29話 エピルス本部侵入③ 四天王ウリ編
某の娘、ウリを止めるべくゲートの先へと入った途端、光にやられてしまい周囲が見れない状況に陥ったである。とても優秀で某の訓練にも耐えてくれたウリはルマたちを置いてまで脱走した理由が存在するのだ。
ウリが黄遺伝子でありながら、光の能力者として高く館長に褒めてくださっていた。そして館長から高い評価を得て、ウリも本部の施設へと行くことが決まっていたからだ。
ルマと仲がとてもよかったことで、ウリはルマが本部へ行くまで一歩も動かないと言い出した。それでは困ってしまい、ちゃんと説得しようとした時に、ウリたちは本部で起きたことを成し遂げたのだ。ただなぜ途中でルマたちを捨てたのかが疑問点である。
ルマたちはウリの光によって前が見えず、ライディー騎士団に捕えられ本部へ連行された。
そして某はウリを脱走させた罰として、館長から罰せられても、心からルマたちを愛していた。もちろん、ウリも某の子だから愛している。
それなのにウリは汚れたファンズマの血をもらい、ファンズマの子となってしまったことがあまりにもショックを受けた。
「てっきり、ルマが来てくれると思ったけど、元お父さんがここに来るだなんてね」
「ウリ、なぜファンズマになった。理由を教えてくれ」
光が消えたのか目を開けると成長したウリの姿があっても、周りにはレクシティが電気を放っている。
「理由?それは元お父さんが知ってるはずじゃない?うちらは館長の道具でいい品物は本部へと送られる。本部で行なってることを知っていながら、元お父さんは我が子を守ろうともせず、ルシャンダを送り出した!」
ルマは過去のことを振り返りながら涙目になり、つられて涙が出そうだった。ルシャンダを本部の施設に来させろという命令を受けた時、等々最初の息子が本部へ行くのだと不安が大きかったである。
某の部下たちはルシャンダに困っていたものの、某はルシャンダを誇りに思っていた。ルシャンダの能力は特化した能力であり、必ずしも館長が喜ぶ能力だということを知っていたである。
それでも我が子を伸び伸びと成長させたく、もう少し待っていただきたいと館長に申し出た。されど決定事項には変わりないと、結局ルシャンダは五歳の時、某の施設から旅立ったのである。
「ルマがどれだけ泣いてたか知らないくせに、父親づらすんな!」
ウリはルシャンダと同じ年で生まれた子であり、ルマを妹のように接していたのを覚えている。ルシャンダが本部へ行ってから、ルマがから元気で訓練を受けていたのは知っていた。
そして訓練後、いつも泣いていたところをウリが慰めている姿を、何度も目撃していたである。ウリはルマを支えてくれ、その影響なのかエワンの面倒を見ていると嬉しそうにルマは言っていたな。
「ルマや他のみんなを救うためにうちは、ファンズマの力を得るしかなかったの!」
ウリは義弟妹を守るために、脱出をしたのだな。あの時、実際なぜルマたちと脱出を図ったのに、置いてったのか聞いておかなければならない。
「ウリの気持ちはわかったである。ただ一つ、疑問だ。なぜルマたちを連れて脱出したにも関わらず、ルマたちを置いて一人で逃げたである?あそこで何が起きたのか理由を教えてくれ」
ウリは視線を逸らしやっぱりあの時、何かが起きていたんだと悟った。もし何かが起きていなければ、ウリはルマたちと逃走者として生活していたに違いない。
言葉を待っているとウリは絶滅一種のファンズマであるスティーチェスに変身したである。スティーチェスは金属系鋼属性。絶滅したファンズマは四種。そういうことだったのか。ファンズマの四天王というのはつまり絶滅したファンズマとなる。
変身したウリはスティーチェスとレクシティを複数出してきた。
「うちは何があっても、ルマたちを元お父さんから引き離して、幸せになってもらう。それがうちの願いだよ。それでも元お父さんが研究をし続けるというなら、未来の子たちのために止めなくちゃならない!」
ファンズマが某たちを襲い始めてきたところ、ダディゴと地面を使える橙遺伝子の団員たちが片付けてくれたである。
「ウリ、ちゃんと話を聞かせてくれである!」
「言っても、元お父さんは何もしてくれないことぐらいわかる!だって元お父さんは、今でも館長に怯えてるじゃん!」
それは百の承知だ。某は今でも恐れているである。
