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下準備と投下したけど案外面白そう

 選別作業が終わり次第、その者たちを作り出した待機所に召集する。

 そして仮初の体を作り出して、演説を始めた。 


「ふぉっふぉっふぉっ、よく来てくれたの。ここは神の世界、とでも言うべき場所じゃ。おぬしたちにはこれから異世界へと行ってもらって、あることをしてもらう」


「な、なんだってー!!!」


 おっし、いい反応がもらえた。きっとそう言ってもらえると思って、あいつ呼んだんだよな......


「ここにいる百人には、ダンジョンを作ってもらう。ルールはまぁ......いろいろあるから、ナビゲートつけとくので、そちらにきくよーに。なお、異論反論はうけつけないので、頼んだぞ」


 最後に「ふぉっふぉっふぉっふぉ」と笑うと、百人いた男女を強制的に送り出した。





「これでよし」


「たろー、よくあんなおじさんみたいなことできるね」


「まぁ、体が違うから。何もはずかしがることはぁない!」


 そう大声を出し笑う。彼は分身体を作り、いかにも神っぽい見た目をさせて、説明をした。そしてそれっぽいことを言って、送り出してやった。というわけだ。


「それでたろー、ナビゲートはいつ作るの?」


「......あ」


「......やっぱり?」


 一度世界の時を止め、全能神と一緒にシステムとナビゲートを構成するのだった。








「できた......! ようやく!」


 あれから彼らは寝ずに調整を繰り返し、結局さっさと新しい生物を作ってしまえという思考になった二人は、その調整したデータを丸ごとコピーした妖精を創り出した。


「私が、ダンジョンマスター支援用ピクシー第一号です」


「「よっしゃあああああ!」」


「あとはこれをコピペして!」


「これをタグ=ダンジョンマスターで転送!」


「ちゃんとずらしたか? 前ミスってめり込んで死んでたじゃねぇか」


「ちゃんとずらした。抱き着くぐらいの距離だけ」


「うっわ、男殺し」


 と、二人で軽い会話をしているうちに、気付いたものは気づいたようだ。


「一緒に心臓変わりとなるダンジョンコア持たせといた」


「でかしたぜっちゃん!」


「ぜっちゃんってなに」


 とりあえず、送られた百人を観察してみる。

 少し時間を加速させ、朝動き出したところを見てみる。


 こう見ていると、昔見たアリの観察キットみたいなの思い出すなぁ......

 たろーが馬鹿なことを考えているのを読んだ全能神は、「これもアリが生活してるの見てるようなもの」と、人間をさして言った:


「ちょっとこええよ......って、結構ポイント使ってるみたいだな」


「そうだね、ちょうどよさそう」



「お、こいつ、女騎士くっころしたいのか知らないが、ゴブリンばっかり集めてるぞ!」


「女騎士くっころはオーク。こいつはわかってない」


「そうはいってもなー、オーク高く設定したしなー」


「......あの性能と能力、そして繁殖機能を考えればあれでも安くした」


「そうかそうか」


 彼らはDPというポイントを各自で得ることができて、そのポイントを消費することで、ダンジョンを拡張したり、魔物を配置したり、武器を揃えたり、食料を買ったり......ということができる。


「にしても、最高額商品が『好きな世界への移動券』って、これ良かったの?」


「そのほうが楽しいだろ、だってさ、未練たらたらのやつは、元居た世界に戻ろうとするわけじゃん? 未練ないやつは、新たな関係目指して進むわけじゃん? どちらにせよ、DPを稼ごうとするわけ。そしてそのDP獲得手段が―――」


