28話 エピルス本部侵入② 四天王ハディック編
ここでは初めましてというべきでしょうか。一度タングさんに父の情報を与えた赤遺伝子で父さん似とタングさんが喋っていた人と言うべきでしょうか。思い出せない方は16話エピルス完全指導を読み返していただければ幸いです。
さて拙僧はノースと申します。父はもちろんギーディス団長であり、母方はファイソウル村出身の村娘の間に生まれたのが拙僧です。残念ながらワイズさんと同じ母ではないですが、拙僧はワイズさんを心から尊敬している人物。
父さんからたくさんワイズさんのことを教えていただき、あの島に行ってワイズさんと会ったときは興奮しすぎて倒れちゃったから直接話せてはいない。いつか兄弟として見てくれるかなとゲートの先へと入った瞬間に、大量の虫が現れて燃やし着地した。
目の前にいたのは拙僧たちが止める人物、ハディックが大きな蜂に乗っかっている。前後には虫のファンズマが出現しここを封鎖するようだ。
「予想外、なのが、来ちゃった」
ハディックの言葉はいつも読点がやたらと多い子と父さんから聞いていたけれどそのようだった。ハディックはんーと考え、兄弟たちに周りのファンズマを倒してもらうことにする。
拙僧はこう見えて副団長まで登りつめたからここはしっかりしなくてはならない。
ハディックが何かを閃いたようで、蜂が大量に現れるも、全て燃やし、ハディックが乗っている大鉢も燃やすとハディックは距離を離した。
「わ、の、大事な、ペット、燃やされ、た…しゅん」
最後の一言はいらなくてもいいのではと思っても、新しい乗り物に乗るハディック。今度は大カブトムシであっても、拙僧たちは燃やしてハディックを止めることだから変わりない。
「これ、だったら、燃やされ、ない。多分」
虫全般は燃やせますよと突っ込みたいけれど、あえて突っ込まないであげよう。今度はカブトムシとクワガタが大量に拙僧たちを攻撃してくる。
ただちょっとやりづらい部分はあるな。こんなにいたら拙僧だって捕まえたい一心でもある。カブトムシやクワガタ、かっこいい虫、それに目がいってしまい、その隙にやられたらアウトだ。
そう考えていたらかっこいいと目を輝かせている虫好きの兄弟がいるのすっかり忘れていた。このままだとらちが明かないと虫好きの兄弟たちを庇う。
副団長と目の前で呼ばれ、平気と答える。多少の傷を負っても団員を守るのも副団長の役目だから。兄弟たちがごめんなさいと謝りながら、ハンカチで応急処置をしてくれる。
「いい?今は戦場でカブトムシもクワガタがこんなに出るのも当たり前なのはわかってる?」
虫好きの兄弟はこくんと頷き、拙僧はある提案を二人に吹っかけるとやる気満々のようだ。
これでいいと虫好きの兄弟たちは折りたたみ式の虫取り網を手にした。そしたらハディックが言い出す。
「わ、の、虫は、誰にも、与え、ない、から!」
その言葉でカブトムシとクワガタが迂生たちを一斉攻撃してきて、虫好き兄弟はほいほいと捕まえ始めていった。ハディックはムキになって、今度は蝶々で迂生たちを攻撃するも虫好きの兄弟たちに確保される。
「わ、の、虫たち、返して!」
「嫌だ。兄弟たちにプレゼントするために、出したんじゃないの?」
拙僧がそう伝えるとハディックは歯を食いしばって悔しそうにしていた。四天王と呼ばれているハディックがこんなに弱いとは、すぐ勝利が見えそう。
さて次はどんな虫が出てくるのか虫好き兄弟は待ち構えてるよと、待ってあげていたらヨウミの言葉でる。
「ヨウミ、さん。わはどうしたら、いい?大切な、虫さん、たち、奪われて、ばかり。うん、うん、わかった。やって、みる。いっく、よ」
何か仕掛けてくると身構えても一瞬にしていなくなり、どこへ行ったと周囲を見渡したら、ここ、だよと目の前に現れ、大きなパンチをもらい吹き飛ばされる。
副団長と兄弟たちが叫び、拙僧は壁まで吹き飛ばされる羽目になった。ケホケホと咳き込みながら、いたたたと肋が折れたような感じがする。ひょろっとした体型で虫使いだから大丈夫と思っていたのが間違いのようだった。
