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終わりの始まり

「なぁ、ぜっちゃん」


「どうしたの、たろー」


 いつものやり取りもどこか久しく感じる。まぁ実際久しいやり取りなんだろうけど、いまいち実感がわかない。


「もうすぐ、決めないか」


 その言葉だけで伝わったのか、あるいは心を読んだのか。少女は少し悩む素振りを見せた後、回答する。


「......分かった、罰ゲーム、たろー負けたら裸でグラウンド逆立ち一周」


「何その古典的な罰ゲーム......ぜっちゃん負けたら、俺の言うこと一個聞いてもらう」


「ん、わかった」


 いつかしたようなしてなさそうな約束をしてみる。

 ちなみに俺の願いは決まってるけど、それは言わない。面白くないから。


「それじゃ、始めよっか」


「あぁ」


 二人の仕事が始まった。




 この日、誰もが自身を守ることに注力していた中、あるイベントが開催された。

 このダンジョンマスターという制度が始まって以来、初めてのことで、そしてその内容は頭がおかしい、と八割のダンジョンマスターに言われた。


 ・ヒト種討伐イベント!


 ヒト討伐時のポイント1.5倍! どしどし倒そう!



「これ、どうしてこんなことするの? 私たちだけで王国をつぶせばいいじゃない」


「ま、これで全世界のダンジョンが活発化して、王国の敵が弱く成ればいいなって」


 強くなった時はまぁ、その時だ。


「そう。私の予知に支障はないから。先に私が行く」


「あいわかった、行ってこーい」


 俺は端末を操作する彼女を横に見ながら、侵略隊の編成を始めるのだった。



 そして世界は動き出した。

 魔物が少なくなった、と世界は騒ぎ、彼らは武力を蓄えていく。

 王都でその時を待つ者、魔物が少なくなった迷宮に潜る者。迷宮の少ない他国に逃げる者。それぞれが行動を起こしていた。


 そして、彼女もまた――――


「動き出した。銀髪だ」


 俺の見ているモニターには、あの日スパイを提案してきた彼女の姿が。

 身に白銀の軽装を纏い、レイピアを腰に構えた彼女は、どうやら現地人に紛れて王都で指揮を取っているようだ。もう何が原因かもわからない。聞いたような聞いていないような、そんなおぼろげな過去を思い出そうとするも、大抵思い出せない、と切り捨てた。


「それでたろー、どうするの? 数こそ少ないけど、警戒されてるとそれだけ物資も豊富に蓄えられてる」


「まぁ、策なんて講じる必要もない、物量作戦だ」


「やっぱり、二人ともそうするしかなさそう。少し前に強いやつ、死んじゃったみたいだし」


「それは朗報。まぁ、生きていても作戦に変化はないけど」


「それもそう」


 二人はまた端末を操作し始める。

 もう二人に言葉は必要ない。あとは戦力のぶつかり合いを眺めるだけだ。

 このダンジョンマスター、という新たな人員を投入した作戦は、最終局面を迎えようとしていた。

 しかし最終局面を迎えるのは、二人の勝負であるこの王都襲撃作戦だけではなかった。

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