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愛した君への最初で最後の手紙  作者: 幸(ゆき)
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城への頼み

3日後に集中治療室から一般病棟に移る時に、看護師が車椅子を押してくれ屋上に連れて行ってくれた。


 屋上に出ると晴れていて気持ちの良い風が吹いていた。周りを見渡すと患者らしい人達が数人いて地面にはハトと雀が数羽いた。余り広くない屋上を5分位掛けてゆっくり1週してから一般病床に向かい車椅子を降りてベッドで横になった。


 

 翌日から本格的なリハビリを始めたが、やはり左手足は動かなかった


 

 城が見舞いに来てくれた。


 果物をテーブルの上に置いて、ベットの横の椅子に座った。


 部屋の中に明るい表情をして入って来てくれたが、ベッドの横にある椅子を移動させたり、見舞いに持って来てくれたフルーツを机の上に置く態度がぎこちなく、左側に麻痺があり左手足が動かなくなっている事を知っているのだろうと察した。


「左手足が動かせなくなったと翼から聞いたからマスカットを持って来た、これなら食べられるだろう。高級なやつだから」


「うん、ありがとう」


「体調はどうなんだ」


「左手足が動かない、他は変わりはないよ」


 田中さんの事を思い出し、きっと何を話していいのか分からないのだろうなと思った。


「気を遣わなくても大丈夫だよ。大島に行った時に田中さんの話をしただろう、俺も田中さんが半身麻痺になった時に、何んて声を掛けていいのか分からなかったから」と、ほほえんだ。


「それより頼みがあるのだけど。左手足が動かなくなって、再出血率も上がる』って医者から言われているから、今度出血をしてもしも命に関わるようなことがあったらと思って、翼に手紙を書きたいのだけど。周参見に行った時に水中ポストからみんなでハガキを出しただろう、俺にもしもの事があって、翼が苦しんで立ち直れない様だったら水中ポストから手紙を出して貰えないか。出来れば自分で立ち直って欲しいから、出すか出さないかは城の判断に任せるから。出来れば出してほしくないけど」


「大役だな」と、息を飲み「わかった。でも、あそこからはハガキしか出せないから封書で手紙を出せるように作ってもらうよ。少し日にちがかかると思うけど構わないか)」


「うん。今は左手が完全に動かせなくなったけど右手がまだ動くから、それにもともと筆不精で字も汚いし、その間に練習を兼ねて文章を作っておくよ」


「分かった」



 城が帰り、看護師が来たので「ノートを買って来て」と頼み、買って来てもらったノートに手紙の練習を書き始めた。


 

 翼へ


 先に死んでしまいごめん。


  僕の事は早く忘れて、新たな人生を見つけて幸せになってください。


と書いてペンを止め、そのページを破いた。



 1週間が過ぎた頃に「車椅子を使って病院内を1人で動いても良い」と言われ、


 1人で屋上に向かった。



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