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ブラッドカラー  作者: 福乃 吹風
13/195

13話 シガッグ街③

 ルシャンダから報告があり、真っ先にコルアがいる場所へと向かったけれど一歩遅かった。そこにポツンと立っていたのはエリュウのみで、多少傷を負っていたから治癒能力で癒す。

 ごめんと謝るエリュウで、私たちもすぐ駆けつけるべきだったと伝えた。コルアが奪われてしまい、再びここにシフォンたちが訪れるのは低いと見ていいだろう。


「エリュウは先に戻ってて。私とワイズはまだここで出会った子と話してから帰る。ルシャンダ、ゲートをお願い」


 あいあいさーと言いながらゲートが開き、エリュウは島に戻ってもらい、私たちはエピルスのたまり場へと戻った。戻ってみるとダディゴは泣き止んでくれて話せそうだ。


「ダディゴ、教えてくれる?」

「ザズさんは何度も逃走した経験がある人で、僕たちと一緒に逃走してくれたんです。それで連れて来られたのはザズさんが逃した人たちが集まっている場所で、ここなら安全だと言われたので、今もそこにいます。ただ僕たちがきて数日後、ある情報が手に入り、ザズさんは途端に消えたんです」

「ある情報ってなんだ?」


 ダディゴは体を縮こませながら、その綴りを語ってくれる。


「それは切断能力者の話です。僕たちの仲間も一度切断され、連行された。助かったのかもわからない」


 ツァッセの名前が上がったことで、ザズがなぜライディー騎士団に戻ったのかなんとなくわかってきた。ザズが助けたその子も助けるために、ライディー騎士団で探しているとしたら一体誰なのか。


