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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
33/195

33話 もう一つの事件

 ここは一体どこだろうと起き上がるも誰もいなくて、見た感じ病院の一室なんだろうと理解できた。そばには花瓶に可愛らしい花が飾ってある。

 確か帝王ジェバールに真実を言われて、それからどうしていたのかさっぱり記憶がない。あるのは私がヨウミを殺しかけたことだった。

 そして記憶を書き換えられる能力の子に、私がやったことを消して、新たなにライディー騎士団がヨウミを殺害した記憶にしたこと。


 館長はそれを恐れてやったのかは正直わからないけど、ワイズがティルに刺される瞬間を見ちゃった。

 ワイズは無事なのと身体を動かしていたら、姉貴と言われそちらに目をやる。そこにキアがいて私に飛びついてよかったと言ってくれた。


「心配かけちゃって、ごめんね。大丈夫だった?」


 するとキアはうんともすんとも言わず、ごめんと震えていて、ワイズはいないんだねと思った時のことだった。ワイズが目の前にいても、少し雰囲気が違うようなと疑問を抱く。


「ワイズ…?」


 ワイズはぎこちない笑顔をしていて、それを見たキアがベッドから降りワイズに怒鳴る。


「僕に付き纏うな!」


 そう言って扉を閉め鍵までかけるキアで、どうしたとキアを呼ぶとパイプ椅子に座って教えてくれる。


「あいつはワイズじゃない。ワイズの双子の兄、アイズ。一卵性だから無言だと似すぎるから腹が立ってんだよ」

「なるほどね。えっとじゃあアイズはカディヴィアの一員ってことかな?」


 聞いてみるとそうと機嫌を悪くし、それでも私に隠し事はせずに情報を共有してくれた。


「僕たちの遺伝子には特殊なファンズマが眠ってるんだ。それを引き出すために帝王は姉貴を利用した。僕の憶測にすぎないけど、姉貴とワイズが誘拐された理由、もしかすると館長は姉貴の力を消すために奪ったんじゃないかって気がする」


 あの館長が私を助けるためにやってくれているとは想像できないし、悪顔してるからなと頭の中で思っていると、ただときあの声が少し暗くなる。


「ただティルはワイズを殺してないよ。ティルは館長からもらったぽい剣で周りにいるファンズマを倒そうとした。その瞬間にティルがワイズを刺しちゃったらしい」


 あの時は意識が復活したりしなかったりで曖昧な記憶だけど、ティルはワイズを殺したりはしないと信じてる。


「ティルは?」

「カディヴィアの留置所にいるって兄貴から聞いてるけど、アイズの母ちゃんの判断でどうなるかわからない。それにちょっと見てほしいものがある」


 キアはスマホを取り出し何を見せてくれるんだろうと待っていたら見せてくれた。

 それはライディー社が書かれている記事で、館長が殺害されたという記事。そこに息子が殺害したのかということまで記されていて、ティルは私を救いに言ってるから犯人じゃない。

 それに館長がカディヴィアの王子と秘密国家の王女を誘拐していたという記事までも載っている。

 

