54話 ソアレの爆弾
ソアレがいなくなったことでフリジンダ社は総力を上げ、ソアレの捜索に当たっていた。今朝、ソアレが来ないことで家に尋ねると扉はこじ開けられており、同居していたレッツォはソアレの部屋で倒れていて、サリラが手当をしている最中。
ルシャンダはソアレが誰に連れ去られたのか、GPSで捜し行くもソアレの姿はなく動物がソアレの衣服を巻いていた。
「島の侵入者はいないでありますよ。島に入れば警報が鳴るであります」
「そうなるとこの島にソアレを誘拐した人物がいるってことだよな。ガリシャ、昨日は?」
「普通に就寝してしまった。すまない」
ルシャンダがガリシャの寝ている姿映像を出すから、ガリシャはルシャンダにやめろと軽く拳骨する。ミライはソアと泣きそうで、一度モニター室をでた。
そしたら包帯を巻いたレッツォが来て、ごめんと私に謝る。
「謝らなくていい。昨日何があったの?」
「わからない。就寝中に物音が聞こえて、ソアレの叫び声が一瞬聞こえたから、ソアレの部屋に入るとすでにいなかった。そしたら後ろから襲われて。気を失う前にスーツケースの音が聞こえたぐらいだ」
スーツケースとなれば大人たちが持っているぐらいで、大人たちの仕業と考えてしまう。このことをルシャンダに告げ、夜中スーツケースを持っていた人物を探してもらった。
そしたら私たちは思いがけないことが起き、ガリシャは医務室へと急いだ。
「そう言えば昨日の夜中、起こされてたであります。ボルダウ国から患者が出たからすぐ行きたいって言ってたでありますよ」
「ルシャンダ、それ早く言えよ。警戒していたのにさ」
ごめんでありますと話していたらガリシャがサリラを連れて来たのだ。ちょっと来いとワイズは怒りを抑えながら取調室へとサリラを連れて行く。
事情聴取をした結果、サリラはボルシャ王に取引で自由にするという約束をもらっていたそうだ。その取引がソアレをボルダウ国へと連れてくること。最初は仲良くしてから連れて行くつもりだったけれど、昨日の夕方で起きたことで、ソアレは学校に行けないと感じ、実行をしてしまったそうだ。
サリラはごめんなさいと何度もワイズに頭を下げていて、ワイズはどう出るのだろうかと隣の部屋で見ていた。
「あれは完璧にカディヴィアに連行だな。仕事に影響出るからワイズはそうするだろう」
「どうなんでしょうね。フリジンダ社にとって貴重な子じゃないですか。なんかもったいないです。医能力者なのに」
ガリシャとケリーはそう言っていて、ワイズはまだ黙ったままだ。
ルシャンダが言うに、ボルダウ国に設置されていた防犯カメラがないという。そしたら再びスナナ街から行くしかなさそう。するとワイズの口が開き、サリラに告げた。
「フリジンダ社に入ったからには、守ってもらわなければならない。ソアレが無事に戻るまでは停職期間とする。またヘマなことをすれば、サリラをカディヴィアへ連行することを忘れるな。以上だ」
ワイズは席を外し、こっちに来てガリシャにはサリラが変なことしないように見張りを頼むことに。
「どうやって侵入する気?」
「ガリシャを連れて行きたいけど、サリラがまた余計なことをするかもしれないから、ガリシャはここにいてもらう。ボルダウ国に襲撃するから、ケリー今動ける者たちを呼んできてくれ」
了解ですとケリーは先へ行ってもらい、ソアレ救出する準備をしていった。
◇
ここどこと何もないお部屋で、恐怖心が強く爆発しちゃっても焦げの後とかは残らないようになってた。扉は閉まってて小窓を覗くも、大人たちが行ったり来たりしている。
昨日、会ったお姉ちゃんが襲いかかってきて、気がついたらここにいた。リアが作ってくれたお気に入りのパジャマじゃなく、まるでお姫様のような格好。そしたら鍵が開く音が聞こえ、そっちを向くと綺麗なお姉さんがいて、ソアレとソアを優しく包む。
「よかったっよかったっ」
「だあれ?」
「覚えてないものよね。あなたのお母さんって言ったらわかるかしら?」
「お母さん?」
ソアはお父さんに会ったことはあるけど、お母さんに会ったことがなかった。そしたらなぜか安心感が出てお母さんにしがみつく。
「もう大丈夫」
「お母さん、足についてるものなあに?」
あの施設にいた頃に、見たことがあるけど、なんなのかは知らない。お母さんは気にしないでとソアの頬を撫でる。
すると眼鏡をかけた男の人が微笑んで、陛下がお呼びですとお母さんに言った。お母さんはおいでと言われ、お母さんの手を握り一緒についていく。