「あのさ、切断されちゃった子って誰かな?」

「能力封じのシフォン。すでに利用されているのかもしれない」


 私とワイズは顔を見せ合い、嘘でしょという顔立ちをした。そうかあの資料を見た感じ、確かシフォンは緑遺伝子を持つ。つまりシフォンとザズは兄弟のようなものだ。


「全て一致した。なぜザズがティルがいる団に入ることを決めたのか」

「シフォンは生きてる。普通に生活してるし、それに俺ら何度も遭遇してる」

「本当ですか?」


 ダディゴはびっくりした表情で、おそらくシフォンはダディゴたちを見かけたら接触はせずにいたんだ。シフォンはこう見えて純粋な子なんだろう。


「そっか…。ライディー騎士団にとってはシフォンは貴重な存在でもある。それでも生きててくれて本当によかったっ」


 涙を一粒流し腕で拭くダディゴで、なんとかシフォンに会わせてあげたいなと考えていたらルシャンダが喋る。


『大変でありますよ!そっちにツァッセが来るであります!』

「この店にいることがばれたらやばいな」

「んーどうしたん?」


 そこにひょっこり顔を出したノデッドで、事情を説明し、ふむふむと言いながらエピルスの人たちに指示を出し始めた。


「自分たちが囮になってあげるから、一旦島に戻ったほうがいいかもしれないじゃん。ザズが敵になった以上、再びライディー騎士団が島にやってくるかもだし」


 それは一理あって一先ずダディゴを島へ連れてったほうがいいのかもしれない。そう思ったらダディゴが言う。


「それなら僕の基地に来てください。一度もライディー騎士団に怪しまれず生活できている場所なので。案内します」


 ダディゴが言う基地も気になるし、一度そっちの状況を見て島に戻るのもいいかもしれないと感じていたらワイズも同じ意見っぽい。


「なら案内してくれる?」

「はい」


 ノデッドに裏口の扉を教えてもらい、ルシャンダにライディー騎士団がいないか見てもらいながらダディゴの基地へと向かった。


 シガッグ街の南にあるところに廃工場があり、そこに住み着いているそうだ。廃工場だったらライディー騎士団に見つかるリスクはあるんじゃないかと、ダディゴに確認する。


「廃工場だったらライディー騎士団に見つかるんじゃない?」

「いえ。ここはホームレスのたまり場となっているので気づかれにくいんです。それに僕らが逃走者であっても通報しないでくれているので普通に生活できてます」


 今までなぜここを訪れなかったのだろうかと、不思議に思いながら進んで行く。帰ったよとダディゴが言うと、おかえりとテントから顔を出す子たち。

 ざっと見て二十人以上いてしかも私たちと同い年ぐらいの子たちもいた。これはいい戦力になりそう。どんな能力を持っているのかも気になる。


「ダディゴ、帰りが遅いから心配したじゃない」

「ごめんなさい、フラ」

「その二人は?」

「逃走者の人たちで、ザズさんの知り合い」

「初めましてリア。こっちにいるのがワイズ。さっきザズと戦っていたところ助けてもらったんです」


 そうとフラは私の顔をまじまじと見ていて、なんだろうと思っていたらそっくりねとフラは言う。


「以前、あなたの兄であるノアに助けてもらったのよ。いずれ妹が現れると思うからここで待っててほしいってね」

「お兄ちゃんが?」

「うん。それを告げていなくなった。ザズが私たちを逃してくれたのも、ノアの助言とも言ってた。ライディー騎士団を壊滅させるために必要な力だって。ただ貴重なシフォンを奪われて、シフォンが能力を発動したらあたしたちは終わりのようなものだし」


 ザズがかき集めた子たちはお兄ちゃんの助言を聞いて逃していたのは初耳だった。とにかくフラたちを島に連れて行くべきだよね。

 それともフラたちはまだライディー騎士団にばれてはいないし、緊急時にここを使わせてもらうのもありかもしれない。色々と考え込んでいるとワイズがある提案をした。 


「俺たちは島暮らしだけど、フラたちはどうしたい?今の島はすでにライディー騎士団にばれてるけど、新しい島発見して近々そっちに移転するつもり」

「あたしたちも移転しようか迷ってたところだった。もし移住できるのなら移転の時に知らせてくれればいいよ。その間に物資はかき集めとく」


 意外と話が通じこれでいい戦力を手に入れて喜ぶ私たち。一度私とワイズは島に戻りみんなに知らせることにする。ルシャンダはみんなをかき集めてもらい、フラが書いてくれた住人リストを見ていく。

 

 赤三人、橙二人、黄五人、緑六人、青二人、水一人、紫四人。

 

 緑の人数が多いのは緑遺伝子の施設から脱出したこともあり、緑遺伝子の子が多いとフラは言っていた。フラも緑遺伝子の一人で能力は風力。ダディゴは橙で能力は泥。それ以外の能力を見ていくと遮断能力や医療能力に、鍵能力という子もいる。

 鍵能力と疑問に浮かび資料棚で調べてみると、なんと鍵がかかっているところを全て開けられる力を持っているという。


 ルシャンダが全員集まったという報告を受け私とワイズは食堂へと入った。みんなは聞く姿勢をとっており私からではなく、今回はワイズがみんなに告げる。


「みんなにいい知らせと悪い知らせがある。いい知らせは仲間が増えることだ」


 みんなは歓声を上げ嬉しそうにしているも、キアは表情一切変えずにいて、私が静かにと告げると静かになった。静かになったところでワイズが悪い知らせを告げる。


「悪い知らせはコルアが奪われ、そしてザズは元々ライディー騎士団の仲間だった」


 ワイズが告げると下の子たちはそんなの嘘だと反論しているも、レッツォたちは何も言わず真剣に聞いてくれた。


「信じられないことだけど、これは真実。ただザズがライディー騎士団に入った理由は別にある」

「それはザズが以前何度も逃走して、捕まった理由はある子を逃がそうとしていたの。その子の名はシフォンと言って、今はティルの仲間。それとその子はコルアとザズの知り合いの子でもある」 


 みんなはえっという表情を出して、そう簡単にシフォンが逃走車になるとは限らない。どちらを選ぶのかはシフォン次第であり、コルアを無事に助けられるのかも正直不明だ。

 ザズがかき集めてくれたフラたちはきっとザズの帰りを待っている。だからできればザズとコルアを助けられればいいのかもしれない。


 みんなの表情をみる限りシフォンは受け入れたくはない表情をしていた。私とワイズはみんなの思いを受け止めると決心しているから、みんなの答えを待っているとキアが挙手する。


「姉貴、質問なんだけど」

「キア、どうしたの?」

「あのさ、ザズがかき集めてくれた子たちが仲間になるのはいい。ただそこにライディー騎士団が潜入していることはない?仮にその中にいたらみんなが危険になるだけだと思う」


 気になったイルルはその場で占ってもらい、みんなが不安になることは避けたいと願っているとあかんと私たちに告げる。


「一人危険な子おるで。それ以外の子は大丈夫や」

「危険な子って?」

「フラや。リア、妙なこと言われてへん?」


 妙なことと振り返ってみるとそう言えばお兄ちゃんの名前出してたし、顔も似てるとまでも言われた。それを告げるとキアからあることを言われる。


「兄貴はそう易々、顔を出さない派だし、一度もライディー騎士団に捕まったこともないから、それは偽の情報にすぎない」

「それにフラは緑遺伝子の団にいるっぽいで。どうする?」


 みんなを危険に晒すところだったし、ダディゴたちが危ない。そうか。なぜダディゴたちが狙われなかったのかと廃工場の周りにはライディー騎士団が見回りしていなかったのか。

