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Utopia・Online〜開始初日で魔王になるエクストリームプレイ日記〜  作者: オタケ部長
HP1から始まる鉱山都市
51/56

HP1から始まるファース観光②

私は何度私を裏切れば気が済むんだ……


 『ドルタ工房』から歩いて15分。


「着きました!ここです!」

「ここがメッチャーさんとやらのお店……」


 あやがやってきたのは3階建ての大きな建物。ギルドやドルタ工房より大きく、人の出入りが多い。


 その入り口の上には『カッテチョーヨ商会』という看板が打ち付けられていた。


「カッテチョーヨ商会……」

「はい。いろんな街に支店を持つ『カッテチョーヨ商会』。メッチャーさんはここで支店を任されている、商会長の親戚さんなんですよ」

「メッチャー・カッテチョーヨ……滅茶買ってちょーよ…」


 ここでエバーが反応した。


『カッテチョーヨだと?なるほど、どおりで……』

(知り合い?)

『私がまだ魔王だった頃からそこそこ名が知れていた男の姓だ。よく勇者にポーションを売っていたのを覚えている。おそらくアイツの子孫だろ』

『商魂逞しいのは遺伝ってことですか……』


 どうやらなかなか面白そうなお店のようだ。


「人がいっぱいいるね」

「ですです。品揃えは街一番ですから!よくお母さんとお買い物に来ました」

「……でも、日用雑貨が主力になっているからか、冒険者はあまり来ない」

「今欲しいのは日用雑貨だから大歓迎だね。楽しみ〜」


 そう言ってあや達が店の中に入ると、


「「「いらっしゃいませ〜」」」


 と制服を着た商会の店員達があや達のことを歓迎した。


 さらに目に映るのは商品がギッシリと詰まった棚がズラリと並んでいる店内。隙間なく商品が埋められている様は壮観さを感じさせる。


「おー……デパートみたい」

「でぱーと?」

「いやこっちの話。それにしてもなんでもありそうだねー」

「……確かにここみたいな田舎町には珍しいかもな。貿易都市や王都だとこのレベルの商店はたくさんあるらしいが」

「いらっしゃいませ〜。何かお探しでしょうか?」


 あやが店内をキョロキョロと見回していると、女性の店員が話しかけてきた。


「あ、はい。調理器具を見ようかなーと思ったんですけど、初めて来るからどこにあるかわからなくて……」

「それでしたら店内に入って右手側にございます。初めてのご来店ということなので簡単にご説明させていただきますと、1階右手側に調理器具や食器などの生活雑貨、左手側に調味料を含む食料品がございます。2階には家具や衣服も扱ってございますので、もしよろしければそちらもご覧ください」

「分かりました。丁寧にありがとうございます」

「いえいえ、また何かありましたら遠慮なくお申し付けください。それでは」


 初めての客に手厚い説明をしてくれた後、女性店員は別の売り場へと去っていった。


 あや達も店員が教えてくれた調理器具売り場に向かう。


「丁寧な接客だな……感動した」

「調理器具はあっちですね。私もちゃんと見たことないから楽しみです」

「……ここだな」


 そこには棚にズラリと鍋やフライパンをはじめとする調理器具が並べられている。それもあやがよく知る物の他に、星型の鉄板に取っ手が付いたような物や、取り回しが悪そうな剣にしか見えない包丁などもある。


「わー!すごい!鍋欲しかったんだよなー。あ、この【小型コンロ二型】とか持続時間やば〜!うわ、このフライパン取っ手が取れて収納できるんだ!テレビとかでよく見るやつ〜!」

「テンション高いね、あやさん。あ、この【簡易調理キッド】ってやつ、冒険先に使えそう」

「……この包丁、投げナイフとして使えそうだが……冒涜だろうか」


 3人がそれぞれ面白そうな商品を見ている中、ふとエバーが{念話}であやに話しかける。


『あやよ、楽しんでるとこ悪いが、一ついいか?』

(何?あ、この【全自動卵割り器】とか面白そう)

『いるか、それ?ではなくてだな。こんなこと言うのは酷なんだが……』

(え?なになに?)

『色々見てるが、買えるのか?依頼の報酬も受け取ってないし、街に入る時も【従魔証】を買っただろう?』

『あ、あと本日の宿も取らないといけないのでは?』


 ピタリと動きを止めるあや。


 2日目のログインボーナスで【1万ユート袋】を手に入れ、所持金がちょうど10,000ユートになった。

 

 そして街に入る際に通行料諸々で5,500ユート支払い、残りの所持金が4,500ユート。


 手に持っている【全自動卵割り器】と【小型コンロ二型】の値段はそれぞれ100,000ユートと28,000ユート。


「お金ない……調理器具も高い……」

「えっ?あ、そっか。あやさんまだ報酬受け取ってないから……」

「……残りの所持金は?」

「4,500ユート……」

「あー、ギリギリ一晩宿屋で泊まれるくらいですかねー」

「くっ……」


 となると今日の買い物は色々と諦めるしかないようだ。


「ま、まぁまぁ。あやさんはこの世界に来たばかりの異界人ですし、報酬もまだ受け取ってないですから!」

「……今日じゃなくても調理器具は逃げない。【全自動卵割り器】とかは、特に」

「うぅ……」


 年下の子供に励まされ、割と気に入ってる【全自動卵割り器】をディスられた。


 テンションがダダ下がりしたあやはしばらく落ち込んだあと、『カッテチョーヨ商会』を出て宿屋に向かった。



 

今年生まれて初めてコロナにかかりました。

きつかったです。

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