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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
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16話 エピルス完全始動

 父上が帰って来たことにより、本拠地では大騒ぎとなっていながら、我が輩は父上と再会を果たしていた。今までどこにいたのか聞いた時、正直羨ましかった反面、リアを殺害するのではないかと恐れていた。

 我が輩は父上の血を受け継いでいることもあり、生き返ることはできたが父上が助けてくれていなければ死んでいたという。リアの能力は表向きが治癒、裏向きが死ということだ。これはファンズマのみではなく、実際は人間にも死を与える能力で危険視されている。


 一歩間違えればリアは多くの人を殺害できてしまうこともあり、リアは処分されるのではないかとあの日からずっと思っていた。


「ヨウミ。エピルスという組織はいつでも始動はできるか?」

「いつでも動かせる準備は整っています。ですが父上」

「承知している。殺さずあの子の能力をライディー社より先に奪う必要がある。それと島にいた二名の能力も奪った。おそらく一人はあの子と一緒にいるだろうが、もう一人の少年はライディー社の子だ。その子を見つけ次第、カディヴィアへ連れて行け。力を失った子はおそらく処分されるだろう」


 リア以外興味はないが、父上の命なら仕方があるまいと御意と答え、父上の部屋を後にする。四天王であるタング、ハディッグ、ノデッド、ウリを呼ぶ。

 すでに四人は揃っており指示が出るのを待っていたのだろう。


「タング、いつも通りにギーディスと接触し、能力者を失った子を保護させるよう伝えろ。ハディックとノデットはリアを保護。ウリは我が輩と一緒にライディー社に乗り込む」

「ギーディスさん、ちゃんと聞いてくれるかわからないっすけど、伝えるっす」

「僕、ヨウミさんと、一緒が、よかった、なぁ」

「そう拗ねんなじゃん。後で虫捕まえるの手伝ってあげるから」

「ヨウミと一緒ならティルに会えるかな?会えるよね。楽しみ、ティルのあの顔たまんない」


 ウリは以前、ティルと接触してからティルが好きになったようだ。ならウリにティルを任せ、我が輩はあの忌々しい奴と接触するのもいいのかもしれない。

 それぞれ動いてもらいウリと出かける前、もう一つやらねばならないことがあった。


「ウリ」

「なあに?」

「我が輩は一度カディヴィアに行かなければならない。先にワガラ都市へと向かっててくれるかい?」

「簡単にあの領域にいっちゃ駄目なんじゃなかった?」


 許可は得ているとウリに告げて、我が輩は父上からいただいたものをカディヴィアに報告しなければならない。ノアは今もワイズの死の未来を見ているのだろうから、ノアの部下に提出することになっている。

 これを受け取ってくれるかは分からずとも本拠地から行くと、カディヴィアに着くのはせいぜい一週間程度。往復するとなれば二週間程度となる。我が輩がいない間に何も起きず、リアが本拠地に来てくれることを信じるしかないだろう。


 ◇


 ギーディスさんはあの水槽に入ってくれないし、罠引っ掛けても引っかかるのはわんぼだからな。ワガラ都市にいなくて赤遺伝子研究所にいるんすかね。それにしても今までと違い見張りが少なくなったような気もするんすけど、どうかしたんすか。

 それかわんぼがしょっちゅうくるから別の研究所で研究してたら悲しっす。様子を見ていたらあのーと声がかかり、後ろを振り向くとギーディスさん似の息子さんがいたのだ。

「見つかっちゃったすね。お父さん今どこにいるっすか?ワガラ都市にはいないっぽかったっすけど」

「団長はワガラ都市にもここにもいませんよ。ここにくるだろうからと団長から預かっていたものがあります」


 やっぱりだとしゅんとしているとギーディスさんの息子さんから手紙をもらい、その子はさっさと研究所へと行ってしまわれたっす。内容を拝見するとこう記されている。


 ストーカータング。俺はしばらくワガラ都市にも研究所にも戻らない。用があるなら俺の元部下であるインディに伝言を伝えてくれ。以上。


 わんぼのことストーカー呼ばわりするだなんて酷いと、念のためこれは燃やしとこうとライターでその手紙を燃やす。インディさんって確かアイディー街から違う場所へと移転したんすよね。

