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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
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32話 エピルス本部侵入⑤ 帝王と王子編

 遡ること数分前の出来事、みんなが四天王たちに挑んでいる間に、俺たちはルシャンダのゲートを使いながら、ファンズマの帝王とヨウミがいる王の間へと到着した。

 そこになんとリアもいて、救出班作らなくてもよかったかもしれないと感じてしまう。ただヨウミは俺たちに背を向け、ヨウミは腹を支えていることがわかった。


「すまない、ワイズ、ティル、ギーディス」

「リア…?リア、どうした?」

「リアは今、父上によって操られているようだ。我が輩たちがいない間に仕掛けたのだろう」


 リアは慣れた短剣を持ち、ヨウミを刺そうとしてティルが止まれと叫ぶとリアは止まる。それで俺はリアにかかったものを無効化しようとしたら、動いて距離を置かれた。


「リアに何をしたのか十分にわかってんだろ?」

「あぁわかっているとも。この日をずっと、ずっと待ち望んでいたのだよ!」


 ファンズマの帝王、ジェバールは両手を上げ叫ぶと同時に多種多様のファンズマが俺たちを囲んだ。


「この忌まわしき世界をひっくり返す鍵を手に入れたのだからな」

「どういうことだ!」


 多種多様のファンズマが一斉に襲いかかり、それを食い止めながら親父が聞くと、大笑いしたジェバールは完全に勝利した瞳でこう言った。


「ノールト王国と手を組んでいるのは知っていた。ここで気づいていたらさぞよかっただろう。ノールト王国の黒歴史を知っているのはこの俺のみだ」


 ノールト王国の黒歴史ってなんだと親父の顔をみると、親父はそれを知っている瞳をしている。それでもジェバールは話を綴り始めた。


「ノールト王国はカディヴィアとは別にある国家と手を組んでいる。その名をデッドハラン王国。ギーディスよ、聞いたことはあるだろ?」

「あそこは無謀地域ブラッディアに存在している国でファンズマや人間問わず、違法研究をしている国家と聞いている」

「その通り。そこで違法な取引が行われていることは知らなかっただろう。それを調査に行った者たちは帰ってきたか?」


 親父は心当たりがあるようで、何も言えない親父。ジェバールはそうかとあざけ笑い出す。


「一度、ナユが消えた理由、それはだなジェバールが攫い、そしてナユはデッドハラン王国に幽閉されていた」


 親父に火がつきジェバールを一発殴ろうともリアが邪魔してきた。親父の顔を見て怒る人を笑う奴は相当ないかれた野郎だなとティルと一緒にファンズマを倒しながら聞く。


「幽閉されていた時、どんな研究をしていたか想像つくだろ?帰ってきたナユの姿を」

「黙れ!ナユは無事に帰って来た!それだけで十分なんだよ!」

「たとえリアたちの遺伝子内に起こさせてはいけないファンズマが眠っていたとしてもか」


 何を言っているのかさっぱりでいる俺とティル。ナユはリアたちの母で俺にとっては叔母になる人。何がどうなってるんだよとファンズマと戦っていたら、コルアたちが到着した。

 茫然と立ち尽くしてしまっているコルアたちであって、ティルが手伝えと言い出し真っ先に動いたのがシフォン。そしてザズたちが動き出し、相性がいいファンズマから倒してもらうことに。

 なら俺はモクディガンを倒そうとしたら、ティルが俺の腕を掴み、ワイズはリアを頼むと言い張ってみんなが苦手とするタイプを倒して行き始めた。


 本当ならティルもリアを止めたいはずなのにと余裕はなく、俺はリアに近づこうとしていくも、俺が無効化できることを知っているせいで、ファンズマが邪魔してくる。

 さっきのことがあったとしても、俺はリアを見捨てたりはしないと親父がくれた剣でファンズマを切っていった。



 予想していた通りに起こってしまい、唯一リアを救えるのはただ一人ワイズ。父上がなぜリアたちの母君であり、ギーディスの妹であるナユに執着していたのか、はっきりしたことがあった。

 あのファンズマを呼び起こす力を得た者を父上はずっと望んでいたことだ。


 そしてナユはノールト兵に救出され、その後現王であるルワード陛下と結婚した。そして三人の子を生み出しナユの体内にいたファンズマが分裂したという。

 巨大化ファンズマを生み出せそうな父上でもそれはできなかったから、余計に父上はそれがでる瞬間を待ち望んでいる。


 リアを一刻も助けたいが、ワイズに邪魔が入っており、助けようとも父上が出すファンズマは強敵すぎる。時間はそう残されていないぞと、リアの前ではあの姿になりたくはないが、やるしかない。