「館長が殺害されたけど、遺体はどこにもなかった。だからどこかで生き延びてるはずなんだ」

「ギーディスが殺害したとかはないよね」

「ない。兄貴が言うにギーディスはワイズの看病でそれどころじゃない。だとすると考えられるとしたら、一人いるんだ…」

「一人…?」


 館長を殺害できる人は私が考えられる人だといなくても、ふと浮かんだ人物がいた。


「もしかして…」

「うん。こっちに帰った時、返り血を浴びていて、最初は怪我人の血がついたんだと思ってた」

「聞いたの?」

「ほら、僕、嫌われてるしちゃんと話せてない。姉貴なら心許してるだろうし、話聞いてもらってもいい?」

「わかった。聞いてみるね。そういえば」


 私はお腹に触れて大丈夫かなと思っていたら、キアが微笑んでお腹の子は無事だよと言ってくれる。


「一時はどうなるかと思ったけど、ちゃんと動いてるから問題はないだろうって。ただ一応しばらく入院は必要かもしれないって言われたよ」

「よかった。あの状況でワイズの子はもうだめかと思ったけど、無事にいてくれてよかった。そうだ、ヨウミたちは?」

「ヨウミたちはちょっとやばい状況だったけど、回復力は早い方でもう時期目を覚ますころだと思う」


 そっか。まだ起きてないけど、起きたらちゃんとヨウミに謝らなくちゃならない。

 キアは島のみんなに知らせてくるそうで、私は少し横になり窓から見える空を見る。ワイズ、大丈夫だよねと首元に触れるとあのネックレスがなく、どこかで落ちちゃたのかな。

 空を眺めているとノックが聞こえ、誰だろうと見るとノデッドが包帯ぐるぐる巻きで入ってきた。相当傷負っちゃったんだと思いながら、さっきキアが座ってたところに座る。


「具合どうじゃん?」

「ありがとう、助けてくれて」

「これくらいどうってことないじゃん。それより、これリアのだろ?」


 すっと出してくれたのはなくしたネックレスでよかったと手に取る。


「持っててくれてたんだ」

「ちょうど戦ってる時に見つけて持ってただけだよ。ヨウミたちも起きないから暇すぎるじゃんって思ってたところ、キアとリアが話してるところ聞こえて来ちゃったじゃん」


 そうだった。ノデッドにはそういう能力を持っていて、遠くにいても聞こえちゃうってこの前教えてくれた。


「お腹にいる子も無事で何よりじゃん。それよりさっき廊下で宿敵に会った時は喧嘩売られるのかと思ったけどじゃん」

「宿敵?」

「アイズって言って、ワイズたちの兄」

「どうして宿敵なの?カディヴィアの人たちとは仲がいいんだよね?」


 ノデッドはそれはと言いたくないような表情をして、話を逸そう。


「ごめん。言いたくなかったらいいの。みんなが無事ならそれでいい。ノデッドはこれからどうするの?」

「自分はしばらく身を潜めるじゃん。それに新しい拠点探しておかないとヨウミ、ガミガミうるさいから下調べする予定じゃん。あっ!出産時には会いに行くじゃん」

「この子も楽しみにしてると思う。私は、ワイズの代わりにフリジンダ社の経営を進めていこうかなって。最初は育児とかで大変かもしれないけど、ワイズがやりたかったことを準備しながら待ってたいの」

「ワイズ、きっと喜んですぐ起きてきそうじゃん」


 でしょとノデッドと話していたら、お兄ちゃんがやって来てなんでいるんだよと、ノデッドの頬をぐりぐりするお兄ちゃんであった。

 ノデッドはじゃっと手を振って行ってしまわれ、お兄ちゃんはベッドに座る。


「具合、大丈夫?」

「うん。お腹の子も大丈夫ってキアから教えてもらったから大丈夫。お兄ちゃん」

「ん?」

「ワイズは必ず帰ってくると信じてる。だからワイズがやりたかったことを私が代わりに準備していいかな?」


 お兄ちゃんは仰天し、顔が固まってしまって、やっぱり無理があるよね。子育てをしながら経営は難しいのは十分に理解してるし、経営関係を学んでないから誰かに教えてもらう必要があるのは確かだ。

 お兄ちゃんは考え込み始め、育児を専念するほうがいいかとお腹に触れていたら、お兄ちゃんからあることを言われる。


「フリジンダ社を表に出すのはまだ早いと俺は思ってた。ワイズは経営学を学んでいないだろうし、最初は学ばせてからフリジンダ社を動かすのが理想だ。そこはちゃんと考えてる?」

「うん。私もワイズもそれは思ってて、経営学を学びつつやっていこうかなって考えてたの」

「それはわかったけど、お腹にいる子はどうするつもりだ?」

「子育てはちゃんとやるよ」


 お兄ちゃんはどちらかを選んでほしいような目をしていても、私だってワイズのためにやれることはしていきたい。するとお邪魔するわよとコルアが来て話は聞かせてもらったという態度を取る。

「島のみんなが協力し合って、子育てをする予定で、リアのサポートは私たちがやる」

「あのな、話は聞かせてもらったみたいな登場で来るなよ。現状、リアはノールト王国で子育てをするほうがいいと父さんと母さんが考えてるんだからさ」

「あたしたち、ノデッドから聞いちゃったの。ノールト王国がやばい国と手を組んでること。そんなところにリアとお腹にいる子に何かあったらどうする気?」


 私はそこ教えてもらってない部分とお兄ちゃんが深いため息を出し、それは一理あると呟く。


「リア、ちょっとアイズと交代する。コルア」


 私には言えない事情があるのだと知り、また顔出すねとコルアはお兄ちゃんと一緒に出てしまった。そしてアイズがおろおろしながら入ってくる。

 