 えっとどこだっけなと思い出している最中に、気配を感じ水槽を降らせると入った。相性の悪い子ちゃんが来ちゃったすね。それでもこの水槽は壊れないからよかったっす。


「なんのようっすか?フラちゃん」

「あなたを捕まえるよう言われてんの」

「指名手配書が貼られているから無理もないっすよね。それでもわんぼは捕まらないっすよ」

「ユフェン団長がここに来ていることも知っているくせに」


 あははは、そうですよねと地面から根っこが現れ、わんぼはファンズマの姿になり防御する。


「ちゃっちゃと捕まってくれればいいのに。その能力、館長喜びそう」

「勘弁っすよ。それにあんたらがしてきた行為はカディヴィアに報告済みっすよ。残された時間を大切にしたらどうっすか?」

「そうか。だから君たちは野放しされているのか。余計なことしてくれたね」


 ユフェンさんはモクディガンを出してきて、うまく逃げ切れるか自信ないなと感じてしまったす。



 セキーレ街へと行き自分とハディックはクーヴァのところへ向かっている途中のこと。妙に緑遺伝子団員と赤遺伝子団員がやたら多い。クーヴァの店が後少しだというのに、なかなか入ることができずにいた。


「どう、する?」

「クーヴァが協力者ってバレたらアウトじゃん。それに自分たちの顔はバレているし、リアたちと遭遇できれば尚更じゃん」


 指名手配書は自分たち四天王とヨウミだから、それ以外はばれずにいるから代わりにリアたちの居場所聞くしかなさそうじゃん。代わりに行ってもらおうとしたら、背後からあのーと小声で喋る赤遺伝子団の団員がいた。


「この街は危険です。ここにクーヴァさんがいらっしゃるので、そちらに向かってください」


 すっと自分に渡し赤遺伝子団の団員は何もなかったように歩き始めた。メモを確認するとクーヴァはセキーレ街からスノーリア王国に移動したっぽいな。そこなら王がホデュヴィだから怪しまれずに済む。

 そうと決まればスノーリア王国に行くしかなさそうだなと、街を出たところそこにいたのはザズとシフォンがいる。もしかするとすでにギーディスが裏切っていることは知られているかもしれないな。


「ザズ、残念じゃん。リアたちの仲間になると思ってたのによ」

「弟を残して逃げれるわけがないだろ」

「じゃあ食っちゃっていいか?あぁなるほどね、聞きたくもないこと聞こえたじゃん!」

 自分は毒で相手は緑の遺伝子だから相性はいいっちゃいい。幸い橙遺伝子の団と遭遇したらアウトだったとダンガスを出そうとした瞬間だった。肩に何か刺さり力が出ないと混乱していると、信じられないことが起きるじゃん。

 橙遺伝子の団服を着ているのはリアたちの仲間だった奴。確か名前はレッツォ。


「遅れてすみません」

「いいよ。ティルとちゃんと話せた?」

「全て報告した。先日はリアを助けてくれてありがとう」

「ハディック!」


 ハディックに多種多様の虫を出してもらい、その隙に自分たちはスノーリア王国へと向かった。



 鼻歌を歌いながらワガラ都市につき、カディヴィアから来るとしたら大体往復で四週間前後ってところかな。相変わらずライディー騎士団多すぎだし、ティル見つけられないじゃんと散歩していたら、あれとある人に声をかけてみた。


「ルマ?え?ルマだよね?」


 ルマは変身能力を持っていても、私は光を持っていて変身姿はばればれなんだよね。ルマはおそらく誰かの姿となっていて、周囲を確認しうちの手をとって路地裏に連れて行かれる。


「どういうことじゃ」

「どういうことってどういうこと?」

「ウリ、いいから逃げるのじゃ。見つかったら大変なことになるのじゃぞ」

「そう言われても、うちはもう逃げないって決めたの。最初は逃走者で自由に動き回れることもできなかった。そんな時にね、ヨウミに出会って救われたんだよ」


 そのことを告げたらルマはうちを突き飛ばして、笛を吹かれるとライディー騎士団に囲まれちゃった。そっか、ルマは昔っからファンズマ大っ嫌いだったもんね。

 うちはルマと同じ黄遺伝子施設育ちでいつも一緒のチームとして動いていた。そんな時に逃走した子たちの情報を得て、うちたちも逃げようと考えた。けれど逃げ切れたのはうちだけで、助けに行きたくても助けにいけなかった。途方にくれたうちはヨウミに拾われ、ファンズマはいいファンズマがいることもわかったよ。