ついていくと思ってた王様ではなくまん丸した人でちょっぴり怖いとお母さんにしがみついた。
「こち寄れ、ソアレ」
お母さんはソアを離し背中を押され王様の近くに寄ったら、王様のお腹に乗せられた。まるでトランポリンができるぐらいで思わずジャンプする。
お母さんに注意されながらも、王様はよいよいと微笑んでくれた。
「怖い思いさせて悪かったのる。ソアレの能力は皆が嫌いだということも知っているのる。だがわるはソアレの能力が大好きだのる。ジルー、例のものを」
さっきの人が出してきたのは小さな球がたくさん入ったもの。
「これなあに?」
「ソアレ、困っているのると聞いたのる。不安になったりしたらこの球に込め、投げるのである。ジルー大広場へ連れて行くのる。練習してうまく行けば、お家に帰らせるのる」
よくわからないけど、この方法ならみんなを傷つけずにいられる。ありがとう、王様と伝えてソアはジルーという人と特訓した。
◇
ソアレが行ったことで、偽母を演じさせた奴隷女を解放するであるのる。奴隷女はお辞儀をし、帰って行きポチりと映像をつけるのる。
昔っから興味に注がれたソアレ。逃走期間はなかなかソアレを見つけられなかったのるが、ようやくソアレを手に入れたのる。
「機嫌がいいな、ボルシャ陛下」
「なんのる?キア。この国は滅ぼさせないでのるよ」
「ここを滅ぼしても無意味だからやるつもりはないってアイズが言ってた。で医能力者であるサリラはどこにいる?」
「教えないであるのる。サリラは自由になったのるよ。お前たちに渡すもの」
デッドハラン王国、愛弟子のフィアンセと聞いているキアは、わるの首ぎりぎりでナイフを突きつけてきたのる。
「言わないと陛下のおもちゃ、連れて帰るけどいい?」
「わかったのる。フリジンダ社にいるでのる」
ちっと舌打ちしてキアはわるの腹から降りたのる。
「それとソアレになんかしたら、アイズの指示じゃなくても滅ぼしに行くから」
そう言ってキアはいなくなり、焦ったのる。いくつかの国は滅ぼされたと聞いているのる。キア、エンディードを持つ者。恐ろしいのると思いながら、ソアレが頑張っている姿を見届けたのる。
◇
デッドハラン王国に戻り、アイズがいるところへと向かった。取引成立したかと思えば、スノーリア王国の女王の病が治ったという記事に来てみたら、先手を打たれていたことになる。
イルルの未来予知でも見たんだろうと思いながら、中庭で鍛錬をしているアイズにタオルを投げるとキャッチした。
「どうだった?」
「フリジンダ社に先抜かれた。ソアレが逆にいて驚いたよ」
「ワイズはソアレと取引をしたってことになるな。ならソアレを奪いに行くか?」
「…ソアレを危険に晒すのは少し」
エンディードを出すのは簡単になり、アイズがエンディードを操ってくれるから大丈夫だとしても、ソアレが怖がって自爆してしまうんじゃないかと恐れる。
悩んでいるとアイズは僕の頭を撫でながら言った。
「キア、大丈夫。俺がそばにいるって何度も言ってる。怖がらなくていい」
「うん、わかってる。ねえ、アイズ。僕、姉貴に会いたい。二人目おめでとうってちゃんと伝えに行きたいんだ」
「ワイズもやるなとは思ってたよ。ストレス与えないよう接触は控えてたが、俺もキアだけじゃ足りなくなってる」
もうと拗ねていると冗談と言いながらシャワーを浴びてくるようだ。僕は部屋に戻り報告書を作成していく。師匠は長らくデッドハラン王国を空けているのは、僕の父さんとの密会が続いているらしい。
情報は分からずとも指示された国を滅ぼして行くのみ。チラッとシフォンの写真たてがみえ、その写真を手に取る。
シフォン、元気にしてるかなとその写真を写真たてから取り出し、シフォンが写っているものを全て外す。僕はもうシフォンのところには帰らないと決めてるから、これは処分しようとゴミ箱に捨てた。
あるだけで辛くなるだけだしと、以前プリントアウトした写真を写真たてにいれ、置いていた場所に戻し、報告書の作成を続けた。
◇
ソアレを助けるために再びボルダウ国付近にいた。この前のようにケリーがボルダウ国全体を霧にさせ、侵入し城へ向かっていくと、こんな時に新種ファンズマが出始める。
よりによってこのタイミングで出てくるなと、新種ファンズマ、ロッキンガンを倒す。ロッキンガンは岩タイプであり、俺との相性は悪いが、ケリーがもう一度霧をかけると弱まり、その間に倒した。
