56話 ボルダウ国の正体
数日が経ち洗濯物を干しているとエプロンのポケットにしまっていたスマホが鳴り確認してみた。それは登録していない電話番号からのメッセージ。
内容は姉貴に会いたいというメッセージで、キアだとすぐにわかった。どこにいるのとメッセージを送ってみたら、写真が送られてくる。その写真がフリジンダ社の写真で、洗濯物を全て干し、ミライを抱っこして写真頼りにキアを探した。
探しているとキアとミライが指を指して言うものだから、そっちに行ってみると浜辺に座っているキアがいる。ミライを抱っこしたまま私はキアにハグした。
「なんでここに?見つかったら、大事になるよ」
「平気だと思う。クロウが島のハッキングをしてくれているから。姉貴にこれを渡したくてきただけだよ」
キアからもらったのは赤ちゃん用品で、二人目おめでとうと祝福してくれる。
「ありがとね」
「出産時には立ち会えないと思ったから。それと一つシフォンに伝言を頼みたい。僕のことは完璧に忘れてほしいって」
「アイズに何かされているの?」
「ううん。僕のエンディード、凶暴すぎて、デッドハラン王国にいた数名が死亡してる。出すのは簡単だけど、僕はアイズなしで生きられなくなっちゃった」
本当はまだシフォンが好きという瞳をしていても、シフォンを巻き込みたくないんだと感じとれた。それを伝えたとしてもシフォンはキアを諦めないよとキアのほおに触れると一粒涙を流すキア。
怖いんだねと癒していたら、今すぐ離れるでありますとルシャンダが叱り、周りにはフリジンダ社員が銃を向けた。キアは私から離れ、手を挙げて立ち上がる。
リア、下がれとワイズが言うからワイズのところへと行った。
「逃げんなよ」
「ワイズ、アイズから伝言。もうすぐカディヴィアを侵略するから覚悟しておけって。それから二人目おめでとうだってさ」
「じっくり、話は聞かせてもらう」
「それはどうかな」
そしたらキアの周りに新種のファンズマが出現し、またねとキアはいなくなる。新種のファンズマを撃つ社員で、ミライに見せないようにと撤退した。
家に戻り赤ちゃん用品は大切に保管していると、大丈夫だったかとワイズが入ってくる。
「うん。お祝いの品もらっただけだよ」
「他に何か言ってなかった?」
「キアの中にいるエンディードが凶暴らしくて、デッドハラン王国にいた数名が死亡したそうなの」
「…いくつかの国が滅びたという記事見てる?」
うんと伝えるとワイズはあることを口にした。
「それがキアのエンディードの仕業だとしたら、リアはどうしたい?」
国が滅んだのは全てキアの体内にいるエンディードだったら、止められるのは私とお兄ちゃん。それでも私はあれ以来エンディードを出したことがない。
「エンディードを出してキアのエンディードを止めたい。だけどどうやって出せばいいのかわからない」
「わかった。じいちゃん、詳しいと思うからじいちゃんに聞いてみる。あまりストレス与えないようにな」
私のお腹に触れるワイズでうんと伝えると、ワイズはフリジンダ社に戻り、残りの家事をしていった。
◇
今朝、出勤したらルシャンダがハイスピードでキーボードを打っており、何かと思えばクロウが島の情報を盗み出そうとしていて、戦っていたそうだ。
そしたらモニターにリアが映り何かを探している姿を見て、観察していたら防犯カメラがないところで消えた。不審に思い、何か嫌な予感がしていると、イルルが大変と寝癖をつけたまま水晶を持って来て、二人が会っていることを知る。間一髪だったけど、あのまま放置していたらリアが連れ去られていたとイルルは言っていた。
たとえリアの妹であっても、警戒はしておく必要があると社長室に戻り、サリラの報告書を確認する。
ザズと一緒にボルダウ国へと訪れ、襲撃でやられた負傷者は全員完治。ソアレはいつも通りに球に流しそれを投げる練習ばかりか。ボルシャ王からは何も情報をもらえなかったという。勘づかれたら防犯カメラは設置されず、サリラをボルダウ国に入れさせないだろうな。
そしてノデッドの報告書に目を通す。ノデッドはどんなに離れていても、声が聞こえるから同行はせずに支部で聞いてもらってた。
内容はボルダウ国の正体。本来、ボルダウ国はジルーの国だったそうで、ガディックに侵略されたそうだ。あの王がガディックと思うも、ジルーは国を渡し大臣として王を支えている。そしてジルーの正体が判明した。ジルーがなんとノールト人であること。娘がいたが行方不明となっており、娘を探すためボルダウ国に残っているそうだ。ただジルー大臣は一言も言っていなかった。
