらう形かな。
「今回ばかりはルシャンダの力は借りれないから、ガリシャとザズの力が必要になってくる。二人をどの班に混ぜるかが重要だ」
「ふわぁ。自分の盗聴も活躍させろじゃん。それにやばいこと聞いちゃったから早めに準備はしたほうがいいじゃんよ」
ノデッドが欠伸しながら言うもので、ハディックが目覚めに効く栄養ドリンクを渡しながら提案してくる。
「岩なら、わの、格闘で、倒す、のは、どう、かな?この前、なかなか、役に、立てなかった、から、役に、立ちたい」
ハディックは前回の件で、何もできなかったことが一番悔しかったみたいだ。今はそれ以上に鍛錬をしているとタングから聞いている。
「ガディックだから、水を持つヨウミ、植物を持つウバン、それからハディックを中心でボルシャ王を仕留め、ソアレ救出班はタング、ウリ、レッツォを中心に動いてもらう。おそらくボルシャ王と同じレベルの人がいるはずだから、俺らはボルシャ王の仲間を仕留める」
話していると扉が開き、あたしゃも混ぜてと会議中なのにサリラが入ってきた。
「サリラは怪我人の手当を頼みたいから連れては行けない」
「なんでよ。あたしゃがいれば回復はすぐだよ」
「相手はサリラを狙っているかもしれない。それにだ、ボルシャ王がフリジンダ社にサリラを入社させた訳は、ノデッドから報告を受けている」
「それでもあたしゃも行きたい。あたしゃのせいで、ソアレを危険に晒しちゃったんだよ。お願い、連れてって」
今回ばかりゲートを開けたり閉めたりという作業はできないし防犯カメラも設置されていない。サリラは貴重な人材だからここにいてほしいし、リアのそばにいてもらいたいな。
サリラはそれでも行くような瞳をしていて、悩んでいるとチーシャがはいなのと手を挙げた。
「サリラを連れていけば、真相がわかるかもなの」
「そうは言ってもじゃ。真相がわかったとて、ソアレを無事に救出できるかわからぬぞ。まして奴らはデッドハランじゃ。簡単には返してくれぬ」
チーシャとルマはそう言っていて、確かに相手はデッドハランで初の戦争をしに行くようなものだ。何か意図があってサリラを入社させるよう仕向けられたのなら、島にいる社員も危なくなる。
ここはサリラの願いを聞いて様子を伺うかと答えを出そうとしたら、ケリーが言う。
「サリラさんを連れて行くのであれば、サリラさんを守る班は用意しておいたほうが良さそうです。相手は何を仕掛けてくるかわかりませんから」
「そうだな。ならサリラは俺がつく。それでいいだろ」
そしたらみんなが却下と言い出し、ガリシャは今も鼻血を出していて、仕事をしっかりこなしてくれるか不明だからだ。
「なら俺と同じ班にすればいいだろ。俺は鼻血出ないし、妹を守らせてくれ」
みんなは同意見をして、ガリシャはザズに睨みかけていて、ザズもガリシャに睨み返す。本当にこの二人に任せても大丈夫だろうかと思いつつも、明日ボルダウ国を攻めることになった。
◇
一、二、三、と数えながらソアレの写真を数えていたのろ。やっとソアレに会えると火傷の痕を触れたのろ。あの日のことは一ミリたりとも忘れはしない、爆発事件のことのろを。
デッドハラン王国での任務で、父君と親子として任務に行っていた日。ソアレの自爆によって大爆発が起き、それに巻き込まれたのろ。
顔にできた火傷の痕は消えず、引きこもっていたら、指揮官から父君の中に入り、その中に架空世界を作るよう命じられたのろ。デッドハラン王国に帰るたびに、盗んできた子供たちを追い出しては、再び父君はあちこちへと旅をしていたのろ。そして今はボルダウ国の王として好き放題しているのろ。
会いたい、会ってソアレにされたことを、たっぷり別の方法で返してあげるのろと、ぐへへへと笑っていたら、父君からのメッセージをもらうのろ。
準備はできているのる?という質問でできているのろと返答すると、光が差しソアレが入ってきたのろ。ソアレはまだ寝ているようで、成長したソアレを見て指を鳴らすとわろが出したいものが出てくる。