「突っ立ってないで座ったら?」


 言っても私と目を合わせず、壁になぜか衝突してしまって、つい笑っちゃった。少し頬を染めながらパイプ椅子に座ってくれるも、落ち着きがない様子。私は気持ちを伝えた。

 

「助けに来てくれたんだよね?ありがとう」


 すると手をブンブン振り、仕事だからと小さく喋る。んーあとはこれかなとアイズに言う


「キアがあんな態度取っちゃって、ごめんね。普段はあぁ言うこと言わないの」

「知ってる。俺は昔、キアに告白したことがあったんだけどふられた身だし、今回の一件で総司令官からキアから離れるなって指示もらってるだけだから」

 お仕事中なのにあんな態度取っちゃってとキアがここにいたとしても、キアはアイズに暴言吐いちゃいそうだな。


「だからなのか、ニディアはキアを嫌ってる。ニディアの宝物に触れたものは大抵敵視しちゃう子だから」


 なんとなく見ててそういう子なんだなって思ってた。


「ワイズには会えないの?」

「兄妹だとしても父さんは会わせてくれない。だから仕事に集中するだけ」


 聞いちゃっていいものなのかなと少々考えるも、やっぱり聞いちゃおっかなと聞いてみる。


「ライディー社の館長のこと」

「ニディアのこと疑ってる?」


 まっすぐな瞳で私をみる姿がワイズにそっくりすぎて、ワイズと思ってしまうも、アイズに本当のことを伝えた。


「ティルのフィアンセでもあるし、そうなのかなって考えちゃうの」

「ニディアじゃない。返り血を浴びたのは近くにいたライディー騎士団の団員であることがわかっている。あの場、ニディアはティルのためにティルの団を守ろうと動いた。そこにある組織と鉢合わせになってそこで返り血を浴び、ティルと同じ経験をさせられ、俺が気絶させた」


 ティルと同じ経験をさせるだなんて、どういう組織なのと思っているとおっまたせとお兄ちゃんが戻ってくる。


「アイズ、一度本部に戻って来いって総司令官の命令」

「わかった。それじゃあ」

 アイズはそれを言って病室を後にし、余計なこと言ってなかったと言われたから何もと伝えた。


「リアがやりたいことはよくわかった。だが念のため父さんと母さんと話し合ってからでもいい?」

「うん」

「よし、それじゃあ俺も本部、戻るけど何かあったらいつでも連絡してこいな」


 ありがとうと伝え、お兄ちゃんも仕事があるため行ってしまい、静かになってしまった病室。ティルに会いたいなと思いながら、私は一休みすることにした。



 リアが無事に救出されたと聞いた喜びがあったとしても、ルマたちはどこにいるでありますかと徹夜続きで探すも防犯カメラには映っていなかったであります。

 しかもライディー社の映像がプツンと切れ、ハッキングを行っても映像が出なくて状況が読めなかったでありました。そして翌日の記事を見た時、衝撃すぎる記事を見た時は焦ったであります。


「ルシャンダ、少し寝た方がいいべ。身体が持たなくなるだべよ」


 ウバンがコーヒーを差し入れてくれて、それを飲みながらあちこちの防犯カメラをチェックするであります。ルマたちが無事なのか、確認ができるまで徹夜するであります。

 そしたら和吉の手を乗せ、キーボードを打たせてくれないであります。


「心配なのはたわしたちも同じや。たわしの力で占ったけど、覚悟はできてるん?」

「場所わかったのでありますか!」


 思わずイルルの肩を掴み、イルルは掴めたけどと和吉の手を降ろし、和吉のキーボードで情報を出してくれる。


「デッドハラン王国…?」

「この地に行くにはまず厳しいんよ。あそこは防犯カメラもない無謀地帯、ブラッディアにあるんや。アイディー街で商売してる時に何度かお客さんで、その場所を見たことがあって調べたことがあったこともあったさかい。あそこに行くには相当な力をつけた者じゃないとたどり着くことができへん。今のたわしたちには難しい場所やで」

