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Utopia・Online〜開始初日で魔王になるエクストリームプレイ日記〜  作者: オタケ部長
HP1から始まる魔王降臨
20/56

HP1から始まる【復活の祭壇】


   [復活の祭壇]


 視界を遮るかのように立ち込める紫の霧。


 唯一晴れている上空には赤い月。


 所々風化した石の柱。


 大勢の人間が通ることを想定された巨大な階段。


 そんな階段の前に光の粒子が集まり、あやが現れた。


『エクストラスキル{生への執念}を修得しました』


 リスポーン直後に鳴り響くアナウンス。だがあやはそれどころではない。


「………なに、ここ?」


 {冥府の徘徊者}が発動しなかったと思うと、突然新しいスキルと未知の場所に飛ばされたのだ。当然だろう。


 それとなんだ【復活の祭壇】って。何が復活すんだよ、というのがあやの心境であった。


「あっそうだ。新しいスキルスキル……」


 こちらの方は、死亡回数によるモノだろうから、整理のしやすいスキルの方を確認することにした。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ✴︎エクストラスキル{死を望む者LV1}

  そんなに死にたいか?ならば死ね。

  HPをMPに変換する。

 修得条件ー66時間以内に999回死亡すること。

 ✴︎エクストラスキル{生への執念}

  HPが0になるとき、不死系魔物(アンデットモンスター)【生への執念】として復

  活する。

  変異中スキル{体力超増強}{超速再生}{物理耐性}

 {魔法耐性}{邪気吸収}{捕食再生}{弱点:光}

 {暗視}{状態異常無効}を得る。

 修得条件ー999回死亡し、リスポーンすること。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 「わぉ……」


 なかなか情報量が多い。あやは単語一個ずつ丁寧に読むことにした。


 そして全部読んだ後……


「すごい………のかな?」


 何度も言うが、るーじゅのようなゲーマーでないので、すごいのはわかるが、どれほどすごいかわからない。


 「なんか{生への執念}発動したらスキルめっちゃ増えるじゃん」くらいにしか思っていない。


 だがるーじゅが見たら……大声をあげて驚くだろう。


 {死を望む者}は魔法職にとっては垂涎のスキルだ。HPなんてそこまで重視されないし、HPポーションを飲めばいくらでも魔法を放てる。


 {生への執念}はガッツスキルとして盾職は欲しいだろう。その後の耐性も美味しい。


 ……よく考えたらあやはどういう部類に入るのだろうか?

 敏捷値を上げる{疾走}と{死に急ぎ}に{立体機動}を持ってると思えば、ガッツスキルの{不屈の闘志}と{生への執念}を持っている。魔法職必須の{魔力操作}にMP回復の{死を望む者}もあれば、生産職として{調合}{裁縫}{細工}に、趣味として{料理}{水泳}{サバイバル}……


 あやは本当にどういう方向性のキャラなのだろうか?


 きっとあや本人にも分からないだろう。


 ただ分かるのはあやがやりたいようにやった結果なのだ、これは。


 まだ1日目でLVは4だが………


「さて……ここ、どこ?」


 あやは、今まで触れなかったところに触れる。


 マップ機能を使っても、『現在詳細なマップはありません』と出るし、るーじゅに聞こうにもメッセージ機能も使えない。


 周囲になにがあるかと言えば……


 右手。霧。


 左手。霧。


 背後。霧。


 頭上。月。


 足下。地面。


 正面。階段。


「どう考えても進めってことだよね……」


 正直何か飛び出してこないか心配だ。あやはお化け屋敷などが怖い訳では無いが、それでも驚きはする。


「よし……行こう」


 あやは念のために、距離が取れるように【あやピコの執念のボロ竿】を装備し、【ポーションキャンディ】を口に入れる。継続回復のおかげで、あやの体力は全快し、ボロ竿の{HP貯蓄}で余すことなく活用できる。


 ――コツン、コツン、コツン………

 

 どういう素材でできているのか、あやの足音がよく響く。


 階段の横の壁には壁画らしきものが描かれているが、かすれてなにが描いてあったかわからない。


 ただ、黒い塗料を多用してあるので、夜の絵ではないかと思われる。


(………なにが復活するのかな?)


 あやはそれが不思議でならなかった。


 そして、階段を登り切った先には、広場があった。


 崩れかけの屋根があり、どことなくギリシア建築を連想させる。


 そしてその広場の中心には、祭壇があった。


「あれが【復活の祭壇】………」


 あやがそう呟いたその時。


 ――ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ

 

「ひゃあ!?」


 広場の周りに人魂が現れ、月明かりに加えてこの場を照らす。


 すると祭壇の方にも変化が現れた。


 いつのまにか、服を着た骸骨が立っていたのだ。


 それも大きい。身長は2mありそうだが、『ゴツゴツとした大男』という印象は受けない。


 骸骨自体に厚みがないのもそうだが、シュッとした軍服のような服を着ているのも理由だろう。黒い羽を集めたようなマントをしているから、それなりの地位の骸骨(?)なのかもしれない。


『我ハ……コノ世界ヲ愛シテイル』


 唐突に語り出す骸骨。


『コノ美シキ世界ハ守ラナケレバナラナイ』


 どうも世界を壊してやる〜みたいな悪役では無さそうだ。


『ダガ、人ガソレヲ汚ス』


 骸骨の眼窩(目の窪み)から黒い炎が漏れ出てくる。


『同ジ種族ナノニ憎ミ合ウ奴ラハ愚カダ。ダカラ我ガ手ヲ下シタトイウノニ……』


 悔しそうに己の手を見つめる骸骨。


『マタコノ世ヲ終ワラヌ夜デ満タサナクテハナラナイ……』


 今度はあやの方を見る骸骨。


『ソノ執念ノ宿ッタ身体……我ガ新シイ身体ニ相応シイ…』


 執念で思いつくのは、999回も死んだことだ。


 そう、これは①MPが100以上である。

 

 ②{魔力操作}のスキルを持っている。


 そして③999回死亡することによって発動する、一回限りのワンタイムクエスト。


 【魔王復活の儀】。


 あやがボロ竿を構えて警戒する。


『サア、ソノ身体ヲヨコセ!』


 【永夜ノ残滓(エバーナイトダスト)LV⁇】


 今ここに、このゲームの、勇者と対をなす存在との戦いの火蓋が切られた。


 

『シロクロ・チェリーサイクル』……略して『シロチェル』を没にしたいと思います。


だが、復活する!私が小説家としてレベルアップしたら!


その時まで、待ってろよ!

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