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079_ダンジョン攻略3

 


 このダンジョンはおかしい。

 何がおかしいかというと、以前の洞窟型から草原型のダンジョンになっている。

 構造がまったく違ったものになって、さらに高ランクの魔物が所狭しと蠢いている。

 古代のダンジョンとして有名な赤の塔でさえ、こんなにも高ランクの魔物の密度が高くはない。

 赤の塔のスタンピードでさえ低ランクの魔物が多かった。

 それなのに古代のダンジョンでもないこのダンジョンが、ここまでランク5以上の高ランクの魔物が多くいるのは異常だ。赤の塔をはるかに超える危険度だろう。

 そんなダンジョンの中を俺と俺の妻たちは進む。


 妻として一番新しいエリーは元々のレベルが低かったことで成長著しいという言葉がぴったりの成長を見せている。

「うふふふ、旦那様、魔物狩りがこんなに楽だなんて思ってもいませんでした」

 通信機の向こうでエリーが楽しそうに語る。

 同時に、エリーが操縦する10式戦車が魔物をひき殺していく。はたから見たらカオスである。


「ランク7、ファイアドラゴン、三体へ砲撃します」

 インスがそう言うと、10式戦車の主砲が発射された。

「さらにランク7、ウォータードラゴン、四体へ砲撃します」

 俺たちは九層まで進んでいるため、出てくる魔物はランク5はいなくなり、ランク6以上になっている。

 主力はランク7の魔物なので、主砲を使うことが多くなってきた。


「主、魔物の反応はなくなったぞ。次の層へいくぞ」

「リーシア、ちょっと待った」

「どうした?」

「今日はここまでにして休憩にしよう」

 時計の時間を見ると、夕方六時を少し回ったところだ。

 休憩にして、十層へいくのは翌朝で構わないだろう。

「む、仕方ないな。飯にするか!」

 脳筋のリーシアは戦いも好きだけど、ご飯も好きだ。

 だからご飯やおやつの時間は文句も言わずに受け入れるようになった。言葉は悪いが餌づけが成功した例だな。


「セーラ、料理を並べていってくれるか」

「はい」

 セーラが持つマジックポーチには料理済みの食べ物が沢山入っている。

 時間経過がないので、入れっぱなしでも腐らないし、料理後すぐに収納しているので熱々だ。

 どんな料理を出すかはセーラの気分次第である。


「マスター、【通信販売】がランクアップしてランクAになりました」

「おお、やっとランクAに上がったか!?」

 ランクAに上がるためには取引額が五百億円も必要になる。

 だけど、このダンジョンに入って、高ランクの魔物を狩っては回収して【通信販売】で売っていたので取引額がバンバン上がり、ランクアップは時間の問題だと思っていた。


「取り引きできるようになった主なものを教えてくれるか?」

「はい、まず戦車は国や年代に関係なく全て購入ができます」

「それって米軍の戦車でも購入できるってこと?」

「はい。マスターがいた時代までなら全てです」

「そうするとドイツのレオパルト2も買えるのか!? スッゲーな!」

 戦車と言われる車両は沢山あるけど、やっぱり戦車といえばドイツというイメージが強い。

 そういったことには素人同然の俺もドイツのレオパルト2は知っているほどだ。


「また、航空機に関しても制限はありません」

「というと……戦闘機も買えるの?」

「はい、戦闘機でも、戦闘ヘリでも、爆撃機でも購入が可能です」

「随分と範囲が広がったなぁ~。でも戦闘機や爆撃機は滑走路がいるからなぁ~」

 大型の航空機になれば長い滑走路が必要になってくる。

 この世界では滑走路用の土地を確保することは難しくないが、維持するのは難しいかもしれない。

 滑走路が魔物に荒らされては、シャレにならないからな。


「船舶も多くが購入可能になっています。ただし、空母は購入できません。他にも大型の戦艦も購入ができないです」

「たしか自衛隊は護衛艦と言っているけど、ほぼ空母の……えーっとなんだっけ……あ、そうだ、いずも型の護衛艦があったと思うけど、あれも購入できないの?」

「いずも型護衛艦は購入可能です。空母扱いになっていませんので」

「でも、改造したら空母になるよね?」

「なりますね」

「それでも購入できるの?」

「はい、できます」

 なんか日本的な解釈が適用されていませんかね?