「なぜルマたちがそこにいるんだべか?」

「それはリアの兄に聞いたほうが一番早いと思うで。なんか知らないけど、コルアからリアの兄が近々来るからそれまでは待機しときって言われたやから」


 リアにお見舞いを持って行きたくても、リアはそれを知らないでいそうであります。ネフィラもホムリも戻って来て来なかったでありますから、おそらくルマと一緒に捕まったと考えるべきであります。

 

「ワイズの情報は掴めたでありますか?」

「本人から占うなって言われてるさかい、占うつもりはないんや。今、たわしたちがやるべきことは今後のことやと思うで。リアがいつ島に戻ってくるかは、まだわからんけど、やれるべきことはやっていこうや」


 イルルの言う通り、今まで和吉たちはリアとワイズが中心となって動いてくれていたであります。大変なことも全てあの二人が成し遂げてくれていたでありますから、二人が不在中であってもやれるべきはそれぞれ持っているでありますね。


「わかったであります。ルマのことはリアの兄者に聞くであります。まず父や他の団たちが無事なのか、後誰がいなくなったのか聞きに回るであります」

「それなら各リーダーが団長に会いに行けばいいんじゃないだべか?」

「そのほうがよさそうや。父上と兄上大丈夫か確認取りたいしや」


 そうと決まればと準備していると、スマホが鳴り始め誰でありますかと確認したら公衆電話とあり出てみるであります。


「ルシャンダであります。どちら様でありますか?」

『ルシャンダ!助けて!』

「ホムリ?どこにいるのでありますか?」

『わかんないっ。ルマとネフィラが僕ちんを助けてくれてっ』

「待っててであります!今、この公衆電話がどこにあるのか調べるであります!」


 急げとキーボードを打ちホムリがぐずんと泣いているであります。イルルもどこの公衆電話なのか水晶玉で調べてもらっているであります。

 敵が来るまでになんとか救いに行かなきゃとやっていたらイルルが公衆電話の場所を特定し、そこに防犯カメラがあるから今開けるでありますとゲートを開けた。そしてホムリが入ってきてすぐ閉じたであります。


 怖かったとホムリは泣き喚き、ウバンは大丈夫だべとホムリを優しく包むであります。このこと念のためノースに伝えるでありますとスマホでノースにかけるも出てくれなかったであります。

 ホムリが好きなホットミルクをイルルが持って来てくれるらしく、一度和吉のサポート役のみんなにはでてってもらったであります。


 少ししてイルルが持ってきたホットミルクを少し飲み、ホムリは落ち着いたようで話してくれるであります。


「ルマがリアになって建物を探検してたら、ライディー騎士団やエピルスの人たちじゃない人が立ってたっ。周りにはライディー騎士団とエピルスの人たちが倒れてて、違和感を感じたルマはリアの姿になるのをやめて元に戻った時に、背後から襲われて。気がついたら船に乗ってた」

「エピルス本部の付近は海に近かったからでありますね」


 よしよしと頭を撫でホムリが電話してきたのはイエロードの土地にある町でありました。イエロードは公衆電話が多いらしいから、よかったであります。


「どうやってイエロードの土地にいたんでありますか?」

「ネフィラとルマがネフィラの真似をしてそこまで運んでくれた。ただ浜辺でルマとネフィラ捕まっちゃって、助けようとしたら二人は逃げてこのこと伝えてって言われた。大丈夫、絶対にこの人たちから脱出するからってっ」


 ホムリはまだ小さいから逃したんでありますね、ルマ、ネフィラ。


「教えてくれてありがとであります。後は和吉たちに任せて、ホムリはゆっくり休むであります」


 うんとマグカップを持って、まだ怯えている様子だったからウバンと一緒に行ってもらったであります。このことはリアの兄者に後ほど報告するとして、ライディー社がどうなっているのか気になり、ライディー社周辺の防犯カメラをチェックするとわんさかとカメラを持った人やキャスターが多くいるであります。

 何か流れているかもと一つの画面にニュースを流す。


「ライディー社は今後、どうなるのか未だ不明の模様です。情報によりますとライディー社社長、オーケル・ローヴァン氏が殺害され、息子であるティル・ローヴァン氏が現在不明とのこと。ライディー社の関係者も殺害されたということで、市民の人たちを守ってくれるライディー社は、一体どうなってしまうのでしょうか」


