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Utopia・Online〜開始初日で魔王になるエクストリームプレイ日記〜  作者: オタケ部長
HP1から始まる鉱山都市
53/56

HP1から始まる領主謁見(前)

お待たせしてすみませんでした


[始まりの街 ファース ファース伯爵の館]


 馬車に揺られ、街の中心部にある大きな屋敷に連れてこられたあや。どうやらここが領主であるファース伯爵の館であるらしい。


「!このクッキー美味しいな……どこのだろう」

『緊張感ないな……』

『流石はお嬢です!』


 館に入ると、使いの騎士はなんらかの手続きを他の騎士と行った後に「伯爵閣下の用意ができるまでお待ちください」と待合室に案内して去っていった。


 今待合室に居るのはあやと、クッキーと紅茶をあやに振る舞ってくれたメイドさんである。


「お気に召しましたか?」

「もちろん!紅茶も美味しいし、クッキーもサクサクで美味しいです!」

「ありがとうございます。そちら当屋敷の料理長が作った物でして、後でお伝えしておきますね」

「ありがとうございます!」


 そうしてあやが舌鼓を打っていると、待合室のドアがノックされ、案内人の騎士が入ってきた。


「失礼します、あやピコ殿。伯爵閣下の用意が終わりましたのでこれから謁見と行きたいのですが、よろしいでしょうか」

「あ、はい。紅茶とか残しちゃってすいません」

「いえいえ、お気になさらずに」


 あとでクッキーお持ち帰りできるか聞こう、と思いながら騎士の男に連れられ、別の部屋に案内された。


「お連れしました」

『入ってくれ』

「はっ!さああやピコ殿、こちらに」


 部屋の中から返事が聞こえると、騎士の男がドアを開けて部屋に入るように促す。


 部屋に入ると、その部屋は応接室になっているようで向かい合うように二つのソファが置かれ、真ん中には机がある。


 そして部屋の奥の方のソファには既に先客がおり、身なりの良い中年の男性が座っていた。


 話の流れから察するに、この男がファース伯爵なのだろう。


「異界人のあやピコ殿であるな。座ってくれ」

「わ、わかりました」

「それでは自分はこれで。失礼します」

「ご苦労」


 案内してくれた騎士の男が部屋を出ていくと、あやは促されるままにソファに座り、ファース伯爵の目の前に座る。


「さて、お気づきかもしれないが私がファース領主ヤァーボ・ドン・ファース伯爵である。ファース伯爵と呼んでくれ、あやピコ殿」

「ご、ご丁寧にどうも。私はプレ、じゃない。異界人のあやピコです。こちらもあやと呼んでいただければ」


 ファース伯爵の迫力に気圧されるあや。よく考えたら理由もわからないのに偉い人に呼び出されるなんてめちゃくちゃ怖い。


「緊張するな……というのは無理かも知れないが、楽にしてくれ。まずは要件を告げずに急に呼び出して申し訳ない」

「いえそれはお気になさらず……本当になんで呼び出されたんでしょうか?」

「それについては……」

「私からお伝えしましょう」

「うわぁ!?」


 いつのまにかファース伯爵の背後に執事服を着た老人が立っていた。


 あやの感知系のスキルには何の反応もなく、そのことが余計に驚かせる。


「フォッフォッフォ。失礼しました。(わたくし)、ファース伯爵にお仕えする家令のエリック・エノックスと申します」

「すまんなあや殿。うちのエリックは昔冒険者をやっていた影響で気配を隠す癖がついてしまっていてな……治すように言ってるんだが全く治らん。それ以外は優秀なのだがな」

「はあ……エリックさ……ん?」


 どこかで聞き覚えがある名前だ。割とつい最近のような気がする。


『確かスコシ(だけ)の依頼の依頼者だな』

「あ、スコシ(だけ)の依頼の人?」

「はいそうです。アンナから連絡を受けまして、あや様に報酬をお渡しするべく、お呼びたてさせていただきました」

「後日渡すって言われたやつか!」

「そうですな。まさか達成する者が現れるとは思わず、伯爵閣下も私も大慌てでして、ろくに内容も告げずに使いを出しました。不安な気持ちにさせたことは申し訳ありません」

「あー……滅多に見つかることはないんでしたっけ?」

「私も現役時代マーサ達と分け合ったの以来ですな。ちなみに同じパーティーでした」

「えっ、その話気になります」

「それはまた別の機会に。とりあえずこちら報酬ですな。お確かめください」


 そう言って差し出して来たのはゲーム内通貨であるユートがぎっしりと詰まった袋。アイテム名も【金袋(50万ユート)】となっているので、報酬は余すことなく入っている。


「確かに受け取りました、ありがとうございます。それにしても茸一つに50万は高すぎじゃないですかね……貰っといてあれですけど」

「相場は20万から30万と言われてますが、確実に手に入れようと思えばそのくらいしますな。なぁに仕事だらけの日々、溜め込む一方であった金で少し贅沢しただけです。お気になさらず」

「仕事ばかり与える主人で済まんな……!」

「……ん?エリックさんが食べるんですか?」

「はい、現役時代に食べたこのスコシ(だけ)をもう一度食べたいと思い、ダメ元で依頼しました。私個人の依頼ですな」

「じゃあなんで伯爵の館に呼ばれたんですか!?」


 てっきり伯爵の代理で依頼を出したかと思いきや、プラアベートの依頼だと言う。なぜここで伯爵が出てきたのか分からない。


「そうだな。今までがエリック個人の話。そしてここからが私の話。まぁ、今日呼び出した本題だな」

「本題……」


 思わず唾を飲み込んでファース伯爵と向かい合うあや。


「ギルド職員のマーサから、君が複数のスコシ(だけ)を持ち込んだという話を聞いた」





 

長くなりそうなので一回切ります。

切りどころミスってないかなー大丈夫かなー

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