倒しているとボルダウ兵に見つかり、ボルダウ兵とやり合う。ソアレは返さないってことかよとやっていたら、やめなさいと俺たちを閉じ込めた人物がいた。
ジルー大臣とボルダウ兵はジルー大臣の後ろに整列し始め、分かれていたフリジンダ社の人たちも集まってくる。
「どういうつもりだ!俺の可愛い妹を奪いやがって!」
「あなたの妹ではないでしょう」
「妹じゃなくても島のみんなは俺の家族同然だ!どこにいる?」
こちらへとまた閉じ込められるんじゃないかと武器はそのまま手にし、ついてった先はソアレが玉を持って投げている姿だった。
「陛下はソアレ様の能力を高く評価されております。ソアレ様を傷つけたりは致しません」
「だったらなぜ、誘拐させるようなことを仕向けた。俺たちが来れないようにと防犯カメラも」
「それは違います。サリラからお聞きにならなかったのですか?」
「え…?」
サリラは自分が誘拐したことは認めていた。それ以外に何があるんだと考えていたら、ボルシャ王がゆっくりと歩いてこちらに来る。
「襲撃され、壊れたのる。国は時に襲撃されることが多いのるから、設置はあまりしないのるよ」
「誰にやられた?」
「デッドハラン王国のる。襲撃が終わり、今朝方キアという子が取引しにきたのる。サリラを引き取るつもりだったのる。だから襲撃されている間に、ソアレを渡し、まだ防犯カメラが生きているうちに帰ってもらったのる」
ルシャンダ知ってたなと後で叱るとして、ソアレを誘拐した件について問う。
「ソアレをここに来させたわけを知りたい」
「ソアレはいずれ役にたつ存在であると見ているのる。ソアレの不安が自爆しないようにと、提案をさせ訓練をさせているのる。うまくいけば帰らせるのる。ここは頑丈な岩ばかりのる。ここなら自由に自爆されたとしても大丈夫のる」
確かに襲撃されていたとはいえ、建物自体は一切崩れていなかった。
それにしてもボルシャ王の瞳に裏がありそうな感覚がある。今までソアレにはそういう訓練をしてこなかったから、いいかもしれないけれどまだボルシャ王を信じられない。何かきっとあるはずだ。もう少し様子をみて、再度来ればいいか。
「ソアレと少し話しても?」
「よいのる」
ボルシャ王に許可をいただき、ソアレと呼ぶとワイズと笑顔で手を振りながら走ってくる。
「迎えに来たの?」
「ごめん、迎えじゃない。ソアレ、ここにしばらくいてもらうことになるけど、大丈夫?」
「大丈夫だよ。練習して自爆しないように頑張る。みんなにも伝えてほしい」
「学校に行けなくてもいいのか?」
それはと少し思い出してしまったのだろうか。ソアレはしゅんと落ち込んでしまうも、一人で大丈夫と言う。時々は様子を見に伺いたいが、そうもいかないだろう。そうとなればここはサリラが来訪しに行ってもらった時に様子を見に行ってもらうのがいい。
わかったと伝え、後日防犯カメラは直してくれるそうで、俺たちはスナナ街へ戻り島へと帰還した。
「ルシャンダ、知ってただろ」
「なんのことですか?」
「惚けるな。夜中、襲撃されたと聞いたぞ。見えていたんだよな?」
ルシャンダは右上を向いて口笛を吹き、嘘をついていることがわかる。ならサリラに確かめるかと行こうとしたら、見たでありますよと泣きつき映像を見せてくれた。
夜中、デッドハラン王国がボルダウの民を誘拐しているところを、ボルダウ兵が助けている映像。そこにアイズとキアの姿も映っていた。
「これをリアには見せられないであります。ストレスになると思ったから」
「リアには言わないよ。ソアレは一時期、ボルダウ国に移住させることになった。学校に手続きを済まさないと」
「了解であります。学校に手続きは済ませておくであります」
よろしくなと俺はスマホを取り出し、ヤエン団長に連絡をする。ヤエンはオンジーレの土地にいるからいつでも行けるだろ。そう思い連絡すると着信の音が聞こえた。あれと行ってみると、医務室で気絶しているヤエンがいる。
「ヤエン何してんだよ」
「人目会おうとしたのだが、ユフェンに縛られここに閉じ込められていた。ユフェンは今、サリラのところで話している」
「悪い。ソアレが」
「いい。ソアレを引き取らなかった責任もある。父親として情けないことをしたまでだ。紐解いてくれるか?」
あぁと紐を外そうともこれ固結びされてるじゃんと、ちょっと火をつけ紐を燃やした。解放されたヤエンと一緒にサリラがいるルシャンダの家に尋ねると、親子喧嘩をしている。
