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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
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2話 アイディー街①

 夜、泣き疲れてしまった子供たちを寝かせつけた後、起きている少人数で今後どう動くかを話し合っていた。


「この島がある限り、ここは安全だと言ってもいい。ただ万が一に備えて避難場所はあった方がいいと思う」

「避難場所の場所はもう決めてあるのか?」

「いや、僕はずっとここにいるよう兄貴に言われてたからなんもわかっちゃいない」


 となると私たちで避難場所は確保した方が良さそうだよね。みんなはティルを敵視するけど私はティルとちゃんと話し合いたい。今までのは偽りだったのか。無論警戒はするつもりでも、ティルの優しさは本心だし、みんなもそう思っているはず。

 またいつか会えるよねと買ってくれたネックレスを握る。


「それでライディー騎士団を止めなければいずれ僕たちはあいつの道具化にされるのは間違いない。だからなんとしてでも対抗できる人数が必要」

「今いるのはキアを入れて十九人だな」

「そうだね。この島を出てったみんなが今どこにいるのかもわからないし、手分けして探そう」

「僕は基本、ここにいてもいい?」


 あのことは伏せておくと言ったし、お母さんの傍に寄り添いたいんだろう。


「任せて。私とワイズで探してみる」

「そうだな。あまり大勢で行くと警戒されそうだし、一先ずは俺とリアで探ってみる。だからルシャンダ、誘導は頼むな」

「あいあいさー」

 ビシッと敬礼をして、一先ずは私とワイズだけで探りをいれ、他のみんなは戦える準備の特訓をしてもらう形となった。私も寝ようと部屋に入り、寝ようとしたらスアレが私の部屋に入ってくる。スペースを空けておいでと合図をすると、ぬいぐるみを持って私の横に寝そべる。

 風邪を引かないように布団をかけ、眠れないと聞くとうんと頷いた。大丈夫と頭を撫でソアレがぐっすり眠るまで待ってあげる。明日はこの島を出てったみんなを探しに行くから、ソアレが不安にならないようなにかしてあげないとなと、考えているうちに私もいつの間にか眠っていた。

 

 翌朝、ルシャンダの放送で起き、ソアレを起こして食堂へと入るとキアがパンを食べながら外の様子を見ている。


「おはよう、キア」

「おはよう、姉貴。あのさ、そのネックレスって誰からもらった?」


 ティルがくれたやつで本当は渡したくなくても、私は首から外しキアに渡すと踏みつけられた。やっぱりなと最後の一口を食べ、それを拾いキアのポケットにしまわれる。


「ごめん。大切なネックレス壊して。新しく買うには一応警戒はしておいたほうがいい。ティルは結構品物に発信機をつけるよう、指示を出してるっぽいから。見極めはこの模様が必ずある。ライディー製品は特に発信機が入っているから、買わないほうがおすすめ」

「ありがとう、キア。あの聞いてもいいかな?」


 聞こうとしたらご飯の合図はと下の子たちに言われてしまい、また後でと私が席をついて一瞬戸惑った。

 いつもはティルに感謝をして食べてたけど、今はみんなティルのこと考えたくないよね。手を合わせていただきますとだけ言い、みんなもいただきますと元気よく食べ始める。

 隣でワイズは機嫌悪そうにいただきますと言って食べ始め、キアも残りの朝食を食べていった。


 なぜそこまで詳しいのか聞きたいけど、全て話してはくれないような気がする。完食し食器をシンクに置いて、出かける準備をするために、私の部屋に入るとキアがついてきた。


「話って何?」

「なぜそこまで詳しいのかなって疑問に思っちゃっただけ。急いでるわけじゃないから、キアが話せる時に教えてもらえると嬉しい」

「全ては話せないけどこれだけは言える。僕と兄貴は姉貴を助けるために、幾度の未来を見てきた。兄貴は未来に行ける能力を持ってて、何度も姉貴を助けようとしたけどティルのせいで失敗ばかり。兄貴が言ってたんだ。これがラストかもって」