「―――ヒト種の一定時間滞在、もしくは負の感情、そして死亡。これがメインになるってこと」


「そっか、なんか楽しそう、私たちも作ってあそぼ?」


「お、いいなそれ! でもダンジョンコアで死んだら元も子もねぇから、ちゃんと操作用の分身体用意しないと」


「もちろん。あのコアは私たちを殺せないようにはしてるけど、念のため」


 そう言ったとたん、二人分のゲーム機と人が出てきた。


「二人でやったほうが楽しそう」


「それ、いいな」


 二人はそのタブレット端末状のゲーム機を手に取る。

 スタート地点の選択からのようだ。


「私はここ」


 そう言って建てたのは月。


「おいおい、それじゃあどこぞの嫉妬の大迷宮みたいじゃねぇか?」


「あれ見て楽しそうだと前々から思ってた、それにあれ、結構中途半端。私が仕上げてあげる」


「中途半端とは貴様ぁ......でも言い返せねぇ。まぁ、ぜっちゃんが納得してるなら僥倖僥倖。それじゃ、俺はっと。」


 そう言って建てたのは―――――王国の中心、王都セントリヒエ。


「それ、すぐ負けない?」


「こっちのほうが楽だろ、人間いて、すぐ処理できるし」


 それに、と言いかけたが、もう言う必要はなさそうだ。


「それじゃ、競争。私が宇宙侵略するのが早いか」


「俺が王都の地下を巣くって絶滅させるのが早いか」


「「勝負!」」


 そう言って、二人は操作を始めた。



 数時間後。


「うへー、ポイント使い切ったー」


「たろーはため込むということを知らないの?それだからプロットも」


「こっちはお前と違ってバカスカ手に入るんだよ! それに今プロット関係ねぇだろごらぁ! あ、ほら見てみろ! 王都の一部が俺のダンジョンの中だぞ! 上に暮らす奴ら、俺の迷宮内だぞ!」


「ほんとだ......まさか、それを狙って」


 どうやら言う必要があったらしいが、あえて敵を支援する必要もない。ざまぁみやがれ。


「もちろん! これがダンマステンプレなんだよなー! とはいっても、教会とかが出張ってきそうだな―、勇者三名お抱えだし、聖女も誕生してるからなー」


「たろーが無駄なスキルとかつけるからこんなことする羽目に」


「あれないと異世界っぽくないじゃん! って言っても今回ばかりは裏目ったかー」


「なんで?」


 おそらく今回だけ、というところに引っ掛かったんだろう。


「『勇者』っていうスキルとジョブが一定数出てくるように設定したんだけどさ、そのスキルって、実ははいろんな機能備えてるのよ。ついでに追加しておいた機能が見事に裏目った」


「例えば?」


「迷宮探知とか? あと有名なのは一日一回蘇るとか?」


 魔王を討伐しても、一日一回までなら蘇る勇者は監禁されて殺されるとか、復活するときに生命活動を維持できない、深海の底とかに放置するとか......まぁ、寿命を迎えられないかわいそうな末路の人たちがたくさんいるんだが、それはまた別のお話。


「そのせいで私たちがこんなことする羽目になってるんじゃないの?」

 

 はぁ、と大きくため息が出た。

 蘇っているから世界に誕生したモンスターもことごとくやられているというのは事実だから否定できない。


「全く持ってその通りです 反省はしている、後悔はしていない」


「全く......でも、一緒に遊べて楽しい」


 どうやら怒りよりも楽しさのほうが勝ったらしく、そこまで怒ってはいなかった。


「それは良かった」


「ちなみに彼らが持ってるのって、実はスキルプレートで、ステータスプレートはジョブとスキル、能力を数値化したステータス全部見れるんだぞ、どうだ! すごいだろう!」


「なんでそんなにその作業に熱意もてたの、その作業をもっとプロットに還元したら?」


「今プロット関係ねぇだろぉ!」


 実はこれが悪く言えば人間を間引く作業だなんて思っていない二人は、任せた百人を忘れて盛大に暴走していくのだった。

 そう、間引くではなく、もはや二人の中では遊び道具。当初は二人の中では三割程度削る予定だったが、もう今は七割削っても良いと思っている節まである。


「うっわ、もう見つかった!まだ発生から一日たってねぇぞ! さっすが勇者! 俺の作っただけある!」


「こっちは見つからないけどケチりすぎてたろーのあれみたいに微妙になった、っていうか自分で自分の首を絞める感覚はいかがですかたろーさん」


「あれっていうな! 嫉妬の大迷宮だろ! 感覚? 最悪だよコンチキショウ! しかも扱い雑いけど嫉妬の大迷宮とか結構設定頑張ってたんだからな!」


「ほう、聞こうじゃないかたろーくん」


「うっ......地球に六本あって、月に一本ある大迷宮。それぞれに大罪の名をつけて、それっぽい試練を考えてたんだよ。強欲は、装備多かったらそれだけ性能落ちる、とか、嫉妬は装備一つスキル一つだけ、とか! あと配置にもこだわってて......」


