表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
34/195

34話 面会

 一週間が過ぎ、お母さんとお父様がいらっしゃって話し合った結果、一年はノールト王国で育てた後は島で育てることになった。

 それをお兄ちゃんが島にいるみんなに報告しに行ってもらっている間、目を覚ましたというタングの病室にいて、軽めの傷は私の治癒能力で癒してあげる。


「ありがとっすね」

「こちらこそ、助けに来てくれてありがとう」

「いいっすよ。それよりまさかここで治療受けられるとは予想外っす」


 タングが言うに本来、ファンズマはカディヴィア経営の病院は拒否されているようで、今回、私を救うために動いてくれたことにより、許可が出たみたい。


「そういや、帝王に何言われたんすか?」

「んーあまり覚えてないんだけど、はっきり覚えてるのはヨウミを傷つけたことぐらいかな」

「あれっすね。ヨウミ、それ聞いたらめちゃくちゃ謝ると思うから覚悟しといたほうがいいっすよ」


 どうしてよと笑いながら治療をしているとエピルスのみんなが大変と集まって来た。


「どうしたんすか?」

「ヨウミさんがっヨウミさんがっ」

 

 病院なのに走ってきたエピルスのみんなは息を切らしながら、目を覚ましたと言っていてマジっすかとタングはベッドから転げ落ちる。まだ安静にしてなきゃと手を貸して車椅子に乗せ隣の病室に入った。

 まだ起きれそうにないヨウミでもやあと微笑んでいて、車椅子をヨウミの近くに寄せてあげる。


「リア、無事でよかった。怪我はなかったかい?お腹の子は?」

「怪我もなかったし、お腹の子も無事だよ。それより助けに来てくれてありがとう。それから。幼少期のこと、本当にごめんなさい」


 頭を下げると頭を上げてくれとタングが言った通りになる。


「謝るのは我が輩のほうだ。我が輩は早くリアに知ってもらいたくて、あの姿を見せてしまったのがいけなかった。もう少し成長したら話すべきだと思っていたから、リアは謝らなくてよいのだ。でもとかいやとかはいらないぞ」

「うん」


 タングさんは一度エピルスのみんなを追い出し、三人になってヨウミが気になっていたことをタングに聞く。


「ワイズは?」

「知らないっす。わんぼも今日目を覚ましたから状況が読めてない状況っすよ。ノデッドはすでに退院したらしいっすけど、置き手紙もなく姿を消したみたいっす」

「新しい拠点を探しつつ、身を潜めるとは言ってたよ」

「そうか。唯一動けたのはノデッドのみだったか。ウリとハディックは?」


 お兄ちゃんから聞いたことを話すべきか少々迷っていると、アイズが花束を持ってこちらを見ていたのだ。


「アイズ」

 げっという顔立ちでいる二人で、ノデッドもそういえばこんな顔していたのを思い出す。一度、私はヨウミの病室から出て扉を閉めた。


「何かあった?」

「いや、これよかったら」


 お見舞いの花ねと私が使用している病室にある花瓶に、アイズがくれた花束を入れているとアイズからある情報をくれる。


「ティルのこと、面会の許可出た。会いたいなら、その、連れて行くこともできる。たまには太陽の下で散歩しながらでも」

「いいの?」

「うん。主治医もお腹の子に異常はないし、出かけてもオッケーって軽いノリで言われた」


 主治医さんってそんなノリだったけと思いながら、出かける準備をする。コルアがある程度、荷物や鞄等を持って来てくれた。これでいいかなとアイズと一緒にティルがいる留置所へと向かう。