 フラがいるから狙われなかったんだと理解し、緑遺伝子に挑むとしたらワイズともう一人、連れてって助けに行ったほうがいい。


「ワイズ、私たちが移転することも教えたけど、場所はまだ教えてない」

「悪い。先走って」

「いい。移転した場所を特定されたらアウトだったから。事前に知れてよかった。ありがとう、イルル。ルシャンダ、すでに移転先の情報はかき集められた?」

「できてるであります」


 ならと私はみんなに伝え、私とワイズ、それから二つ年下のホムリを連れてシガッグ街に戻った。ホムリは久しぶりの外で目を輝かせ、ホムリの能力を使う。


「派手にやっちゃっていい?」

「いいよ。そのほうがライディー騎士団が来やすいと思うし」


 やったとはしゃぎながらホムリの能力、花火が上がりその火が廃工場へと落ちて行く。点火したことでホームレスの人たちは逃げて行く姿を見た。せっかくのお家壊してしまってごめんなさいと心の中で謝罪する。ホムリの花火はソアレと同様に危険レベルに位置している能力。

 一度花火を咲かせたらその火が落下してくるというもの。一見美しくみえるも危険になる。手加減すれば普通の花火が観れるほどだ。久しぶりの外出ってこともあり、興奮して炎がついてしまっている。


 さあどう動くと様子を伺ってもフラたちが出てくる姿が見れなかった。それとも物資探しに行ってしまっているのかな。見ていたら風を使いながら出てきたフラたち。

 まだダディゴたちには教えていないんだろうと見ていたらそこにザズが現れる。ホムリがザズと呼ぼうとしたから慌ててワイズが止めに入った。


「ザズさん!」


 一番早くザズに気づいたのはダディゴでそれ以外の子たちもザズさんだと叫んでいた。ザズは笑うこともせず真顔でいて、フラは冷ややかな目でザズを見ている。


「久しぶり、ザズ」

「風解除しろ」

「なんで?解除したらみんな焼死しちゃう」

「この炎は人に害はない。そうだろ?ホムリ」


 完全に私たちがやったことバレバレじゃんと、そうだよと声を出すホムリ。顔を出してホムリはザズに飛びついた。それでも解除するつもりはないらしいフラで、早くしないとライディー騎士団が来てしまう。


「解けない理由でもあるのか?」

「ザズは緑遺伝子の団員でしょ?解くわけにもいかなっ」


 一瞬何が起きたのか分からず、フラは急に倒れてしまい、風が止んだ。その間にザズが呼びかけダディゴたちがこっちに来る。いったいなとゆっくりと立ち上がったフラはモクディガンを出した。

 フラを弱まらせたのは捕まったはずのコルアで、その姿に私とワイズは驚きが隠しきれない。


「何すんだよ」

「久しぶりに能力使ったから手加減の仕方忘れちゃったわ」

「あんたはツァッセに能力を奪われたはずじゃ」

「そうよ。シフォンに捕まった時は、もう逃げきれないと思ってたけどね」


 コルアの能力が復活したことで喜びが溢れるばかりであっても、そしたら未来は結局ザズは敵になる運命に変わってしまう。


「どうやって逃げ切れた。あそこは警備が固くなっているはず。それになぜあたしが裏切り者だってわかった?」

「そりゃあ、お前から教えてもらった話だよ。切断話の話をな。お前は一つ、俺たちより先に知らない情報を持っていた。疑問に思って、フラの行動をダディゴに見ててもらったんだよ」


 ダディゴは泥になり人間の姿を隠せるほど優れた能力だ。


「この街を選んだのもフラの行動を見ててもらうためだ。ここは泥も多くあるから確実にダディゴの姿を把握できないと思ってな」

「フラさんが緑遺伝子の団と繋がってた場面を見て確信したんです。フラさんがスパイだってこと。みんなにも伝えてあります」

 悔しそうな表情を浮かべるフラで、ザズはやっぱり私たちの味方なんだと再確認ができた。ルシャンダにゲートを開いてもらおうか迷っていると、ザズに言われる。


「あまり長いはしないほうがいい。早くルシャンダに伝えろ」


 ワイズがルシャンダに伝えゲートを開かせ、ザズがフラの相手をしている間に、ダディゴたちを島へ入ってもらう。全員入ったところで、ザズとコルアも島へ入ろうとした瞬間だった。


