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Utopia・Online〜開始初日で魔王になるエクストリームプレイ日記〜  作者: オタケ部長
HP1から始まる魔王降臨
17/56

HP1から始まる死亡回数


 〔徘徊する黒き沼〕


 【ビッグブラックスライムLV 58】と出会ってから数時間後。あやは今……


「ふわ〜」


 腕に頭を乗せ寝転がり、あくびをして完全にリラックスしていた。


 だがこうしている間にもブラックスライムの猛攻は続く。


 今度は体が少し膨らんだと思うと、真っ黒な酸を放ってきた。


 あやは光の粒になって消えた。


『プレイヤー【あやピコ】が死亡しました。15秒後リスポーンします』


 あやが落ち着いているのは理由がある。


 最初はダメージを受けながらも倒そうとした。


 だが相手はLV58のモンスター。対してこちらはLV4。勝てるはずがなかった。


 逃げようにも【不動の守護者】の{我死スレド此処ヲ動カズ}のせいで逃げられない。そもそもここに【不動の守護者】があった時点で運営の罠だったのだ。


 さらに特攻を繰り返したことで、次のスキルが手に入ったのもあやが落ち着いている理由だ。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ◇スキル{痛覚遮断}

  痛覚を遮断することができる。我慢の証だね!

 修得条件―{痛覚耐性・大}を進化させる。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 攻撃を受けながら我慢―あやの場合は諦め―することによって手に入った{痛覚耐性・小}が進化することで獲得できる{痛覚遮断}。


 これのおかげであやは酸の海でも快適に過ごせる。まぁ、ダメージはあるが。


 とはいえ、このまま動けないでは困る。


 次に{不屈}が発動した時にログアウトするか……


 あやがそんなことを考えていた時だった。


 今度は触手攻撃により吹き飛ばられ、あやは光の粒になって消えた。


『プレイヤー【あやピコ】が死亡しました。15秒後リスポーンします』


 15秒後。


『条件を満たしました。エクストラスキル{不屈}がエクストラスキル{不屈の闘志}に進化しました』

『エクストラスキル{冥府の徘徊者}修得しました』


「えっ?また?」


 リスポーンと同時に流れたアナウンスに、あやは目を丸くする。


 その時、ブラックスライムから極光が放たれたが、HPが1になると同時にあやは光に包まれた。光と共に力が沸いてくる気がする。


 あやはとりあえずスキルの詳細を開いた。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ✴︎エクストラスキル{不屈の闘志}

  HPが0になっても、残りHP1で耐え、状態異常無効化。

  5分後再使用可能。

  発動後15秒間無敵状態。HPが1の時、全ステータス5

  倍。

 修得条件―500回死亡してリスポーンすること。

 ✴︎エクストラスキル{冥府の徘徊者}

  死亡した時、リスポーンする場所を登録してある場所に

  変更することができる。

 修得条件―10時間以内に500回死亡してリスポーンすること

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「15秒無敵……?今何秒経っ……」


 ――ズガガガガン!


 触手に弾かれ、あやは光の粒になって消えた。


『プレイヤー【あやピコ】が死亡しました。15秒()()でリスポーンするかと思います』


 少し変わったアナウンスと同時に、あやは暗闇の中に出た。


 足が着いているのか分からない状態で、どこを見ても真っ暗闇。


「ここは……どこ?」


 あやが困惑していると


『{冥府の徘徊者}を発動します。リスポーン地点を選択してください』


 そんなアナウンスと共に、


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  ▷〔始まりの街 ファース〕

   〔安らぎの小川〕

   〔紫水晶の洞窟(アメジストホール)

   〔徘徊する黒き沼〕

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 と書かれたウィンドウが出てくる。どうやらこれが{冥府の徘徊者}の効果らしい。


「へーファースまで行けるんだー」


 《UO》では、リスポーン地点は基本的に最後にやってきたセーフティーエリアになる。ファースに行きたければ、自分の足で向かうか、{時空魔法}というスキルを取るしかない。


 だが、あやの{冥府の徘徊者}は、死亡することと引き換えに、様々な場所を自由に行き来できる。【不動の守護者】もあるので使い勝手は良くなるだろう。


 とりあえずあやは、るーじゅも戻るからファースに行こうとして………その手を止める。


 ふと思い出されるのは、あやが手に入れたエクストラスキル、{不屈}{死に急ぎ}{不屈の闘志}{冥府の徘徊者}だ。


 それらのスキルは死亡回数が条件になって修得できた。


 もしかしたら、これ以上死ねばもっとスキルが手に入るかもしれない。


 さらに{死に急ぎ}と{冥府の徘徊者}は時間制限付きだ。判断は早くしなくてはならない。


 一拍。


「……るーにはあとで謝らないとね」


 あやは迷うことなく〔徘徊する黒き沼〕を選択した。


 闇が晴れると、あやは見慣れた黒い巨体の前に立つ。


「さあ……掛かってこい!」


 ただでやられるわけにいくか、と短剣を構える。


 ちなみに【あやピコの執念のボロ竿】はイベントリの中だ。理由はスキルの{HP貯蓄}が勿体無いから。少しでもHPが減るとすぐに貯蓄分から引っ張り出すのだ。


 ビッグブラックスライムが触手を伸ばすと……


「あっでもその前にるーにメッセージ送らな……」


 あやは黒い極光に包まれて消えた。


『プレイヤー【あやピコ】が死亡しました。15秒ほどでリスポーンすると思います』



 あやがるーじゅにメッセージを送れたのは、それから10分後のことだった。




 

毎日投稿してる作家さんマジリスペクト……!

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