 だからうちはこの道を選んだ。ヨウミの知り合いである電気タイプのレクシティから遺伝子をもらい、レクシティに姿を変えれることができる。


「ウリを傷つけたくないのじゃ!」

「だったらルマはここからいなくなって。うちもルマを傷つけたくないから」


 ルマはうちともう一人、会いたい人がいるからティルの団を選んだんでしょ。うちはさ、こんな姿になってもルシャンダに会いたかった。ルシャンダが優秀すぎて五歳の時、本館へと連れて行かれちゃったことを思い出す。

 昔っからルシャンダはハッキングばかりしてて、妹のルマをほったらかしでうちが相手していたな。任務でなかなか会えなかったし、街中を歩いてもきっとルシャンダは引きこもりだから絶対に島から出ないってわかってた。するとティルがやって来て、ルマに何かを吹き込みルマは一度うちを見ていなくなる。

  

「ルマを悲しませないであげてくれない?」

「そう言っても無理だもん。うちはうちのやり方で、ルマを救う」

「救わなくていい。それに報告させてもらうよ、ウリ。実の父親にね」

「ご勝手に。あぁまだ報告もらってないけど、どうなるんだろうね。リアは誰を選ぶのか。あっ!ごっめーん。ティルにはもうフィアンセがいるんだよね」


 挑発するとティルは一発うちに銃で打っても無駄だよ。やっぱりまだ気づいていないだろうから言わないでおこう。そうしないとティルはリアを諦めずにいるから。ノデッド情報だと確かひと月でリアの良さを調べ尽くさないといけないんだっけ。

 うちも実際会ったことがないから、ティルをいじれないけれど、ノデッド情報は役に立つ。


「そう言えば近々、ワイズがリアに告るって情報持ってるんだ。これでリアがワイズのものになったら、諦めるしかないね。まあヨウミはそれでもリアを奪いそうだなって気もするけどな」


 どうだとティルの表情を見ると冷酷すぎる表情を出して、うちを睨むティル。こっわと一旦ワガラ都市から出たほうが身のためだと思い、うちは光ってワガラ都市から脱出した。


 ◇


 カディヴィアは要塞の中にあり、要塞を潜るには通行料がかかる。カディヴィアの人間がいれば、無料で通ることができるのだが、今回は一人のため払わなければならない。

 お金はしっかり持って来ているし大丈夫だろうと列に並んでいると、要塞の上から誰かが我が輩の名前を呼んでいる。一体誰がとよくよく見るとノアであった。

 ノアはそこから飛び降りてくる。これ確実に死ぬぞとファンズマを出すと列に並んでいた人はもちろん。カディヴィアの兵に銃を向けられた。


 ノアは大丈夫だよと我が輩に助けられながら、ファンズマから降りて全員無料にしてあげてとカディヴィアの兵に言う。総長の命ならとなぜか嫌がれるノアであり行こうと中に入らせてくれた。


「さっきはありがと。例の書類、持って来てくれたんでしょ?」

「あぁ。もちろん、ここに」

「今、出さなくていい。後ここではファンズマは出さないでね」


 ノアの悪戯には毎回はまっているから、何も言わず戻って来た理由を聞いてみる。


「なぜ、戻って来た?」

「キアから教えてもらってさ。母さんがカディヴィアに保護されたから様子見に行ってって言われたからさ。それでヨウミのお父さんはピンピンしちゃってる感じ?」

「お陰さまでピンピンしている。リアに会わなくて良いのか?」

「いやー会いたいんだけどさ、リアが大切にしている子が危険な時期に入った以上、未来ばっか見ていても仕方がないと思ってさ。俺が現在でここにいれば何かが変わると思った。ただ正直吉が出るか凶と出るかはまだ不明だけどな」


 リアが大切にしている人と言ったら我が輩かなとニヤニヤしていたら、ノアに幻滅されてしまい我が輩ではないなと我に返る。ティルともう一人いたワイズだろう。


「父上はあの力をずっと恐れていた。我が輩だったからよかったものの、仮に違う子に当たっていればどうなってたか」

「俺も未来で何通りか見たよ。ここではヨウミでよかったとほっとしてるけどね」


 ノアに拳骨をし全くと呆れたものだ。普通の人間を殺めていたらリアは今頃、ここにはいないのもノアは未来で見てきている。その未来が誰を殺めたのか言わないのは、リアが大切にしている誰かだろう。

