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愛した君への最初で最後の手紙  作者: 幸(ゆき)
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翼の思い

 沖縄に行く前の週の定休日の夜に、翼から電話があって、

「悲しくて辛い事があって、会いたい。会って話を聞いて欲しい」と言われ、


 戸惑いながら、

「家に来る。何か作るから一緒に食事をしようか」と、言った。


「うん、あまり食欲がないから少ししか食べられないかも、知れないけど」


「分かった。簡単な物を作って待ってるから、残してもいいよ」と、話し電話を切って、酒の当てになるような簡単な物を作って待っていると、チャイムが鳴った。

 

 ドアを開けるといつもの明るい翼ではなく、頬に涙の跡があった。


 部屋に入り、テーブル席に着いた。


 うつむいている翼に、


「ビールかワインでも飲む、ワインは赤しかないけど」

 

 小さく頷きながら「ワインがいい」と、か細い声で返答があって、

 ワインを開けてグラスについで口につけた。


「どうしたの」と、優しく聞くと、


「入院している小さな女の子の病状が悪化していて、主治医の先生が、


『このままだと助からない、手術をするしかない。

 かなり難しい手術で、成功する確率はほとんどないですが』と、両親に説明をしていたのだけど、


『何も治療をしないで死ぬのを待つより、少しでも治る可能性があるのだったら、それにかけて見たい』とご両親が言って、

手術をしたのだけど、亡くなった。


 凄く可愛くて元気で明るい、優しい女の子で、

 小児外科の中でも、変顔をしたり、冗談を言ってみんなを笑わして、自分も苦しいのに、みんなを元気づける様に、いつも優しい言葉をかけていた。


『どうして翼ねえちゃんは、看護師さんになったの』と、笑顔で聞かれた事があって、


『好きな男の子が病気で苦しんでいるのを見て、病気や怪我で苦しんでいる人の、少しでも役に立ちたいと思って看護師になったの』


『じゃ、私も看護師になる。ここに入院している子たちの役に立ちたいと思うから。

 翼ねえちゃんみたいな優しい看護師になる』て、言って、


 病室に入ると、いつも笑顔で、

『大人になったら私も翼ねえちゃんみたいな看護師になるんだ」だと言ってくれて、

 凄く仲良しの女の子だっけど、亡くなった。

 

 亡くなった時の両親を見ていても辛くて、病気やケガで人が死ぬのを見るのは嫌だ」と、涙を流した。

 

 その言葉に、亡くなった父や母、半身不随になった田中さん、亡くなった田中さんの彼女の事を思い出して、溢れ出そうになる涙を堪えながら、何も言わず後ろから強く抱きしめた。

 

 

 翌朝の朝食の時に、「翼は凄く優しいね。昨日の話を聞いて、看護師として一生懸命に病気やケガをしている人の為に尽くしていると、感じられたよ。

 きっと患者さん達や親御さん達も、翼の優しさや思いを感じていると思うよ」と話すと、


「そうかな」と、少し明るい表情になって、

「これからも頑張る」と、真剣な眼差しで言った。










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