運営②
台風怖い。台風怖い。
《ユートピアゲームズ UO支部》にて。
今日その日、運営内は歓喜に包まれた。まぁ、まだサービス開始当日だが。
「うぉぉぉぉぉ!やりやがったよあの子!」
「「「あっやピコ!あっやピコ!あっやピコ!」」」
「釣り竿やべえな!」
「すごい!でも私の劣骨竜がぁ〜」
「どんまい。でも感動をありがとう!」
あやの戦いを見ていた運営陣の面々は賞賛の言葉を浴びせる。
そしてそれを後ろで見ていた、サタ、瓜エル、かりばー、Lord Utopiaの4人は嬉しそうにしているが、Lord Utopiaだけは少し寂しそうにしている。
「ゆーさん、なんか寂しそうですね」
「いやね、みんなと好きなものを共有できるのは嬉しいけど……例えるなら好きなエロゲが全年齢版になった時のようなほんの少しの寂しさかな」
「女性社員の前でエロゲの話しないでくださいっすよ……」
ちなみにかりばーは女性である。
「それにしても永夜ノ残滓のセリフすごくリアルでしたね。何かモデルでもあるんですか?」
「んん?ふふふ。どうだろうね」
瓜エルの質問に笑ってはぐらかすLord Utopia。
そしてその反応を見て察する3人。
――これは《UO》のブラックボックスだ、と。
《UO》には、社長であるLord Utopia以外の社員は知らないブラックボックスと呼べるものがある。
彼がデザインしたモンスターやNPC、時にはシステムですら社員が手を出せない所がある。
それらのことから社員の間ではこんな噂が流れている。
――この人ホントは異世界行ってたんじゃない?
実際、彼は現実で数ヶ月失踪したことがある。このことから「異世界に転移した!?」なんて噂が流れている。
「それにしても……」
Lord Utopiaは顎に手を当てて難しい表情(顔を変わらないから雰囲気だが……)で映像を見ている。
「どうしたんすか?」
「あぁ、いや……」
あやが寝っ転がった映像を指差し、
「女の子の寝顔GJ!って思って………」
「通報しますた」
「おっまわりさーん」
「えっと110番110番……」
「ちょっ、待っ……」
社員に通報されそうになって焦る焦る。
「ほ、ほら!あの子の釣り竿何したんだろーね!?」
慌てた様子で映像を指差す。
そこには劣骨竜の残骸を集める一本の釣り竿が……
チョコバッキ、美味しい




