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星の輝く夜に  作者: ボルシチ
5/8

ようやく始まる異世界生活

僕も異世界に行ってみたい。

「……あのねぇ」

「はい」

「なんであなたは四回も連続で記憶を失って、何回もここに来てるのよ!多くても二回までにしてよ!」

目の前で神様が正座して怒っている。

でも、そんなのあんたがフラグ立てたからじゃ……あ、煎茶から緑茶になってる。ズズズー…良き良き。


それにしても、俺って本当に生きる事にも死ぬ事に対しても大して何も感じないんだな。

自分でもびっくり。



「あのー、ここでゆっくりされても困るんだけど」

「ん?何か用事がある感じ?」

「録画してる番組が溜まってるの!『宇宙の果てまで行ったっきり』とか『夏のホラー特選』とか!」

「神様が何観てんだよ!」

特にホラーとか!神様の観るものじゃねえだろ!


「いや、それが結構面白いのよ。下界の人達が色んな技術を使って、どんな風にお化けがいるような演出をしているのか探すのが毎年この時期の日課なの!」

と、嬉しそうに話す神様だが、今冬だから。時期思いっきり間違ってるから。

「ま、そういう事だから早くあの世界に戻っていただけたらありがたいかもしれないわ」

「あー分かった、これ飲んだら行くよ」

「今すぐ行けえ!」

そう言って神様が俺の飲んでいるお茶を取り上げる。

その時勢い余ってちゃぶ台と神様が着ている服にお茶がかかってしまった。

「あっつーい!ちょっと、お茶がかかったじゃないの!どうしてくれるの!」

そう言いながら立ち上がる神様。

いや今の俺悪くないし。

……ん?よく見るとこの神様まあまあ可愛くね?

見た目は俺と年もほとんど離れてない様な少女だ。清楚で可愛い容姿に白いチュニックがよく似合っている。


……腰に白いレイピアみたいなのが無かったら良かったけど。

「あーごめんごめん。分かった今から行くよ」

「もう!最初からそうやって素直に行ってたら良いのよ!」

なんで俺が怒られてんだよ!

「あー分かった、じゃあ早く送っt、」

「ほいっ」

って早いな。しかも掛け声ほいって。


こうして俺は、何度目かの異世界転生を行なった。

「あ、記憶失わないでね!」



……神様のありがたいお言葉とともに。





「……モ、モウヤメテクレ!ナンナンダ、アクムヲミテイルノカオレハ!」


どうやら今回は記憶を失わないで済んだようだ。


そんな俺が転生した瞬間、目の前で俺を二度も屠ったゴブリンが頭を抱えてうずくまって呻いていた。


……そっか、俺このゴブリンたちの前で二回も生き返ったんだな。そりゃあトラウマものだよな。

うん、なんかごめん。


とりあえず、また殺されるのは嫌なので『神の加護』とやらを発動しておこう。えっと確かそれっぽい事を言えって言ってたよな……なんだよそれっぽい事って。

あの適当神め。


「えっと……“『神の加護』発動”?」

なんてな、ははは、こんなので発動するわけな

『神の加護、発動しました』

ってええええええ!?

発動したよ!?しちゃったよ!?


突然どこからともなく謎の声が聞こえ身体が光に包まれる。そして左腰に重みが、その後全身に微かな重みが続いて生じ、光が消える。と、


──全身を、黒い生地に金の刺繍の入ったロングコート。左腰にはシンプルなデザインなのに何故か暴力の様な圧力を感じる黒い剣が装備されていた。


「ナン……ダト!?」

「キ、キシダッタナンテキイテナイゾ!」

「エエイ、キシダロウガナンダロウガキレバシヌ!コロセ!」

ごめん何言ってるかわからない!

騎士だとか殺すだとか言ってた気がしたけど、俺駆け出し冒険者じゃ無かったっけ?


おっとそれどころじゃない。

ゴブリン×3が俺を殺そうと襲い掛かってくる。

俺はゆっくりと左腰に手を伸ばし、そこにあったものを掴み、抜いた。


黒く輝く刀身に柄。剣の全てが黒く染まっている。

『神の加護』のおかけが、ゴブリンたちの動きがものすごく遅い。

俺は剣を左に振りかぶり、彼らに心の中で謝りながら剣を右に振り抜いた。


──瞬間、ゴブリンたちは言うまでもなく、周りにあった石垣や森の木、そして少し離れたところにある建物まで、俺を中心に直径15メートル以内にあった物を文字通り完全に分断してしまった。


「は!?」

そのあまりの威力に驚いて声も出ない……訂正、声は出たが言葉が出ない。

ゴブリンたちは声を出す暇もなく分断され、光の粒となって消えていった。どうやらこの世界では、死んだり消滅した物は光の粒になって消えるらしかった。


……しかし俺の頭の中はそんな事よりも、(斬ってしまった建物の修繕費高そうだなぁ)という、場違いな考えに埋め尽くされていた。

その後俺は、剣の威力が恐ろしく高く、街に被害を出したくなかった為鞘をつけたまま亜人たちを倒して行った(鞘をつけた状態でもクレーターを作ったり建物消し飛ばしかけたりしちゃった訳ですが)。

街の人も亜人たちも俺の剣の斬れ味(と言うか破壊力)に驚いて、

「あれは見た目は騎士だが、騎士はあんなに破壊行為を進んで行うはずがない!あ、悪魔だ、悪魔が降臨したのだ!」

「違うわ!あれは勇者様よ!騎士に化けた勇者様なのよ!」

などと勝手に色々言っていたが、聞かなかったことにする。



──5分後


俺はこの村の住人たちに囲まれていた。




本文中のワード説明

レイピア……ヨーロッパで使われていた細身の剣 刺突をメインに戦う。細身の割に重い。


次回更新は3…いや2日後予定!

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