「ザズ!」

「いいから行け!」


 フラの能力で止められてしまったザズでしかも背後からツァッセが来る。ザズはコルアに何かを伝えコルアが島へと入った途端にゲートを閉めた。


「コルア…」

「ザズは島に戻らず、シフォンのそばにいることを決めたそうよ。それからこれをキアに渡して欲しいと頼まれた」


 すっと私に渡してくれたのは一通の手紙で、コルアはさっさと行ってしまい、ワイズはダディゴたちを中へ案内してもらう。私は預かった手紙をキアに渡しに行った。

 この時間帯は秘密の施設にいると思い、行ってみるとお母さんの容体を確認しているキア。


「キア、コルアから手紙もらったよ」


 手紙を渡しそれを読み始めるキアであって、何が書かれていたんだろうかとお母さんの寝顔を見る。こうやってみると普通の少女にしか見えないなと、見ていたらなるほどとキアは手紙をしまう。


「ザズがあっち側についたのは理由があったみたい。本来ならコルアの能力が復活したら強制的にティルの団に入れさせるためだった。それを事前に知っていたザズはティルと交渉して、コルアの代わりにザズがティルの仲間に加わることにしたらしい」


 コルアもザズも優秀な人材だし、ザズもここにいてほしかった。けれどザズはシフォンのそばにいることも決めていたってことになる。


「兄貴が見てきた未来は変わらなかったけど、一つ未来ではなかったことが起きた。それがダディゴたちが仲間に加わったってことだよ。正直驚いた。そこまで兄貴が動かしてくれていたし遮断能力者がいる以上、こっちの情報は漏れずルシャンダにはありとあらゆるハッキングもさせられるのは好都合だよ」


 お兄ちゃんが見てきた未来にはなかったものが動いたことで、他の未来が変わるかも知れない。これでワイズの死がなくなるかどうかはまだ断定はできないけれど、行動しれいればきっと未来は変わる。


「とにかく今は島を移転させてから動いたほうがいい。ここがいつまで持つか分からないし。母さんを安心させたい」


 そうだよね。あれちょっと待ってとキアに質問をした。


「ギーディスにお母さんを会わせたの?」

「いや、まだだよ。ギーディスは団に指示し終わった後、すぐ姉貴のところに行ったし、まだ終わっちゃいなかったから会わずに仕事をしただけだと思う」


 なるほどと納得したところでお母さんをどうやって運ぶのか聞くと、すでに移転ができるよう準備は済ましているらしい。それとキアから教えてもらったのは島がばれたもう一つの理由がお母さんの能力が弱まっているからだそうだ。

 お母さんのことはキアに一旦任せ、私は家へと戻りワイズの部屋へと向かった。



 あそこの島が逃走者がいるという島。そしてギーディスの妹もいるという報告も上がっている。内通者からまだ報告はもらっていないけど、そろそろきても良さそう。

 ただ警戒心が強いリアの妹であるキアがこの周辺に何かを仕掛けてそうだ。双眼鏡で島の様子を見ていたら、隣で機嫌悪そうにしているエワンがいる。


「なぜ小舟で様子を見ているのですわ」

「仕方ないだろ。ギーディス団長の船に侵入できたはよかったものの、船ぶっ壊されたんだし」


 まさかのまさかだったな。大事な一隻を自分んたちの力で壊す馬鹿がいるとは思いもしなかった。どうやって帰ったのか、あの島にいる逃走者のルシャンダの能力で帰ったんだろう。

 さてエワンの力で海を凍らせそこから歩いて島に行くべきか考えていると鳥が飛んできて小舟に降りて来た。足首に何かついておりそれを取ると主人のもとへ帰っていく。


 俺らがいることに気づいたらしい内通者からのメモはこう書かれていた。


〝もうすぐ新しい島に移転するらしい。どこの島かは分からない。それと遮断能力者がいるから、ライディー騎士団に報告ができない状況〟


 遮断能力者が逃走したのは前々から分かっていたが、その前に厄介な人物もあそこにいる。オーデュエの妹であるイルルに勘づかれたら終わりだ。それにエワンの兄エリュウが俺といることを知ったら確実に殺される。

 どうすっかなと様子を見ていたら、人魚が泳いでいるのが見える。あいつって確か何も訓練せず水槽の中に閉じ込められていた奴だっけ。あいつを利用して島に入るかとエワンの耳元で囁き、あいつを捕まえることにした。

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