 その未来は我が輩になったから、リアはこうして生活できているわけである。


「エピルス、動き出した?」

「もちろん、一週間前に動いている。徒歩だとここから一週間かかるのであろう?」

「いや、車で来たから、三日程度で着くんじゃない」


 あれに乗るのかとファンズマにとっては苦手な乗り物の一種だ。だったらファンズマを出して乗って行ったほうがいいと思っても、カディヴィアの決まりには従わなければならない。我が輩が吐くこと前提なのか車内にはびっしり引かれていた。

 助手席に座りゴミ箱を持たされ、ノアは音楽をかけながら出発したのである。



 三日後のこと……


「久しぶりだけど、変わらないなぁ。ヨウミ、顔色真っ青だけど大丈夫?」


 心配はしているようだがあれは絶対にわざとにしか見えない。おえ。途中途中でパンパンになってしまったものをゴミ捨て置き場へと捨てては吐いての繰り返して、何も食べる気がしなかった。

 まだ地獄があるのではないかとノアにパシパシ叩かれ、余計に出るわと突っ込みたくなるものだ。後で水をいただくとしよう。


 何度来てもここは我が輩には不向きな場所でもあるが、父上が何かあったときはここに来るよう告げられていた。二度ぐらいしか来ていないが、やはり慣れない場所でもある。

 ここではノアの存在が大きいようでノアが帰って来たことにより、歓声をあげている人たちが多い。


「じいちゃんに会うのやだな」

「じゃあなぜ来た?」

「ヨウミが来るのを待ってた」


 にっと笑いノアの奴めと威嚇しながらノアと一緒にカディヴィア本部へと入る。ノアが中に入った途端に、帰って来たとカディヴィアの者たちが騒ぎ始め、ノアは笑顔でただいまと告げていた。

 ノアのじじ様という方はカディヴィアの元総司令官であり、今は総長となっているノアを支える役目をしている。つまり仕事はほとんど、じじ様が代替わりとしてやっているそうだ。現在の総司令官は別件でいないと聞いている。のちに現れてるくるだろう。


 総長のお部屋と子供らしい字で書かれた表札の扉がノアの部屋だ。ノアが入ろうとしたらばっかもんと物を投げられる羽目に。


「いたたた。じいちゃん、物投げないでよ」

「馬鹿はどっちじゃ。メモ書き置いて、しかもじゃ!キアまで連れておって!」

「いや、あれは俺も正直ビビった。ここに戻ることもできたけど、母さんがあの島にいたからで」


 深くため息を出しているじじ様は報告を頼むと中に入ることになった。


「ヨウミ、リアに手出しはしていないようじゃな」

「していません。これを父上から預かって来ました」


 本当はノアに渡すはずのものだが、再びノアはどこかへ行きそうだからじじ様に資料を提出する。じじ様は資料を確認し、しかと受け取ったと言った。


「それでノアはどうだったんじゃ?」

「どの未来もワイズが死す場面が起きるし、それがもう時期来るのもわかってるから戻って来た」

「変わらぬ運命ということじゃな。ワイズの死を見てしまったらおそらくじゃが、ティルの命も危ないじゃろう。ヨウミ、その前にリアの力を抜いてくれるとありがたい。そうすれば奴も諦めるじゃろう」

「承知しました。父上も危険と察しし保護するよう命じられています」


 我が輩はリアに嫌わられているから、ノデットとハディックに任せている。リアの居場所をここで聞くのも捨てがたいが、おそらくその島は教えてくれない情報だ。だから自力で探すしかない。


「よろしく頼む。ノア、ナユがヨウミに会いたいそうじゃ。連れてゆけ」

「母さんが?珍しいな。それじゃじいちゃん仕事お願い」


 また物投げられるのではないかと思ったが、さっさとゆくんじゃと呆れていた。こんな形で総長を務められているのか少々疑問が浮かぶのだが、ノアのやり方があるから口を出さないでおこう。