ハディックのファンズマの姿は絶滅されたとされている一種、ファイヴァン。格闘系虫属性と呼ばれているファンズマで歴史上では絶滅したと言われていた。虫は表で実際の能力は格闘というものだ。これだと拙僧たちの力では倒せそうにない。どうするべきか。よく考えなければと思考を膨らませる。
「一発、じゃ、倒れ、ない。じゃ、もう一回、いっく、よ」
来ると身構えてもまたお腹をやられてしまい、父さんが頑張っているんだから、拙僧も頑張らなくちゃ。ただ立ちあがろうとも立ち上がれないでいた。
「一人、目、終わった。残り、も、やら、なく、ちゃ」
こうなったら、本来の力を出すしかなさそうかもと口笛を吹く。すると猛獣の鳴き声がこの階に響き、一頭のライオンが現れた。ライオンに縋りながら立ち上がり、乗せてもらうとぞろぞろと猛獣たちが来てくれる。
「わと、にてる、ね」
「似てないと思う」
ハディックと一緒にしてほしくはない。ハディックは虫使いで拙僧は猛獣使いであっても実際は猛獣と話せるだけで、今日は手伝ってくれてるだけのことだ。
次喰らってしまったら、猛獣のみんなは暴走するに違いないから手短に終わらせないと。
ハディックが格闘の能力を出している以上、拙僧たちの炎では効果が低い。もっといい方法はないかと考えていると、そこに現れたのはリア救出班のみんなだった。
「危なかったわね。それにしても虫多すぎでしょ」
「虫たくさんなの。気持ち悪いの。猛獣さんたちかっこいいの」
「能力封じたほうが、ノースたちやりやすいと思うので手伝います」
「今のところこのフロアはハディックのみらしいから、ちゃっちゃと終わらせて行こう」
感謝しかないとザズとシフォンもハディックがどのファンズマか特定できている。そこでシフォンがチーシャにあることを今ここで聞く。
「チーシャ、毒かエスパーどっち使える?」
「毒使ったことないのー。ずっとすり抜ける能力しか使ってないの。時々眠っちゃうことが」
そしたらスピーと戦場なのに寝てしまい、チーシャは大丈夫だろうかと考えていたら、チーシャが起きて、やればいいんだろと立ち上がる。
「誰?」
「あえはシャーチ。よろしく。話している場合じゃない!くるぞ!」
チーシャの身体を使っているシャーチは拙僧たちから前に出てハディックを素手で止めたのだ。
「悪い、コルア。あえはここで止めている必要があるらしい。先に進んでくれ。後で合流させる」
「わかったわ。気をつけなさい」
シフォンとザズを連れていくコルアで、なんて威力だと圧倒されていると、次来るぞとまた言われ避ける。
「君、嫌い!」
「あえも嫌いだ」
ハディックは距離を離して、虫を多めに出し拙僧がいることを忘れないでもらいたいと虫たちを燃やした。
「あえがこうやっていられるのは五分だ。あまり時間はない。さっさとハディックを止めるぞ」
「どうやって倒す」
「あえの怪力とエスパーを使ってハディックを止めるから、ノースは虫を始末しておけばいい。行けるか?」
「それなら拙僧たちの得意としている分野。そちらは頼みます」
ハディックは虫のファンズマと格闘のファンズマを出し、拙僧たちは虫を倒していくことに。
◇
チーシャ、こんな形で出てしまってすまんなと格闘のファンズマを倒しながらハディックの攻撃を止めての繰り返しだ。あえはそう長く起きていられないというのが難点とも言える。
チーシャは全く覚えていないだろうが、チーシャの願いによってあえは誕生したようなものだ。言わば二重人格というべきだろうか。五分以内にハディックを倒さらなければ、チーシャが起きてしまい、ハディックの拳が当たる。それは一番避けたいことだから、早く終わらせるとハディックが拳を握る前に、ハディックを眠らせようとした。
しかしハディックに見抜かれていたのか、避けられファンズマが眠ってしまい、ハディックの拳を受けてしまう。
ノースが駆けつけようとしたから、来るなと叫び立ち上がる。