「お兄ちゃんはどこに?」

「さあ。気づいたら置き手紙置かれてて、それきり兄貴とは会ってない。置き手紙には姉貴のところにいろって」


 お兄ちゃんが仮にライディー騎士団に捕まっていたら、未来を操られてしまうリスクがあるんじゃないかと恐れる。あまりお兄ちゃんのことは深く聞かないほうがキアのためになると思い、その話はやめることにした。


「そうだ、姉貴」

「ん?」

「どうしても、買ってきてほしいのがある。この部品が少なくなって、元々お金もないからこっそり盗んでたやつなんだ」


 見せてもらうと釘で、それならレッツォなら釘は作れる。ただ逃げる時に工具を忘れたとレッツォがそういえば言ってたな。それに修復してほしい場所もあるし、工具買えたら買おう。


「釘ならレッツォに頼むといいよ。レッツォは鉄能力者でそれを渡せば同じの作ってくれると思う」

「その手があったの忘れてた。ちょうど修理したい箇所があったから。それでなんだけどレッツォって誰」


 そこまでは把握していなかったのねとリュックを背負い出かける前、レッツォのところへと行った。レッツォは朝食を食べた後、中庭で作業をしている。

 行ってみると早速金槌を持って何かを作っている最中だった。呼びかけるとレッツォは何という顔でこちらを見てる。


「レッツォ、キアが釘を何本かほしいみたいなの。作ってもらえない?」

「釘なら、そこにあるのを持ってていい。それとも特殊の釘なら同じのを作る。見せて」

 

 キアはレッツォにみせ小さなケースを作り、そこに同じのをケースにびっしり作ってくれた。それをキアに渡すレッツォ。


「ありがとう」

「いい。欲しくなったらいつでも言ってくれれば作る。リア、これちょっとつけてもらえる?ルシャンダの力と合わせて作った物なんだ」

 

 一見ただのリングにしか見えないと思いつつそのリングをつけ、レッツォが無線と合図をしていたから無線をオンにする。そしたらリングから画面が出てきて、聞こえるでありますかーとルシャンダの声と画面にも同じ言葉が表記された。


「聞こえるよ、ルシャンダ。レッツォこれって」

「昨日、無線が妨害されたってルシャンダが駄々こねて、チャット表記すればお互い確認がとれるかもって言われて。ただティルもなにか仕掛けてくるはずだから、緊急時のみにそれを使ってほしい。不具合があったら、迂生に」

「ワイズには?」

「すでに渡してある。行ってらっしゃい」


 行ってきますとキアとレッツォに伝え、ワイズと合流しルシャンダの力でアイディー街へと入る。

 アイディー街はIDカードが必要な街で、そのIDカードはもちろん、ライディー社が配布しているもの。本来ならば街に入るために観光客IDをもらわなくてはならない。

 お店に入るにもIDが必要になるため、店に入るのは困難となる場所。それでも偽IDを持っている私とワイズであっても今回ばかりは、寄り道はせずある人物と接触するためにアイディー街へと来た。

 


 私たち、逃走者の手助けをしてくれている情報屋、インフォール。裏口の扉にIDをかざし中へと入った。店主は今も店で働いているため、店主の部屋で待つこと数分後。

 たばこを吸いながらA4の封筒を渡さす店主はインディ。私とワイズはその封筒に入っている資料に目を通す。


 資料には現在逃走者のリストと写真があり、どこに住んでいるのかも記されていた。ここから一番近いオーフェス村で、ひっそりと住むのは、以前私たちと逃走したウバンで能力は植物。ウバンのおかげで畑を作れているようなもの。

 

「リア、ワイズ。付箋が貼られてるやつ見てみろ」


 付箋が貼られてあるのをワイズがめくると、まだこれは逃走者じゃないことがわかった。名はアミュアで能力は未来予知。場所はここ、アイディー街に移住している。


「ただの一般人に見えるけど、逃走者じゃないのかよ」

「まだ断定はできてねえが、アイディー街では有名な占い師でな。水晶玉を使って占っているから、違和感はないように見えるから、今までライディー騎士団に気づかれず、過ごしていたんだろう」


 私たちは施設育ちだったけれど、この子は普通に生活して生きていただなんて衝撃すぎた。インディ曰く、イルルのお母さんが逃走者になり、ひっそりと暮らしているのではないかと予想しているらしい。

