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愛した君への最初で最後の手紙  作者: 幸(ゆき)
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修行の中での楽しさ

卒業式が終わって正社員になり、

仕事終わりは10時までだが本格的に修行が始まり仕事を覚えた。

 

修行は厳しく


「学校は金を払って行く所だから休もうが遅刻しようが構わないし、多少友達や先生に迷惑をかけても構わないだろうが、

 ここではお客様からお金を頂いて美味しい料理を提供して、給料を貰っているのだからいい加減な仕事をしたり、生活をしたらいけないからな」と、厳しく言われ、時には辛く感じる時もあった。


 田中さんが18歳になるまでは同じ時間に仕事が終わっていたので

 

 よくタコ焼き屋と、メニューの少ない老夫婦が経営をしていた小さな店に行って、

仕事の愚痴を話したり、将来の夢を語ったりした。


  たこ焼き屋は4人掛けのテーブルが1つと、2人掛けのテーブルが2つあるだけの小さな店で、持ち帰りがメインの店だった。

 

 そこに行くと2人でたこ焼きを25個と焼きそばの大盛りを頼んで食べた。

 


 もう1件の店ではスタミナ焼きと言う、キャベツや玉ねぎなどの野菜と肉を甘辛いたれで炒めて、熱々の小さな鉄板に乗せて小出しで出してくれる調理と、白飯を食べた。

 

 豚肉と牛肉とがあって、豚肉が700円で牛肉が800円だったが、

、田中さんが「ここのスタミナ焼きは値段ではなく、豚の方が油が乗っていて味もうまい」と言って、

 いつも2人で豚のスタミナ焼きと白飯を頼んだ。

 

             ・・・・・・・・・・


 7年が過ぎた頃に田中さんが、いつもと違う様子で

「話があるから飯に行こう」と、言ってきて、


「行きますか? 今日はどっちにします」と、いつもの感じで話すと、


 真面目な顔をして、

「今日は大事な話があるから焼肉に行こうぜ」と言われ、


「懐かしいですね。行きましょう」と言って、懐かしの焼き肉屋に行った。

 

 店に入社して、始めて田中さんに連れてきてもらった時と同じ席に座った。

 

 中年の男性定員が注文に来ると、田中さんは特上を名の付く肉を注文しながら、


「昔は食えなかったけど、今日はふんぱつするからな」と、ほほ笑んだ。


 「始めて連れて来て貰った時に食った豚ロースの味が忘れられないから、豚ロースも」と言うと、

 

 声を出して笑いながら「追加で豚ロース」と、注文した。


「やっと500万円たまったから店を出す。実は前から店を捜していて見つかった。

 足りない金は借りようと思って、国金で金を借りる書類も書いたから、今度の休みに出しに行こうと思ってる。

 店舗を紹介してくれた不動産屋の人がいろいろと詳しくて、教えてもらいながらやっているから、たぶん大丈夫だと思う」


「凄いですね。ぜんぜん知らなかったです。話をしてくれなかったから」


「悪い、悪い。

 融資が決まったら、来月末に仕事を辞めると料理長に話をしようと思っているけど、まずは松に話さないとと思ってな」


「え、本当ですか」


 ため息を付いた後、色々な思いがこみ上げ涙を堪えながら、

 

「仕事を始めたばかりの頃は、不器用で本当に何も出来ずに失敗ばかりしていたのを見て、休憩時間を無くしてまで仕事を教えてくれたのは、田中さんだけでした」


「そんな事もあったな。

 でも、それは松が出勤時間より早く来てタイムカードを打たずに仕事を覚えようとしたり、

 休憩中なのに、休憩を取らずに仕事を覚えるために頑張っていたからな」と、

 優しく微笑みながら言ってくれた。


「田中さんがいなくなると寂しくなるけど、夢だった店を出す事が出来るのだから、凄く嬉しく思うし、良かったです」


「そうだな、ありがとう。

俺の次は松の番だからな、頑張れよ」


料理が運ばれてきて、網に肉を載せ、焼けた豚ロースを食べて生ビールを頼んだ。


 凄く旨いと感じて、


「こんな旨いビールは初めてですよ。最高のビールですね」


「そうか」と言って、ビールを飲んで頷きながら笑っていた。



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