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071_木々のダンジョン3

来週、2巻が発売になります。

今ならまだ間に合います!

どうか、購入してください。

 


 六層に立った俺たちは雄大な自然を前に感心していた。

「赤の塔も広かったが、このダンジョンも広いな」

 リーシアの言う通り、このダンジョンも結構な広さだ。

 だから、四輪バギーやバイクが役に立つ。

「ダンジョンには色々なタイプがありますから、洞窟型だと閉塞感があって長くいると気が滅入りますよね」

 洞窟型でも10式戦車で爆走した記憶があるけど、一般的にはセーラの言う通りだろう。


 四輪バギーとバイクがあるので、歩きよりは移動が楽だ。

 戦うのはルビーだし、魔物の死体はインスが回収してくれるので、俺たちは移動するだけでいい。

 ボス部屋までほぼノンストップで移動すると、空から降りてきたルビーが少し大きくなっていて、オウムくらいの大きさだったのが白鳥くらいの大きさになっていた。

 戦闘を重ねるとランクは変わらなくても大きくなるらしい。もう俺の肩に乗ることはできない。

「ご主人さまっピー……」

「そんな顔をするな、成長しているんだからさ」

 大きくなったルビーの頭を撫でてやる。


 ボス部屋の前で昼食を摂ると、冒険者たちが羨ましそうにこちらを見てくる。

 そんな視線はもう慣れっこなので無視するし、絡んできたらリーシアが嬉しそうにボコボコにしている。

 ボス部屋は花の魔物のラフレシアンが出てきた。

 花粉に毒があるけど、ルビーにとっては相性のいい魔物だった。

 ルビーは【風魔法(E)】で花粉を吹き飛ばし、【炎の羽ばたき(A)】でラフレシアンを焼き払った。

 ボスなのに、ボスらしい活躍もなく倒されてしまったラフレシアンに合掌する。


 七層、八層、九層、十層と進み、十層のボス部屋の前。

 ここまでくると、冒険者は並んでいないので、すぐにボス部屋に入ることができるが、到着したのが夜だったので、一晩休んでからボス部屋に挑戦することにした。

「しかし、大きくなったな……」

 今のルビーは96式装輪装甲車(クーガー)ほど大きくなっている。

 これなら俺たちを乗せて飛ぶこともできるだろう。

 リーシアとサンルーヴはすでにルビーに乗っているが、鞍のようなものがない状態で乗るのは俺にはできない。

 落ち着いたらルビーに乗れるような鞍を作ろうと思っている。

「ご主人様、美味しいっピー」

 体が大きくなったことで食べる量も増えたルビーは一回の食事で玄米を10Kgは食べる。

 玄米はいくらでも買えるが、これだけ大きいと住む場所に困る。


『ルビーは使い魔ですから、送還できます』


 インスが教えてくれたが、使い魔は必要に応じて召喚や送還ができるらしい。

 因みに送還すると、俺の魔力に同化するらしい。うん、よく分からん。


 翌朝、リーシアの引き締まった腰の感触と、背中にはセーラの胸の感触と、足にしがみついているサンルーヴの重みを感じて起きた。

 目を開けると、目の前には形のよいリーシアの胸があった。

 朝からムラムラするから、裸で寝るのは止めてほしい。

「主……」

 しかも、俺が目覚めてからすぐに、リーシアが俺の頭をホールドして放さない。

 これ以上はヤバい! 俺の頑丈な理性だって破壊されることがあるのだ。

「なんだ、逃げなくてもいいじゃないか」

「もう朝なの!」

「盛るのに時間は関係ないぞ。ちょっとだけどうだ?」

「えーーーい! 俺は起きるんだ!」


 なんとかリーシアを引きはがしたら、後ろからセーラに抱きつかれてしまった。

「グローセさん、私には?」

「あ、いや、そのだな……」

「少しでもいいですよ」

 いかん、これ以上は逃げ出せなくなる!?

「ごしゅじんしゃみゃーワン」

 おいサンルーヴ放せよ!

「なんだ、結局やるんじゃないか」

 と、リーシアに再びホールドされて逃げられなくなった。


 ▽▽▽


 まぁ、あれだ。俺、がんばったよ。朝から、ぐったりだよ。

 それはいい。いいんだ……。


 今からボス部屋に入る。

「よし、いくぞ」

 俺が扉を開けようと、手を扉につける。

「ボスは俺に任せろ!」

「ルビーが戦うっピー!」

「リーシアさん、このダンジョンに入ったのはルビーちゃんのためなんですから、ダメですよ」

「むむむ……」

 セーラがリーシアを諫めると、リーシアは悔しそうにしたが引き下がった。

 てか、このダンジョンの目的がルビーの育成なんだから、勘違いするなよ。


「ほら、扉だけは開けさせてやるから、元気出せよ」

「そんなもので元気など出ないぞ、主!」

 そりゃそうか。俺が扉を開けて中に入る。

「「「「「………」」」」」

 何これ?

「えーっと……セーラ、説明プリーズ」

「私に振られても困りますよ」

「倒してもいいのかっピー?」

「それはまずいんじゃないか?」

 目の前には、どうみても土下座してる人がいるんだけど。

 しかも体の大きさや髪の毛の感じから女性だと思われる。

 なんでこの女性が土下座しているのか、さっぱり分からない。


「おい、お前! 何をしているんだ、説明しろ!」

「は、はい!」

 リーシアが土下座をしている人に説明を要求すると、その人は肩を跳ね上げ返事をした。

「わ、私はこのダンジョンのダンジョンマスターです。よ、よろしくお願いします」

 ダンジョンマスターなの? なんでダンジョンマスターが土下座しているわけ?

