動き出した者たち
「これを逃す手はない......」
群衆王は思考する。
「更なるイケメン!」
死霊王は求める。
「変わらん、守り続ける」
要塞王は気を引き締めなおす。
「ぱーっと稼ぐぞ!」
賭博王は掛け金を用意する。
「不利だから引いとくか」
迷いの森の主は見守る。
「ばーっと攻めるか!」
触手王は指示を出した。
そして王と呼ばれる彼らに、王と呼ばれないにしても名を取り上げられるほど力を蓄えている人たちの多くの参戦表明に合わせ、微量な戦力を上げた。
微量な戦力が強敵に突っ込む必要もないため、小さな村などを狙うよう動く生存しているダンジョンマスター。
しかし王は隔絶した力を持っていた。
それで攻め切るだけの、兵力を。
だからこそ、ほとんどは目標をそこに定めた。
「「「王都へ」」」
群衆王、賭博王、触手王は、主戦力を王国の中心、王都へと向けた。
あわよくば、創造王の手助けも借りられる。そう踏んだ彼らの軍は移動を開始した。
一方、攻め込む意思を表した死霊王は。
「村人にもイケメンがいるかも」
全てを狩りつくす気だった。
もう止まらない、止められない。
動き出した魔物。備えるヒト種。
「総員、明日に備えろ!」
王都に伝令が走る。彼らは王都に向かう魔物を確認し、その時に備える。
戦闘開始は――――明日の昼十二時。
「さて、総力戦だ」
寝転びながら、その男はつぶやいた。




