番外編! 『魔力極振りの迷宮探索』 没伏線そのいち!
「ねぇ、たろー」
「どうしたぜっちゃん」
「暇だから何か話して」
「ほう、俺が話しても良いのか」
「いいから早く」
「それでは『魔力極振りの迷宮探索』没シーン! ぱちぱちぱち!」
「今日、たろーテンション高い」
「ばれた?」
実は処女作ということもあり、結構な愛着と、そして途中で一気に飛ばしてしまったことに深い後悔の念が募っている作者。
「それで、何か回収していない伏線とかあったの?」
「山ほど」
「それはなんとも......」
「例えばさ、彼女。えーと、水瓶座、アクエリアスの少女。この子が、体育祭の治癒していた子で、主人公が双子座って気づいて「えっ」っていって、それでその少女が同じ学校に行って、後輩ポジで攻めていってもらうつもりだったんだよぉ! 適当に勇者君ぐれさせてその章のボスにしようかと」
「えっ」
「えっ?」
全能神から意外な反応が返ってきた。何か意外なことでもあっただろうか?
「後輩なんで出さなかったの! 後輩は至高!」
「え、そこまで?」
ぜっちゃんがここまで押してるとはつゆにも思わなかった。そこまで後輩が好きなら、どこかの作品で......いや、やめておこう。ここで無理やり突っ込むより、王道ラブコメで書いたほうがよさそうだ。
「というわけで、後輩はもうしばらく辛抱、よさげなところあれば突っ込むけど」
「んあぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
「あ、かわいい」
地団駄を踏む全能神というのは、なんとも珍しいものを見た。めっちゃ可愛い。
「後輩、まだ?」
ぜっちゃんが上目づかいでうわわわわわめづかいいぃぃぃいで見つめてきた。
正直心が揺れまくりだ。今からでも適当に設定変えてこようか。朽ちる世界の麗華を後輩に......だめだな。残念ながら、また今度の機会に。
「実力が付いたら、万全の態勢で王道学園ラブコメするから」
「ほんと?」
「ほんと」
「なら三つぐらい不定期増やせ、実力つけろ、全能神の命令」
「なんと殺生な、今ですら就寝時刻が四時なのに!」
「寝なくても、大丈夫」
ぜっちゃんが肩に手をぽんぽんとしてきて......ひっ!
「ごめんなさい! 執筆速度が足りないです!」
「だから、書け」
「にゃあああああああ」
頭を抱えたたろーを、全能神は悪を成敗したかのような顔で見る。いつの間にか腕を組んで上から目線だ。
短編で許してくれないだろうか......ダメだろうな、継続的にバカみたいな量をかけってことだろうから。にしても......
ロリっ子が好きなたろーと、後輩が好きなぜっちゃん。はたして、二人の共存の道はあるのだろうか。
「ねぇロリっ子後輩は?」
「うーん、性格による?」
「やっぱり?」
―――――共存の道は遠そうだ。