館長がしている実験を目の当たりにし、逃げたら最後は何も残らないということ。怯えながら子供たちを育てていくにしても、その先の未来は真っ暗そのものだ。
子供たちをこれ以上、館長のところに行かせまいと細工はするが、館長は月に一度、施設へと訪れ、研究成果を発表せねばならない。それに子供たちの能力を全て暗記していることもあり、次から次へと本部の異動が決まっている。
特にルシャンダのようなデータを操れるような能力は黄遺伝子から生まれるからである。
「なんとか言ったらどうなの?黙ってないでさ!」
「無論、ウリの言葉は正しい。某は今も、館長に怯えているのは事実である。館長がしている研究を恐れ、我が子を守り切れない悔いが、常にここを支配し続けているであるぞ。ルシャンダが逃走したと聞いた時、驚いたがそれでいいと思っている。子供たちの未来、そして自由は与えるべきだと思っているから、ルシャンダも、ウリも、逃げて正解だったであるぞ」
聞こえているかはわからないが、たとえ逃走者であっても、某は心から見守っていたことを。この件が終わったら館長から罰が下ろうとも覚悟はできているである。
「あの施設は滅ぶべきだと思っているである。某は臆病だからそう簡単にいかなくても、団結して館長を追い出してみせる。館長がいなくなった時は、遊びに来てくれないか?」
ウリに伝えるもファンズマは消してくれず、ファンズマが向かってきたその時だったである。目の前にいるのはルシャンダで、手には電気が放っている棒を持っている。
「父、逃走したこと、許してくれてありがとであります。和吉は逃走した時、父に応えられなかった後悔があったでありましたから、すっきりできたであります。それと父に謝らなくちゃならないことが」
レクシティとスティーチェスを追い払いながら、謝罪されたである。
「逃走した時、父がくれたノートパソコン、捨てちゃったであります。ごめんなさいであります」
大切に使ってくれてたんだと知り、大丈夫であると伝え、某と一緒にウリを止めることになった。
◇
ウリとこうやって対面するのはいつぶりでありますかね。ウリが出すファンズマを追い払い、ダディゴたちに倒してもらいながら、和吉と父はウリに挑む。
本当はモニター室から出ずに多数の画面を確認しながら、ゲートを開けたりの繰り返し。ただ一つの画面に父とウリの映像を見て、いても立ってもいられず来てしまったである。
父に必ず怒られるのではないかと不安があったですが、やっぱり昔と変わらず優しい父であります。
一度、黄遺伝子の施設をハッキングした時、父は変わり果てた姿を見たでありますが、しばらく見ていくとあれは演技だったことが発覚したであります。訓練後には目一杯の愛情を注いでいる姿に一安心したであります。
そんな父とこうして一緒に動ける喜びは隠しきれないとウリを止めに入るであります。
「ウリ、和吉にも教えてほしいであります!あの時、一体何が起きたでありますか?」
ウリに聞いても答えてはくれず、ファンズマをひたすら出すだけで、和吉と父は負傷するであります。
ルシャンダとダディゴが駆けつけてくれて、残りのファンズマを倒してくれる。父は自力で立ちながら和吉に言った。
「ルシャンダ、会えてよかったである。しかし、ルシャンダがいなければ皆が困るから戻りなさい」
「父…」
「某は大丈夫。ルシャンダを必要としてくれているんだ。誇りを持ってルシャンダが成すべきことをするである。よいな」
父と一緒にウリを止めたい気持ちがあるも、父の瞳には決意を感じる瞳で、それを止めてはいけないものだと感じる。和吉も父に会えてよかったと告げ、和吉はモニター質に戻って父を見届けることになったであります。
◇
ルシャンダの成長した姿を見れてよかったとルシャンダが置いてった棒を手にするである。すると勝手に電気が流れ放電したである。
こういう優れた道具はインディか。噂で聞いていたが、ギーディスの元部下であるインディが逃走者の助けをしていると聞いたことがあった。
しかしインディの店に何度か令状を持って行くも、逃走者を匿っている様子もなくインディは個人経営をしているだけと結論が出ていたである。
もしかするとギーディスが手を打っていたとしても、館長はギーディスが何者なのかわかった上でインディを手放しているのだろうと感じるであった。