まずはいきなり自爆されたら困るのろから、怖がらないようにと小動物を出して起きるのを待ったのろ。
◇
翌朝、スマホが鳴りっぱなしで何かと思えばイルルからだった。出たらソアレが大変やと大声で言う。リアはミライと一緒に浜辺散歩に行っているようで、少しほっとしながら状況を確認する。
「ソアレは?」
『ボルシャ王の腹の中は架空世界があるみたいや。まだ起きていないみたいんやけど、もう一人ソアレと同じぐらいの少年がおるけど、何度やってもその子の未来が見れへんくて』
「…とにかく今日、攻めに入るから何か分かったら無線で教えてくれ」
早く行動を犯したようだようだなと着替えていると、ただいまとリアとミライが帰ってきた。
「おかえり。リア、朝食、ごめん。早急にボルダウ国に行くことになった」
「気をつけてね」
おうっと行ってきますのキスをして、フリジンダ社へと急いだ。ルシャンダはいつもの朝の放送を流していながらも、フリジンダ社では社員がすでに出勤をしボルダウ国に行く者たちは準備を済ましているらしい。
ルシャンダから無線をもらいつつ、指示をしながらルシャンダに聞いた。
「防犯カメラは?」
「設置はされているでありますが、ちらほらとデッドハランの調査員を見かけるであります。いつ来てもあっちは準備しているような感覚でありますよ」
「俺たちを誘ってんのか。とにかくルシャンダは防犯カメラが壊れるまで、ニューダ社との連携を頼む」
あいあいさーと来て、ぞろぞろと社員がモニター室に入り、ルシャンダはゲートを開けてボルダウ国へと侵入する。各自班ごとに分かれてもらい、作戦通りに動いてもらった。
侵入したことで新種ファンズマとデッドハラン王国が仕掛けてきて、それぞれに対処してもらい、俺はティルと先に城へと向かう。
ティルの力でデッドハラン王国やファンズマを止めてもらいながら、進んで行くと城門にいるデッドハラン王国の調査員がいた。簡単には入らせてくれなさそうだな。
「これはこれはカディヴィアのワイズ陛下と言うべきから。それとニューダ社館長のティル」
「お前は誰だ?」
「らいか?らいはデッドハラン王国第三調査隊長、グックら。ここは誰も通さないらよ」
すると行方不明になっていたエピルスやニューダ社の団員たちが武器を持って俺らに攻撃を仕掛けてくる。助けてくださいと泣きながら攻撃してきて、糸で操っているんだと理解した。
どう操られているかはグックの手先を見て、頭上に火をつけてみると火が辿るように糸が見える。ティルはエピルスとニューダ社団員を止め、俺が火をつけたことにより、解放されたようで俺らの後ろに引き下がった。
「お見事ら。ただ、お目当てのソアレはもうここにはいないらよ」
「それくらい、知っている。ソアレはきっちり返してもらうぞ」
「ボルシャの腹はそう簡単に開かないし、入ったらもう二度と出られないら。だからソアレは諦めるらよ!」
糸が複数現れ、親父みたいにまだ炎は纏えないけれど以前とは違う。鞘を抜き炎を出して糸を切っていると背後にいたエピルスたちが悲鳴を上げ、みるみると姿を変えた。
その姿が蜘蛛のような姿で、糸を撒き散らかし、ティルとニューダ社団員が糸によって動けなくなってしまう。助けようとも次から次へと俺目掛けて攻撃するから、苦戦しているとティルも能力を発動させ糸が黒くなりちりちりとなった。
「僕がいたほうがいいでしょ」
「ったく最初っからそうしろって」
「ここは僕とワイズが引き受けるので、ニューダ社団員はザズがいるところへ向かい、指示をもらってください」
ニューダ社団員だとしても、もとライディー騎士団で捕まっていたこともあり、名前が変更になっていることは思ってもいないんだろう。一度は戸惑っていたが了解しましたとニューダ社団員はザズを探しに行ってもらう。
「どうする?僕の陰能力は父親譲りのせいなのか威力は炎と一緒のようだけど」
「そうらしいな。グックの能力は糸、つまり虫系蜘蛛タイプって考えればいい?」
俺が質問するとグックはくくくと笑い少し違うと、蜘蛛らしきファンズマが複数現れた。蜘蛛なのに綺麗な羽がついている。
