49話 入れ替わり
二年前、妾はホムリを逃し、ネフィラと共にある国へと連行された。そこは見たこともない光景に圧倒されながら、ある王の名の下で働く義務をもらったのだ。最初は従うしかないと思って動いていたのだが、このやり方は館長よりも酷い状況で、妾は変身能力を使って、脱出しようとした。
王国を出たのは簡単であったがそこには見知らぬファンズマがうようよと彷徨っており、足がすくんでしまったのだ。兄者に助けてもらいたいと防犯カメラを探すもなく、突っ立っていたことでデッドハラン王国の者に捕えられた。
行き場を失ったことで王の間へと連れて行かれ、そこに目にしたのがワイズではなくアイズの姿で混乱が起きたのじゃ。
「ワイズ…?」
「違う。俺はアイズだ。師匠、早くリアのもとへ帰りたいのですが」
「すぐ終わらせる。お前は私のやり方に気に食わないようだな」
「そうじゃ!前のほうがよかった!ここで働くぐらいなら、死んだほうがよっぽどいい!」
「ならオーケルとなれ。お前には失望させた。いい弟子になるかもしれないと思っていたんだがな。そうしないとルマの兄がどうなってもいいのか?」
なんじゃと見せられたのは兄者が鞭で叩かれている姿じゃった。それを最初は信じてしまい、妾は仕方なく館長となりワガラ都市に出頭すれば兄者は助けてやると言ってくれたからじゃ。
警視庁にある留置所で後々思っていたことがあった。兄者はあの時、捕まる対象ではなかったと。おそらく妾が混乱していたこともあって、それがフェイク動画だとすぐに気づけばこうはならなかったかも知れぬ。
時が過ぎ妾はワガラ都市の裁判所で有罪判決をもらい、ブルズンという刑務所に連行され、処刑されるのを待っておった。暇だから時に警備兵となり館長を探させながらどんな囚人がいるのか観察していたのじゃ。そして見つけたのが紫遺伝子元団長であるムージュ・アガン。
鍵を開け中に入ると昏睡状態となっており、おそらくじゃが時空移動をさせぬよう眠らされているのだと。
確か記事では実の子を殺害したことで、館長が失敗作と判断し、ムージュ・アガンを警視庁へ引き渡し、代わりに弟のワファエが紫遺伝子の団長となった。
捕まった皆は無事じゃろうかと思いながら年月を経て、散歩していたらなんとチーシャが逃げ回っているのを目撃し、そしてムージュの部屋を囲み、キアの名前が出たのが驚きじゃったな。隠れつつ見ておったら、最上階へと連れて行かれ、妾も乗り最上階で身を隠していたら、アイズの声が聞こえ止めに入った。
キアは無事に帰ったそうで、一安心じゃがなぜじゃろう。この胸騒ぎはと新聞を読んでいたら、なんとリアとワイズが結婚したという情報に、ティルは何をしとるんじゃとめくる。そこにはサプライズ披露宴を行ったのがティルのようで、諦めよったんかと悟った。
まあリアとワイズの間に子ができよったという情報も載っていたから、それで区切りがついたのじゃろう。妾がそばにいなくてよいのか、心配ではある。
むむ。これはとリアとワイズの情報以外に妙な事件が起きているようじゃな。デッドハラン王国がやったのかは知らぬが、無差別殺人が起きておる。人もファンズマを切り裂く事件。ツァッセではあるまいし、一般にあるような事件じゃろうかと読むが能力者の可能性が出ているようじゃ。
カディヴィア、ニューダ社に記録されていない能力者の仕業かもしれないと書かれておるから、デッドハラン王国か。
読んでいたら警備兵が来寄って、面会だと言われたから、誰じゃろうと新聞をたたみ、手錠をかけてもらって面会室へと向かう。さっきはアイズやったし誰じゃろうかと面会室へ入ると、ネフィラじゃった。
「久しぶりじゃな、ネフィラ」
「久しぶり…さっきアイズから言われて会いに来たの。処刑が早まったこと」
「そうじゃ。父上と兄者、それからウリたちに会えぬが、こんな状況になってしまったのは仕方なかろう」
ネフィラはよくあの師匠という人に従えるのが凄いことじゃ。
「知ってる?リアとワイズのこと」
「先ほど新聞をもらってな。読んだぞ」