 我が輩がファンズマとなり、父上ではないがワイズの手助けはできるだろうと動こうとした時だった。耳が痛くなるほど、リアがいきなり叫び出してしまう。

 とにかくワイズたちを守らねばと我が輩のファンズマを使ってワイズたちを守った。

 だが我が輩はリアの叫びによって深い傷を負うことになる。昔はまだ幼かったこともあり、気絶してしまったがこれくらい平気だと言いたかったが違うようだった。

 ヨウミとギーディスがかけよるも、次がくるとギーディスを守る。これは少々計画には外れてしまう。無線も完全に壊れてしまい、外してタングが来るのを待つしかないようだな。


「ギーディス、タングが来るまで耐えきれそうか?」

「何をする気だ?」

「父上の狙いはデッドハラン王国で生み出された巨大化ファンズマ、エンディードを出させる気だ。それが出る前に止めたいが、父上は我が輩たちをここでやる気だろう」


 我が輩の読みが当たればリアを正気を戻させ、ティルを操りワイズを刺す瞬間を目の当たりにすれば完全にエンディードが出る。それを阻止するためにはティルをこの場から離れさせなければならない。

 しかし父上はリアたちの関係を知っている様子だから、なんとしてでも阻止したいとことだ。タングがもう時期来るのを感じ先手を打つしかない。


「ティルが操られる可能性が高いから、ティルを頼めるそうか?」

「できる限りのことはする。ワイズを頼むな」


 ギーディスはティルのそばにいるファンズマを倒してもらうことにし、我が輩は父上に近づく。


「父上、これ以上リアを傷つければ父上の身が危ない。カディヴィアとノールトを敵に回すことになる。リアの力を回収するのが本来の役目だったはず。なぜカディヴィアを裏切るようなことを」

「それはできないと言っているだろう、そもそもリアの能力は知っていたからこそ、リアの能力を先にあいつから回収したまでだ。それによいではないか。ヨウミはこれを望んでいたのであろう?」

「それは違う!」


 父上は何もわかっちゃいない。我が輩はリアに謝りたかった。この姿はもう少し大人になってから伝えるべきだったのに、我が輩は早く我が輩のことを知ってもらいたくて犯したことだ。リアは何も悪くない。子供だからあの力を発揮できたが、間一髪だったからよかった。

 ワイズとティルが来てくれていなかったら、この世界が早く変わっていたのだから。今はもうティルの力は使えず、ワイズの無効化が唯一の鍵となる。

 

 我が輩の力で父上を止めなければと動こうとしたが目の前にリアが来てしまった。危うくリアに傷を与えてしまいそうになり焦る。


「やればよい」

「リアを傷つけるつもりはない!我が輩は今もリアのことを愛している!」


 そこでリアが短剣で我が輩をやろうとした時にぴたりと止まり、ヨウミごめんなさいと涙を一粒流した。これが鍵だと思わなくて、いいんだよとリアに触れようとした瞬間のこと。

 すぐ父上に操られてしまったリアが我が輩の腹に短剣が刺さった。ギーディスたちが我が輩を呼んでおり、これくらいかすり傷だよと倒れ込む。


 やはりこの短剣を手にしていたのかと力が出ず、シフォンの風で端っこに寄せられた。



 ヨウミが帝王ジェバールに挑むことが間違いだったと真っ先にシフォンの風を利用して一時避難させる。ワイズも思うように動けそうになく、館長からもらった短剣で帝王ジェバールをやれば終わるんだ。

 コルアの瞬間移動の力で運んでもらい、ザズとシフォンで援護してもらえれば確実に行ける気がした。


 ただ僕とギーディスよりやや遠くでファンズマの退治をしてもらってるから勘付かれる可能性がある。みんなのように僕も能力がもう一つ開花してはいるが、この力を出せばどうなるか想像がつく。

 

 迷っている暇はないかもしれないと能力を発動させようとしたら、ギーディス団長が止めに入ってきた。


「それを使っても、帝王には効かない」


 そう言われて、僕の力は何も役に立てないのがあまりにショックが大きい。こんな時、リアを守れないだなんて最低だ。


「ティル、大丈夫か?」


 ギーディス団長に心配され、いつもならギーディス団長に言い返せるのに何も言えなかった。僕とワイズ二人でいつも連携をとり動いていたのに、僕はファンズマを倒せない状況になっている。