「指揮官が惚れ込んだ新種ファンズマー、スニャンパは虫ではないら。妖精タイプであり、誰もが惚れ込むらよ!」
蜘蛛は色鮮やかな糸を吐き出しながら、粉を降らせてきやがった。なぜか目の前にリアが現れどうなっていると混乱していたら、危ないとティルの一言で我に返る。目の前にスニャンパがいて、炎を使い距離を離す。
「残念ら。ワイズ社長を倒せば、アイズにいい報告できたんらのに。まあいいら。らいも本気で戦うらよ」
グックはヨウミたちのようにファンズマの姿となりスニャンパより、神々しい姿を見せた。ティルは何か知っているようで、俺に教えてくれる。
「本で読んだことがある。おとぎ話に出てくるファンズマだと思っていたけれど違うらしい」
「実際はあってるら。師匠はそのおとぎ話のファンズマを実現させるために、研究をし続けようやく研究が成功したんら」
眩しすぎてあまり正面を向けず、どうするとティルに聞いてもティルは何も答えない。何属性か分かれば対処できるんだがと襲いかかってくるスニャンパに攻撃を与えた。ティルは陰の能力を使ってグックに挑むも、グックはいとも簡単にティルの攻撃を止める。
「ティル館長もここで仕留めておいたほうがよさそうら」
「ティル!」
「来るな!グックは僕が止める。だから先に行け!」
そうは言ってもティルを置いて行けるかよとスニャンパをある程度倒し、ティルを救おうとした時のことだった。飴が一粒、また一粒と落ちてきて、地面に落ちた飴たちがみるみる大きくなる。
上を向くとそこにもう一人デッドハラン王国の調査員がいたことに気づかなかった。その子は正方形の缶に入っているドロップを口に入れながら降りてくる。
「邪魔しないでらよ、ドロップ」
「別に手を貸してるわけじゃない。それに男には興味がない。興味があるのは女のみ、特にリアが好みかな。リアは来てないの?」
「来るわけがないだろ。それにお前らにリアを渡してたまるか!」
「残念。水飴でたっぷり遊んであげたかったのに。ろは男に興味がないから行くね」
ドロップという女の子は行ってしまい、これどうやって攻略すればいいんだよと炎の剣で燃やしてみると相性がよかったのか飴のファンズマは消えていく。
「邪魔者は消えたら。ティル館長を手土産にしたら師匠はどんな反応するらかね。連れて行こうかここで殺すかの二択ら」
「僕はどちらとも選択はしない!」
「そんくらい知ってるら!」
くそっ間に合わなかったとティルはグックによって、ティルの姿が変わり果てていった。全身黒く染まり、ティルは俺目掛けて攻撃してくる。どうすりゃあティルを救い出せるとティルに触れ無効化させるも、無効化は効かないようだ。
俺はまだまだってことかよと、あまりティルに与えないようにするも、ティルは自我を忘れたかのように襲いかかってくる。それにグックも俺に攻撃し始めて攻撃がしづらくなってきた。
しっかりしろとティルに呼びかけるも、ティルの耳は届かない。まだティルからグックの姿について聞いちゃいねえから、何が弱点なのかもわからずにいる。そしたら虫たちがやって来て、ど、いてという声で俺はティルから避けた。ティルは俺に襲い掛かろうとも、それを止めたのはハディックだ。
「わ、を、こんな、こと、させた、の、あい、つ!絶対、に、許さない!」
ハディックはファンズマ、ファイヴァンの姿となってティルを止めてくれている。そうか、影の弱点は格闘と虫でもあるからハディックは止められるんだ。
そうとなれば俺はグックに集中できそうで、相性は普通だとしてもこいつを倒せば先に進める。ハディックにあんなことさせていたのが、グックだと知った以上、容赦はしない。そう思って挑もうとしたら、昔のライディー騎士団が着ていた隊服を着た奴が現れる。
「この国を取り返しに来た。そこをどいてもらおうか?」
「ここはデッドハラン王国が侵略した国ら。お前の故郷はもうないらよ!」
「そうか。ならば、お前を排除するのみ」
そいつはグックに向けてある剣を取り出し、グックは追い詰められながらも、この場を離れた。そいつは舌打ちをしてその剣をしまい、俺に近づいてくる。