「うち、披露宴に行きたかったなってちょっと思っちゃった。うちはみんなを裏切って犯行を犯してる。入るのはうちらのほうなのに」
「自分を責めるでない。ネフィラたちは生きるためにやっていることであろう。妾は死を覚悟してまで、脱走を図り罰が当たったようなものじゃ。妾のことは心配せず、今を大切に生きるんじゃよ。必ず、兄者たちが助けに来てくれるからそれまでの辛抱じゃ」
うんとネフィラは涙目になりながら、ネフィラは妾に伝える。
「うち、ルマの分まで生きるっ。辛くとも頑張って、挫けそうになった時は、ルマのこと思い出すね」
「うむ。妾が死んだとしても、妾はネフィラや兄者たちのここで生きるぞ。大丈夫。そばにおる」
ネフィラは窓ガラスに手をつけ、妾もネフィラの手につけるかのように窓ガラスに触れた。
「みんなにも伝えとくね」
「うむ。妾はここでおしまいじゃが、ネフィラ、捕まってしまった皆のこと頼むぞ」
うんとネフィラの言葉を聞き、面会時間が終わってしまって、妾は牢屋へと戻る。鍵が閉まった途端、妾は涙が止まらなかった。
妾はまだ生きていたい。兄者っ助けてとただただ処刑の日が近づいていくのを待つしかなかった。
◇
中間テスト間近になりながらもブルズン映像をリアルタイムにさせながら、過去の映像を確認していたでありました。そしたら館長とネフィラが話していて、ネフィラの様子がおかしいと拡大するであります。ネフィラが泣いていて、窓ガラスに手をつけ、同じように館長も手を窓ガラスにつけていたでありました。
キアは本物の館長と言っていたでありましたが、これがルマだとすれば、キアは何を吹き込まれたでありますか。モニター室を出て、キアの部屋をノックするであります。しかしキアの返事はなくねているでありますかと扉を開けたでありました。
いつもだらしない部屋だというのに綺麗さっぱりとなっていて、机には姉貴へという手紙とシフォンへという手紙がポツンと置いてあるであります。手にすると小さな封筒にルシャンダへという手紙があってそれを読もうとしたら、大変だよと弟たちが和吉を呼んでおり、手紙を持ってモニター室へ戻ったでありました。
すると速報が入っておりたった今、オーケル館長が処刑されたことが発表されていて、和吉はストンと力が抜けるであります。処刑されたのはルマでありますとキアの手紙を開け読んでみたであります。
ルシャンダへ
ごめん。ブルズンに行った時、実は館長じゃなくてルマに助けてもらったんだ。
ルマは死を望んでいたのかもしれない。
だけどこの二年間、ルシャンダがどれだけルマを探していたのか、僕は知ってる。
だからこれからはルマと過ごす日を大切にしてほしい。
ただそこに僕がいないことで姉貴がだいぶ凹む可能性があるから、ワイズと一緒に支えてもらえると嬉しい。
頼むね。キアより
どういうことでありますかともう一つの速報が入りたった今、行方不明になっていたルマ・ライリュウが保護されたという報道で、和吉はすぐにどこで保護されたのかをハッキングしたであります。
場所はニューダ社の付近で、ニューダ社が保護した映像を発見したでありました。ただルマは叫びながら泣いており、和吉はゲートを開け、ニューダ社に訪れたであります。
受付でルマはと聞くと父上が来てこっちであると言われ、父上についてったでありました。廊下ではルマの泣き叫ぶ声が響き渡り、中に入るとティルが慰めているであります。
大丈夫でありますよと和吉もルマを慰めて行き、兄者と和吉にハグしてきてキアがっと叫んでいたでありました。とにかく落ち着かせるため、ティルはリアに連絡するため部屋を後にしたであります。
キアはブルズンから帰ってから数日、普通に生活していたでありますから、違和感はなかったでありました。考えられるとしたら、キアが捕まって最上階で誰と接触していたかであります。
背中を摩ってあげるとリアとノアが入って来て、リアは無事で良かったと優しく包むでありました。
「ハディックに続き、ルマが帰って来たは良かったが、今度はキアが行方不明。どうなってる…」
