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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
36/195

36話 二年後の夜明け

 ピピッピピッとアラームが鳴り手探りで、アラームを消すもまだ眠くて布団に潜るも、いつもの恒例放送が流れる。相変わらず大音量すぎると顔を洗い制服に着替えた。


 去年の春、姉貴はミライを連れて島に帰って来たけど、姉貴とワイズの部屋を使わず、ベビーベット等は元姉貴の部屋にアイズが移動してたな。やめろとあの時言ったら、姉貴は移動させてあげてと僕に言った。もしかしてワイズはと聞きたくても、姉貴の顔を見るたびに言い出せないまま時がすぎる。


 学校に通っている時は常にアイズと一緒にいて、楽しそうに喋っているけれど帰って来た途端に様子がおかしい。今度こそ勇気を出して、聞いてみるかなと姉貴の部屋に入ると制服じゃなく私服姿で荷造りしてる。


「姉貴?」

「おはよう、キア」

「どこ行くの?今日、学校だよ」

「任務に出るからしばらく帰って来ない。ミライも一緒に行くから」


 やっぱりおかしいよと姉貴の部屋はもう使わないような綺麗さになってて、僕の前から姉貴がいなくなるんじゃないかと恐れた。

 荷物持つよと言うとありがとうと言いながら、ミライをベビーカーに乗せ部屋を出る。アイズも一緒だろうから心配はいらないだろうけど、大丈夫かな。

 モニター室ではルシャンダが待っており、ルシャンダは何も言わずにゲートを開ける。姉貴はルシャンダの耳元で囁き、一度僕をギュッと抱きしめ荷物をベビーカーの後ろに乗せ行っちゃった。


「ルシャンダ…」

「ごめんであります。これはリアと約束したでありますから居場所は教えられないでありますよ」

「わかってるけど、この一年の姉貴がどうもおかしくて。ワイズとの同部屋も結局無しになっちゃったし…」

「時期にわかるであります」


 ルシャンダも以前より笑わなくなっちゃって、ルマたちが見つからないからだと思う。島にいるみんなは気づいていないだろうけど、姉貴とルシャンダの変化に気づいているのは僕とコルアにイルルのみ。

 リーダーである、ウバン、ダディゴ、チーシャは気づいていながらそっとしているのかはいまいちだ。


 朝食を食べ終え、ルシャンダが学校のゲートを開き、みんなが入っていく中で、リーダーたちがまだ制服に着替えてなくて私服だった。ウバンが代表で、ルシャンダに聞いた。


「ぼかぁたちは学校には行かないべよ。ある能力を探しに行ってくるべ。ルシャンダもそう思ってるだべよ?」

「和吉も情報があれば伝えるであります。ただ全員揃ってないとワイズは困るであります」

「普段通りに接しあげられないの。だからゲート開けてなの」


 その会話を聞いちゃって閉じる前に島に戻りどういうことだよとみんなに聞く。ルシャンダたちは暗い表情をして、姉貴の異変さにリーダー全員は知ってたのかよ。

 するとコルアがあなたたちと怒っていて、ウバンたちは自分の部屋と行ってしまう。


「三人はほっといていいからルシャンダとキアは学校に行って来なさい。今日、ワイズが学校に来るの。まだキアにちゃんと話せていないのは事情があるのよ。直接ワイズの姿を見てきなさい。リアが伝えたくても、伝えられない事実がわかるはずだわ」


 ワイズが学校に来るってことは無事だったんだと喜びが隠せなかった。ワイズと会うまでは。


 僕はずんとオーラを出しながらニディアと昼食を食べていた。 


「辛すぎるー。この気持ちどうしたらいいのーニディア」

「ワイズお兄様と会ったんだ。ニディアも正直辛い部分はある」

「一番大切な人との記憶がないだなんて、姉貴はそれを知ってたから島から出たんだ…。なんで話してくれなかったんだろ…」


 僕に話してくれてもよかったことなのになんで姉貴はこのことを伏せてたんだろうと思う。そしたらニディアがスマホを取り出してメッセージのやり取りを見せてくれた。

 

「これって…」

「お父様から久々に来てワイズお兄様が目覚めたという連絡はとても喜んだ。でもね、療養中にお父様がリア義姉ねえ様のことを伝えたら、誰だそいつと言ったみたい。その挙げ句にティルが島で生活していたという偽の記憶が入ってるみたいなの」