ただこれがあったとしても電気同士だから当たったとしても、命中はしないだろう。早くウリから情報をもらいたいところだが、ウリの瞳を見る限りあまり思い出したくない記憶。
どうするべきか考えているとウリがいきなり、某を引き寄せ光に包まれたのである。
◇
一歩間違えれば危なかったと元お父さんを守り、元お父さんの背後にいたのは例の人だった。元お父さんが振り向こうとするから、しっかり頭を押さえる。
ハディックであっても、ハディックじゃないようなそんな感覚。無線ではヨウミさんからの指示でみんなを逃す役割をしていたはず。
「ハディック…?どうしたの?」
ハディックに伝えるもハディックの耳には届いていないようで、狙いがうちじゃなく元お父さんだと知る。一度元お父さんを連れて距離を離すにしても、普段のスピードより速くてハディックの攻撃を受けた。
「ウリ!」
「大、丈夫っ」
ちょっとやばいかもしれないと、ここでハディックを止めておかないと団長たちを襲いかかるに違いない。ハディックの弱点は虫の場合、炎・風・岩だけど、格闘の場合、風かエスパーだ。
ここにいる橙の団員は岩じゃなく地面の人の方が多いから止めるに止められない。
このことヨウミさんが知ったらまずいなと考える暇もなく、ヨウミさんから指示を受ける。
『ハディックの様子がおかしいから気をつけたまえ!エピルス本部に我が輩たちの宿敵が侵入したようだ。標的はライディー社の団長らしいぞ』
「そちらに宿敵がいるんですか?」
『いや。しかし父上の様子もおかしくなっているから、もしハディックに敵いそうになかったら、ライディー社の者と撤退しろ!』
それを伝え切った途端に無線が壊れた音が聞こえ、ヨウミが今大変なことになっているのだと感じる。
「元お父さん、うちが止めている間にあの子たち連れて逃げて」
「しかし」
「今のライディー騎士団には勝てない相手なの!お願い!これが終わったらちゃんとお父さんに話すから!」
元をつけるの忘れたけど、うちのお父さんには変わりないからと、お父さんをレクシティーに守ってもらいながらうちはハディックを止めに入る。
「ハディック!ハディック!」
何度叫んでもハディックは自我を失っており、うちの声が全く聞こえていないようだった。この建物内にうちをファンズマにした張本人がいる。ハディックをこんな風にしたのも絶対にその人だ。
とにかくハディックに傷をつけないように、止めるしかない。ハディックの姿は半分が虫で半分が格闘の姿となっている。
止めようにも赤遺伝子と橙遺伝子で岩の団員、もしくは緑遺伝子の風持ち団員が必要になるも、呼びに行ってもらってる時間はない。
どうしたらいいのとハディックの顔を見ていたら、ゲートが三つ開き、赤、橙、緑遺伝子の団員たちが来た。橙遺伝子の団員はダディゴという少年に指示を出す。
「ダディゴたちは外に出て。地面は効かないから迂生が対処する。団長が狙われていると聞き、団長は真ん中のゲートに入ってください!」
レクシティに指示を出しお父さんが真ん中のゲートに入る直前、ハディックがお父さんの足にしがみつく。すると赤遺伝子の団員が炎を使って離れさせ、ゲートは閉じた。
ターゲットを失ったハディックは違うところへと行こうとしていて、三人が止めに入る。まずは赤遺伝子の団員が喋り出す。
「さっきの虫、返さなきゃよかったです。なんでこうなっているんですか?状況が知りたいです」
今度は橙遺伝子の団員が釘を手にしながら、こう言う。
「ファンズマにも宿敵がいたらしい」
「そうは言っても、わたしゃたちが戦える相手に見えないんだけど、ルシャンダ」
緑遺伝子の団員がそう言っていって、ゲートが開いたからルシャンダが連れてきてくれたのは確かなこと。ルシャンダが選んだ三人は、それぞれの力でハディックを止めようと能力を使っても、効果が薄く三人がハディックの攻撃を食らってしまった。
ハディックが咆哮し三人を倒そうとしていて、うちはハディックにしがみつき、目を覚ましてと叫ぶも振り払われて壁に頭絵をぶつける。
その衝撃で立ち上がれずハディックが三人のところへと行ってしまう。このまま行けば三人がハディックによって死んじゃうと手を伸ばした時のことだった。
白と黒が混ざった団服を着ている青年が現れ、ハディックを思いっきり殴り、ハディックが飛ぶ。その人は私を担いで行こうとするから、待ってとその人に言う。