「私は皆さまがここまでくる道程を全て見ていました。そして理解したのです。私では勝てないと……」

「貴方は私たちに勝てないと分かって、私たちに許してもらおうと、土下座をしていたのですか?」

「はい、その通りです」

 ダンジョンマスターはセーラの問いに答えるが、頭を下げたままなので表情は分からない。


「おい、お前! ダンジョンマスターなら、ダンジョンマスターらしく戦え!」

「リーシア、黙っているんだ」

「しかし、主……面白くないじゃないか」

「面白くないって、お前なぁ」

「どうか、このまま帰っていただけないでしょうか!? 宝箱ならあそこにあります。お持ちいただいて構いませんので」

 ダンジョンマスターが震える手で自分の後方を指さした先に宝箱が置いてあった。


「グローセさん、どうしますか?」

「どうするったって、土下座している相手をぶちのめせないだろ?」

「でしたら、宝箱の中身をもらって帰りますか?」

「……ルビーには悪いが、そうするか」

「むむむ……」

 いや、リーシアは最初から戦わないし!

「仕方ないっピー」

 ルビーは少し残念そうにしているが、さすがに土下座をしている女性を攻撃はできないようだ。


「分かった、宝箱の中身をもらったら帰るよ」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

 俺たちは宝箱の方に歩いていく。


 宝箱の前に到着すると、後ろの方でダンジョンマスターが動く気配がした。

「きゃーっははははははっ!? かかったな! ……あれ?」

「あー、罠なら解除してあるからな」

「え?」

 この宝箱の周りに罠が仕掛けられているのは、インスが教えてくれた。

 幸いなことに転移系の罠だったので、インスが【時空魔法(B)】で解除してくれたのだ。


「本当にインスは役に立つ、いい女房だよ」

『まぁ、マスターったら。うふふふ』

「主には俺もいるぞ!」

「はいはい、リーシアも、セーラも、サンルーヴも、みんな可愛くて、いい女房だからな」

「そうだろう、当然だ!」

「ありがとうございます。グローセさん」

「えへへへワン」

 ピンクな空気が漂っているのは分かっている。最近は俺自身がリア充の認識もある。

「ご主人様、あいつを倒してもいいっピーか?」

()っておしまい!」

 なんだかオネェみたいな口調になってしまった。


「ちょ、ちょっと待ってください。謝りますから、許してください!」

「ダァァァメッ。ルビー、焼き払え!」

「分かったっピー!」

 巨大なルビーが羽をブンと羽ばたかせると、炎がダンジョンマスターに襲いかかった。

「ギャーーーッ!? 熱い!? ゆるじでぐだざいーーー!」

「世の中、そんなに甘くはないぞ。お前もダンジョンマスターなら覚悟して逝け」

「ぐぞーーーっ!?」

 ダンジョンマスターがなにかしようとしたようだが、ルビーの【炎の羽ばたき(A)】に尽く焼かれていく。

 このダンジョンは木々のダンジョンというだけあって、出てくる魔物は植物系が多い。

 このダンジョンマスターもその例に漏れず、植物系の魔物だ。だから火には弱いのである。


「ぐぞう……」

 ダンジョンマスターがルビーに焼かれて、その場に倒れ炭化していく。

 今回のダンジョンマスターはレッサードルイドという植物の魔物だ。ドルイドという精霊がいるが、そのドルイドに似た人型の植物の魔物なので、こんな種族名になっているらしい。

 それでもレッサードルイドはランク5の魔物なので、ランクとしてはルビーと一緒だ。

 ただ、ランク5でも強さにかなり幅があるので、ランク5下位のレッサードルイドと上位のルビーだと力の差は歴然である。

 しかもルビーは俺の使い魔なのでステータスでは見えないけど、俺の能力の数割が上乗せされている。

 実力的にはランク6でも十分に通用するのである。

 さらに、レッサードルイドの弱点が火なので、ルビーには相性のよい相手なのだ。


 炭化したレッサードルイドのHPがゼロになったのを確認した。

 残念ながら、この木々のダンジョンはこれまでに何度もダンジョンマスターが倒されているので、ダンジョンマスター初回討伐特典はなかった。

 ただ、宝箱の中身はちゃんとあって、一般的にお宝と言われる物が手に入った。

 俺にとっては微妙かなと思ったけど。


「しかし、あのダンジョンマスターは、なんだったんだ?」

「ネタ系のダンジョンマスターだったんだろ?」

 リーシアの疑問にこう答えるしかなかった。俺だって本当のところは知らんし。


 あと、今回の件でルビーが進化した。

 元々はランク5のリトルフェニックスだったが、ランク6のフェニックスになったのだ。

 大きさもかなり大きくなったが、【縮小】というスキルを覚えたことで、今は小さくなって俺の肩に止まっている。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 氏名:ルビー

 情報:フェニックス ランク6 女 0歳 グローセの使い魔

 HP:100000

 MP:400000

 筋力:30000

 耐久:40000

 魔力:45000

 俊敏:48000

 器用:40000

 魅力:40000

 幸運:50

 アクティブスキル:【飛行(C→B)】【癒しの風(C→B)】【炎の羽ばたき(C→A)】【加速(C→A)】【風魔法(E→D)】【縮小】

 ユニークスキル:【復活(C→B)】【情報共有】


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 

お待たせしました。

次回から王都に帰って暴れることになります。

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