 お兄ちゃんとは別格で未来予知ができるイルルが仲間になってくれれば頼もしいと感じる。


「どうする?ウバンを訪ねるか、それともイルルに会って、ウバンと会うか。俺的にはイルルがいてくれたら、いいかもしれないって感じはしてる」

「私も同感。イルルがいてくれれば、未然に防げることも可能になる。ただアイディー街に住んでいるとしたら、IDを提供しなければならないってことでしょ。ちなみにイルルが住んでるところって」

「ライディー社が携わっているから、一歩間違えればライディー騎士団に捕まる可能性は高い。もしどうしても会いたいのなら、イルルが店を出るタイミングを見計らってからのほうがいいかもな」


 そうとなれば一度偵察しに行って、どのタイミングで店を出るのかを把握しなければならない。


「んじゃ偵察しに行ってみるか。ルシャンダ、聞こえてたろ。今からインディにイルルの資料送ってもらうから、住所を確認後、俺たちを誘導してくれ」

『少々、時間かかりますであります。お待ちくださいであります』


 無線の中ではキーボードの音が聞こえ調べてもらい、その間、インディに頼みたいことを伝える。


「レッツォに工具箱とそれからみんなが欲しいものを集めてもらえない?ここだと私たち思うように買い物できなくて」

「そんなに買えねえと思うが、用意はしておく」


 インディにみんなが欲しいリストを渡して、感謝を述べているとルシャンダの合図がきた。私たちは一度、インディの店を後にする。


 ルシャンダに誘導してもらいながら進み、ここがイルルがいる場所とみるも、大きな建物に長蛇の列があった。最後列に並ぶとしても、そこにはライディー社の紋章を羽織った人たちがいて思うように動けない。


「ルシャンダ、中の様子はハッキングできた?」

『できてあります。あっ!今、ティルと知らない二名がイルルに占ってもらっている最中であります!』


 最悪の事態と私たちは吐息が出てしまい、なんでよりによっているのよと、ここは諦めてウバンと合流したほうが身のためかもしれない。


「仮にウバンの情報をイルルから聞いてたら、危うくないか」

「何を占ってもらっているか、わからないけれど一度インディの店に戻ろう」


 身の安全のために私たちは一度、インディの店に早く戻ることにした。



 館長からいただいた資料のもとに、ここに訪れたはいいものの、この子が逃走者の娘なのか判断がしづらいところだった。本来、逃走者やルマたちには遺伝子マークがついている。

 ついていないからただの占い師と認識してしまいそう。本来ならこの子を連行したいけれど、逃走者である母親を先に見つけてからだ。


 シフォンに写真を出してもらい、写真を見せながらイルルに質問をする。


「この女性を探している。どこにいるか突き止めてもらいたい」

「未来予知じゃなく、人探しでよろしゅうのですか?たわしには、そうには見えへん。愛しゅう人がどんな未来になるのかを見てほしゅうくてきたのかと。まあティル副長がそれをご希望ちゅうなら」


 イルルに見抜かれていても頼むと伝えたら、イルルは水晶玉に両手をつけると水晶玉が光り出した。数秒後、光が消え僕たちに告げる。


「その女性はな、アイディー街から離れた村、オーフェン村で暮らしとりますなぁ。それといいこと教えいたしゅう。これはサービスや。そこにティル副長と親しかった者もおる。それにティル副長の愛しゅう人も向かっているさかい。会えるとえぇな」 


 僕と親しかった人物とは一体誰なのかわからずとも、リアがオーフェン村に向かっているのなら、すぐ動かなければならない。支払いを済ませ店を出ると館長がいて、敬礼をする。


