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Utopia・Online〜開始初日で魔王になるエクストリームプレイ日記〜  作者: オタケ部長
HP1から始まる魔王降臨
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HP1から始まる採取ポイント



 

   [ファーストステップ草原]


 あや達が【ファース】を出て10分後。徒歩10分の距離しか離れてないのに、周りの景色は緑溢れる草原となっていた。


「街の時も思ったけど、ほんとゲームの中とは思えないほどリアルだねー。風が気持ちいい」


 ニコニコと機嫌の良さそうなあやとは違い、るーじゅはどこか難しい顔をしている。


「?るー、どうかしたの?」

「ん?あ、いやね。やっぱりマップに結構変更が入ってるなーって。【ファース】のマップ見たときからそうじゃないかと思ってたんだけど……」


 るーじゅが言うには、【ファース】のマップも【ファーストステップ草原】のマップもβテストの物とはだいぶ違うらしい。


「そもそもこの草原だって【ファーストステップ草原】なんて名前じゃないしね」

「へー。もしかしたら【セカンドステップ草原】とかもあるかもねー」

「ハハハ、あり得る」


 そんな雑談をすることしばしば。


   〔チュートリア大森林 南部〕


「……絶対意味はチュートリアルだよね」

「多分ね」


 二人の目の前には見渡す限りの木々。背の高い木が鬱蒼(うっそう)と生い茂る、【大森林】の名に恥じないエリアだ。


「一応、βテストの時も【森林】ってエリアあったよ。その時に出てきたモンスターは『弱いけど多彩』って感じ。スライムや飛行モンスターも居たわね」

「じゃあここで基本的な立ち回りを覚えるんだね。でも私の場合初心者向けのモンスターでも致命傷になっちゃうよ」

「βテストの【森林】では少し奥に行ったところに《セーフティーエリア》があるわ。死んでもそこでリスポーンできるし、まずはそこを目指して登録してから戦闘ね」

「あ、死ぬこと前提か…」

「流石にこればっかりはね……。幸い、このゲームのモンスターは目の前に立つか、攻撃しない限り襲ってこないわ。なるべく静かにすれば大丈夫よ。問題はマップが変わってセーフティーエリアの場所が変わってたら時間がかかることかしら」

「最悪無いかもだね」

「それは無いと思うんだけど……とりあえず行きましょうか」


 るーじゅの先導で【チュートリア大森林】に入っていくあや。上にまっすぐ伸びた木々に遮られ、日の光はあまり入ってこない。


「あ、あや。アレ見える?」

「えっと……あの黄色い円で囲まれてるところ?」


 二人の視線の先には、あやの言う通り黄色い円で囲まれてる場所がある。違いと言えば、周りよりほんの少し雑草が多いくらいである。


「アレね、採取ポイント」

「採取ポイント」

「薬草とか取れるの。一つの採取ポイントにつき5個までで、再使用にゲーム内時間24時間かかるけどね。でも採取ポイントはいろんなところにあるから沢山アイテムゲットできるわ」

「へー薬草って{調合LV1}で加工できるかな?」

「できるよ。私みたいな戦闘専門のプレイヤーだと、ギルドに持ち込んで報酬を得るくらいの使い道しかないけど、薬師みたいな人は自分で加工できるよ。やったことないけど」

「早く取ってみたい!」

「だね!まずはこうして……」


 るーじゅがお手本とばかりに採取ポイントに手を突っ込む。


 『採取中』の文字が現れて、2、3秒すると、るーじゅの手には緑色の薬草が握られていた。


「じゃーん」

「おぉ!」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 【ヒルヒル草】レア度☆☆☆☆☆ 品質 普通

 ピーマン10個を煮詰めたような味がする。加工するとポーション類の材料になる。

 +HP5

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 アイテムの詳細を確認したあやが微妙そうな顔をする。


「ピーマン10個……」

「私も試しに食べたことあるけど、ほんとにそんな味するよ。ポーションも青汁みたいな味だし」

「うぇぇ……」


 あやは無類の甘党だ。普段はコーヒーにシュガースティックを5本、ミルクもたっぷりと入れないと飲めないほどの。


「ま、まぁあやの場合【ポーション】のお世話になることは無いと思うよ。攻撃入った時点で即死だし」

「うん……」


 先程までは楽しそうだった顔が、どんどん悲しそうな顔になる。


「あ、あやもやってみなよ。採取」

「そ、そうだね……。えい!」


 るーじゅと同じように採取ポイントに手を突っ込む。


 しばらくするとあやの手には薬草が握られていた。


「あ、でき……た?」

「どうしたの?」

「いやなんか……名前が【ヒルヒル草?】になってて」

「まさかの未鑑定品!?あや一発目で運良すぎ!」

「み、未鑑定品?」

「その【?】のことだよ。{鑑定}を使うとそのアイテムの真の姿が分かる。やってみなよ。多分この辺のだったらLV1でも大丈夫だと思うよ」

「分かった……よーし、{鑑定}!」


 あやがスキルを発動すると同時にあやの手の【ヒルヒル草?】が一瞬光って、深緑の薬草に変わった。


「えっとなになに……」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 【ヒルヒルし草】レア度★☆☆☆☆品質 良

 おめでとう!ヒルヒル草の仲間の薬草だよ!やっぱりピーマン10個分の苦味がある。

 継続回復(+HP3/S MAX 60)

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ゆっくりとるーじゅの方を振り向くあや。


「……やっぱりピーマンからは逃れられないのかな?」

「……良薬口に苦しだよ、あや」


 るーじゅには、もうそれしか言えなかった。



忘れないように書いとこ


    【あやピコ】LV1

 HP-1

 MP-99


《ステータス》ステータスポイント0

 攻撃力-10(+5)

 防御力-10(+5)

 敏捷値10

 器用さ-10

 精神力-10

 知力-10

 運-10


《スキル》 SP10

{調合LV1}{加工LV1}{裁縫LV1}{鑑定LV1}{魔力操作LV1}{料理LV1}{演奏LV1}{水泳LV1}{釣りLV1}{サバイバルLV1}



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