「え?つまりティルも今日から島暮らし?」

「そう言うことになる」


 通りで姉貴の部屋が綺麗だったのはティルがそこを使うからってことなのか。ちょっと待ったとニディアに問う。


「アイズ、今日学校来てる?」

「ううん。任務に出かけたよ」

 

 なっとなんであの二人で任務に行かせるんだよと余計に心配だ。


「ティルはこのこと知ってんだよな」

「知ってると思うし、きっとワイズの記憶を回復させるために何かやるんじゃないかな」


 姉貴には常にアイズがいるし、よりによってミライも連れてっちゃったからな。ライディー社は結局潰れたものの、新しい会社を設立させたのが、元ライディー騎士団団長たちでティルを後継者にすることはすでに決まっている。

 残りの一年が終わったらティルは新会社で動くと聞いてるからフリジンダ社から出るけど、ワイズとちゃんと話して出ていくんだよな。

 ご馳走様でしたと告げていると、あのさと声がかかった。誰だよと思えばワイズでニディアは席を外す。


「僕になんか用?」

「これを見ても思い出せないんだ」


 僕に聞かれてもとスマホの画面を見せてもらうと、姉貴が送っていたらしいミライの画像やミライがこんなことしたよという報告。

 ただ途中から送っていないことがわかり、それがちょうど一年前でピタッと止まっている。姉貴の様子がおかしくなったのも一年前。


「一度その写真を見たときに、激痛が走って何日か寝込んでた日があったから」


 それだ。おそらくギーディスがワイズの状況を見て、姉貴に言ったんだろう。ったくワイズはミライの父親だっつうのに、アイズが父親ずらしてるのが気に食わない部分もあるけど、ギーディスもギーディスだ。

 ただ姉貴にとってアイズは心の支えだろうからあれ以来アイズに反抗せず見守ることにした。


 あれそういや、ワイズの首に何もかかってない。あのペンダントどうしたんだよと言いたいけど、言わないでおくとするか。だからここはあまりワイズが落ち込むようなことはせずこう答えた。


「リアの子で名前はミライ。なんでワイズに送ってたのかは知らないけど、一日でも早く元気になってほしかったんじゃない?」

「そっか。じゃあお礼言わなきゃな。最初は頭痛かったけど、この子の画像見るだけで、治療も頑張れたから。リアは島にいるの?」


 姉貴は今朝出ていきましたとは言えず、違うところで過ごしていると告げ、これ以上話してたら精神的に無理かもと思いじゃっと伝え退散する。

 ウバンたちはあのワイズを想像していたんだろうと感じ、島生活がどうなるのか少々不安しかなかった。


 夕方、授業を終えた僕は帰宅部だからルシャンダにゲートを開けてもらうとルシャンダがただ寄らぬオーラを出す。


「もう嫌であります。和吉も一度出てっていいでありますか?」

「それは難しい問題だな。僕も昼休みにちょこっと話したけど、無理だったよ」

「うぅ、いつものワイズに戻ってほしいであります。ティルは平然とワイズと話してるから凄いであります」


 ワイズをあんなことにしたのはティルであっても、僕らは責めれないからな。ニディアも同じ経験をしていたと聞いてるから、ティルは釈放された。

 そして今日ティルもこの島で少しの間過ごすんだよな。なんか調子狂うし一度兄貴のところにでも出かけようかな。


「兄貴ってどこにいるか知ってる?」

「キアの兄者は確か今ギーディスと一緒に酒飲んでいるでありますよ」

「わかった。ギーディスに物申したいこともあるから、準備よろしく」


 自分の部屋に行くと机に手紙が置かれ姉貴からだった。まず私服に着替えて綺麗に封を開け読んでみる。


 キアへ

 突然に出てしまってごめんね。ノールト城でミライを育てながらワイズが目を覚ます日を待ち望んでた。

 ミライの可愛いところを撮って、一日でも早く良くなりますようにと願いながら送り続けてた時に、ギーディスからメッセージをもらったの。

 ワイズがやっと目を覚ましたのに、悪影響のものはやめてくれって。それで何度かやりとりして、私との記憶がないことが理解できた。

 だからね、ギーディスとやり取りしてワイズが学校に来れた日は、島にきっと帰るだろうから、私とミライは島にいないことにすることを決めたの。すでにルシャンダたちには了承をもらっている。

