HP1から始まる死霊作成
30連ガチャ爆死した……
なんで手に入らないんだハーデス!
思いか?思いが足らんのか?
その荒んだ心は感想とブクマ登録80件で吹き飛びました……。
『{死霊魔法}スキルを修得しました。新たに呪文“死霊作成Ⅰ”を獲得しました』
『【永夜ノ魂】の{死霊魔法の心得}が{死霊魔法強化}に進化しました』
『あや………』
「やめて、そんな目で見ないで……」
実際のところエバーに目はない。なんとなくジト目してる気がするだけだ。
理由はあやが取り出した骸骨の素材である。
あやは白骨死体散らばる広場の奥に通路を見つけた。どうやらこの先に何かあるらしい。
そこでエバーは、もしかしたら敵(エバーの予想ではゴーレムなど)がいるかもしれないし、【踊ル血肉ニ酔シレヨ】のことも考え、ここでアンデットを作った方がいいと主張し、あやもそれに納得した。
“不死強化”を使いまくり、“死霊作成Ⅰ”を修得。ディストピー・パラベラムの{禁域解放}でワンランク上の“死霊作成II”を使い、骸骨戦士と骸骨魔術師を作る予定だったのだ。
その時に問題になったのが素材。
イベントリからはゴロゴロと骸骨の素材を取り出した。
20体は倒したつもりだ。2桁いってたのは間違いない。
なのに……
『あやが頭ばっか狙うから頭蓋骨がないではないか!』
「うぐっ……」
そう。アンデットを作るのに一番大事な、動く骸骨系の象徴と言ってもいい頭蓋骨がない。見た感じ1個しかない。
理由はあやが“竿叩き”で潰したからだ。
『まったく!素材に注意して戦えんのか!』
「魔法と骨が入り乱れる戦場にそんな余裕あるかい!てか、エバーだって骨の嵐で骸骨魔術師攻撃してたじゃん!頭貫かれてたよ!」
『あれは劣骨竜がやったんだ!私は知らん!骸骨魔術師も脆いのが悪い!!』
自分の配下になんて言いよう。今は無き劣骨竜の悲しげなうめき声が聞こえてくる気がする。
二人がぎゃーぎゃー言い合う中、さおピコは糸と針を器用に使い、骨を並べている。
そして、
『お嬢お嬢。なんとか3体分ありましたよ』
「えっ…!?あぁ!?」
見ると骨の山の横に、骸骨が3体、並べてある。ドラマで白骨死体を調べる時の並べ方だ。
「ありがとう!大変だったでしょ?」
『手とか足である程度纏まってたんでそれほどでは……あっでも骸骨魔術師の頭蓋骨なかったんで【外道召喚術師の頭蓋骨】にしたんですけど、大丈夫ですかね?』
『大丈夫だろう。固有名が骨にすら残る《英雄級》の遺骨ならともかく、その頭蓋骨なら十分骸骨魔術師として使えるだろう。進化に少し影響が出るかもしれないが』
『ならよかったです』
「でも3体で大丈夫かな?」
『むしろ3体くらいでいいのではないか?あや召喚初心者だし、同時に指揮を出せるのは3体が限界だろうよ。無論、いつかは万の兵を率いてもらうがな。クククククク』
「それはどうかなぁ……?」
こうして作る数は3体になった。骸骨戦士2体と、骸骨魔術師1体だ。
骸骨戦士の武器は、一体に剣と盾、もう一体に槍を持たせることにした。全部ボロい。ちなみに骸骨魔術師にはボロ杖だ。
あやはやっとディストピー・パラベラムを構え、{禁域解放}を発動させた。
「さてと……“死霊作成II”」
ディストピー・パラベラムの柄頭に魔法陣が展開され、黒い光が骸骨に吸い込まれる。同時にあやのHPも持っていかれた。
黒い光が完全に骨に吸い込まれると、カタカタと動き出す。
あっという間に剣と盾を持った骸骨。槍を持った骸骨。杖を持った骸骨が生まれた。
「「「カタカタ……」」」
「おお、LV1なのに迫力があるな…これからよろしくね?」
「「「カタカタカタ」」」
あやは配下を手に入れた!
ちなみにステータスはこんな感じである。
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【no name】LV1
種族 骸骨戦士
状態 従魔 (あやピコ)
HP-20
MP-3
攻撃力-10 (+2)防御力-10(+2)敏捷値-5
器用さ-3精神力-4知力-4
《スキル》-{剣術LV1}{盾術LV1}{光属性脆弱}{弱化・日光}{魔法脆弱}
【no name】LV1
種族 骸骨戦士
状態 従魔 (あやピコ)
HP-15
MP-3
攻撃力-10(+3)防御力-10敏捷値-5
器用さ-5精神力-3知力-4
《スキル》-{槍術LV1}{光属性脆弱}{弱化・日光}{魔法脆弱}
【no name】LV1
種族 骸骨魔術師
状態 従魔 (あやピコ)
HP-10
MP-20
攻撃力-5防御力-3敏捷値-5
器用さ-7精神力-7知力-10(+3)
《スキル》-{火属性魔法LV1}{闇属性魔法LV1}{光属性脆弱}{弱化・日光}{物理脆弱}
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最初はこのくらいだが、そのうち強くなっていくだろう。
それまではあやが支援しなくてはならない。
とりあえず、ここを出たらツノウサギが出る【安らぎの小川】周辺で狩りをしようかな……。
そう考えている時だった。
『お嬢!こんなものを見つけました!』
さおピコが糸で巻き取って持ってきたのは、一冊の古びた本だった。
今年から受験生。憂鬱だぁ




