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星の輝く夜に  作者: ボルシチ
8/8

親子喧嘩と落花生 中編

遅くなってしまいました。

また、今回は文章にあまり自信がないです。

ここの説明とか文章が分かりにくい等、何かありましたらコメントお願いします。

「……きて」

──ぺしっ

「ん……」


「おきて!」

──パチンッ

「んー……ぐう」


「起きなさい!」

──スパァン!


「いってええええ!?」


あああ目がぁ、目があぁあぁあ!

何が起きた!?滅びの呪文でも唱えられたのか!?


……あ、エリさんだ。


「夜ご飯出来たよ!全く、すっかり眠ってたから起こすの大変だったじゃない!」


だからってハリセンで叩き起こす事ないじゃん……。

しかし、やっぱり疲れてたんだなぁ。いつもは部屋に人が入ってきたりしたらすぐに目がさめるのに、エリさんが入ってきてるのに気がつかな……ん?待てよ?


「どうやって部屋に入ってきたの?」

「鍵閉めてなかったじゃない」

「……やっちゃった」

忘れてた、てへっ。

「大丈夫よ、他にお客さんなんていないし」

そういう問題なのか?そもそもお客さんが居ないっていうのがおかしい。何かあったのか?


「お客が居ないってどういう事?」

「そうそう、その事で相談があるの!」

「相談?」

「うん、そう!あなた、名前は?」

「中村 修矢」

「へー、そう、ナカムラって言うのね?」

「あ、中村は苗字で、修矢が名前だよ」

「名前と苗字の並びが逆なの?『ローウェン』の生まれ?」

どこだよ。

「あー、まあそんなとこかな」

「ふーん」

異世界から来たとか言ったら後々が面倒だろうし、丁度いいからまだ隠しておこう。


「修矢は冒険者なの?」

「うん、そうだよ」

そうなのか?一応駆け出し冒険者という事になってるらしいが。

「ねえ、一つお願いがあるんだけど、いい?」


曰く、商業街という事もあり、この辺りには店は多いが観光地のようなものは無い。

なので、宿泊する人もあまりおらず、居たとしても安い宿で寝る人が多いため、日本で言うところのホテルに当たるのであろうこの宿には客が全然来ないのだという。

そこで、エリさんがお父さん(スリフトさんと言うらしい)に、私が冒険者になってお金を稼いでくると言ったらしい。


この世界での成人は16歳。エリは15歳なので、もう成人に近いため、冒険者などの少し(少しでは無いと思うが)危険な職についても良いのだとか。

しかしスリフトさんは、エリが冒険者になるのに反対し、昨日のような喧嘩になったらしい。


そこで、一応だが冒険者である俺にスリフトさんの説得を手伝って欲しいと言うのだ。しかし、そもそもお客がいないと言う話に関連性が見当たらないし、それに、

「俺なんかが説得できるかな?」


実戦経験なんて、この世界に来てからは先ほどの亜人戦のみだし、そもそも他人の家族に口出しするのもどうかと思う。

しかしエリさんは俺の意見など聞かず、


「大丈夫大丈夫、じゃあお願いね!さあ、ご飯が冷めちゃうわ、行きましょう!」


と言う事で、異世界に来て初のお食事タイムへレッツゴー。


……とは言ったものの、食堂まで15秒も歩かなかったから拍子抜けだ。

「お父さん、お待たせー」

「おう、遅かったな」

「修矢さん寝てて、起こすのに手間取ったの」

「ほう、修矢ってのか。そこに座って待ってな、今持って行く」

「あ、はい」

食堂は、ホテルのレストランのような上品さに包まれていた。

綺麗な白いテーブルに、ウッド調の壁紙(っていうか木そのものか?)に木製のおしゃれな椅子。

俺はエリさんに促されるまま席に着いた。

席に着いてすぐに、芳醇な香りと共に料理が運ばれて来た。


「うわぁ……すごい」

美味しそうな料理が四皿程並んでいた。