 キアがずっと心配してくれていたの伝わってたよ。ありがとね。もしワイズになにか言われたとしても、何も伝えないでほしいというのが私の願いかな。まだワイズは療養中でもあるから。キアがダメかもしれないと思ったらカディヴィア社に連絡して。そこに私はいるから。


 それじゃあ、心の整理がついたらミライを連れて会いに行くね。


 鞄からスマホを取り出し姉貴に連絡するもお掛けになった電話番号は現在使われておりませんと音声が流れる。姉貴に言いたいことがあるけど、兄貴とギーディスのところに行かなくちゃ。

 部屋を出てモニター室に走って行くと、どうしたのとコルアに引き止められる。


「キア…」

「会いに行かなきゃっ。コルア、僕っ」

「行ってきなさい」


 うんとモニター室へ行き、ルシャンダにゲートを開けてもらってギーディス、兄貴と叫ぶ。すると二人の目が腫れながらこちらを向いた。

 ギーディスの服を掴み、怒鳴った。


「なんでだよ!なんで姉貴にあんなこと言ったんだよ!悪影響なものはやめてくれ?ふざけんな!ミライはワイズの子だ!送って何が悪いんだよ!姉貴と普通に連絡取れなくなっちゃったじゃん!」


 お店の周りにいた大人たちに注目されるも、ギーディスにとてつもなく腹が立ってたから。兄貴が手を離してやれよと兄貴の手が乗っかり、兄貴に引き寄せられ、兄貴の胸で泣く。


「ギーディスも悪気があって送ったんじゃないんだよ。ギーディスはワイズにつきっきりだったのは、キアが一番にわかってるはずだ」

「それでもっ」

「ワイズが写真を見て、何も思い出せず一番苦しいのはワイズだ。それくらいわかってやれ」


 そうでも僕はやっぱり姉貴とワイズの幸せを望んでる。ミライのためにとサプライズするつもりだった部屋も撤去しちゃって、二人の幸せが消えていくのが一番に嫌だ。


「リアにあんなことを言ったのは謝罪する。ただワイズが苦しむのを見ていられなかったっ」


 ギーディスも苦しんでいることは伝わって、お互いに涙を見せ合って、姉貴とワイズが幸せでいられる道を考える一日だった。

 


 新しい新居に到着した私とミライ。そしてアイズはミライが遊ぶ遊具を組み立ててもらっている。私はワイズと接触せずにカディヴィアの一員として動くことを決め、いわば中退したということかな。だから学校に行くのはほぼなく、ワイズとの接触をなくす。

 アイズも中退し仕事一本で動くことを決めた。おじいちゃんとお母さん、お父様、アイズたちのお母さんとよく話し合って決めたことだからいい。


「完成したよ」

「ありがとう。ミライ、アイズが組み立ててくれた遊具で遊ぼっか」

 

 ミライを抱っこしてアイズが組み立ててくれた遊具のところへ行き、ミライがおもちゃに触れながらつかまり立ちをする。


「段ボールの中、出していくから、リアはミライ見てていいよ」

「お願いね」


 ワイズと性格が似ているのかこういうことはせっせと動く。ミライは私かワイズどっちの性格に似てるのかなとミライが遊ぶ姿をみた。

 可愛いところはパシャリと写真を撮っても、誰にも送らない。スマホを変えて連絡は控えめにしてある。アイズとルシャンダ、それからキアにお兄ちゃん、お母さんとお父様の連絡しかいれてない。

 ルシャンダを登録してあるのは、きっとルシャンダはハッキングする可能性が高いから教えてあるだけ。それにみんなを危険に晒しちゃって、ワイズを傷つけてしまったようなものだから、みんなと距離を置くことにした。


 ミライはもうアイズをお父さんとして見ているのかはわからずとも、ミライもう少し大きくなったら伝えるつもり。


「リア、これどうする?」

「それはそこの棚かな」


 アイズが手にしていたのはワイズのノートで、一度はゴミ箱に捨てたのにミライがそれを拾ってしまったらしく、もう一度ゴミ箱に捨てようとしたら泣いちゃったの。

 だからこのノートには何かがあるんだと感じ、ミライが見やすいところに置いてあげている。

 