「うちじゃなくて三人を助けなきゃ!それにあなた誰なの?」
「応える義理はない」
応える義理がないってこの状況みなさいよとうちは光を使って三人を連れて脱出するつもりだった。
手が離れる様子もなくひたすら歩いているから、光を消すとその人はサングラスをかけている。カチンとなりサングラスを外そうとするもうまく外れない。
段々と助けようとしてくれた三人の姿が遠ざかっていくところ担いでいない方の肩に釘が刺さり、力が抜けたのかその隙に脱出した。
「危なかった。大丈夫?」
橙遺伝子の団員に助けられ、頷き、仲間と質問したところ、こんな回答が来た。
「ティルたちが着ている団服に似てるけど、違う。誰だ?」
肩を押さえながら振り向いた人は釘を抜き取り、それを捨ててこう応える。
「ライディー騎士団、匿名部隊。館長の命により、裏切り者を排除しにきた。だからお前たちに名を教えるつもりもないと言うわけだ」
「つまりウリを連れ出そうとしたのはウリが裏切り者だからってことか?」
そういうことだと匿名隊はうちを確保しようと動き出して、うちはスティーチェスの姿になり匿名隊に挑む。うちや逃走者たちが逃走生活を送っている間に、そんな部隊があるだなんて思ってもみなかった。
うちはファンズマの遺伝子をもらったから、排除するためにここへやって来たということ。うちらの宿敵、そして匿名部隊が同時に動き出した理由が気になる。
これから大きな事件が起きうるのではないかと、橙遺伝子の団員と一緒に匿名部隊をやっつけるも簡単にはいかない。
釘の影響で力が抜けたはずなのに、比べものにならない強さで苦戦していると、ハディックが向かってきて匿名部隊に襲いかかる。起きたとしても自我がなくただ暴れているハディックで、これ以上暴れたらハディックの身体が危ないような気がした。
それでもヨウミから撤退命令は出ているし、ハディックの相手をしてもらっている隙に橙遺伝子の団員に小声で伝える。
「匿名部隊がハディックの相手をしてくれている間に、脱出しよう」
「いいのか?」
「うん。ヨウミから撤退命令もらったから、大丈夫。とにかく急ごう」
うちは緑遺伝子の団員を支え、橙遺伝子の団員は赤遺伝子の団員を支え、ルシャンダのゲートで脱出しようと思っていた。
「行かせない!」
まずいとうちは緑遺伝子の団員をゲートの中へ放り込んだ瞬間に刃が刺さり、ゲートの前で倒れる。力が完全に抜け、人間の姿に戻り、それでもゲートは開けっぱなしだった。
「ル…シャン…ダ…。ゲー…ト、閉じ…て」
やばい。意識が朦朧としてきているところ、お父さんが駆けつけてくれてうちを運びゲートの中へと入る。お父さんが必死に叫んでいても、うちはもう無理だよ。この刃がなんなのかうち知ってるよとお父さんの手を握る。
するとお父さんは私を見て大丈夫、絶対に良くなると涙目で微笑んでいて、うちはゆっくりと目を閉じた。
お父さんに伝えたかったこと。
あの時、うちが先頭となって動いてルマたちと一緒に脱出をしていた。その時、知らない人が立っていて、殺気を感じたから、うちはルマたちを守るために、光を使って戦った。
でもその人に勝てなくて、背後からルマたちがうちを呼ぶ声が聞こえた。その人はうちが作った光に入ろうとして、必死に止めてるところライディー騎士団が来てくれた。
ただうちはその人に捕まって気がついたら絶滅種である、スティーチェスの姿になっていたことに気づいた。周囲を見てもうちを変えただろう人はすでにいなくて、街とかにも行けなかったから、森とか誰もいない洞窟で過ごしている時に、ヨウミに出会った。
うちが人間であったことを打ち明けると、ヨウミは人間に戻る方法を教えてくれた。そこからうちはヨウミの下で動き、共にうちをファンズマの姿にした者を追いながら、時にリア愛の話を散々聞かされる日々だったな。
ヨウミ、ごめんね。うち、へましちゃったし、せっかくの絶滅種であるスティーチェスの血が途絶えちゃうこと、許してね。
タング、ノデッド、ハディック、いろんなこと学ばせてくれて、ありがとう。うちは先行っちゃうけど、みんなの力になれてよかったよ。
ルシャンダ、ルマ、黄遺伝子のみんな、幸せに生きるんだぞ。幸せじゃなかったら、幽霊になって現れるからね。
お父さん、お母さん、こんなうちを産んでくれてありがとう。お母さんには一度も会えなかったけど、うち、幸せ者だったよ。




