HP1から始まる人助け
更新遅れてすみません!
一応まだ書き続けるつもりなので高評価よろしくお願いします!
[ファーストステップ草原]
『従魔のレベルが上がりました』
『{採取}スキルがアップしました』
『{解体学}スキルがアップしました』
『ログインしました。ログインボーナスを確認してください』
ゲーム開始4日目、進化した骸骨達を連れて森で料理や調合に使える素材集めをした。ちなみにログインボーナスは【各種ポーション詰め合わせ】だった。
だが結論から言おう。特に語るような出来事はなかった。ただ採取に費やし、骸骨達が戦って1日が過ぎて行った。
丸一日採取し続けた甲斐があり、薬草やハーブ、魔物の素材などが数多く集まった。しかし、森の中で手に入る物では限界がある。
なのでゲーム開始5日目。あやは[始まりの街 ファース]へ戻ってきた。ちなみにログインボーナスはSP20だった。
「香辛料はもう少しほしいし、さすがに森の中に牛や鶏はいないよねー」
『牛巨人や蛇尾鶏ならワンチャンあるかと思ったんだがのー』
『それって初心者エリアにいていいやつじゃないですよね?』
「あと米……はさすがにないかもだからパンとかの炭水化物。魔法植物は勿体無いから使わないようにしよう」
『米かー。東の島国ならともかく、この辺じゃ手に入れられないと思うぞ』
『島国なら釣りができますねお嬢!是非一度は訪れましょう!』
「だね!海の魚釣りたい!」
雑談をしながら進む一行。そんな時だった。
「キャーー!!」
「ん?」
遠くから少女の悲鳴が聞こえた。
声のした方向を向くと、少女と少年の二人組が狼3頭に襲われてる。
一応少年は戦士のようで盾と剣を持っているが、怪我をしているようで肩を押さえている。もう一人の少女は魔法使いのようにローブと杖を身につけているが、放つ魔法は弱々しく、どれも当たっていない。
狼達は一切容赦なく二人組を追い詰めていく。常に退路を断つよう立ち回り、獲物を追い詰めることを楽しんでいる気さえしてくる。
なのであやが介入する。
「ランちゃん!やっちゃって!“不死強化”!」
「カタカタ!」
{影収納}の中にしまっていた骸骨槍士を取り出し、手早く強化を施すと狼に向かって突撃させる。
あやの手持ちの中では最速の骸骨だ。レベルアップし、あやの強化を受けたその速度は二人組の後ろにいた狼の頭を容易く貫いた。
「ギャウン!?」
「カタカタ!」
「ギャン!?」「ギャイン!?」
間髪入れずに{槍術}の武技を放ち残りの2体も仕留める。{追撃}の効果もあってか、スムーズに武技を繰り出せた。
「あ、ああ……」
「くっ……!」
二人組が怯えている。自分達を苦戦させた狼達をあっさり全滅させた骸骨が現れたのだから当然だ。増してやアンデットは基本的に昼間での活動を苦手としているはずなのに、圧倒的な強さを持っている。怯えるのも無理はない。
そこにあやが追いついた。
「大丈夫ですか?えっと……私達通りすがりの者で……敵じゃないですよ?」
見たところあやより年下であるだろう二人組。怯えている年下の子にどう対応すればいいか分からず、少しばかり変な口調になってしまった。
「ア、アンデット……なんでこんなところに……」
「くそっ……」
「ゴフッ」
年下の子供に強く拒絶されたことにショックを受けるあや。
「……そもそもなんでこんなところにアンデットが……」
「ま、街に戻って知らせなきゃ……」
「ま、待って待って!私がアンデットなのはその、成り行きっていうか、プレイヤーだからっていうか……」
「ぷれいやー……異界人のことか?」
そう呟くと二人はどこか納得した雰囲気で、
「異界人なら何があっても不思議じゃないな」
「異界人なら何があっても不思議じゃないね」
とそんなことを言った。
「えっ、なんで?」
「……女神様から『異界人は可能性の塊。何があっても不思議ではないので、明確な犯罪行為等ををしない限り拒絶してはならない』ってお告げがあったからな……」
「ほんとびっくりだね。アンデットになっちゃうなんて」
女神は一体、あや達プレイヤーをなんだと思ってるんだろう。実際あやはアンデットになってしまった訳だが。
「よかったのかな……。あ、私はあやピコって言います。あやでいいよ。それでこっちは……」
『あや、私とさおのことは黙っておけ。説明が面倒だ。ちなみにこの{念話}はあや以外に聞こえないから安心しろ』
『そうですお嬢。お気になさらず』
「あ、おけ……えーと、あっちの骸骨は私の従魔だから気にしないでね」
「ありがとうございます。私はルシア。こっちは幼馴染のアレスです」
「……よろしく」
「よろしくね。それで、アレス君は怪我してるね。よかったらこれ使って」
そう言ってあやが取り出したのは【ポーションⅠ】。あやが作成したものではなく、【見習い盗賊セット】に入っていたものだ。
「そ、そんな悪いですよ!助けていただいたうえに、ポーションまで貰うなんて!」
「いやいや。私アンデットだから使わないし。それにアレス君も辛そうだよ」
「うぐっ……」
戦士の少年―アレスは表情の変化に乏しい少年ではあるが、今も傷を抑えているし、額には汗が滲んでいる。
「無理は良くないよ。はい」
「……ありがとう」
アレスが受け取った【ポーションⅠ】を飲むと、みるみるうちにHPが回復していく。さすがは店売りの品である。
「貴重なポーションをくれてありがとうございます!街に戻ったら代金をお支払いします!」
「えっ、いいよ〜お金なんて」
「そういうわけにはいきません!恩はしっかり返さないと!せめて代金だけでも!」
「え、えぇ〜……どうしたもんだか……」
(いくらゲームのNPCとはいえ、年下の少女にお金を払わせるなんてなんか悪いし……)
そう悩んでるあやに、エバーの{念話}が届く。
『あやよ。代金を支払う代わりに、こやつらに街を案内させるというのはどうだ?あ、口に出さずに心の中で返答していいからな』
(わかった。それで、案内?)
『街のことはその街の住人が良くわかっているだろう?ポーション一個の出費でちょうどいい案内役が手に入るなんて破格ではないか?あやが欲しがってる食材の情報もあるかもしれないしな』
(それ採用!よし!)
「えーと、じゃあファースの街で道案内してくれないかな?私今まで森にいて街にどんなお店があるか知らないんだ。君たちみたいな住人が案内してくれるなら心強いんだけど」
「……ルシア、俺はそれでいいと思う」
「わかった。じゃあそれでお願いします。私達は生まれも育ちもファースなので任せてください!」
「よろしくね」
あやはルシアと握手を交わした。
前期落ちたー!!