 本部の南棟にある一室にノアたちの母、ナユがいる。一度、父上はナユと話したと聞いているがどんな方なのだろうかと、ノアが入るよと扉を開けた。そこにいたのは一人の少女で車椅子に乗っている。


「帰ったよ、母さん」

「お帰りなさい、ノア。そちらがヨウミ?」


 そうと言いながら我が輩の背中を押し、我が輩はしゃがみ挨拶をした。


「お初にかかります。我が輩はヨウミと申す」

「初めまして、ヨウミ。私はナユでありノアたちの母。その節は本当にごめんなさいね」

「いえ。我が輩の不注意でもありましたゆえ、リアやリアの母君が謝ることではありません。あの力を発動させてしまったのも、我が輩でもあり、いずれリアに気持ちと謝罪をするつもりです」

 すると後ろから蹴られノアの圧がかかる。ナユ殿は笑い少し照れるがこの現象を見てほしかったのだろう。ナユ殿がなぜ少女の姿になってしまったのか。

 あの島を守り続けていた理由は知らぬが、相当の能力を使用したことで身体が小さくなった。その影響で体力も低下し守りきれなくなったということだろうか。能力には限度があると何かの本で読んだことがある。


「どうかしら?」

「あの島に住み、能力は常に発動していた?」

「えぇ。あの研究施設には大切な記録とかもあったから、念のため守り続けていたわ。それとあの人から呪いをもらったせいかしら?」

「元の姿になるのかはまだ断定はできぬが、奴の能力、呪いの力は父上でも取り除けない能力でもある。我が輩の力でも不可能だが、遺伝子に関係するのかも知れぬ。一度ナユ殿の遺伝子を一部いただいても良いか?何かわかるかも知れぬからな」


 カディヴィアの方でも研究はしているそうだが、我が輩たちにしか見えないものも出てくるかも知れないからな。早速採血してもらい、大切に保管することを誓った。

 またノアの車で帰るのはやめておきたいと思い、今回は遠慮しておくとしよう。


「ノア、帰りは一人で帰るから大丈夫だ」

「えぇせっかくワガラ都市まで連れてってあげようと思ったのに」


 絶対に身体持たんと思っていたらわかったよと言ってくれた。


「道中気をつけろよ」

「うむ。何かわかったら連絡するとしよう。ノアも気をつけたまえ」


 ノアに手を振り用がなければ皆に手土産を買って行くのだが、用があるから手土産は買って行かない。皆、無事任務を続行できて要るだろうかと、空を見上げながら歩いて行った。



 本当は俺の力でワガラ都市に連れて行けたけれど、ヨウミは要塞の外にいるエピルスの仲間と合流するから言わないでいた。じいちゃんに仕事任せっぱなしにしつつ、そろそろギーディスの奥さんとニディアが戻って来る時間帯かな。

 受付にいる子と話していたらお疲れ様ですとみんなが正面玄関を向いて頭を下げていた。ようやく帰って来たと声をかけようとしたら、ニディアからのパンチが来る。


「帰って来ていいといつ言った?」

「ちょっディリー」

「総司令官と呼べと毎回言っているだろ。大体なお前はな、やり方が」

「実の息子が死ぬ運命になるって言っても、俺を止めるのかよ」


 ワイズのことを出すと黙り込むディリーであり、ワイズのこと常に心配してる証拠。ギーディスとディリーはライディー社で出会い、その後お互いがカディヴィアの者だと知り、できた子がワイズとそして生意気ちゃんのニディアである。

 だからなのかあの人はギーディスに甘く、カディヴィアの力を借りたいからと商談話が持ち上がっているという話は本当のようだった。


「ナユは無事か?」

「元気だよ。さっきまでヨウミいたけど」

「さっきすれ違った。ナユに会ってくるが、逃げんなよ。お前に任務を渡す。私の部屋でニディアと待ってろ」


 御意と答えディリーはさっさと母さんのところへ行き、ニディアは俺の服を引っ張る。


「どうした?」

「ティルの瞳をみて、壊れそうな感覚。何もかもティルにはなくて、その一方お兄ちゃんは全て持ってる。お兄ちゃん死なないよね?だからニディアをティルのところへ連れてったんでしょ?ニディアも空っぽだから」


 そんなこと言ったら父ちゃん母ちゃん悲しむぞとニディアの頭を撫で、死なないよと伝えるしかなかった。

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