考えれば要塞の上にいた兵、ノールト兵の格好に似てたな。どういうことだと頭を悩ませていると、コルアが入ってくる。
「ちょっといい?」
「あぁうん」
「今度のニューダ社との会議、こっちでやる?それともニューダ社に手配してもらう?」
「幹部同士での会議だからな。こっちでいいよ。この前使わせてもらったし、ティルたちもミライに会いたいだろうから大会議室、予約しといて」
わかったわとタブレットを見ながら退散していき、幹部の会議はどうやってデッドハラン王国を攻めるかの議論がいまだに続いている。
兵器をもらったから、それの報告と国が相次いで滅んでいる理由がなんなのかも報告して、それからなんかあったかなと椅子にもたれ天井をみた。頻繁に新種のファンズマも出てるから、慣れるためにカディヴィアに商談を入れとくか。
ノックが聞こえ正面を向くと、今度はノアが久々にやって来た。
「リアからさっき連絡もらってさ。キアが現れたんだろ?」
「まあな。保護しようと思ったけど、できなかった」
「キアがだいぶ変わっちまったのは、俺も知ってるから気にすんな。それより、嫌な未来が降りかかる」
どんなと聞くと俺に見せてもらったのは聞いたことがない地名で、名はウラデュエ。
「父さんの故郷にいる奴らが動き出す」
「よくわかんないんだけど」
「奴らはキアを救ってくれるが、キアは俺たちのことを忘れるということだよ」
「俺の力で元には?」
できないと回答がきて、なぜリアじゃなくキアのみなんだと考えていると、ノアからあることを言われる。
「その後、俺もリアも、ミライも奴らに捕まり、ワイズたちを敵視する未来だ。デッドハラン王国がカディヴィアとニューダ社を攻めた後の未来。イルルはそれを恐れているようだ」
「イルルから何も言われてないけど、ノアが言うならそうなるってことかよ。防げる方法探さないとまずくないか?」
「ギーディスたちにもこのことを伝えてはあるが、どうなるかはまだ先のことだ。それとジルーという男には気をつけろ。ジルーは、ノールト人であり、奴らの仲間だ」
一番聞きたくないことを聞いてしまったような気もするんだがと思ってしまった。
「ソアレがボルダウ国にいさせている未来は?」
「そこまでは見に行ってない。すぐ分りたいのならイルルに頼んだほうがいいかもしれない」
それもそうかと思い、ノアはリアのところへと行くようで、俺は内線を使いイルルを呼び出した。 しばらくしてイルルがやって来る。
「なんや、呼び出しして」
「ソアレに何をさせているのかを知りたいんだ」
ちょっと待ってなと手に持っていた小型の水晶を取り出して、占ってもらうとイルルの顔が見るみると青ざめていた。
「ワイズ…」
「何が見えた?」
「ソアレが逃げ出して、ボルシャ王の腹に閉じ込められる未来が見えよった。ボルシャ王の本心がデッドハラン王国の手下っぽい」
「何がどうなってるんだよ…。ボルシャ王はファンズマのガディックだよな」
イルルの言葉が本当なら、ジルーの国はファンズマじゃなくデッドハラン王国に侵略されていたことになる。情報が少ないボルダウ国だし、もう少し情報がほしいな。こういう時はインディに情報をもらうのが得策かもしれない。
「イルル、しばらくソアレとボルシャ王の動きが見れたら随時、俺に報告してくれ。俺は一度インディの店に行って情報もらえるか聞いてみる」
わかったやとイルルは社長室を出て、俺はインディの店に行くためモニター室に行くとガリシャとケリーがいた。
「出かけるのか?」
「うん。今からインディの店に行ってくる」
じゃあついていくと言われ、ルシャンダはゲートを開き一緒に行くことに。
◇
フリジンダ社社長ワイズ様が来日して以来、警備を強化させながらソアレ様の姿を見ていた。ボルシャ陛下に侵略された日は今でもはっきり覚えている。
あれはヘリットが生まれて数週間後の出来事…
当初はノールト人が多く住みつき、第二のノールト王国だった。されど突如現れたボルシャ陛下とその手下たちに支配され、ノールト人は人質として、牢屋に閉じ込められている。そして我が娘や民の子は行方知らずとなってしまった。
娘と民の子を探すために大臣として情報を探すも、一つも手がかりはなかった。ボルシャ王陛下がどこから来たのかも、教えてはくれない。
この子もいずれ姿を消される前に逃さなければならないと、見ていたらソアレ様が球をとるも投げずにいる。すると私のところに来た。
「お母さん…どこにいるの?」