 病院から出たことがないから、どれもこれも新鮮なお店ばかりで、後で買い物したいな。


「そういや、ニディア来た?」

「ううん。ニディアがどうかしたの?」

「今度お見舞いついでに聞きたいことがあるって言ってたんだ。来てないなら何やってんだろ。後でうち寄っていい?」


 うんとアイズたちが住むお家ってことだよね。どんなお家なんだろうと少し興味が湧いてしまった。


 途中でタクシーに乗り、アイズが何かを見せながら留置所までお願いしますと言うと動き出す。


「それって何?」

「カディヴィア調査員の証明証みたいなものかな。これを見せるとお金を払わず、勝手にカディヴィア本部に請求がいくようにしてある」


 こういうこともできるのかと興味持っていると、証明証を見せてもらった。フリジンダ社もこういうことできるのかなと考えつつ、アイズに返す。

 アイズの称号が軍隊長だなんて、ここにいていいのかなと少し疑問に思い聞いてみた。


「ここ最近、私のそばにいてくれるけど、お仕事大丈夫?」

「総司令官の指示でリアとキアのそばにいろって命令が出てるから平気。まあ島に行ってもキアに物投げられっぱなしだから最近はいけてない」


 やっぱり私が巨大化ファンズマである確かエンディートを出現させちゃったからなんだ。キアの人生を奪ってなきゃいいけどなと反省しながら、相槌を打つ。


「そうなんだね。キアはやっぱり相変わらずか」

「うん。ワイズの部屋に入ろうとしたら、めちゃくちゃ怒られて中に入れてない」


 お兄ちゃんだから中に入れさせてと心の中で叫ぶ私である。そこはフォローしとこう。


「わかった。アイズはお兄ちゃんだから中に入れさせてって伝えとくね」

「いいよ。どうせ行っても入らせてくれないから」


 どうしたらここまで不仲になれるのと苦笑するしかなかった。

 タクシーに乗って、数分後に景色ががらんと変わり大きなフェンスの前で止まった。そこで降り警備隊にさっきのを見せるアイズで、フェンスが自動で開く。その中へと入り、ここにティルがいるんだと景色を眺めながら歩く。

 少し歩くけど大丈夫?と聞かれ、平気と答えながら歩いている間は何も喋らずにいた。


 到着し建物の中へ入ると大人たちが綺麗に整列して、お疲れ様です、軍隊長と敬礼し始める。

 受付にいるごつい人にティルとの面会と伝え、案内してもらうことに。ティル大丈夫かなと面会室の扉の前で止まった。


「俺はこの中には入らないからじっくり話して」


 ありがとうと伝えて扉の中へと入り、椅子に座ってすぐに、奥の扉からティルがやつれた表情で入ってくる。ガラス越しだから直接は触れられないけど、ティルは何という瞳でいた。


「助けに来てくれてありがとう」


 それを伝えるとティルは椅子から立ち去ろうとして、待ってと告げたら背を向けたまま止まってくれる。


「私、信じてるよ。ティルがワイズを刺すつもりじゃなかったこと。ワイズにまだ会えてないけど、ワイズは生きてるって信じてるし、ティルがこんなことになったこと、私が探しに行く。一人じゃできないかもしれないけど、ルシャンダたちはティルを信じてるよ」


 するとガラス窓をバンっと叩き、私に告げた。


「ワイズを刺したのは事実だ!この手が感覚を覚えてるんだよ!どうやって証明できるって言うんだ!」

「ティル…」


 そこにアイズが入って来て向こうの扉から大人が入ってくる。ティルは大人と一緒に退出してしまい、気持ちが届かなくてアイズに甘えてしまった。

「アイズっ」

「ティルはまだ混乱してるだけだ。連れさせちゃってごめんな」


 ティルに何を言っても、いつものティルに戻って暮れないことが辛くて、しばらく涙が止まらなかった。



 留置所の中に戻り、監視下は鍵をかけ行ってしまい、涙が止まらなかった。リアが無事でいてくれたことに救われるも、もうリアに会わせる顔がどこにもないということ。

 新聞をもらって読んだ時、館長が何者かによって殺害されたと記されていた。その瞬間、あの呪縛から解放された感覚をもらったのに、僕は殺人者にすぎない。あの感覚は今も残っていて、あの短剣を貰わなければよかったという後悔。僕の身に何が起きたんだよと考えても答えはなかった。