「情報は掴めたか?」

「はい、館長。そこにリアも向かっているようなので、すぐお連れ致します」

「いや、今回リアはいい。逃走した例の女だけ連れて来い。そう急ぐな。リアを泳がせていれば、私が探していたものがすぐ手に入りそうだからな」


 意外な言葉にルマもシフォンも驚きが隠せず、頼んだぞお前ちと言った後、館長は馬車に乗り行ってしまわれた。


「意外すぎて鳥肌たったー」

「館長、いつもならリアのことで頭いっぱいはずなのに。どうします?ティル副長」

「館長の指示に従うまでだ。それとついでに僕の親しかった人とも接触する。行こう」


 館長の言葉に不審を抱くも馬車を手配して、オーフェン村へと出発した。



 インディの店へと戻り、早い帰りだなとインディに言われながらも、ご飯をいただきながらどうするかを決める。


「村に行くにしても相当な距離があるよな。ルシャンダ、オーフェン村のゲートって開けそうか?」

『できる準備はできてあります。今のところライディー騎士団はいないようでありますよ』

「いない間にウバンと話しておきたいよね。ウバンは外出とかしてそう?」

『ごく普通に家の付近で畑仕事をしているであります』


 なら早めに情報は共有したほうがいいとゲート開いてとルシャンダに伝えた。インディにご馳走様と伝え、インディは気をつけてなと私たちに言い、ゲートが開いてオーフェン村の前に到着した。

 オーフェン村に入りルシャンダに教えてもらいながら、ウバンの家につき畑をみると水やりをしている。声をかけようか迷っていたら、ウバンがこちらを向きじょうろを持って家の中へと合図された。


「リア、ワイズ、久しぶり。急に来るからびっくりした。島のみんなは元気?」

「元気だよ。ウバンに言っておかなくちゃならないことがあって」

「あぁティルのこと?それならおばさんに教えてもらったよ。今はおばさんの息子としてここに住んでる」

「おばさんって誰?」


 すると扉が開きあらお友達とやや若めの女性が洗濯かごを持っているのがおばさん。


「おばさん、以前話したリアとワイズだべ。二人に話してあげてほしいんだべよ」

「そうね。いつここがばれるかわからないから伝えておくわ」


 水色の遺伝子マークがあり、確かインディがくれた資料に、唯一水色の遺伝子の母親が逃走したとあった。確か名はアリュア。


「簡単に言うとね、水色遺伝子を持つ子の母親、アリュア。この子を見つけた時は本当に驚いたわよ。それでティルくんのこと。あなたたち二人に伝えておくべきことがある。ティルくんは館長に捕まって以来、とても厳しい訓練を受けていたの。それでもティルくんは逃走を図り、実行しようとしたけれど、失敗に終わってその後はわからない」

「アリュアさんはなぜあの場から離れられたんですか?」

「ティルくんが取り押さえられている隙に、逃れることができたの。本当なら助けてあげたかった」


 アリュアさんはティルのおかげで逃走ができた。この前、ティルと接触した時に言ってた言葉って、成功したらそうなっていたってことになる。ティルがアリュアさんを責めるようなことはしないだろうと思いたい。


「あの疑問が浮かぶ情報を手に入れたんです。名はイルルと言って、なんでも未来予知ができる子」

「私が最初に産んだ子かしら。その当初はまだライディー騎士団に狙われてなかったから、イルルは遺伝子のマークがない」

「すみません、つまり同じ母親で産まれたケースって」

「同じ色が全員兄弟とは限らない。私が産んだ子はせいぜい二人よ。あの館には多くの女性が閉じ込められている。いくら全員助けたとしても不可能よ」


 驚異的すぎてキアが言っていた言葉は、家族同然と言っていた意味って、アリュアさんに聞く。


「父親は同じ人…ですか?」

「えぇ、そうなるわ。いずれ七人の父親たちに会うかもしれないわね」


 館長を除いて七人の父親がワイズたちの父親となるってことになる。いつどこで出会すか気をつけて行動しないと厄介なことになりかねない。


「リア、ワイズ。もしよかったら、ウバンを島に帰らせてあげてほしいの」

「おばさん…」

「私はいずれライディー騎士団に捕まるのを覚悟して、ここに住んでいるの。もし安全な場所があるのなら、ウバン。帰ったほうが身のためよ。以前とは比べものにならない訓練が施されているかもしれないから、迎えに来たのなら帰るべきだわ。それともし叶うなら、イルルも連れて帰ってほしい」


 アリュアさんはウバンのことを思って言ってくれていて、ウバンはせっかくの生活を失いたくないような瞳をしている。すでにティルがこっちに向かっているのなら、尚更早くオーフェン村から出なければならない。