偽母は解放されボルダウ国にはもういない。本来ならばまだいてもらいたいところだったが、ボルシャ陛下と何かと取引をしていたのは知っていた。だがそれがなんなのか私には教えいただけない。
「ソアレのお母様は遠い国の女王様へ会いに行かれているのです。ソアレ様がしっかりと訓練をしていれば、すぐお帰りになりますよ。ですから一緒にお母様をお待ちしましょう」
ソアレ様は私の言葉で少しお悩みされていたとしても、待つねとソアレ様は練習をしていった。ボルダウ兵に見ててもらうよう告げ、一度ボルシャ陛下のもとへと戻る。
ボルシャ陛下は新しい奴隷女と一緒に寝ていらっしゃって、あの膨らみがとても気になっていた。錯覚だと思っていたが違うようで触れてみると何かが動き出し思わず手を離す。長年ボルシャ陛下について、ガディックだと思っていたがそうではないようだ。
ボルシャ陛下が起きそうで静かに玉座から降り、さっき来たように見せかける。
「もう食事のる?ジルーよ」
「もうすぐできるかと。陛下、ソアレ様はあのままの訓練をさせてよろしいのでしょうか?」
「よいのるだが、どうしたかのる?」
「いえ。ソアレ様が母君に会いたいと申しつけられたもので」
ボルシャ陛下はゆっくりと身体を起こし奴隷女たちも起き上がった。
「そうかのる。なら明日、ソアレを連れてくるのる。母親に会わせてあげるのる」
偽母はいないのにどうやって連れてくると思いながらも、御意と伝えソアレ様のもとへと入る。
ボルシャ陛下の膨らみの正体。考えたくもないことが起きるのではないかと、夜、こっそりソアレ様のお部屋へと入り、枷の鍵を外し抱っこする。
ボルダウ兵が通り過ぎていくのを確認しながら、城下町に設置されている防犯カメラに辿り着く。合図を送っても反応はなく、どうすればいいかと考えていたら、なぜかデッドハラン王国の者がいた。
「そこで何してるんら?」
「…あなたには関係のないこと。ボルダウ兵が来る前に立ち去りなさい」
「ボルダウ兵?ボルシャ、王気取りになって、何もあんたに伝えなかったようら。ここはガディックに侵略されてるって勘違いしてるけど、実際はデッドハラン王国に侵略された国らよ。だからボルダウ兵はらいたちの仲間ら」
ぞろぞろっと私たちを囲むボルダウ兵であり、あのお方から連絡をもらわないと私はウラデュエに帰還できない。どうするとソアレ様を抱えたままでいるとボルシャ陛下が来られてしまった。
「正体ばれてしまったようのる、グック」
「腹に入れすぎるんじゃないら?」
「腹がちょうど減っていたのる。食べていいのるか?」
「食べればら?腹壊しても知らないらよ」
何が起きるとソアレ様を抱っこままでいると、ボルシャ陛下の腹が開く、その中からは助けてという声と手が飛び出てきた。しかしボルシャ陛下の吸い込みで手が引っ込み、逆に私とソアレ様がその腹に吸い込まれそうになる。
あまり能力を使いたくないが仕方ないと鍵を取り出し、何もないところだが開ける仕草を出すと扉が開き、そこに入った。間一髪だったと思ったが足に何かが絡んでいることに気づかず、城下町に戻されソアレ様と離れてしまう。
「あっぶないら。ジルーの能力は知ってるんら。ボルシャ陛下の腹で永遠に生きろらよ」
「ソアレ様!ソアレ様!」
「起きないのるように、してあるのる。グック、ソアレを部屋に連れて行けのるよ」
「へいへいら」
糸が絡んでいてソアレ様を助けられないともがくもボルシャ陛下が再び腹を開け、何かに掴むも吸い込まれてしまい、私はボルシャ陛下の中に入ってしまった。
吸い込まれた先はまるで架空のような世界で、ソアレ様と同じぐらいの歳の子たちが住んでいるようだ。しかし大人の姿がなく、少し火傷を負うような痛みを感じる。
「おじさん、ここにいたら危険。おじさんたちがここに来てくれるけど、焼かれて死んじゃうよ。早く出て」
ソアレ様ぐらいの子たちは火傷はしていないようで、つまり大人だけが火傷を負うようになっているようだ。鍵を持って試すも開けられず、架空だから外に出られない。
これはあのお方が危険視と見ていた能力にすぎないと、どうやって出られるか教えてもらうも、出方は腹の入り口が開かないと無理のようだ。そうとなればこの子たちの能力を使って、脱出するしかない。
「君たちも出してあげるから、君たちの能力を教えてもらいたい」
教えてくれた子に告げると、隣にいた子が言う。
「何度も試したけど、出られないように、これがつけられてる」
見せてもらうと胸に赤いのが埋め込められている。これはウラデュエのみ知っているもので、これはあのお方が裁いた人のみにつけられる印。二度過ちを犯せば、発動し爆発する仕組みとなっている。ただ形が違うから別の誰かがやったことだろう。