「フリジンダ社社長。ワイズ。ここは力を貸そう」
「あ、ありがとう。それよりあんたは何もんだ?もとライディー騎士団の隊服着て」
「俺は匿名部隊であり、以前は館長の元で働いてた者というべきか。今はとある国の匿名部隊として動いている」
「つまり、名前はなくただ指示に従い動いているってのかよ」
そういうことだと言われハディックは何かガミガミ言いながらティルを止めていた。そういやウリはこいつにやられたんだよな。ここで接触していること、ウリにバレたらまずくないかと思った矢先のことだった。
「ワイズ離れて!」
「ウリ」
「何しに来たの。言ったよね?ワイズには近づくなって。ワイズ、こいつを信じちゃダメだよ。狙いはリアちゃんなんだよ」
「え…」
考えている暇はないそうで、名無しはウリがまだファンズマの姿が気に食わないのか逆に襲いかかってくる。どうなってんだよとウリが俺を引き下がらせながら、名無しの相手をしていた。
状況が読めないままでいると、急に名無しは城の方へ向き、城へと行ってしまう。
「なんなのあいつ。うちがまだファンズマでいること、気にくわないような瞳してたんだけど」
「元館長みたいにファンズマが嫌いなんじゃないか」
何それと話している場合じゃなく、ティルを止めに入ることに。
◇
ウリとハディックをあのファンズマを止めている間に、我が輩たちは運良く、城へと侵入できた。のちに二人はワイズたちを連れて来てくれるだろう。城内もファンズマやデッドハラン王国の調査員に挑みつつ、先へと向かった。
奴の気配を感じるも、我々に敵視はしないだろうと思いたいところだ。デッドハラン王国の情報が少ないから、どう挑めばいいのかもわからぬ。ソアレは無事に救出できるのか。すでにソアレはある能力によって、体内に入れられてしまったとワイズから聞いている。ある能力は食虫植物であり、害虫=人を食す能力。
だから生きているかが正直わからぬのだ。無事に助けられれば良いのだがと、進んで行くと目の前にはなんとキアがいる。みんなは驚き、キアの名前を呼んでいた。
「争いたくないから、みんな撤退してくれないかな」
「そうはいかない。ソアレが大変なことになっているのだ。見過ごせるわけがないだろう」
「あのキモい親子に会ったのは初めてだけど、師匠の愛弟子の一人だ。愛弟子は七人いる。僕はその中には入ってないけど、忠告してこく。この先にいるのは第七調査隊長、ボルシャ。そしてボルシャの腹にいる息子、バンジャは架空世界を作り子供たちを管理している。大人はその中に入れば確実に死ぬ。だから全員を連れて帰れ」
架空世界となればソアレは生きているということだ。どうやって救うかが肝心となる。
「キア、戻ってくるだべよ!シフォンは今日いないだべが、キアの帰りを待ち続けているだべ!」
「姉貴に伝えといたんだけどな。僕のことはもうきっぱり諦めてほしいってさ。僕はアイズと生きることを選んだ。ここでエンディードを出すよ」
アイズの気配がないからエンディードは出さないであろう。しかしここでキアを保護したとしても、キアは必ず脱走をするに違いない。タングにアイコンタクトをとり、先に行ってもらおうとした時のことだった。
アイズが現れてしまい、これは防ぎようがないとキアが叫ぼうとした時のこと。一瞬何かが動き出し、何かと思えば匿名部隊がキアを気絶させ、アイズを止めたのだ。
「やはり、匿名部隊が紛れ込んでいたのは事実のようだ」
「お前はカディヴィアの血を受け継いでいながらも、ファンズマを利用している。これは罰を与えなければならない使命がある」
「それはどうかな。キアは俺がいないとキアのエンディードが暴れる。お前も知っているだろ」
「ことごとくあんたは嫌いだ。ニディア様はお前の正体、気づいていながらも総司令官に報告しなかった。なぜだと思う?」
知って何になると二人が話している隙に行かせてもらおうとタングに合図を送って、ではと行こうとしたら我が輩の服を掴まれてしまう。タングに先へと伝え我が輩はこやつとアイズを止めてろということなのだろうか。