ノアはまだ整理がついていないようで、ルマは相当のショックを受けた出来事があるであります。鞄にしまっといたリア宛の手紙をリアに渡したでありました。
そしたらリアはノアに見せ泣いてしまい、なるほどなとノアは納得しながらリアを慰めるであります。
手紙にはなんて書かれてあるのか気になるも、まずはルマとリアが泣き止むのを待ったでありました。
泣き止んだ二人は落ち着きを見せ、ルマはここにいる全員に全てを打ち明けていく。
◇
等々この日が来てしまったかと警備兵が現れ、手錠をはめ処刑場へと向かう予定じゃった。しかし、処刑場ではなく連れて来られたのは、最上階の部屋で扉の先にはアイズとそしてキアがおる。
「ど、どういうことじゃ!キアは関係ないじゃろ!」
「キアの願いを無駄にするな。今すぐ元の姿に戻れ」
「嫌じゃ!話が違かろう!キアもなんとか言うんじゃ!シフォンが悲しむじゃろ!」
「シフォンとは別れた。早く元に戻ってよ。今、機嫌悪いからさ、これ逃せばルマは確実に死ぬよ?ルシャンダたちにもう会えなくなる。僕はルマを救いたいんだ」
キアはアイズに従うような子ではない。一体何が起きたんじゃと思っていても、シフォンの様子が心配じゃ。元に戻るとキアは妾の手に鈴を渡す。
「これを鳴らせば帰れる。ルマはもう役目を果たしたんだ。それにルシャンダは今もルマを探し続けている。これ以上、ルシャンダを悲しませないでやってくれ」
「じゃが、そしたらリアが悲しむじゃろ!よく考えるんじゃ!」
「話は終わりだ。ルマ、早くここから出ないとネフィラたちがどうなってもいいのか」
アイズの言葉でキアは妾にハグをし姉貴たちを頼むねと告げると鈴を鳴らしていないのに元ライディー社の入り口におった。訳わからぬとその場で泣きじゃくっていたら、元ライディー社のものたちに保護されたんじゃ。
◇
「…妾は死ぬ覚悟で、アイズと取引をしよったのに、キアに救われよったっ。リア、リアの兄者、すまぬ」
「シフォンが部屋から出ない理由はそれだったのか。ルシャンダ、シフォンからの手紙ってある?」
「あるであります」
ルシャンダからシフォンの手紙を受け取り、一度部屋から出てシフォンの部屋へと入る。あんなに仲が良かったキアからなんて言われたのかはまだわかってない。キアはルシャンダのためにと動いただけだ。
シフォンは布団に包まっており、ベッドに座って布団をずらすと寝ていた。寝言でキアと呟きまだ起きなさそうだから、机の上に手紙を起きリアたちがいる部屋へと戻る。
「まだシフォン寝てたから起こさなかった。チーシャの様子は?」
「ワイズとコルアがそばにいる」
「…キアをアイズのそばにいることを決めたのは、僕の責任でもある」
「いや、ティルの責任でもない。父さんが断ったとしてもアイズは必ずキアを奪っていた。まだデッドハラン王国の行き方を知らない。ルマ、行き方は覚えている?」
ノアに聞かれルマは過去を振り返りながら、ルマは何隻か乗り換えをしていたそうだ。ただ目隠しをされていたこともあり、正確にはどこにあるのかはわからない。
「そうなると、デッドハラン王国の調査員に直接聞くのが早いかもしれない。俺は一度このことを父さんに話してくる」
「これはどうしたらよいのじゃ」
ルマが手にしていたのは鈴で、ノアはカディヴィア社で使用している物らしく、ノアはこれが誰のものか知っているようだ。
「そういうことか。キアが簡単に消えた理由。キアはアイズの鈴をもらっていた。キアは帰らないからルマに渡したんだろう」
「キア、持ってなかった?」
「それは俺を呼び寄せる鈴だから、移動はできない。もしかするとキアはデッドハラン王国に侵入後、俺を呼び寄せ場所を特定させるかもな。それじゃあ、行ってくる」
ノアは一瞬でいなくなりルマはまだ少し落ち込んでいた。
「あそこは危険な場所じゃ。キアが耐え切れるかわからぬ…」
「キアを信じよう。それにキアは強いからどんな境遇でも乗り越えると思う。だからルマは少しずつでいい。失った二年間を取り戻していこう。エワンも待ってる」
以前のリアと比べ乗り越える力を身につけていたんだなと思いながら、ルマはキアを取り戻したいという気持ちは強いようだ。