 ある程度は荷物を運んでおいたから、これからの生活がどんなものになっていくのか少しワクワク感があった。みんなと離れて過ごすのはもう慣れたよとミライが私の指を掴む。


「ミライ、ワイズに会わせなくてごめんね」


 そうミライに伝えると膝に乗っかって来て、まるでわかっているかのようにハグしてくれる。


「そういや、もうすぐだっけ?ミライの能力判定」

「うん。どんな能力を持っているのか、開花はいつ頃なのか確認しておきたくて」


 ミライには遺伝子マークがなくとも、いつかはカディヴィアの未来に繋げる人になっていく子なんだろうなって思ったから。ある程度アイズが片づけてくれて、私たちはカディヴィア本部へと向かうことに。


 途中でミライを託児所に預け、ミライは行ってらっしゃいと笑顔で手を振ってくれる。行ってきますとミライに伝えて、アイズの車に乗りカディヴィア本部方面へと進む。


「キアに言わず来ちゃってよかった?」

「コルアに手紙を渡してあるから大丈夫だよ」

「そっか。ワイズは今頃、学校生活か。リーダーのみんなの反応が目に浮かぶ」

「私も。他のみんなもワイズの異変に驚くと思うな」


 ワイズとアイズが二人並ぶ姿も少し見たかったけどな。車を走らせ数分後にカディヴィア本部に着き、地下駐車場に止めて降りた。アイズの誕生日にお兄ちゃんがこの車をプレゼントしてて、アイズはあたふたしているのを思い出すな。

 お兄ちゃんは弟のように見てるからもらっとけと言っていて、アイズは何度もお兄ちゃんにありがとうと呟いてたっけ。それで運転免許も取れて今はこの愛車で通勤をしている。


 中へ入り、おはようございますといつもなぜか社員のみんなは微笑んでいる。一緒の車で来ているからそういう話題があってもおかしくはない。

 アイズとは一旦離れ、アイズたちのお母さんであるディリー総司令官に挨拶しに伺う。ノックをすると入れと指示をもらい、中へと入った。


「失礼します」

「リア、よく来たな。新居のほうはどうだ?」

「はい。今日からあそこに住まわせてもらいます」

「そうか。何かあったらアイズかノアに頼むといい。それで早速だがリアとアイズで行って来てもらいところがある」


 すっと資料を手渡され確認すると能力者の資料だった。記憶を回復させる能力を持っているそうで、私は思わずディリー総司令官の顔を見てしまう。


「ライディー社には記憶をいじる能力者がいただろう。もしかしたらと思ってた。時間はかかったが、ようやく見つけた。ただこの能力者が現在どこにいるのかは不明となっている。リアとアイズはこの能力者を探し出し、見つけ次第カディヴィアに連れて来てもらいたい」