「だったらこいつを連れて行け。こいつは役に立つ」
「名無しよ。いくらなんでもそれはないだろう」
「ヨウミ、忘れるなよ。お前が死なずにいられるのは、お前がデッドハラン王国の王子に値するからだ」
それを一番に聞きたくない情報であり、アイズは知っているかのように我が輩をせせ笑う。
「連れても師匠はヨウミを弟子にするはずがない。それにだ、ジェバールはいい実験体となってくれている。もう時期姿が変わった父親と会えるかもな」
その言葉でファンズマの姿となりアイズを仕留めようとしたのだが、名無しに止められてしまった。
「落ち着け。挑発に乗るな」
「そうさせているのは名無しではないか!」
その隙にアイズはキアを抱っこして距離を離したのだ。
「キアは誰にも渡さないし、リアもミライも、ノアも後々もらいに行く。そうワイズに伝えろ」
アイズとキアがいなくなったことで、役立たずと名無しに言われながらも、ボルシャを仕留めるぞとタングたちを追いかけていった。
◇
くすぐったくて目を覚ますとわんちゃんや猫ちゃんたちがソアの周りにいた。ここは一体どことわんちゃんを抱っこして周りを確認する。お人形やぬいぐるみたちがたくさんあるお部屋。ソアのお部屋じゃないことに気づいたとしても扉がない。
どうしようと不安になっていたら、抱っこしていたわんちゃんが飛び降りてしまう。ソアが不安を抱いちゃったからだと、落ち着かなくちゃと思っても、ここで自爆ができないよ。どうしようと身体を縮こませていたら、大丈夫のろと知らない子の声が耳に入る。
顔を上げると前髪を下ろしてよく顔が見えないと顔に触れようとしたら知らない子に腕を掴まれ床に倒れた。
「おはようのろ、ソアレ」
「誰…?」
「わろを忘れるだなんて、酷いのろ。って言っても実際は直接会ってないから覚えてないのろか」
ソアレのお腹に乗る知らない子は指を鳴らし、天井からある映像が流れる。あまり小さい頃の記憶がなくても、その映像を見てソアが自爆をして大きな事故を犯してしまったことだった。
ソアはお母さんと一緒にお買い物をしてて、迷子になった時だとつうと涙が出る。不安になったソアはあの時、初めて自爆したからはっきり覚えてないけど、周りにはたくさんの人たちがいたんだ。
気がついた時にはもうライディー社にいて、記憶を操作されていた。ソアがお母さんと過ごしていた日々を消され、ずっと施設にいた偽の記憶。
やっと、やっと思い出したよ、お母さん。この前会った人はソアのお母さんじゃない。お母さんはあの日、ソアのせいで死んじゃったんだ。
「泣くのは早いのろ!わろの顔を目に焼きつくせのろ!」
顔を見せてもらうと顔には火傷の痕が残っていて、近くにいた子だと思い出す。
「ごめんなさいっごめんなさいっ」
「謝られても、この傷は一生治らないんだよ!わかるか?この顔になったせいで、わろはまともに調査も行けず、調査員に馬鹿にされる日々を!だからなのか、師匠はわろを父君の腹の中に閉じ込めさせられたっ!この不気味な顔を師匠も見たくはなかったんろっ!顔を返せのろ!」
その子は泣きながらソアの胸で泣き強く叩かれる。ソアの自爆は時に傷跡を残してしまうほどの威力。この能力がなぜソアレが持たなきゃならなかったのかな。
「ソアレがのうのうと生きているのが、腹が立っているのろ。だからさ、わろのおもちゃとなって罪を償ってもらうのろ」
「嫌だっ。ソアには帰るべきところがあるの。ここから出ていく!」
「できるわけがない。ここは父君の腹の中であり、わろの架空世界の中。父君とわろが倒れない限り、出ることはできない」
「そんなのやってみなくちゃわからない!」
自爆をして距離を離すつもりだった。そしたら指を鳴らし続け、次々とソアレの大事なものが出る。
「これだけ出しておけば、自爆しない?」
本物じゃなくても自爆したらみんなに何か影響が出るんじゃないかと恐れ、その子の言うことを聞くしかないと感じてしまった。