「ノデッドと、同じ、能力、使う人、嫌い」
「そうかよ。悪かったな。あえはエスパーだがチーシャは毒だ。まだ毒の使い方がいまいちわかっていないらしいが、まあチーシャはすり抜け能力があれば十分だよ」
ハディックに向かって怪力の能力を使い、ハディックを一発殴った。さっきのパンチはなかなかだったと、ハディックが立ち上がるのを待つまでもなくエスパーの能力を使う。
「そこでしばらくねんねしてな」
あえのエスパー能力でハディックは眠そうな表情を出し、ファンズマが消えて行き完全に眠ったのを確認する。これでひとまずは大丈夫だろう。
「終わった?」
「まだ油断はできないが、縄とかで縛っとおけば大丈夫だろ。すまないがあえはもう時間切れのようだ。チーシャを頼む」
それだけ伝えあえは深い眠りへとついた。
◇
パタリとチーシャが倒れそうになり、拙僧が支え、虫好き兄弟にハディックを縛ってもらう。シャーチが油断できないと言っていたから、再びハディックは目を覚ます。
とにかくチーシャを救出班に戻したほうが良さそうだと考えた拙僧は、ライオンに乗って行こうとした時のことだ。背後に何かいると炎でチーシャを抱えながらガードをする。
兄弟たちは大丈夫かと見たら、全員倒れていてハディックは化け物かと思ってしまうほどだった。
「あの、能力は、何度も、かかってる、から、もう、聞かない、って、教え、なくて、よかった」
チーシャを庇いながら戦うのは難しそうで猛獣にチーシャを預け、ザズのところへと行ってもらう。
「逃、した。嫌い」
「チーシャは元々、拙僧のチームじゃないから行ってもらっただけ。よくも拙僧の兄弟たちを痛めつけてくれたね」
「ライ、ディー、騎士、団は、敵、だから、倒す、までだよ」
ここでどれくらい時間を稼げるかどうかだけど、ハディックが元の姿に戻ってくれないと困る。ハディックが喜ぶものは父さんに聞いてるけど、用意はしていない。
躊躇している暇はなく、ハディックが攻撃を仕掛けてきてまずいと思った時のことだった。チーシャをザズたちのところに連れてってもらった猛獣がハディックに突進する。
ハディックはその衝撃で、倒れるもすぐ立ち上がり、ハディックは猛獣とやり合い始めた。猛獣はハディックによって傷を負い始め、戻れと指示を与えるも猛獣は何度もハディックに立ち向かう。
他の猛獣たちもハディックに噛みつき、ハディックは力づくで猛獣たちを払った。
「動物も、嫌い!虫、だけ、いれば、いいんだ!」
ハディックがいきなり元の姿に戻って、蜂や蜘蛛を大量に出してくる。ありがとうと拙僧は最後の一撃をハディックに当てた。
これで終わらせたと思いきや、ハディックは倒れずファイヴァンの姿と再びなり、これじゃあいくら挑んでも拙僧の力の方が先に尽きてしまいそうだ。
「わ、は、倒れ、は、しない。ギーディス、の、息子、たち、であろうとも、容赦、しない、よ」
一瞬にして目の前に現れ、ハディックの拳を食らうと思った時のことだった。拙僧の前に現れたのはチーシャでハディックの拳を掴む。
「また、来た」
「起きた時、猛獣に乗ってたからびっくりしたの。わえはリアの救出班であっても、ワイズの兄弟たちを放っておけないから来たの。わえはすり抜ける力しか使えないけど、わえの代わりにやってくれるシャーチにありがとなの」
そしたらチーシャがハディックの手を離し、チーシャは手榴弾を持ってハディックに投げた。逃げるのとチーシャは拙僧の手をとって、壁をすり抜ける。
隣の通路で大きな爆発音が聞こえ、兄弟たちは無事だろうかと心配になりながらチーシャに問う。
「さっき投げたのはなんですか?」
「もしもの時にシャーチが用意してくれてた強力睡眠手榴弾なの。あれにかかれば二、三日は起きないと思うの」
こっちも被害出ているのはわかってると言いたかったけれど、ハディックにこれ以上拳をもらってたら、この先が戦えなくなったと思ったからよかったのかもしれない。
「ちゃんと寝たか、確認しておきたいし、兄弟たちをあそこに置いて置く訳にはいかないから戻れる?」