 すすり泣いていると足音が近づき、誰だと涙を拭っているとティルとワイズに似た声が聞こえる。


「何?」

「ライディー社に行った時に、これを拾った。これは捨てるべきじゃない」


 なんだろうと振り向くとリアからもらったペンダントだった。ゴミ箱を漁るなよとそれをもらう。


「…ワイズは?」

「わからない。あれ以来、父さんとワイズの居場所は誰も把握してないけど、俺は生きてると信じてる。それとニディアもティルと同じ光景を体験しているということを伝えとく。ニディアだったらちゃんと話せるだろ?近々、ニディアが会いに行くって言ってたから。それじゃあ」


 用件を伝えたアイズというワイズの兄は去って行き、僕はペンダントを握ってワイズが無事でいることを願った。


 タクシーで待ちまで戻り、落ち込んでいた私を励まそうとあるお店へと入った。可愛いと子犬を抱っこし、子犬は私の顔をなめる。

 くすぐったいなと子犬と戯れていたら、アイズが初めて笑った。ワイズみたいにあんな笑顔するんだと子犬をサークルケージに下ろす。


「連れて来てくれてありがとね」


 そう伝えたらいつもの顔に戻って、元気になってよかったとアイズは違う犬に触れようとしたら吠えられた。ぐぬぬとサークルケージに入り、子犬を掴もうとも逃げられ次第には噛まれている。

 笑っているとそろそろ行くかとペットショップを出て、アイズたちが住むお家にお邪魔することになった。


 想像していたお家じゃなくお城で、お父様が言っていたことを思い出す。ワイズがカディヴィアの王子、つまりアイズとニディアも王族の一族だった。

 カディヴィア兵はお帰りなさいませ、アイズ王子と言われていてただいまーと棒読みで言う。


 お邪魔しますと中に入ると壁にはあちこちの情報が流れていて、ルシャンダが好きそうな電化製品もちらほらあった。城内を歩いていたらリアかとお年寄りが声をかけてくる。


「リアは初対面かもしれないけど、俺たちのじじ様」

「初めまして、リアです」

「よろしくな、リア。来るなら前もっていってくれればよかったのにのう。そうじゃ、ノアから聞いてないか?」

「何を?」

「カディヴィアの子たちと島の子たちを学校に通わせるという。アイズたちもまだ未成年じゃから三年間は通ってもらう予定にはしておるぞ」


 学校と首を傾けたら、おじいちゃんはほほほっと微笑む。アイズは嫌そうな顔になりいつからとおじいちゃんに問うアイズ。


「まだ日程は決まってないようじゃが、のちにノアから言われるじゃろ。じゃあごゆっくりじゃ」


 おじいちゃんはどこかへとお出かけしに行くようで行ってしまわれだるっと言いながら行こっかと案内してもらった。


「リアたちは学校というものがなかったと思う」

「うん」

「学校は学びの場所で小学校、中学校、高校、大学という順番があるんだ。小中は義務教育だったから、嫌でも行ってたけど今年から高校だから仕事に専念させてもらってた」


 アイズの部屋に入り、すごい広さと思いながらクローゼットを開けどこにしまったかなと漁り始める。整理整頓されてて大きな窓をみるととても綺麗な景色が見える。

 あったと大きな箱を取り出し、見せてくれたのは制服だそうで小学生で着ていた制服に、中学生で着ていた制服。さらに今年の制服も見せてもらった。


「多分だけど一度未成年の俺たちはカディヴィア学園に行って学ばなければならないことが出てきたんだと思う。カディヴィア学園だから、もちろんファンズマを実際に倒す日がある。リアたちがしてきた訓練より、比較的優しめかな。ただ学校は筆記試験っていうのがあって、授業で習った問題が出題されるぐらい。点数が低かったものは再テストを受けなきゃいけないけど」


