信じたくない出来事
田中さんの店は決まり、仕事を辞める事も決まった。
定休日の前日に彼女と、
「明日、店を見に行く」と言って、笑いながら元気に帰って行った。
休みが終わっていつもの様に店に行くと、厨房の大きなテーブルで料理長と店長が座り、不穏な雰囲気を出しながら話をしていた。
「おはようございます」
いつもの様に挨拶をすると、料理長が振り向き、
『田中がバイクで事故を起こして大けがをして、後ろに乗っていた彼女は亡くなった』と、聞いた」
「え」
「田中は脊髄を損傷していて、手術をしてから集中治療室に入っているらしい」
その話を聞いて泣きそうになりながら
「田中さんの命は大丈夫なのですか。いつ退院出来るのですか」と、聞いた。
「命は助かったと聞いているが、
『脊髄損傷のせいで、半身麻痺になって歩けなくなるかも知れない』と、お母さんが言っていた」
「え、本当ですか、冗談でしょう。
田中さんがすると言っていた店はどうなるのですか。田中さんは大丈夫なのですか。」
「今は分からない。
田中のお母さんからの電話を待つしかない。
俺も心配で、松も心配なのは分かるけど、今は連絡を待つしかない。
今日は大きな予約が入っているから病院には行けないし、行っても、
『病院に来てもらっても、集中治療室に入っているから面会出来ない』と、田中のお母さんが言っていていたから、
心配なのは分かるけど、今日は仕事に集中しろ。
心配なのは分かるけど、今はどうしようもないから」
「分かりました」
大きな予約が入っていたのでいつもより遅くに仕事が終わり、
会えないだろうと思いながらも、気持ちが抑えきれなくて、病院に向かった。