「それじゃあ、ルマ。一つ頼んでもいい?」
「なんじゃ?」
「シフォンを元気づけてほしい。以前の僕のようになってるかもしれないから」
「うむ。シフォンが一番落ち込むのはわかっておった。任せろじゃ」
その意気とルマは早速シフォンの部屋と行ってもらい、タンヴァがリアに謝罪をした。
「ルマと引き換えにキアをあっちに行かせてしまったこと、本当にすまないである。この恩は必ず返させてくれである」
「これはキアが望んだ結果です。謝らないでください。キアは必ず、帰ってきます。そのためにタンヴァ団長、キアを救うために、力を貸してください」
「もちろんである。ティル館長、緊急会議するであるか?」
「緊急会議をする。できればフリジンダ社と連携を行いたい。ルシャンダ頼める?」
あいあいさーと敬礼して一度、リアとルシャンダはワイズたちに伝えに行ってもらい、タンヴァ団長には団長の収集をかけてもらう。
その間にシフォンの様子を見に行ったら、ルマと楽しそうな会話が聞こえ大丈夫だろうと部屋には入らなかった。モニター室でルシャンダを待つことに。
◇
潮風が吹き船に揺られながら海を眺め、昨日のことを思い出す。シフォンを傷つけるつもりはなかった。大喧嘩したままアイズのところに来ちゃったようなもの。はあと吐息を出しシフォンちゃんと前に進めるといいな。
ルマも無事に帰って今頃ルシャンダと再会できてる。ミライの成長、見られないのは残念。
そんなことを考えていたらアイズが隣に来て、僕の頭に触れようとするから、その手を掴む。
「僕に触れんな」
「落ち込んでると思った」
「落ち込んでるに決まってんじゃん。シフォンと大喧嘩したまま来ちゃったんだし」
手を下ろさせるも僕の頭を撫で撫でして、僕の肩に触れて引き寄せられる。
「俺が全て忘れさせる。心配はいらない。シフォンもリアたちも傷つけさせはしない」
「そう言いながら、僕の知らないところでやるくせに。そういうとこ卑怯なところが僕嫌いなんだよ」
「キアに嫌われないよう、これから努力するよ。師匠もネフィラたちもキアが来たことで喜んでくれる」
ネフィラに会えるのは嬉しいけどさ、これから何をさせる気なのか全く理解できてない。兄貴の鈴はまだばれてないからこれに頼りつつ、アイズの機嫌をよくするか。
「アイズはさ、僕と姉貴、本当はどっち好きなの?姉貴が結婚したから僕を選んだ?」
「違う。俺はもとからキアが好きだ」
「ふうん。そう言ってて僕のグッズより姉貴のグッズのほうが多かったって姉貴が愚痴ってたよ。ちょっぴりショック。僕は二番目なんだって思ってた」
「そ、それはキアに振り向いてもらえなかったからで…」
焦っているアイズを見て、揶揄うの面白すぎると感じてしまった。だから僕は駄々を捏ねる。
「僕を選んだから、姉貴のグッズとファンクラブはやめてほしい。それ聞いてくれないとデッドハラン王国の誰かと付き合うから」
「だがリアにお金が入らなくなる。子育てしているからファンクラブはやめられない」
「じゃあグッズだけ処分して、アイズは僕だけを見ててほしい。それが条件」
「約束する。俺はずっとキアだけを見てるから」
ありがとうとめちゃくちゃ嫌だけど、アイズにハグをすると強く抱きしめられた。少しの間だけと思っていたものの、アイズは離れてくれず、待っていたら調査員がもうすぐ着きますと言われアイズが離れる。
あそこだと教えてくれてここが無法地帯、ブラッディア。荒野の地で到着し船を降りると野生のファンズマが彷徨っていた。しかも見たことがないファンズマばかり。突っ立っているとアイズに手を引っ張られ、車に乗り込む。
出発し外を見てもファンズマは襲って来ないのが不思議だった。
「今まで見たこともないファンズマ…」
「研究して生まれたファンズマたちだ。すでに全ての土地に新種のファンズマの卵を撒いてある。時期に生まれるだろう」
「…何をする気なの?」
「それはまだ教えられない」
ファンズマの卵が孵化して街や国たちを滅ぼすに違いない。このことを兄貴は知っているのかは知らないけど、なんとかして止めなければならないと感じた。