「まだあっちの通路充満してるから待っててなの」
緑遺伝子団員を一人連れてくればよかったかなと、ここは戦場だしどうするかと悩んでいるとタングさんがいらっしゃった。
「おっと。どうしたんすか?確か赤遺伝子の子たちはハディックに挑んでたはずっすよね?」
「ハディックは寝てると思います」
「あちゃあ、ハディックにこれからやってもらいたいことがあるから、びしびし叩いて起こしてってす。多分起きるっすから、伝言を伝えてっす。やばいことが起きてるっすから、ライディー騎士団とエピルスをできるだけ建物から出してっす。緊急通路は開けてあるっすから、そっちに逃してもいいと伝えてっすね。じゃっ」
タングさんは水になってハイスピードでどこかへ行ってしまい、やばいことってなんだろうと、なぜか胸騒ぎが起きていながらチーシャと一緒にハディックを起こしに行くことに。
チーシャは鼻を摘みながら一度様子を見に行ってもらい、待っていると大丈夫そうでハディックが寝ている場所に行く。ぐうすかと寝ているハディックを起こすにしても、警戒されるのは間違いはない。
チーシャにハディックを見ててもらい、最初に兄弟たちを起こしてみるも寝言を言っている兄弟たちだった。効き具合が凄すぎると猛獣たちを呼び、兄弟たちを外に運んでもらうことにする。
残りはハディックで虫好きの兄弟たちが獲ったカブトムシたちの虫かごを回収してそばに置いた。
「顔いじっても、起きそうにない?」
「起きないの。シャーチの手榴弾はすごいから、ファンズマでも起きないの」
どうやったら起きてくれるか困っていると、チーシャはどこから出したのか猫じゃらしを出して鼻をくすぐり始める。それでも起きないんじゃと少し様子を見ていたらくしゅんとくしゃみをするハディック。
寝ぼけた顔でぼーと拙僧を見て、はっとチーシャから離れ、威嚇していた。
「わ、は、寝て、ない、からね」
ガッチリ寝てましたよと言いたいけれど、なぜかハディックの顔をみると言い出せずスルーしてあげる。
「タングさんとさっき会ったよ。やばいことになったから、ハディックは建物内にいるライディー騎士団とエピルスを逃して欲しいって。緊急通路も開けてるらしいからそっちに逃げてもいいって」
「タン、グが?なら、直接、無線で、言って、くれれば、よかった、のに。わ、は、まだ、諦め、つかない、けど、仕方、ない。わは、エピルス、の、みんなに、伝え、る。だから、ライ、ディー、騎士団、を、頼む、ね」
タングは大きな蜂に乗り、虫好き兄弟が集めた虫たちを虫かごから解放して行ってしまった。戦わなくて済んだが拙僧はしばらく動けそうにない。
「わえ、コルアたちのところに行かなくちゃなの。一人にして大丈夫?」
「平気。もしライディー騎士団の誰かを見つけたら、建物から脱出するよう伝えてあげて。拙僧はしばらく動けそうにないから」
「わかったなの」
チーシャは猫じゃらしを持ったまま壁からすり抜けて行ってもらい、猛獣に力を借りながら乗ってチーシャが行った真逆を行った。
◇
まだライディー騎士団を止めていたかったけど、タングがやばいというのは本当にやばいことが起きている証拠。虫たちを大量に放ち、建物内にいるエピルスに報告しながら、逃げ遅れていないエピルスはいないか確認していく。
ヨウミさんが言っていたことが的中しているというのなら、ワイズを守れるのはタングさんのみ。ヨウミさんの声が聞こえないのがとても不安でも、わの使命を全うする。
上層階以外のエピルスたちは脱出をしている姿を確認していると、見慣れないローブを纏った人が立っていた。わは蜂さんに止まってもらい、その人に聞く。
「誰?」
それでも答えてはくれず、虫を出そうとした時のことだった。何が起きているのとわは床に倒れ込む。力が入らなくて虫を出そうとも蟻さんしか出せず、格闘の能力が出ない。
その人はわの近くに来てしゃがみ、大好きな虫さんたちがその人の背後に現れて、大好きな虫さんたちに蝕まわれた。