 まぁ、いいけどさ。

「ちなみにいずも型を購入するのにいくら必要なの?」

「四段階改造を含めて、およそ一千六百億円です」

「高っ!? いずも高っ!?」

「さらに高いのが、あたご型護衛艦です。値段は四段階改造を行なって二千七十億円です」

「無理っ!? そんなの買えねぇし! てか、あたご型はなんでそんなに高いの!? 空母じゃないよね?」

「最新のイージスシステムを搭載している護衛艦だからではないでしょうか」

「あ~、イージス艦か!? イージス艦って高いんだなぁ~」

 普通に感心してしまう。しかし、今は戦艦は必要ないので買わないし、買えない。


「そういえばさ、大陸間弾道ミサイルとかも買えるの?」

「短距離でしたら購入が可能ですが。大陸間弾道ミサイルは制限が解除されていません」

「まぁ、買う予定ないからいいけど……核弾頭も無理だよね?」

「はい、核兵器は全て制限がかかったままです」

 世界に核の脅威を持ち込む気はないから、構わない。


「スキルについてはユニークスキルの一部を除き、ほぼ購入できるようになっています」

「じゃぁ、よさそうなのがあれば、インスの判断で購入しておいてくれ」

「分かりました」

 あとは必要な時にインスが教えてくれるだろう。

 しかし、護衛艦って高いんだな。日本の護衛艦であの値段なら、米国の戦艦や空母なんていくらするんだか。

 そういった戦艦を使うことがないことを祈ろう。


「あ、そうだ。戦車でお勧めってあるかな?」

「そうですね、マスターが仰っていました独国のレオパルト2A7+。英国のチャレンジャー2。米国のM1A2SEP(M1エイブラムスの改修型)がよろしいでしょう。共に四段階改造を行なって十三億円ほどです」

「お、レオパルト2A7+もお勧めの一台か!?」

「レオパルト2A7+もよい車両です。チャレンジャー2やM1A2SEPも優劣をつけることができない優秀な車両です」

 そうなんだ。ドイツ戦車が最強かと思っていたけど、やっぱ米国や英国もいい戦車を持っているんだね。


「そういえば、レオパルト2A7+、チャレンジャー2、M1A2SEPは今使っている10式戦車とリンクできる?」

「はい、可能です。今回は四段階改造が可能ですので、搭乗者なしで、車両の操縦制御から武器管制まですべて私の方でできるようになります」

「えっ!? マジ?」

「はい、マジです」

 やっぱインスはスゲーな!

「じゃぁ、レオパルト2A7+、チャレンジャー2、M1A2SEPを一台ずつ購入して改造をしておいて。他にインスのお勧めがあったらそれも購入しておいてよ」

「畏まりました」

 戦車が全てインスの制御下で操縦ができるのであれば、戦車部隊を組織できるな。

 部隊といっても単価が高いので、十台くらいの部隊になるけど、それだけで十分強い。

 地上で使えば、国の一つや二つは簡単に落とせる戦力になるはずだ。


 俺がインスと話をしている間に料理は机に並べられていて、皆が待っていた。

「ごめん、食べようか」

「おう、食べるぞ。主」

「はやくワン」

 食に貪欲な二人が待ちわびている。

「いただきます」

「「「「「いただきます(ワン)」」」」」


 今日の夜ご飯は中華で、塩ラーメン、炒飯(チャーハン)、餃子、小籠包、青椒肉絲(チンジャオロウスー)回鍋肉(ホイコーロー)だ。

 インスは塩ラーメンに拘らずラーメン類が好きだ。麺をすする口もとが色っぽくて、見ていてドキッとする。

 リーシアはラーメンが嫌いというわけではないが、炒飯がメインで餃子、小籠包、青椒肉絲、そして回鍋肉でガッツリと食べる。

 ただ、青椒肉絲と回鍋肉は肉ばかり食っている。まさに肉食系女子である。

 セーラはどれも平均的に食べる。好き嫌いがない感じで、なんだか真面目なセーラらしいなと思ってしまう。

 サンルーヴも基本は肉食だ。だから餃子、小籠包、青椒肉絲、回鍋肉がメインで、特に小籠包が好きなようだ。

 小籠包の肉汁たっぷりが気に入っているように見える。

 エリーは塩ラーメン、炒飯、餃子、小籠包を好んでいるようだ。

 まだ箸の文化に慣れていないので、器用にフォークとナイフで食べている。

 上品さが一挙手一投足に滲み出ているのが、俺にでも分かる。

 俺はラーチャーセットだな。普通にラーチャーセットを食べたら誰でも腹いっぱいになるよね?

 だから、他の料理は少しずつ食べるだけだ。

 ダンジョンの中なのでアルコールはなしだけど、お茶類、炭酸飲料類、清涼飲料水など飲み物は豊富に用意した。


「ふ~、食った、食った。美味かったぞ、セーラ」

 リーシアがタンクトップと短パン姿でぽっこりと膨らんだ腹をさすっている。

「リーシアさん、はしたないですよ」

 オカンなセーラがリーシアの姿を見て、たしなめる。

 セーラはジャージの上下を着ているので、修学旅行みたいだ。


「マスター、一緒にお風呂に入りましょう」

「インス、ここはダンジョンの中だから……」

 白いスケスケのネグリジェを手に持っているインスが風呂に誘ってくれる。

 嬉しいけど、さすがにダンジョン内ではね。

「【結界術】で守られていますし、【サーチ】もありますから大丈夫ですよ」

 何が大丈夫なんだか……。

「それでしたら、私も一緒によろしいですか?」

「ええ、エリーさんも一緒にお風呂に入りましょう」

 なぜかエリーまで……しかもその手には赤色の扇情的なスケスケネグリジェが。

「風呂か! よし、主いくぞ!」

 そこにリーシアまで話に入ってきて、俺は風呂に拉致られた。

「おふろワン!」

「グローセさん、お背中を流しますね」

 サンルーヴとセーラまで……もう、好きにしてくれ。


 

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