 学校はそういうところなんだと理解したところで、アイズは制服をしまい、高校の制服はハンガーにかけてしまう。


「リア、頼めば採寸してもらえると思うけど、どうする?」

「いいの?」

「うん。まあリアの場合、お腹の子に圧迫感出ないようにワンピース型で最初は授業受けてもらうと思う。ちょっと待ってて」


 そう言ってアイズは一度自分の部屋から出て行き、数秒後、女の人が失礼しますと入って来てアイズは終わるまで外で待っててくれるそうだ。

 お願いしますと測ってもらい数分後、女の人は紙を持ってアイズの部屋から出ていくと同時にアイズが入ってくる。


「何日か時間かかるけど、一旦島に戻る?それだったら付き合うよ」

「明日、島に帰ろうかな。ちょっとヨウミたちに聞きたいことがあって」


 そっかとトーンが低くなるも、じゃあ病院に戻ろっかと病院に戻る途中でニディアとばったり会う。ニディアは数秒後、アイズお兄様、そこはとアイズの両頬を抓り出した。


「ふぁはってる。(わかってる)」

「それならよろしいの。ニディア、ちょっと怒りモードだからこれで失礼しますね、リア義姉ねえ様」

 

 ニディアはアイズの両頬を抓るのをやめ、さっさとお家の中に入ってしまう。今度話を聞いてあげよっかなとアイズが病院まで付き添ってくれた。

 また明日と言うからまた明日と私はヨウミがいる病室へ訪れるとヨウミの頭にはキノコだらけになっている。どうかしたのかなと声をかけようとしたら、お帰りっす、リアちゃんと廊下で車椅子に乗ったタングに引き止められた。


「ただいま。ヨウミどうかしたの?」

「いやぁ看護師さんにハディックとウリがどうしてるか聞いたんすよ。そしたらウリは集中治療室で命は繋ぎ止めたらしいんすけど、やばい状況らしいっす。それでハディックはここにいないことがわかって、ちょうどノアが来て聞いたんすよ」

 そしたらとタングはヨウミの姿を見て、辛そうな瞳をしながら言う。


「ハディックは変わり果てた姿で今も襲いかかろうとしてるらしいっすから、留置所で様子を見るらしいんすよ」


 私とアイズが行った留置所にいたのかなとふと思いながらも、ヨウミには元気になってもらわなくちゃならない。ヨウミのそばに寄る。


「二人は元気になるよ」

「何も守れなかったっ。リアを救えたのはノデッドだっ」

「それでも助けに来てくれたのは変わりないでしょ?ありがとうがたくさんだよ。二人が元気に戻って来ることを信じてあげなくちゃ。ウリもハディックも必ずよくなるよ。試しに私の力で試したっていいぐらい。だからいつものヨウミに戻って」


 ヨウミの手を握るとそうかと子供みたいな目で私を見るヨウミ。きっと大丈夫と笑顔で伝え、今日という一日が終わった。


 そして翌日のこと。病室に配置されているテレビをつけながら朝食を食べていたら、速報が入って来てライディー社を襲った張本人がワガラ都市にある警視庁に出頭したと報じられた。

 館長たちを襲った犯人が信じられない人物で思わずスプーンを落としてしまう。


「姉貴!」

「キア」

「ニュース見てる?」

「うん。え?どういうことなの?」


 私たちは今も混乱が続いている状況だった。殺害されたとされる館長が犯人。とてもおかしな点がいくつもある。アイズから情報を教えてくれて、あのやり方の手口はデッドハラン王国の仕業と聞いてた。