 ふむ、関係者とは父上たちのことではなさそうでありますが、防犯カメラで見る限り父上たちは療養中でありますから関係者には関係ないようでありますね。

 ここでティルがライディー社に帰ってしまったら、ティルは世界に責められるであります。何が起きたのか何度か探ったでありますが、壊れたか何かで見れない状態であります。

 

 ニュースを見ていたら、コルアが手を振っていて、ゲートを開けおかえりでありますと伝えるとただいまとコルアは少々切れているでありますね。


「ルシャンダ、だめだった。ティルの場所はハッキングできそう?」

「無理でありますね。一般の留置所なら簡単にハッキングできるでありますけど、カディヴィアのハッキングには難易度が上がりすぎであります。もう少し訓練をすれば上達してできるでありますが」

「カディヴィアから攻撃されたらあたしたち、逃げ場失うからやめておきましょう。ティルが少し心配なのよね。あの時、私たちにはファンズマを倒そうとしている姿を見た瞬間に、瞬間移動したかのようにティルがワイズを刺している場面を見るだなんて」


 不自然な行動に気づいたらしい、コルアたちはその疑問を抱いていたんでありますね。そこまで防犯カメラはなかったでありますから、和吉は状況が読めなかったであります。

 

「とにかく今は二人が無事でいてくれることを信じるしかないわね。ティルが留置所から出て防犯カメラに映っていたら、会いに行くからチェックよろしく」


 ティルが解放されるとはしばらくないと思うでありますが、和吉も心配な上、チェックすることにしたであります。



 ティルからライディー社の様子を見に行ってほしいと言われ来たけど、最悪な状態。

 あちこちにはまだ遺体が放置されていて、ライディー社本部はほぼ壊滅状態ってことか。ニディアは俺の服を引っ張るから手を繋いであげる。久しぶりに再会した時は一発殴られたけど、これがニディアの挨拶のようなものだから気にしてない。

 鑑識課も連れて来て正解だったかもなと人通り確認していたら、こっちとニディアに手を引っ張られ中へと入る。


 誰かの部屋には綺麗だなと見ているとゴミ箱にリアと同じペンダントが入っていた。てことはティルの部屋かと一応これは持って帰ってやろうと拾う。

 ニディアはティルと会えないから、ニディアはティルのベッドに寝っ転がった。ティルの匂いが欲しかったんだろうと気づいた。


「アイズお兄様…」

「ん?」

「ティルはいつ解放されるの?謝りたいっ。あの場にいなくてごめんなさいって…」


 枕をぎゅっと掴むニディアで、こうなることにはならないようにと母さんは商談と共に縁談を持ち出したと聞いている。ニディアは嫌とかは言わずにティルを受け入れる準備までもしていたのに、この有様になるとは誰も思っちゃいない。

 殺害されたと報道されているが、オーケルの足取りは誰も知らない。生きているのか途中で行き倒れたかのどちらかだ。


「そろそろ行くぞ」

「もう少しいたい。たまにはニディアのわがまま聞いてよ」


 ずっとひとりぼっちにさせていたのは事実で、キアのことは敵視しちゃっているし、相談相手も減っているだろう。唯一心を許せるのは、そうか。


「ニディア、リアがニディアのこと心配してたから、見舞いに行ったらどうだ?もし勇気が出ないなら俺も同行する」

「リア義姉ねえ様は、ニディアより心の傷が深いよ。会ってもニディア何も喋れないもん」

「それでもいい。そばにいるだけでもいい。俺はさ、ワイズに似すぎて気まずくて」


 ニディアはふうんとなぜかニヤニヤしていて、ワイズの女に手を出さないよと枕を軽めに押す。


「余計なこと、母さんには言うなよ」

「はあい。ねえキアって何が好きなのかな…。そろそろ仲直り…しようと思って…」


 まさかの予想外なことを言い出すニディアで、俺も最近キアと話していないというか避けられているからなんとも言えない。


「ならリアに聞けばいいと思う」


 それしか答えられず、そうだよねとまたにやけるニディアで、そろそろ行くぞと照れながらティルの部屋を出た。

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