向かいの席に座っていたエリさんが、ナイフ、スプーン、そしてフォークのようなものを渡してくれたのでそれを受け取り、

「で、ではいただきます」

早速いただく。


まずは、アクアパッツァのような物に手を伸ばす。

ナイフで切ると、湯気と共にオリーブのような香りが漂ってくる。

「ごくっ」

我慢できず、唾液が溢れてくる。

迷わずそれを口に放り込む。

「っ!?もぐもぐ……ごくん」


……美味しい。

オリーブオイルでは無かったが、俺の大好きなオリーブに限りなく近いこの味は、俺の食欲を刺激するのに十分だった。

あっという間に完食してしまう。

さあ次だ。アクアパッツァの横にあったお皿に手を伸ばす。


ハンバーグだ、多分。

ナイフで切ると、肉汁が溢れてくる。

これは絶対に美味い。


そう確信を持った俺は迷わず口に運んだ。

「ん!?もぐもぐごくん。………ぱくっもぐもぐ……」

美味すぎる、なんなんだこのハンバーグは。日本で食べたファミレスのハンバーグなど比べ物にならない程の美味さだ。

様々なハンバーグを食べて来た俺の口が「もっとお肉をおくれよ」と訴えてくる程だ。

手が止まらない。またまたあっという間に完食。

少し物足りないが、まあいい。最後の一皿の為にお腹を空けておかないとな。

……最後の一皿はカレーだった。別の皿に乗っているパンをつけて食べるらしい。

茶色い濃厚でどろっとしたスープに煮込まれた野菜や肉。そして鼻腔をくすぐるスパイスの香り。これはもう……


「……我慢できない!」


突然大声を出した俺にエリさんとスリフトさんがびっくりしていたが、知ったことか。俺はパンを少し大きめにちぎり、カレーに付けて口に運ぶ。

「っっ!!??」

こ……これは……!?



……シチューだった。



「お、美味しい、けど……」

このスパイスの香りも見た目も明らかにカレーのものなのに、味はシチュー。不思議な感覚に陥ってしまう。

ただ、味はなかなかのもので、シチュー(?)は勿論、二つ用意されていたパンもあっという間に完食。


「ふう」

最後は驚いたが、どの料理もものすごく美味しかった。宿じゃなく料亭とかやった方が設けそうだなと思うほどだ。

「ど、どうだった?」

「すごく美味しかったよ、ごちそうさま」

「そう?よかったぁ!」


……ん?

「えっと、もしかしてだけどさ、この料理作ったのってスリフトさんじゃないの?」

「私だよ!」

「ああ、俺は手伝いと配膳と皿洗い専門だ」

「は、はぁ……」


さっき腕がなるぜ!とか言って張り切ってたのに、料理作るんじゃなくて手伝っただけかい!

……もしかして、エリさんを冒険者にしたくない理由って、料理が出来る人が居なくなるからとか?

いや、そんな訳ないか。


「じゃあエリ、お客さんの食器持ってきな。洗うから」

「はーい!……じゃあ修矢さん、例の話、お父さんが食器洗い終わったらするから」

「え、そんないきなり?俺は何をしたらいいの?」

「私が冒険者になりたいってお父さんに言うから、なんか適当に援護してくれたらいいから!」

「なんかってそんな適当な……」

「じゃあ頼んだわね!」

「あ、ちょっ……」

人の話を聞けえええ!


……なんて言ってももう遅いか。

冒険者になるのを止める父親を説得って、なかなかハードル高い気がするんだけどなぁ。うーんうーん……。


──しかし、俺がうんうん唸って考え込んでいる間にとうとう、その時は来た。来てしまった。

エリの作ったカレーのようなシチュー


この世界にしかない特別なスパイスによって、クリーミーな味わいなのに刺激的な匂いを発する食べ物を作る事ができる。

この世界では、『クリームカリー』と呼ばれている。



今から二週間後までは投稿できません、ご了承ください。

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