子供たちにつけるとは罪深き人で、外せるのはつけた本人のみ。それが誰なのか聞いておく。
「これは誰につけられたかわかる?」
「覚えてない。生まれた時からついてたよ」
もしかしたらボルダウ国に住んでいた子たちも次々と消えていた理由はこれをつけさせここに閉じ込め、時期になったら外に出すという仕組みだろう。ここにソアレ様がいれば爆発をさせ外に出られそうな気もする。
「教えてくれてありがとう。なんとか出られる方法を探してみます」
教えてくれた子たちを撫で、どうやって脱出するかを考えていった。
◇
気持ちよかったでありますとお風呂から出て、モニター室に戻るとサーバー対策部の皆さんがまだ仕事をして、慌ただしかったであります。部長とサーバー対策部の一人から報告を受けたでありました。
「大変です!ボルダウ国が」
はてと少し前の映像を確認してみると、おろっと映像を拡大したであります。確かジルー大臣と抱えているのはソアレでありますね。周囲にはなんとデッドハラン王国の調査員となぜかボルダウ兵が周りにいたであります。
防犯カメラの音声がついていないものでありますから、状況が読めなくともジルー大臣がソアレを連れて逃げる仕草を見せるも、調査員が止め、ボルシャ王の能力でジルーがボルシャ陛下のお腹に閉じ込められたのがわかるであります。
防犯カメラがそこしかないでありますから、ソアレがどうなったのかは不明でありますね。
「早く和吉を呼んでくれればゲート開けたでありますのに」
「いまさっき起きていた状況だったので、すぐにお呼びできず申し訳ございません」
「ジルーという人には気をつけるようイルルに言われていたでありますから、よかったでありますが、ボルダウ国がデッドハラン王国に侵略されていたとは、知らなかったであります。ソアレが少々心配ではありますが、明日社長に報告するでありますよ」
お願いしますとサーバー対策部の人たちは残っている仕事を済ませ帰って行き、一応ワイズにはメッセージ送ったであります。
◇
ソアレは誰にも渡さないでのるとグックに運んでもらい、部屋に寝かせたのる。ジルーはいい駒であったのるが、やはり子供たちの詳細を気にしていたのるか。
ソアレの髪の毛に触れ、もう時期わるの腹特製の部屋に連れていくのるよ。そこにわるの子が待っていると触れていたら腹からばんばんと叩かれるのる。もう少し待つのるとソアレの手を腹に触れると落ち着いたのる。
「ボルシャ、わかってんのら?その子、破壊の能力らよ。万が一、デッドハラン王国に連れて行く子たちに影響が出たらどうなるのら」
「わかっているのる。わるの子がわるの腹で生きられないのわかってるのるよな?せめてわがままを聞かせてあげたいのる」
わるの子はソアレに惹かれていたのる。わるの子は架空の世界を生み出せる能力。しかし体力を消耗する能力であり、わるの体内にいないと死してしまうとロンゴールに言われたのる。
「会わせてそのままソアレも中に閉じ込めておくのら?」
「そうするのる」
「想像するだけでゾッとするら。早めに吸い込んでおかないとフリジンダ社が黙っちゃいないらよ」
そうのると明日、吸い込むのるとソアレの部屋を出て、グックにいつ引き渡すのかを調節していったのる。
◇
リアと一緒にテレビを観ながらゆったりしていたら、スマホが鳴り確認するとルシャンダからの緊急報告メッセージをもらった。リアにどうしたのと聞かれ伝えると驚いている。
「じゃあ元々、ボルダウ国は侵略されていたってことなの」
「そうなる…。行くにしても相手はデッドハランの人だ。ジルーはノールト人なのは知ってたけど、ボルシャ王がデッドハラン王国の人だなんて信じられない」
「…ソアレ、大丈夫かな」
「助けに行くにしても、防犯カメラは撤去されているかもしれない。それかボルシャ王はソアレを連れて、もうデッドハラン王国に戻ってる可能性もある」
何か裏があるとは感じてたが、よりによってデッドハラン王国の人間だったとはな。となればヨウミたちと作戦会議をしてボルダウ国に侵入するしかない。
「ソアレ救出にしばらく帰って来ないかもしれない。一人でも大丈夫?」
「平気だよ。私にはミライもいるし、それにお兄ちゃんがしばらくこっちにいてくれるみたいだから、何かあったらお兄ちゃんに頼るから大丈夫」
「それならよかった。ソアレ連れて絶対帰るから、他のみんなを頼むな」
うんと話し、明日に備えて早めに就寝することにした。




