HP1から始まる【紫水晶】
別の作品のアイデアが浮かんでくる……
やめろ!まだその時じゃない!
[セーフティーエリア 紫水晶の洞窟]
「ふぅ……痛かったけど……きれいだなぁ……」
15秒後、リスポーンしたあやは【紫水晶の洞窟】で休息を取っていた。
セーフティーエリアは入った時点で登録されるので、死に戻りしなくてラッキーと、あやは思った。いや死んだのだが。
「お茶でも持ってくればよかった〜。るーにも見せたいなぁ。あ、スクショしてあげよー」
――フルフル♪
賛成と言わんばかりに竿を揺らす【あやピコの執念のボロ竿】。やっぱり自我があるのかもしれない。そのうち喋り出しそうだ。
「それにしても……あの円なんだろう?」
さて、ここに来てからあやが気になっていることがある。
紫水晶の所々にオレンジの円があるのだ。採取ポイントに似ているが、採取ポイントは黄色だ。
これは採掘ポイントといい、採取ポイントとは似て非なるものだ。
採取が誰でもできて、出てくるものがランダムに対し、採掘は採掘できるものが決まっており、{採掘}スキルと【ツルハシ】という専用アイテムが必要だ。
当然あやは持っていない。
なので、短剣でガシガシと削ってみようとしても無駄なのだ。
「むぅ……」
――ガシガシガシガシガシガシ……
そんなことを続けることしばしば。
――ビィィィン!ビィィィン!
突然【あやピコの執念のボロ竿】が音を立てて伸び出した。
「なになにどうかした?」
【あやピコの執念のボロ竿】は見て見て〜と言わんばかりにあやの方に竿を反る。
「ん?詳細鑑定?」
――ビィィィン!ビィィィン!
そうだそうだと言いたげに竿を振るう。正直違いはわからない。
あやは【あやピコの執念のボロ竿】の詳細を見た。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【あやピコの執念のボロ竿】レア度★★★★☆品質 劣
プレイヤー【あやピコ】が魂を削り、執念を込めて作り上げたボロ竿。その執念は獲物を畏怖させ、狙った獲物を逃すことがない。
{装備者固定【あやピコ】}{不壊}{威圧}{必中}
{捕食吸収}{魔力貯蓄}
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あれ?なんか増えてる……あっ{捕食吸収}!」
――ピョーン♪ピョーン♪
今度は嬉しそうに跳ねる。おそらく「せいかーい♪」と言っているのだろう。
どうやら【あやピコの執念のボロ竿】は採掘ポイント関係なしに紫水晶を取り込めるらしい。
紫水晶は魔力を蓄える性質があり、持ち主の余剰分の魔力を蓄えることができる。魔法使いとしては必須と言っていい素材だ。
「じゃあどんどん食べちゃって」
――ビィィィン!
敬礼をするように伸びる。そして、
――ピーン!
何かを指さすかのように糸をどこかに向けた。
向けた先にあったのは……
「ん?なんかあの水晶赤いね」
他のよりも赤紫に変色した水晶だった。
あれは採掘すると【血水晶】という素材になり、今度はHPを蓄える性質を帯びる。
それを【あやピコの執念のボロ竿】が{捕食吸収}したことにより、知ったあやは……
「………ごくり」
覚悟を決めた。
あやが【紫水晶の洞窟】を出たのはそれから1時間後のことだった。
後半少し雑だったかも。
あやちゃんにはあと800回は死んでもらうぜ………!