「かしこまりました。アイズと共有して任務へと行きます」


 頼んだぞとこの資料は持ってていいらしく、お辞儀をして総司令官室を出た。資料を確認するとまずは以前住んでいたニュラン町で、この人の情報を聞き出してほしいらしい。

 ニュラン町は緑大地、グリディアの土地にあるそうで、今まではルシャンダのゲートを使ってたけれど船に乗って移動かな。

 するとピコンと鳴り誰かと思えばルシャンダでゲート開けるでありますか?と来た。グリディアの土地にあるニュラン町に行く予定と送ったら、ガーンというスタンプが来る。

 そこは防犯カメラがないらしく、ありがとうとだけ伝えて軍隊長室へ入った。


「アイズ」

「話は聞いてるけど、ちょっと待って。南軍隊長に連絡しとかないといかなくて」


 そう言いながら片手にスマホを耳に当て、もう片方で資料を分別している。少ししてかかったらしく、今からそっち行くと伝えて切ってしまった。


「大丈夫そう?」

「うん。準備は大丈夫そう?」

「平気だよ」


 アイズは席を立ち船で行くのかと思いきや、私の手をとって鈴を鳴らすと景色が変わる。


「これは軍隊長とそれからノアが持ってるものだから、いつでも駆けつけられるようになってる。託児所が確か十八時までだからさっさと終わらせて、ミライ迎えにいこう」


 そこまで計算していたとは思わなくてニュラン町の前に誰かが立っていた。やあやあと手を振っている人物に近寄り、アイズは手を出す。

 そしたら犬の姿となってお手をしたのだ。アイズはプッと笑い犬の姿になっている人はアイズに噛み付く。


「情報は取れた?」


 アイズが聞くと人間に戻り全くだよと報告してくれた。


「総司令官からもらった通りに動いてはいたけど、情報がなかなか出ない。おっとこれは失礼」


 名刺を渡され私も渡し自己紹介してくれる。


「おんは南軍隊長、セイワン。能力は大型犬で匂いを嗅ぎ分ける能力。よろしく」

「よろしくお願いします」

「リアのことはアイズから散々聞いてるから。弟の彼女さんプラス子どもまで手にかけるとは」

「手懐けてはない」


 何かを言いかけた時にアイズがセイワンの口を塞ぎ、セイワンは犬の姿となってニュラン町へ入ってしまった。アイズは舌打ちし、悪かったと言われる。


「本当ならリアの隣はワイズなのに」

「ううん。いいの。こっちこそごめんね。アイズがそばにいるだけで、安心しちゃってた。記憶を失ってワイズが一番苦しんでるのに、そばにいない私もどうかと思うけど、無理して思い出さなくていいって思ったよ、それにね、ミライ、アイズに懐いちゃってるから、この道を選んだ」

「じゃあその…」


 アイズは赤っ恥になりながら口をもごもごしていて、ワイズがこのまま私やミライのこと思い出せなかったとしてもこれだけは伝えておかなければならない。


「ごめん。ワイズがたとえ思い出せず、別々の道になったとしても、これからもこの先もワイズを愛してる。だから結婚とかはしないつもりだよ」

「だ、だよな。ただいつかはミライに話すべきだと思う。今は赤ちゃんだとしても、ほらあの学園に通うことになる。ミライのために父親は必要だと思うよ」

「それは…そうだけど、私の今の気持ちは変わらないかな。まあワイズが別の人を選ぶんだったら、私はアイズを選ぶかもしれない」


 お兄ちゃんがまた未来を見に行ってるとしても、シングルマザーとしてミライを育てるつもりだ。アイズはお隣さんの部屋を借りてるし、何か困った時にはアイズに頼む。


「わかった。だけどこれだけは言わせて。俺はキアに振られてリアに目がいったとかじゃない。ともに過ごして、純粋にリアのことが好きになったし、リアやミライのことを守り抜きたいと思ってる」

「ありがとう、アイズ。行こ」


 アイズはだなと照れながらニュラン町で、聞き取り調査をしに行った。



 学校が終わり、島に帰って夜は宴で盛り上がっているも、そこにはキアの姿がなかった。リアって子が気になるも、何も思い出せなくて、唯一あるのはリアが送ってくれたリアの子の写真。

 ピタッと一年前で止まっており、なぜその先の写真を送ってくれなかったんだろうか。見ていたらミライだと俺のスマホを覗く下の子たちであって、写真送ってあげるとじゃんじゃん俺のスマホが鳴り止まなかった。


 ミライが生まれた日の写真とか、リアとミライが写っている写真とか、みんながミライを抱っこしている姿とかあった。ほらみんなとぱんぱんとティルが叩き、はーいと俺から離れる。

 ティルがちょっといいかと言われ、食堂から外し家から出て浜辺を歩き、そこに座ったから俺も座った。


「本当に覚えてない?」

「うん。写真を見てもピンと来なくてさ」

「ならこれは見覚えある?」


 見せられたのはティルが首に下げているペンダントで、それを外し見せてもらう。そこにはW、R、Tとあった。


「ごめん。何も思い出せない」

「僕とワイズとリアは幼馴染でずっと一緒にいた。そしてリアはワイズを選んで幸せになってもらうつもりだったのに、リア誘拐事件が起きた。僕とワイズはリアを救いに行って、そして…」


 ティルは過去を思い出しながら、俺に伝える。


「僕は何者かによって操られ、ワイズを殺めてしまった。本当にごめん」


 ティルは頭を下げ、俺を刺したのは親父から聞いてたし、操られていたならしょうがないことだ。頭を上げてくれと言ってもあげず、表情が見れない。


「親父から聞いてたし、ティルが俺を殺すはずがないだろ。元気出せよ」


 ティルは顔をあげ涙目になりながら、ティルは明日、この島を出ることを告げられた。

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