「キアはしばらくデッドハラン王国の訓練を受けてもらう。訓練を完璧にこなせたら一緒に出かけよう」
「訓練ってまさか」
僕の体内で眠っているエンディードを呼び起こす訓練ってことかとアイズの瞳を見ればわかることだ。最悪だと思いながらも、アイズの指示に従うって言っちゃった以上、耐えるしかない。
「大丈夫。俺がずっとそばにいるから、怖いものはなにもないよ」
「僕、朝弱いよ。それだけはわかって」
知っていると言われながら正面を向くと黒い要塞が見えて来て、あれがデッドハラン王国。兄貴、僕はここにいるよと少し鈴を鳴らしながら要塞の中へと入り門が完全に閉じた。
車から降りて城下町を歩いていたら、キアと懐かしい声が聞こえそちらに目をやる。ネフィラは僕に飛びつき会いたかったと言ってくれた。
「僕もだよ。これからよろしくね」
「うん。うちはまだ見習いだから教えることはできないけど」
「平気だよ。多分、僕を指導するのはアイズだから。また後で」
ネフィラと再会できてよかったとアイズとデッドハラン城へと入り、アイズの師匠という人と出会う。どんな人なんだろうと思いながら、師匠入りますと伝え中に入った。
ゆったりと玉座に座る人は一瞬、父さんに見えても違って、ようこそ、デッドハランへと歓迎される。
「意外と来るのが早かったな」
「ブルズンでたまたま会いました。キア、こちらが俺の師匠となるロンゴール指揮官」
「初めまして、キアです。以後よろしくお願いいたします」
「よろしく。さて色々と試しておきたいことがあるが、疲れただろう。今日は休み、明日から訓練をしていく。アイズ、キアに部屋はできているよな」
もちろんと言われ、アイズが作った部屋がどんなものか、想像するだけでゾッとするのだが。王の間を出てアイズが城内を案内してもらい、僕の部屋となる場所はアイズが使っている隣らしい。
中に入るとえっと意外な部屋で、思わずアイズを見てしまう。なぜなら島そっくりの部屋で、写真たてが多くありそれが全てシフォンと撮った写真ばかりだった。
「それじゃあ何かあったら、隣にいるから」
「待ってよ。なんでここまで…」
「大切な人は飾っておかないとキアは嫌がるだろうなって。それに俺のこと嫌いでも俺を選んでくれた。それくらいはさせてよ」
アイズはにっと笑って扉が閉まり一つの写真たてをとって、ベッドに座る。これからどんな訓練が起きたとしても、シフォン、僕頑張るからねと写真たてをぎゅっと胸に当てた。
◇
シフォンへ
こんな形でいなくなってごめんね。
大喧嘩するつもりじゃなかったのに、仲直りせず消えることどうか許してほしい。
ルシャンダをこれ以上、悲しませたくないという気持ちで、ルマと引き換えに僕がアイズのところへ行くことしか思いつかなかった。
本当なら、シフォンに相談するべきことなのに、即決しちゃって、シフォンが怒ることもわかってたよ。
それでも僕は、シフォンがいじめられているきっかけがわかったことで、もうこれ以上シフォンを傷つけたくなかった。
ピタッといじめがなくなったのは、そういうことだから、これからは怯えず、堂々といてほしいな。
シフォンと離れ離れであったとしても、僕はこれからもこの先もシフォンのことが大好きだということは忘れないで。
いつか必ず、デッドハラン王国から脱出して、シフォンに会いに行くから。
姉貴のことが少し心配でも、支えてくれる人がいるから心配はいらないと思うけど、シフォンが辛くなったらこれを見て元気を出してほしい。
それじゃあ、行ってきます。キアより。
手紙を封にしまい、封に入っていたロケットペンダントを下げる。開けるとキアが笑った写真が入っていた。必ず、助けに行くよとロケットペンダントにキスをし、タブレットを持って大会議室へと向かう。
大会議室にはティル様たちとそしてワイズ様たちフリジンダ社の幹部、そしてカディヴィアの幹部が揃っていた。ティル様の隣に座り、ティル様が喋る。
「ではこれより、デッドハラン王国襲撃作戦会議を開始する」