 今まで成し遂げてきたことは全て無だったのかと思っていると、ワイズが何やってんだよと叱ってきた。


「ティル、何うじうじしてんだよ!リアを一緒に救うために来てんだろ!ティルの力が必要なんだ!しっかりしろ!」


 その言葉にリアの顔が見え、僕とワイズで止めるんだとこの効果が出るかわからないけどファンズマを仕留める。その時だった。ファンズマに刺したはずなのに、ワイズの腹部を刺してしまっている。


「ワイズ…ワイズ!」


 リアが正気を戻していてその場を見られ、僕は何もしてないと手を外しワイズは倒れてしまった。違う、違う、僕じゃないと混乱が起きる。



 リアの叫びですでにあの光景が出てしまっているかもしれないと俺の部下二名に先を行かせた。間に合ってほしいがあのファンズマを出現させるほどの威力は俺とキアと違って、リアは格別で倍の力を引き出せるとトラベラーで把握している。

 ヨウミや他の人間にも危害が当たるほどの威力だから早く脱出しないと危険だ。


 最上階へと登り切るとタングの力で何人かは脱出できたようだが、ティルとタングにヨウミが倒れている。すでにギーディスとワイズはいなくなっていて、二人がリアを止めているも限界が来ているようだ。

 帝王ジェバールもリアの叫びでさすがに応え姿を消している。


「エンディートが出る前に撤退をする。アイズ、ティルを頼む。クワエ、タングを運んでくれ」


 御意と二人は行動してもらい、俺はヨウミをおんぶする。リアを一人にさせたくはないが、リアの叫びは止まらない。エンディードが出ないと、リアを救えないからな。

 するとティルが起き出して、とにかく一旦引くぞと伝えるとティルはとても怯えている表情をして珍しく頷いてくれる。


 爆発しているし長くは保たないだろうと急いで脱出すると同時に現れたとエンディードを見ながら、まだ避難していなかったらしいキアたちが残っていた。

 あれはとファンズマの姿でエンディードに挑むのはノデッドかとキアたちのところへ到着する。

 リアがいないことに不安を抱く、キアで俺に聞いてきた。


「姉貴は?」

「話は後でする。ルシャンダ!ゲートを開けろ。ヨウミとタングを病院へ運ぶ」


 ゲートを開いてもらえてカディヴィアが経営している病院へと運び、救急オペが入る。二人とも死ぬなよと俺は鈴の音を使い、ある島へと到着する。

 そこは以前、ギーディスが買いとったカディヴィア所有の島で、何をするために島を買ったのか最初は不明だった。ようやくわかったよ。この島がなんの島なのかをな。


 ティルはおそらくワイズ殺害未遂でカディヴィアが連行する。そうとなれば館長は息子を守るかそれとも姿を消すかのどちらかだろう。

 

 行ってみるとしっかりした設備が整った建物があり、そこに入ってみると医者と看護師たちが慌ただしく行き来していた。ギーディスがかき集めた医者と看護師たちであって、ギーディスはソファーで祈っている。


「ギーディス…」

 

 ギーディスの隣に座り、ギーディスがこんな姿を見るのは未来でも見てきたことだが、現実になると正直俺も辛かった。結局未来を変えられず、未来通りになってしまったこと。


「ティルがワイズのところへ行こうとして…」

「うん」

「止めようとしたんだ…」

「うん」

「ティルは…そんなつもりじゃないってわかっててもっ」


 今はワイズが目覚めるのを待とうとギーディスが泣いている姿を慰めていった。


 俺がギーディスに伝えてここまで準備してきたのが幸いだと思ってもいいかもしれない。未来の時、ワイズはもうこの世にはいなかったんだからな。

 ギーディスのそばにいたいが、仕事が山積みで一度、ディリーに報告しにカディヴィアへと戻った。


 ディリーはカディヴィアの職務があるためあの島には来ていなかったからこっちにいる。総司令官室の扉にノックをしても返事がなくても、こちらも叫んで泣いている声が聞こえた。

 これ入っても今はそっとしたほうがよさそうだなと、じいちゃんにでも報告しておくかと行こうとしたら涙目でニディアが目の前にいる。

 そして近づいて、ノアの嘘つきと俺の胸をパコパコ叩くニディア。それでもニディアは自分を責めていることぐらい知っている。ニディアはティルを止めようとあの時動くはずだった。