 だから間違いなく館長ではないはずなのに、どうしてなの。


「このことお兄ちゃんは?」

「ライディー社を調査したけど館長じゃないって兄貴は言ってた」


 もし館長の姿になれるとしたらウリだけど、ルシャンダが教えてくれてルマたちは行方不明になったと聞いている。ワガラ都市の警視庁に行くとしても、面会はできない。

 私とワイズを公表しなかったとはいえ、こんな早く館長が出頭するわけがないよ。


「お兄ちゃんは今?」

「多分、警視庁で面会できるか行ってるっぽい。兄貴にとっちゃ初めてだから未来が変わったのは事実だ。今まで見て来ていなかったことが起き続けてる」

「ティルのこと報道されないのは何か知ってる?」

「総司令官がティルのことは伏せるようにと報道陣には伝えてるっぽい。もう時期釈放はするみたいだけど、ワガラ都市に帰ったとしても、ティルの帰る場所…」

「それなら問題はありませんわ」


 そこに現れたのはニディアで、しかも制服姿だった。


「しばらくティルも高等部に入ることになりましたのでご安心くださいませ。寮も一つ屋根の下で過ごすので、リア義姉ねえ様は気にせず、子育てと学園生活を送ってください」


 ニカッと笑うニディアで、キアは機嫌悪くし僕帰ると病室を出よとするもニディアに捕まる。


「逃しません。ではこれからニディアはキアとお散歩するので、リア義姉ねえ 様、ごきげんよう」


 おい、離せと言うキアであってもニディアはずりずりとキアを引っ張り行ってしまった。キアとニディア不仲なのに大丈夫かなと朝食を食べ終え、島に一度戻る準備をしていると普段着のアイズが入ってくる。


「キアは?」

「なんかニディアが無理やりキアを連れてどこか行っちゃったよ」


 そっかと少しほっとしているアイズで、キアにまた邪魔されるのが嫌でニディアを使ったのねと感じた。

 準備ができヘリコプターで島へと向かう。久しぶりの島でみんな元気にしてるかなと景色を眺めているとアイズが私に聞いてきた。


「普段は仕事着で島に行ってたけど、この格好ワイズに見られるかな?」

「最初は勘違いされちゃうと思うけど、みんな大丈夫じゃないかな」


 そうだといいなと少し照れてるその笑顔が、ワイズそっくりすぎる。いつの間にか寝てた私を起こして到着したらしく、先にアイズが降りた。アイズが手を差し伸べてくれて、その手を取りながらヘリコプターから降りる。

 ルシャンダの声でリアが帰ってきたでありますとみんなに報告している声がなぜか懐かしいと感じた。


 みんなにお帰りと言われただいまと私は真っ先にルシャンダに会いに行く。モニター室へ入るとリアとルシャンダが飛びつき、寂しかったでありますと言ってくれた。

 約一年はノールト王国に住むことはすでにお兄ちゃんが伝えてあるみたい。ホワイトボードには役割分担がぎっしり書き込まれていたから。


「ルシャンダ、ルマのこと」

「大丈夫であります。ルマもネフィラも無事だと信じているでありますし、ティルのことも信じているであります。それと」

 いきなり威嚇するルシャンダであってなんとなく察したのかアイズはモニター室を出てった。


「あいつに何もされてないでありますか?それが心配で心配でたまりまくりでありましたよ」

「大丈夫。アイズがいなかったらティルと面会できなかったから」

「そうでありますか。リアが大丈夫なのであれば、これをリアに渡すであります。ワイズとリアの部屋の鍵でありますよ」


 キアそこまでやらなくてもよかったのにともらうも鍵が一つしかない。


「あれ?一つ?」

「ワイズの部屋覗いたらわかるでありますよ」


 疑問に抱きながら行ってみることにし、鍵を開けるとキアはこれを隠していたんだねと嬉しさが溢れ出す。それは私とワイズの部屋であって、ベッドはダブルベッドに変わってるし、赤ちゃんが寝るベッドや消耗品が揃えられていた。

 だからアイズじゃなくてワイズに見せたく、準備を重ねていたんだと思う。そこにキアの叫びがあってなんで入るんだよと照れ臭そうにアイズに言った。


「これはまだ仕上がってないから姉貴も見てはほしくなかったよ。もう」

「ありがとう、キア」

「兄貴から言われて最初の一年はあっちで暮らすことになるから、何が必要なのかある程度は頼んでおいただけだよ。見ちゃったなら仕方ないか。ちょうど姉貴に渡したかったのとりに来たの」


 キアはまだ未完成の部屋にある机の引き出しを開け、ノートを私にくれる。めくるとそれはワイズの字であって最後のページ見てと言うから見た。

 そこにはこの子の名前を何個か絞ってくれていたらしく、一緒に決めたかったなと思いながら丸に囲ってあるものを私に伝えるつもりだったんだろう。

 決めたよ。この子の名前。ワイズが選んだ名前にするから、一日でも早く元気になってねとそのノートは大切にし、島のみんなと一緒に一日を過ごした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