 ウバンは少々考えわかったよ、おばさんと、アリュアさんに伝える。


「おばさんがそれを望むならリアたちと帰るべ。ここでの暮らし、楽しかっただべよ」

「私も楽しかったわ。支度して行ってちょうだい」


 私とワイズは二人の別れの邪魔をしたくなく、外で隠れながら待っていると見慣れない青年がアリュアさんの家の前にいる。小声で私はルシャンダに聞いた。


「今、アリュアさんのお家の前に誰かいるんだけど、誰だかわかりそう?」

『えっと…まずいであります。今すぐそこから離れるであります!』


 ルシャンダの誘導により離れたはいいけれど、その青年は何かをまいたような仕草をした瞬間。例の化け物が出現しその青年は消える。


「今の一体なんだったんだ。それより、ルシャンダさっきのって」

『緑遺伝子の父親、ユフェンであります。ユフェンはウバンと同じく植物の能力者でありますよ』

「アリュアさんの遺伝子は水色。つまりアリュアさんにとっては弱点になる。早く急いで、ウバン」


 家中を囲まれ例の化け物を出しているのが父親だなんて、それじゃあ今まではなんだったというの。助けに行くべきか迷っていたら、馬車が到着して茂みに隠れる私とワイズ。馬車から降りて来たのは紛れもなくティルと二名。

 ティルは例の化け物がいるのに、普通にノックをしていてティルの能力にかかったら後もこうもない。私が出ようとするもワイズに引き止められる。


「言っても無駄だ」

「そうだけど、私が行けば時間は稼げると思う。お願い、ワイズ。行かせて」


 ワイズはとても嫌な顔をするも私の手を離してくれて、茂みから出るとティルがこちらを向きこっちに来た。私に触れようとして、私はその手を振り払うと、少女がニヤニヤしながらティルの隣に立つ。


「リアじゃリアじゃ。ティルの宝物じゃというのに、嫌われおって」

「うるさいな、ルマ。この前、買ったネックレス…」

「発信機ついてるってキアから教えてもらって、壊してもらったの」

「そう。ネックレスで特定できたらよかったのに、残念だったよ。まあ今回、狙いはリアじゃないから、僕の気が変わる前にここから去ってほしい。それとも現れてくれたのは降参した?」


 降参するつもりはないと言いかけた時、自らアリュアさんが出頭してきた。


「探していたのは私でしょ。覚悟はできています」

「ついでだけど、僕の友人がいるって情報をもらった。どこにいる?」


 ウバンは裏口から出ていて、ワイズと合流している。さあなんのことでしょうとアリュアさんは誤魔化し、私は足音立てずに立ち去ろうとしたら、リア待てとティルの能力がかかってしまった。

 それでも私はさっき、ワイズに力をもらったから動けて、ルシャンダと叫びゲートを開いてもらい間一髪。インディはびっくりした表情でまた来たのかとコップとティーカップを置く。

 

「久しぶりだな、ウバン」

「久しぶりだべ、インディ。それでイルルって子。どうやって連れて帰るんだべ?」

「あの子が未来予知をしているのなら、ここに来店してくれるともの凄く嬉しいけれど、そう簡単にはいかないはず」


 ルシャンダが防犯カメラのハッキングをしてもらったところ、相当な防犯カメラがあるというのはわかっている。忍び込んだとしても、すぐ捕まるリスクが高い。

 そうか。私は手配書が貼られていないから、接触することは可能。


「一か八かでやるしかないと思う」

「一度それやって捕まりそうになったの覚えてるよな。すでにアリュアさんは捕まったんだし、違う方法探したほうがいいんじゃないか?」

「え?リア、捕まりそうになったことあるんだべか?」

「一度ね。その時は間一髪だったの。さっきみたいに」


 ワイズが心配してくれているのはわかってる。それでもアリュアさんの願いは叶えてあげたい。仕方ねえなとワイズが降参してくれたことで、あまり目立たない姿に着替え新しく偽IDカードをインディが作ってくれた。


「ありがとう、インディ。何かあったら無線で知らせるから、その時はルシャンダ頼むね」


 あいあいさーと聞こえ私は裏口から出て、イルルがやっているお店へと向かうことに。

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