「意外と考えてて草」


「おい全能神! 草とか的確に俺の心をえぐるなぁ! それにもっと言えばなぁ!」


「あ、もういい」


「な.......ガクッ」





 未練たらたらなたろーだった。







「ねぇ、月の魔力送るから、死体ちょうだい」


「月の魔力? なんかあったっけか?」


「私が効果付けたけどほとんど誰も使わないから結構余ってる、月の石とかもう半分魔石みたいなもの」


「そうか、なら送ってくれ、死体は......いまは三つだな、スラムの子供が誤って穴に落ちた。 あ、あとそのデータ送れ、今度使うから」


 案外あっさりと死亡報告が飛ぶ。

 悪いのはダンジョンじゃなくてスラムができるような王国だからな、と言い訳をしようと思ったが、よくよく考えるとそんな言い訳する相手いなかった。


「どんな構造してるのそれ、データは送っておくけども、不思議構造気になる」


「いや、まだそこまで大きくなってはないんだよ、地上とどこかつなげないといけないから、ゴミ箱をつなげて、雑食性で体積増えたら分裂するスライムをゴミ使って増やしてたら、落ちてきた子供がそのままごみ処理機構で異物判定されて矢で。」


「ちょうどいい、その死体ほしい」


「わーった、それならトレード機能、作るぞ、ってかこいつら意外と豪華な装備してるなぁ、なんでゴミ箱だ?」


「どうでもいい、トレード、急ぐ」


 もう二人の暴走を止める者はいなかった。

 まだよかったことといえば、片方は月という遥か遠方に作ったこと。そしてもう片方はビビりのためゲームオーバーを極度に嫌っていることだった。


 そのため、双方自陣の防御力を上げることに必死で、途中から侵略することを忘れトラップ天国やモンスターハウスを作って楽しんでいた。


 そのため中に入って死ぬ人こそ増えたものの、触らぬ神に祟りなし、誰も迷宮に立ち入らなくなった。


「まずいな、迷宮さっきまでいたのに、少しずつ離れてる。勇者来るかこれ?」


「たろー死んだら私の勝ち」


「その通りだが今言うかそれ!? ってああもう! そんな奴にはこうだ!」


「たろーなにした?」


「ん? 女勇者にスライム触手ゲフンゲフン」


「kwsk」


「ぜっちゃんこういう時だけぐいぐいくるよね!? 見た目通りの年齢してないよね!?」


「もちろん」


「やったね合法だ! じゃないわ! しっかり喜んじまったじゃねぇか!」


「合法って言われるとなんか嫌だ、永遠の十歳」


「合法サイコー!」


「だから合法っていうな」


 二人でゲーム機を操作しまくる。とはいえいわゆる放置ゲー、ぜっちゃんはすぐに世界監視に戻った。そしてたろーは勇者の進行をずっと小手先でいなし続けていた。


「よっし、落とし穴!」


「なんでそんなドンピシャ」


「勘!」


「かわいそう......」


「そして鎧を溶かすスライムの泉にドーン!」


「何それkwsk」


「だからなんでこういうときだけこっちくるの早いんだよ!」


 この時は二人は知らなかった。

 これだけ大量のリソースを渡しておいて、獲得手段そっちのけで使い切った馬鹿野郎が一定数いることを。


 そして、その中から真っ先に脱落するやつが現れることなど。


「あ、もう脱落しそう」


「おう、これは何がどうなってこうなったんだ......」


「バグかもしれない、一応確認しよ」


「それは一大事。すぐに行く」


 二人は世界のログを辿り、その男の軌跡を辿る。

12/7 一部変更

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