 そこに俺の部下に止められていたこと。あそこへは行くなと実の兄に言われたんだろう。


 えっと以前、ワイズとニディアが兄妹と話したのは覚えているかな。なんと任務から帰還しなかったワイズたちの兄が実在していてまだ話していなかった。ワイズの双子の兄でアイズ。アイズは軍隊長を務めていてほとんどカディヴィアにはいない。

 まさか救出する前日に帰ってきて弟を助けるとか言い出した時は、びっくりしたけどな。

 

「ティルとっティルと約束したのにっ。ティルを救えなかったっ」


 一応、カディヴィアにとってニディアは王女様でもあるから、そういう場には行かせたくなかったんだろう。とにかくじいちゃんに報告して、それからティルを確保に向かうか。

 ニディア落ち着いてと慰めていると、扉が少し開き目が赤くなりながら入れとディリーが言う。ニディアを連れて中に入り、ニディアをソファーに座らせ、ハンカチを渡しディリーに報告した。


「俺があの場に行った時にはすでにワイズとギーディスの姿はなく、残っていたのはリア、ヨウミ、タング、ティル四名。アイズとクワエを先に行かせましたが、二人も四名しかいなかったもよう」

「帝王ジェバールの姿は?」

「なかった。リアの叫びがもうエンディードが出ると判断し、ヨウミたちを連れ撤退」

「そうか。アイズから報告が先ほど上がった。エンディートは無事消えたことで、リアが出てきたと。今、カディヴィアの病院に搬送したそうだ。行ってやれ。今はとにかくリアを一人にさせないのがいいだろう」

「御意。ティルの件はどうしますか?」

「ティルは一度、カディヴィアで事情聴取を行う。それより、事件があの場で起きていたこと気づいていたか?」


 はいと答え、これをルシャンダにどう説明すればいいのかまだ情報が少なすぎる。部下たちの報告が上がり、すぐに駆けつけたがその場にいなかった。ハディックをあんな目にしたのはデッドハラン王国の人間にしかできない。

 ハディックはすでに拘束して厳重の留置所に移送済みと報告が上がっている。


「行方不明になったのはリアの姿となって動いていたルマ、護衛のネフィラ、ギーディスの子であるホムリ、それからエピルス少人数とライディー騎士団が行方不明となったと報告を受けている。時期にデッドハラン王国から何かを仕掛けてくるだろ」

「アイズからの報告は聞いてますか?」


 いやと少々怒り気味でちゃんと母ちゃんに報告しなきゃだめだぞと言ってるんだけどなと、苦笑いしながらアイズからもらった情報を共有する。


「アイズの報告では、現在、ハディックをあのようにさせた力を保持している武装集団ができている。いずれ大きな戦争が起きるのではないかと」

「大きな戦か。私たちがまだ生まれていなかった時期のような、大きな戦が始まるというのか。そうとなれば善は急げ。島の子どもたち、そしてカディヴィアの見習いどもは歴史に詳しくないだろう。まずは学校に通わせ、歴史を学ばせつつ、今後のために身を守れる護身術を学ばせる」


 ライディー騎士団の子どもたちはいいのかなと、そこは突っ込まず御意と伝えた。ニディアはまだ泣いていて、頭を撫でた後一度自分の部屋で軽く書類を作成する。


 そうは言っても島の子たちの代表ってワイズかリアだよな。後はルシャンダかと考えているとじいちゃんが入って来て、いたのかと嫌々そうに喋る。


「まあ俺の部屋だからね。ディリーから聞いた?」

「聞いたわい。わしもワイズのところへと行ってきたが、あの短剣で刺されるとはな。しばらくは目覚めないだろう。後はワイズの体力次第じゃ」

「俺、何もできなくて悔しかった。なんのために未来を何通り旅をしてきたのか、それが全部無意味なんじゃないかって思うよ」


 俺が見てきた未来通りになってしまったし、何もできなかったのが悔しくて、ただただワイズが目を覚ますのを待つしかない。


「リアのほうは見に行った?」

「見に行ったぞ。起きた時、リアは泣きじゃくるじゃろう。書類は後ででもできるじゃろう。行ってやれ。キアもリアのそばにいるが、アイズと会って凹んでおる」


 あはははは、そういやアイズあの場に置いてってたんだと思い出して、じいちゃんの言う通りに書類は後回しにして、病院へと急いだ。

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