「あたしゃはずっと本部に行きたかったっ。認められたかったっ。なのにどうして、あたしゃを本部に志願してくれなかったの?」
「サリラの能力は、素晴らしいがその。本部には影響が出ると館長に言われたからだ!」
「なんでよ!あたしゃはお父さんに認められるよう努力してたんだよ!なんで認めて来れないの?なんでウバンたちは本部へ行ったの!」
ヤエンは半笑いしながら言いたそうな顔をしていた。俺も言いたいけれど、これはユフェン団長なんとかうまく伝えてあげてください。
「おらぁはずっとサリラを認めていた。館長も認めてくださったが、その、大人たちから酷い目に合うのではないかと恐れて本部の施設に連れていけないと言われたのだ」
ユフェン団長の言葉で怒っていたのが頬を赤くし俺たちに背を向けるサリラ。ユフェンは寄り添い、いい社長に出会えてよかったなと言葉を添えると、サリラはうんと少し泣いてたみたいだ。
会議室へと入り、ユフェン団長、ヤエン団長、それからサリラ四人で話し合う。
「なぜあの風船王がソアレを好んでいるのか、サリラ知っているか?」
「詳しくはないけど、ボルシャ王は爆弾の材料が好物って聞いてる。だからソアレを好んでるんじゃないのかな」
「我のソアレにそのような目で見ているとは罪深き王、今すぐ王の首を」
「落ち着け、ヤエン団長。ソアレが帰って来れなくなってもいいのかよ」
ぐぬぬとヤエン団長は頭を抱えソアレと叫び出す。
「あたしゃみたいに閉じ込められ生活が起きるかも…」
「そうならないように、サリラ、夜中起きた襲撃で負傷者が出ているから、診てもらいと要望があった。防犯カメラを設置したら、すぐ来てほしいらしいから、その時にソアレの様子とボルシャ王が何を企んでいるのか聞いてきてほしい」
「行ってくるけど、ボルシャ王が何も言わなかったらどうするの?」
「大丈夫。助っ人を用意しとく」
我かと目を輝かせて言うヤエンで違うと言ったら、ヤエンは体育座りをしてキノコを生やし始める。するとユフェンが言う。
「助っ人というのはノデッドか」
「そう。こういう時はノデッドが役に立つだろうから」
「ならザズを連れて行け。ザズは位置情報を特定できるし、ある程度」
ちょっと待ったとガリシャが現れ、ガリシャは鷹の目を持つ。
「ザズじゃなく俺を使え」
「まだ鼻血出てるから、サリラとはしばらく行動禁止。鼻血がでなくなったら、任務渡すから。これ絶対。社長命令」
ブーイングされながらもザズはサリラの兄でもあるから大丈夫だろうと思いたい。
◇
天空の都市、ウラデュエ。
はあはあと息を切らしながら、早く伝えなくてはと階段を駆け上り、到着すると空の海を眺めているパトレア様がいらっしゃいました。
パトレア様をお呼びすると、パトレア様は心を痛めている様子で、私に伝える。
「地上の世界が荒れ始めたようだ」
「はい。デッドハラン王国が次々と国を滅ぼされています。パトレア様、時間の問題です。直ちにキア王女を」
「焦る必要はありませんよ、スターリ。キア王女の周囲にはすでに忍ばせるよう指示は出してあります。時期に芽が出て咲き誇るでしょう」
それならよかったと安堵をするも、キア王女を助けたとしても必ずアイズ王子はここまで追ってくるかもしれない。
「アイズ王子はどうされますか?」
「ノールトの血が穢されぬよう、わたわが排除します」
「よろしいのですか。アイズ様はワイズ様の兄。カディヴィアの総司令官であり、カディヴィア女王である、ディリー様が」
「ノールトの血を穢したのは事実。カディヴィアは滅ぶように仕組んでありますよ」
笑っていたとしても怒りが強く感じ、今もパトレア様はお怒りなんだ。
ノールト王国は秘密国家で本来ならばカディヴィアとは取引をしない。されどノールト王国に紛れ込んだ少女、ナユ様を保護してしまったせいで、カディヴィアと取引をすることになってしまった。
それを知ったパトレア様は前ノールト王を処刑されている。そのためルワード様はここに訪れることは許されなくなった。
「スターリ」
「はい、パトレア様」
「キア王女を保護したら穢れを落とすための儀式を行います。本来ならばノア王子とリア妃、それからリア妃の子どもたちも落としたいのですが、四人のエンディードは大人しくしていますから、キア王女だけを先に行います。その準備を」
かしこまりましたと告げ、階段を降り儀式の準備を始めて行くことに。




